有価証券報告書-第94期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/16 13:17
【資料】
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【項目】
125項目

業績等の概要

(1)当期の経営成績
当期の世界経済は、英国のEU離脱選択による一時的な金融不安や新興国の成長鈍化がありましたが、全体として緩やかな回復基調をたどりました。なかでも米国経済は、期初足踏みが見られたものの底堅い内需に支えられ成長を持続しました。また、懸念された中国経済も政府の景気対策により、鈍化は見えるものの安定した成長率を維持いたしました。
日本経済においても、世界経済回復に伴う輸出増加を背景に、景気は緩やかながらも回復傾向となりました。
自動車業界は、国内では、軽自動車への増税の影響が継続し、自動車販売台数は低下いたしましたが、海外では、タイ等において市場縮小があったものの、米国・中国市場の成長が持続し、世界市場全体としては堅調に推移いたしました。
LED業界は、コモディティ化した市場において価格競争がさらに激化し、低価格化が一層進展いたしました。
このような情勢の中、当社グループは、「世界のお客様にうれしさをお届けし選ばれる真のグローバルサプライヤー」を目指し、「重大災害と重要品質問題を絶対に起こさない人・職場づくり」を会社方針の第一に掲げ、グローバルで安全の確保・品質の向上に努めてまいりました。
また、グローバルサプライヤーとして持続的成長の道を歩むべく「着実な成長を実現する技術開発と拡販」および「持続的成長を支える強固な収益基盤の構築」に、重点的に取り組んでまいりました。
自動車部品事業では、クルマの軽量化ニーズに応え、金属を樹脂に置き換えた軽量化製品である、「樹脂フューエルフィラーパイプ」の市場投入を促進いたしました。この「樹脂フューエルフィラーパイプ」と新たに開発した「キャップレス給油口」が、セットで日産自動車㈱の新型セレナに採用されるなど、軽量化製品のビジネスは着実に拡大しております。
クルマの安全性能の向上に寄与する、当社の主力製品であるエアバッグについても、生産体制の増強に努めてまいりました。特にインド市場においては、自動車生産の拡大と安全規制の強化により、エアバッグの需要増加が見込まれるため、北部のハリヤナ州バワルに新工場を開設し、エアバッグビジネスの拡大を図ってまいりました。
近年、自動車部品は共通化の動きが加速しておりますが、一方で、クルマの個性を演出する製品のニーズも高まっており、当社のめっき・塗装といった加飾技術を活かした内外装部品の重要性も増しております。この分野においては、難度の高い塗装技術をもとに、「クリスタル アクリル グリル」の開発に取り組んだ結果、新型プリウスPHVに採用され、トヨタ自動車㈱から技術表彰を受賞いたしました。
将来に向けた開発として、ゴムに関する素材や配合設計技術を活用し、高温下で長時間にわたり力を加えても「形状が復元しやすいゴム」の材料技術を確立いたしました。電気自動車のバッテリー等に用いられる、長期耐久性が必要なシール部品の薄型化・長寿命化に貢献する技術として、将来事業へ育成してまいります。
オプトエレクトロニクス事業においては、バックライト用LED光源のコモディティ化により事業環境が悪化し、販売価格および数量の減少により、営業損失が拡大いたしました。当社は、事業の構造転換を図るべく、バックライト用LEDから、車載や産業照明用のLEDへ注力する製品分野を見直すとともに、生産拠点のスリム化も実施してまいりました。
この結果、当期の売上高につきましては、主に為替の影響やオプトエレクトロニクス事業での販売の減少等により、全体では 7,556億円(前期比 3.4%減)と減収となりました。
利益につきましては、国内外での自動車部品事業の増販効果や合理化はありましたものの、為替の影響やオプトエレクトロニクス事業での販売減少等により、営業利益は 406億円(前期比 5.0%減)、経常利益は 390億円(前期比 6.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は 162億円(前期比 19.9%減)と減益となりました。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
①自動車部品事業
主に為替の影響等により、売上高は 7,370億円(前期比 1.3%減)と減収となりました。一方、利益につきましては、増販効果や欧州における立ち上げ費用の減少に加え、グローバルで合理化に取り組んだことにより、セグメント利益は 462億円(前期比 7.5%増)となりました。
②オプトエレクトロニクス事業
バックライト向けおよび照明向けLED製品の販売減少等により、売上高は 185億円(前期比 46.7%減)、セグメント損失は 55億円(前期のセグメント損失 2億円)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当期末における現金及び現金同等物は、前期末 782億円に比べ 82億円減少し、699億円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期 777億円の収入に比べ、604億円の収入となり、173億円収入が減少しました。これは、仕入債務の減少などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期 562億円の支出に比べ、821億円の支出となり、258億円支出が増加しました。これは、定期預金の増加などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期 247億円の支出に比べ、147億円の収入となり、395億円収入が増加しました。これは、借入金の増加などによるものです。