有価証券報告書-第93期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/17 14:13
【資料】
PDFをみる
【項目】
131項目

業績等の概要

(1)当期の経営成績
当期の世界経済は、中国経済の減速や資源価格の下落等に伴い資源国・新興国の経済成長に鈍化がみられるものの、雇用環境の改善により個人消費の回復が進む米国経済に支えられ、全体としては緩やかな回復となりました。
自動車業界におきましても、軽自動車税の増税が影響した国内市場や景気低迷が続く一部の新興国市場では、前年比で生産台数の減少がありましたが、販売が好調な北米市場が牽引し、世界市場全体としては、堅調に推移してまいりました。
LED業界におきましては、スマートフォンやタブレットなどのバックライト分野では、世界的に普及が一巡したことにより、市場成長の鈍化がみられる中、新興企業の参入や製品のコモディティ化も進み、技術開発および価格競争が、より一層厳しさを増しております。
このような情勢の中、当社グループは、お客様に満足いただけるグローバルサプライヤーを目指し、「重大災害と重要品質問題を絶対に起こさない人・職場づくり」を会社方針の第一に掲げ、グローバルで安全の確保・品質の向上に努めてまいりました。
また、持続的成長を実現するため、「世界のお客様の感動につながる商品の企画・開発」と「顧客ニーズに応える拡販活動」を重点として取り組んでまいりました。
自動車部品事業では、給油時に給油口キャップを開け閉めすることなく給油できる「燃料キャップレス装置」を開発し、北米で生産を始めました。また、プラチナのように落ち着いた艶感のある樹脂加飾技術「プラチナ調めっき」を開発し、レクサスRXのラジエータグリルに採用され、上質感あるクルマづくりに寄与しました。
より安全なクルマづくりに貢献するため、居眠りや脇見運転を防止する2種類の「警告機能付きハンドル」を開発しました。1つ目として、車線を逸脱したときにグリップ部が振動してドライバーに知らせる「振動ハンドル」を開発し、レクサスRXに採用されました。2つ目として、アフターマーケット用に、既販トラックのハンドルを置き換えることにより、内蔵カメラが居眠りや脇見を検知し、専用のスマートフォンアプリを通じて警報音を鳴らす機能を搭載した「警報ハンドル」を開発しました。
さらに、快適な車内空間づくりに寄与する「高さ可変式カップホルダー」を開発し、お客様から「レクサスRX プロジェクト表彰」を受賞することができました。また金属部分を樹脂に置き換え、軽量化を実現した「樹脂フューエルフィラーパイプ」がグローバルで採用され、お客様より「TNGA推進 優秀賞」を受賞することができました。
オプトエレクトロニクス事業の照明分野では、材料や設計の改良により、従来より3割明るくした「照明用高効率LED」を開発しました。また、世界初となる完全密閉構造の「ガラス封止紫外線LED」を開発し、高温高湿度などのさまざまな環境下における紫外線LEDの高い信頼性維持を可能にしました。今後、産業用途への適用を目指します。
また、「上海国際モーターショー2015」へ出展したのをはじめ、「第44回東京モーターショー2015」、「メッセナゴヤ2015」、「LEDネクストステージ2016」に出展し、自動車部品、オプトエレクトロニクスの両事業において、積極的な商品展開を図ってまいりました。
特に、「第44回東京モーターショー2015」においては、将来のクルマ社会に貢献する最新技術として、ボディにエアバッグを備えた小型モビリティのコンセプト車「フレスビー」を出展しました。その特徴ある外観とコンセプトに対して、多くの皆様から高い評価を得ることができました。
この結果、当期の売上高につきましては、北米市場での自動車生産台数増加に加え、円安効果もあり自動車部品事業が増収となったことにより、全体では 7,818億円(前期比 7.4%増)と、前期に引き続き過去最高の売上となりました。
利益につきましては、新製品の生産準備費用や開発費等の固定費増加に加え、欧州における立ち上げ費用の増加等はありましたものの、自動車部品事業の増販効果等に加え、合理化に取り組んだことにより、営業利益は 428億円(前期比 2.9%増)と、前期に比べ増益となりました。一方、経常利益は前期の為替差益に対し、当期は為替差損に転じたこと等により 414億円(前期比 5.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は 202億円(前期比 4.3%減)となり、減益となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①自動車部品事業
タイでの自動車生産台数の減少がありましたものの、米州や中国での自動車生産台数増加や為替の影響等により、売上高は 7,470億円(前期比 8.7%増)となりました。利益につきましては、国内での開発費等の増加やグローバルでの生産能力増強に伴う償却費の増加、欧州での立ち上げ費用の増加等はありましたものの、米州や中国の増販効果や為替の影響に加え、グローバルで合理化に取り組んだことにより、セグメント利益は 430億円(前期比 7.1%増)となりました。
②オプトエレクトロニクス事業
バックライト向けLED製品の販売減少等により、売上高は 347億円(前期比 13.7%減)となり、セグメント損失は 2億円(前期のセグメント利益 13億円)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当期末における現金及び現金同等物は、前期850億円に比べ68億円減少し、782億円となりました。当期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前期 512億円の収入に比べ、777億円の収入となり、264億円収入が増加しました。これは、たな卸資産の減少や仕入債務の増加などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期 624億円の支出に比べ、562億円の支出となり、61億円支出が減少しました。これは、有形固定資産の取得による支出が減少したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期 2億円の支出に比べ、247億円の支出となり、244億円支出が増加しました。これは、借入金の返済などによるものです。