有価証券報告書-第151期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/29 14:15
【資料】
PDFをみる
【項目】
139項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における日本経済は、一部に弱さがみられたものの雇用や所得環境の改善から緩やかな回復基調が続きました。海外では、新興国の成長が鈍化した一方、米国や欧州など先進国経済は堅調に推移しました。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、セラミックス事業では、中国・欧州市場の乗用車販売並びに中国市場のトラック販売が増加したこと等により自動車関連製品の物量が増加しました。エレクトロニクス事業では、半導体の高積層化・微細化を背景に半導体製造装置用セラミックス製品の物量が増加した一方、中国の携帯基地局向けにセラミックパッケージの需要が減少しました。電力関連事業においては、がいしの海外向け出荷が減少したほか、電力貯蔵用NAS®電池(ナトリウム/硫黄電池)は大口出荷が無く低調でした。これらの結果、電力関連事業の出荷減や為替円高の影響により当連結会計年度における売上高合計は、前期比7.9%減の4,012億66百万円となりました。
利益面では、売上高の減少に加え、研究開発費等の費用増により、営業利益は前期比21.9%減の632億12百万円、経常利益は同20.8%減の645億57百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、特別利益として投資有価証券売却益52億48百万円を計上した一方、特別損失として競争法関連損失引当金繰入額63億13百万円や固定資産減損損失41億61百万円を計上し、過年度法人税等に移転価格税制に基づく更正処分の見込み額112億13百万円を計上した結果、前期比31.8%減の363億79百万円となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
[電力関連事業]
当事業の売上高は、528億25百万円と前期に比して36.8%減少いたしました。
がいしは国内電力会社向けの出荷が堅調に推移した一方、北米の取替需要が低迷したことなどから減収となりました。NAS®電池は大口案件の出荷が無く低調でした。
利益面では、売上高の減少等により、前期25億77百万円の営業利益から66億22百万円の営業損失となりました。
[セラミックス事業]
当事業の売上高は、2,452億21百万円と前期に比して2.4%減少いたしました。
自動車関連製品は、欧州市場の乗用車販売が好調であったことに加えて、中国市場で小型乗用車の減税策による販売増や過積載車両の取り締まり厳格化に伴うトラック販売増などから、触媒用セラミックス担体(ハニセラム、大型ハニセラム)やNOxセンサーの物量が増加しました。売上高は、物量が増加した一方で為替円高の影響により前期比減収となりました。産業機器関連製品は、国内や中国の客先で車載用リチウムイオン電池関連の設備投資が増加し、加熱装置を中心に増収となりました。
営業利益は、自動車関連製品や産業機器関連製品の物量が増加したものの、円高の影響に加えて開発費や増産設備の立ち上げ費用が増加したことなどから前期比8.5%減の646億35百万円となりました。
[エレクトロニクス事業]
当事業の売上高は、1,035億7百万円と前期に比して2.0%増加いたしました。
半導体製造装置用セラミックス製品は、半導体の高積層化・微細化を背景に半導体メーカーやファウンドリの設備投資が高水準で継続し、半導体製造装置向けの出荷が堅調で前期比増収となりました。金属は、中国市場の産業機器向けを中心にベリリウム銅製品の出荷が増加したものの、為替円高の影響により売上高は微増にとどまりました。電子部品は、主に中国市場でセラミックパッケージの需要が減少し、減収となりました。また、連結子会社の双信電機株式会社におきましては、産業機器分野の製品需要が低調で減収となりました。
営業利益は、円高の影響に加えて電子部品や双信電機の減収が影響し、前期比31.6%減の52億50百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、営業活動による801億72百万円の収入、投資活動による564億52百万円の支出、及び財務活動による130億13百万円の支出などにより前期末に比し86億27百万円増加し、当期末残高は1,446億92百万円となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払いやたな卸資産の増加による支出の一方、税金等調整前当期純利益575億21百万円に減価償却費を加え、合計では801億72百万円の収入となりました。前期との比較では、207億26百万円の収入増となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却及び償還による収入の一方、有形固定資産や有価証券の取得などから合計で564億52百万円の支出となりました。前期との比較では、86億79百万円の支出増となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入の一方、長期借入金の返済や自己株式の取得、配当金の支払いなどにより合計で130億13百万円の支出となりました。前期との比較では、126億39百万円の支出増となりました。