有価証券報告書-第148期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/30 9:22
【資料】
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【項目】
126項目

研究開発活動

「TOTO Vプラン2017」で目標に掲げた「真のグローバル企業」の実現のため、グローバル5極体制のもと、日本で開発したオンリーワン技術をベースに、地域特性に応じた商品の研究開発を進めています。
また、多様なニーズに対応して、多品種を効率的に生産していくための研究開発を行っています。併せて、組み立てやすい部品の設計やコスト削減、生産リードタイムの短縮を図るために部材のプラットフォーム化を推進しています。
高齢化した社会では、より使いやすく快適で安全な商品や空間が求められており、当社グループでは、年齢や性別、身体的状況、国籍、言語、知識、経験などの違いに関係なくすべての人が快適、安全に使える商品のデザインを行う「ユニバーサルデザイン(UD)」を推進しています。現在では、UD研究所にて、商品開発者がモニターの方々との対話や観察・検証を繰り返し、より使いやすく快適で安全な商品開発を行っています。
燃料電池の発電モジュールとして開発しているセラミック製発電セル(SОFC)は、エネルギー消費量を抑制してCO2の削減に大きく貢献する次世代のエネルギーとして注目されている技術です。これまで当社が培ってきたセラミック技術を応用した研究開発を行っており、高い発電性能と耐久性をもつ発電モジュールの開発に特化し、早期の事業化を目指しています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は174億2千8百万円です。
当連結会計年度におけるセグメント別の活動内容、及び研究開発費は次の通りです。
なお、各セグメントに配賦できない研究開発費が18億1千4百万円あります。
a.国内住設事業
日本市場においては、毎日の暮らしの中でお客様が快適に過ごしながらも、知らず知らずのうちに地球環境を守ることのできる商品の研究開発を進めています。レストルーム商品では、便器のきれいが長持ちする「きれい除菌水(次亜塩素酸水)」、浴室・キッチン・洗面商品では、快適な浴び心地と節水を両立させた「エアインシャワー」のバリエーションを追加・販売し、使いやすさや快適さの向上と共に、環境負荷の低減を実現しています。
また、高齢化した社会に対応した商品として、10年以上にわたり介護の現場の声を反映しながら改善・改良を重ねた「ベッドサイド水洗トイレ」を平成25年9月に発売開始しました。これは、今まで設置が困難であった戸建住宅や高齢者施設の居室内のベッドサイドに後付けで設置でき、要介護者の排泄における自立促進や、介助者の負荷軽減が期待できる商品です。
当セグメントに係る研究開発費は130億1千6百万円です。
b.海外住設事業
海外市場においては、世界的な課題である節水やCO2の削減、大気浄化などの環境配慮を軸に、日本で開発したコアテクノロジーをもとに、高機能・高品質を維持しながら、各国の規制や基準を満たした商品開発を行い、それぞれの地域に合ったデザイン設計を進めています。平成25年度には、建材で培った光触媒技術を衛生陶器用に特化・発展させた「Actilight(アクティライト)」を搭載した「NEOREST AC」を欧州で先行発売すべく研究開発に取り組みました。なお、各生産拠点では、最新技術を導入すると共に、日本で培った技術を伝承し、技術者の育成も進めています。
海外住設事業に係る研究開発費は、合計で9億5千1百万円であり、各セグメントに係る研究開発費は、それぞれ米州が5億9百万円、中国が3億2千万円、アジア・オセアニアが7千4百万円、及び欧州が4千7百万円です。
c.新領域事業
オンリーワン技術を活かした新領域事業の創出に向けて、さまざまな研究開発を行っています。
環境浄化技術「ハイドロテクト」は、当社グループによって、世界で初めて実用化に成功した技術で、内外装タイル建材・塗料・コーティング材等の光触媒層に光が当たると「分解力」と「親水性」が発生し、大気汚染物質(NOx)を除去する空気浄化効果や建物の外観をきれいに保つセルフクリーニング効果、抗ウィルス性・抗菌性等を有しています。また、「ハイドロテクト」を大型セラミックス陶板に施した「ハイドロセラ」シリーズは、高い耐久性によって、各種ビルなどのパブリック物件において信頼を獲得しています。「ハイドロテクト」は、自社製品への応用にとどまらず、パートナー企業と共に多様な建材を通じてさらなる普及を目指しており、国内外で広く環境保全に貢献しています。
セラミック事業においては、半導体の製造装置の分野で、エアスライド、静電チャック、ボンディングキャピラリーなどといった高品質・高精度セラミック製品の研究開発を進めています。また、エアロゾルディポジション(AD)法を用いた緻密で密着力の高い「AD膜」の商材を増やし、幅広く採用いただいています。
新領域事業に係る研究開発費は、合計で16億4千6百万円であり、各セグメントに係る研究開発費は、それぞれセラミック事業が12億9百万円、環境建材事業が4億3千7百万円です。