有価証券報告書-第153期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/25 15:11
【資料】
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【項目】
163項目

研究開発活動

研究開発部門では、デザインと機能を融合させ、きれいで快適な空間を実現するために、当社にしかできない「オンリーワン技術」を進化させ、TOTOならではの価値をお客様に提供しています。
創立以来TOTOでは、さまざまな商品やサービスの研究開発を通じて、たくさんのものづくりの技術を培ってきました。人間工学、感性工学といった、人の動きや感覚を数値化し、論理的に使いやすさや快適性を実現する「人を見る」技術。流体制御、電子制御、水の改質といった、水の流れ方、性質を変えることで、より快適で清潔な機能を実現する「水の力を最大に活かす」技術。表面制御、素材・プロセス、分析といった、素材そのものの性質や素材表面の特性を変えることで意匠性、防汚性、耐久性などを向上させる「素材を究める」技術。これらを有機的に結合させたうえで、「環境配慮」「ユニバーサルデザイン」「デザイン」といったお客様価値を創出し、魅力ある商品・技術を生み出しています。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は21,158百万円です。
当連結会計年度におけるセグメント別の活動内容、及び研究開発費は次のとおりです。
なお、各セグメントに配賦できない研究開発費が2,294百万円あります。
①グローバル住設事業
a.日本住設事業
日本市場においては、毎日の暮らしの中でお客様が快適に過ごしながらも、知らず知らずのうちに地球環境を守ることのできる商品の研究開発を進めています。
当連結会計年度において、浴室商品では、究極の「リラックス・リフレッシュ」を追求したシステムバスルーム新「SYNLA(シンラ)」を発売しました。人間工学の研究を重ねて生まれた、人を包み込み支える新しい浴槽形状「ファーストクラス浴槽」を搭載。身体への負担が少なくリラックスした入浴を実現しました。また、大流量の幅広吐水で肩から温める「肩楽湯」とランダムな曲線で円を描くように噴出する水流で変化のある刺激が楽しめる「腰楽湯」を同時に使用できる「楽湯」や、気分に合わせて明るさと色を変えることが出来る「調光調色システム」も新たに搭載。一日の光の移ろいを参考にした心地よいあかりの変化を楽しめます。そして、浴室で初めてTOTOのクリーン技術「きれい除菌水」を散布する「床ワイパー洗浄」を搭載し、床まわりのきれいが長持ちします。
当セグメントに係る研究開発費は14,627百万円です。
b.中国・アジア住設事業、米州・欧州住設事業
中国・アジア住設事業、米州・欧州住設事業においては、日本で開発したコアテクノロジーをもとに、高機能・高品質を維持しながら、各国の規制や基準を満たした環境配慮商品の開発を行い、それぞれの地域に合ったデザイン設計を進めています。
「きれい除菌水」搭載ウォシュレットは、環境配慮に優れたデザインと先進的な技術を有する製品に与えられる世界的な賞「GREEN GOOD DESIGN AWARDS 2018」のGreen Product/Graphic Design部門を受賞しました。持続可能な社会の実現のため、環境にやさしいものづくりに取り組むTOTOの姿勢が評価されています。
中国・アジア住設事業、米州・欧州住設事業に係る研究開発費は、合計で1,379百万円であり、各セグメントに係る研究開発費は、それぞれ中国が263百万円、アジア・オセアニアが101百万円、米州が778百万円、欧州が236百万円です。
②新領域事業
セラミック事業においては、半導体の製造装置の分野で、エアスライド、静電チャック、ボンディングキャピラリーなどといった高品質・高精度セラミック製品の研究開発を進めています。また、エアロゾルディポジション(AD)法を用いた緻密で密着力の高い「AD膜」の商材を増やし、幅広く採用いただいています。オンリーワン技術を活かした新領域事業の創出に向けて、さまざまな研究開発を行っています。
環境建材事業における環境浄化技術「ハイドロテクト」は、当社グループによって、世界で初めて実用化に成功した技術で、内外装タイル建材・塗料・コーティング材等の光触媒層に光が当たると「分解力」と「親水性」が発生し、大気汚染物質(NOx)を除去する空気浄化効果や建物の外観をきれいに保つセルフクリーニング効果、抗ウィルス性・抗菌性等を有しています。また、「ハイドロテクト」を大型セラミックス陶板に施した「ハイドロセラ」シリーズは、高い耐久性によって、各種ビルなどのパブリック物件において信頼を獲得しています。「ハイドロテクト」は、自社製品への応用にとどまらず、パートナー企業と共に多様な建材を通じて更なる普及を目指しており、国内外で広く環境保全に貢献しています。
新領域事業に係る研究開発費は、合計で2,856百万円であり、各セグメントに係る研究開発費は、それぞれセラミック事業が2,271百万円、環境建材事業が585百万円です。