有価証券報告書-第101期(2025/04/01-2026/03/31)
(経営方針)
日本製鉄グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献することを企業理念に掲げて事業を行っています。
<日本製鉄グループ企業理念>基本理念
日本製鉄グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献します。
経営理念
1.信用・信頼を大切にするグループであり続けます。
2.社会に役立つ製品・サービスを提供し、お客様とともに発展します。
3.常に世界最高の技術とものづくりの力を追求します。
4.変化を先取りし、自らの変革に努め、さらなる進歩を目指して挑戦します。
5.人を育て活かし、活力溢れるグループを築きます。
(経営環境)
中長期的な環境変化については、次のとおり想定しています。
世界経済は、今後とも新興国の経済成長やAI・エネルギー関連投資の拡大による成長が期待されます。一方、保護主義への転換、相互関税の発動等、政治と経済の相互作用が強まることで不確実性が増しています。こうした環境下での成長停滞リスク等を念頭に置く必要があります。
鉄鋼の需要見通しについては、インドをはじめとする新興国での経済成長に伴う需要増加、米国での製造業国産化による高級鋼需要の増加が期待されます。一方、日本国内では人口減少や製造業の海外移転等を背景に、需要の減少傾向が続く見通しです。供給面では、中国経済のピークアウトや内需の減少にも関わらず、中国国内での高水準の生産と積極的な輸出姿勢が続いており、通商摩擦の拡大も懸念されます。世界的な鉄鋼供給過剰構造の解消にはなお時間を要し、今後とも厳しい経営環境が続くと想定しています。
2026年度については、上記に加え、中東情勢が経済活動に与える影響が見込まれるものの、過去のオイルショック時に見られたエネルギー供給面での影響にとどまらず、グローバル分業型のサプライチェーンを構築している現在の経済構造のもと世界全体に波及するものとなっています。加えて、中東地域の経済規模が格段に拡大したことにより中東地域は日本を含むアジア諸国にとって重要な輸出マーケットとなっており、同地域の情勢は幅広い産業の需要に極めて大きな影響を及ぼします。特に鉄鋼業は多くの産業を下支えする基幹産業であるなか、当社は、他社と比較して品種メニューが豊富で対応する産業分野も極めて広く事業展開もよりグローバルに進めていることから、中東情勢が当社業績に与える影響について、現時点で網羅的かつ合理的に把握することはできません。
(経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
2025年12月、当社は、お客様価値の創造を通じて持続可能で豊かな社会の実現に貢献する、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指し、成長を続けるため、「2030中長期経営計画」を策定しました。2026年度からの2030中長期経営計画では、一段と厳しい経営環境を想定し、国内事業のさらなる収益基盤強化と海外事業でのグローバル成長戦略の実行により、世界No.1の鉄鋼メーカーへの復権を果たします。
連結実力利益1兆円以上の実現を目指すとともに、将来のグローバル粗鋼1億トン以上の実現に向け、国内は、さらなる収益基盤強化による収益力向上、海外は、グローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大を推進する各種施策を実行していきます。
これらの戦略を支える経営基盤をさらに強化するために、研究リソースを継続的に投入し世界最先端技術の開発を推進するとともに、業務刷新・効率化を推進し、人材の競争力強化等にも取り組んでいきます。
2030中長期経営計画の概要と具体的施策は次のとおりです。
<2030中長期経営計画(2025年12月公表)の概要と具体的施策>当社は、お客様価値の創造を通じて持続可能で豊かな社会の実現に貢献する、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指し、成長を続けるため、「2030中長期経営計画」を策定し、諸施策に取り組んでいます。
Ⅰ.計画の概要
日本製鉄は、連結実力利益1兆円以上を確実に実現するとともに、将来のグローバル粗鋼1億トン以上の実現に向け、以下の戦略に基づき各種施策を実行していきます。
1.国内:さらなる収益基盤強化による収益力向上
国内事業では、コスト競争力の徹底追求に加え、総合的ソリューションの展開、グループ総合力の最大化を通じて、各需要分野・品種毎のニーズに応じた競争力を強化し、収益力の向上を図ります。自動車、インフラ(建築・土木)、さらにはエネルギー・造船等の分野毎に、お客様価値を創造し、国内需要を捕捉していきます。
2.海外: グローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大
海外事業では、米国・欧州、インド、タイを重点地域とし、設備投資の実行に加え、日本製鉄の技術・ノウハウを最大限移転し、鉄源一貫体制を強化します。これにより、高級鋼から汎用鋼まで様々な需要を捕捉し、飛躍的に利益の拡大を図ります。
これらの戦略を支える経営基盤をさらに強化するために、研究リソースを継続的に投入し世界最先端技術の開発を推進するとともに、業務刷新・効率化を推進し、人材の競争力強化等にも取り組んでいきます。
Ⅱ.具体的施策
1. 国内:さらなる収益基盤強化による収益力向上
[需要分野・品種に応じた競争力強化]
(1) コスト競争力の徹底追求
製鉄事業の主要な事業である薄板事業において、新鋭設備投資の立上げと効果のフル発揮を推進します。各製鉄所・製造拠点の主たる役割を明確化し、集中的に生産することで効率化を図るとともに、グループ会社も含めた最適生産・物流体制を築きます。こうした最適生産体制追求の一環で、東日本製鉄所鹿島地区の連続焼鈍1基を2027年度末目途に休止します。
また、生産性向上に向けた日本製鉄と協力会社横断での改善取組みや、業務刷新・効率化にも徹底的に取り組むことで、国際競争を勝ち抜くコスト競争力を確保します。
(2) 総合的ソリューションの展開
自動車分野におけるNSafe®-AutoConceptやインフラ(建築・土木)分野でのProStruct®、エネルギー・造船分野向けの高機能商品・ソリューション提案を通じ、お客様価値の創造を図ります。また、名古屋製鉄所次世代熱延の活用や九州製鉄所八幡地区・瀬戸内製鉄所広畑地区・阪神地区(堺)における電磁鋼板の能力増強、㈱中山製鋼所との業務提携等を通じて、お客様の様々なニーズへの対応力を強化し、国内各分野での需要を捕捉します。
(3) グループ総合力の最大化
インフラ(建築・土木)分野において、地域軸で営業部や支社・支店、グループ会社が一体となった営業活動を一層強力に進めるとともに、日本製鉄グループ一貫での生産・流通体制を追求し、内需の捕捉力を強化します。また、これまでも進めてきたグループ会社再編によるさらなる収益力向上にも引き続き取り組んでいきます。
2. 海外:グローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大
重点地域である米国・欧州、インド、タイにおいて積極的な設備投資を行っていくにあたり、今まで国内で培ってきた設備エンジニアリング技術を最大限活かすとともに、操業・商品等の技術力や品質管理・工程管理等のノウハウを移転し、海外事業の利益拡大を追求します。また、技術やノウハウ移転の効果発揮を確実なものとするために、人材についても集中的に投入し、グローバル成長戦略を確実に実行します。
(1) 米国
日本製鉄はUnited States Steel Corporation(以下「USスチール」)の買収を通じて、世界最大の高級鋼市場である米国において鉄源一貫製造体制を構築しています。 USスチールは、2028年末までに110億ドルの設備投資を実行し、日本製鉄は、最先端の操業技術・設備技術・商品技術を移転していくことにより、設備投資効果・シナジーを最大限発揮します。USスチールの競争力を抜本的に強化し、今後も成長が見込まれる米国の高級鋼ニーズに応えていきます。
(2) インド
人口増を背景とした経済成長により、鋼材需要の拡大が見込まれるインドでは、ArcelorMittal Nippon Steel India Limitedにおいて高級鋼製造対策とさらなる生産規模拡大を推進していきます。具体的には、インド西海岸ハジラ製鉄所において、既に着手している最新鋭の薄板製造設備も含めた能力拡張を確実に進めるとともに、南部(アンドラプラデシュ州ラジャヤペタ)における一貫製鉄所建設に着手し、インド国内でのシェアの拡大を図ります。
(3) タイ
タイの薄板市場は高級鋼・汎用鋼ともに今後も堅調な成長が期待されます。日本製鉄はタイにおいて、G Steel Public Company Limited及びG J Steel Public Company Limited並びにNS-Siam United Steel Co., Ltd.を中心に現在、約30%の市場シェアを確保していますが、鉄源からサプライチェーン一貫での強化を図り、インサイダーとしての強みを最大限発揮することで、ASEANの最重点マーケットであるタイの薄板市場におけるさらなるポジション拡大を図ります。
3. GXの推進
カーボンニュートラルへの取組みについては、国内で2030年までに大型電炉の実装を図るとともに、並行してGXスチール市場の形成に向けた制度化・国際標準化を推進していきます。また、政府支援や産官学連携強化を通じて革新技術の開発を加速し、2050 年でのカーボンニュートラルの実現を目指します。
4. 経営基盤の強化
国内・海外における主要施策を着実に実行する基盤として、最先端技術の開発推進、業務刷新・効率化の推進及び人材競争力の強化に取り組みます。
(1) 最先端技術の開発推進
研究リソースを継続的に投入し、安定生産とコスト競争力を実現するプロセス開発や品種高度化に貢献する商品開発を推進します。また、カーボンニュートラルに向けた革新技術の開発にも継続的に取り組みます。さらに、USスチールとの連携等グローバル研究開発体制の強化も図り、世界最先端技術の開発をより一層加速します。
(2) 業務刷新・効率化の推進
DXも含めた業務刷新・効率化を通じて、事業成長や付加価値の創造に直接的につながる仕事に集中し、生産性向上や技術力・営業力強化を通じて圧倒的競争力を確保します。そして、海外も含めた人材投入等全社最適の観点から課題に迅速・的確かつ機動的に対応し、持続的成長を実現する企業風土の確立に取り組んでいきます。
(3) 人材競争力の強化
人材の育成と活躍を推進すべく、人材の多様化を引き続き推進するとともに、海外派遣を含むグローバル人材育成施策のさらなる充実に取り組みます。また、育児等のライフイベントとの両立を支援する各種制度はすでに充実していますが、その実効性を最大化する取組みを加速化します。あわせて、業務刷新・効率化を含む生産性向上施策も実行し、社員一人ひとりの個の力を強化し、組織パフォーマンスを最大化します。
Ⅲ. 財務目標・株主還元
1.経営資源投入方針と投資計画
企業価値の持続的な向上を目指して、成長投資・株主還元・財務体質の健全性において、適切なバランスを追求しながら、経営資源を戦略的に投入します。
国内におけるさらなる収益基盤の強化による収益力向上、海外におけるグローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大のために、今後5年間で、総額6兆円規模*1の設備投資・事業投資を実施します。
*1 USスチール(米国)への約110億ドルの投資(~2028年末)を含む。
2.収益・財務目標、株主還元方針
(1) 収益・財務目標
経営計画の諸施策の実行により、中長期的な収益力及び資本効率の向上、並びに財務基盤の強化に取り組んでいきます。こうした取組みの成果として、2030年度を一つのマイルストーンとし、下記の財務指標の達成を目指します。
主要財務指標(2030年度目標)
*2 劣後債等の資本性等調整後
(2) 株主還元方針(下限配当の新設)
中長期的成長に向けた投資、株主還元、財務体質の健全性を適切なバランスで実現する観点から、現行の「連結配当性向年間30%程度を目安」とする配当方針を継続します。
加えて、安定した収益基盤を築いてきたことも踏まえ、株主・投資家の皆様の配当の予見性を高め、日本製鉄の株式の魅力を高める観点から、2030中長期経営計画の5年間(2027年3月期~2031年3月期)においては、1株当たりの年間配当額の下限を24円とする方針とします。
日本製鉄は、今般策定した2030中長期経営計画の達成を通じて、世界No.1の鉄鋼メーカーへの復権を果たし、日本経済の復活に貢献します。
(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しています。
(注) 上記(経営環境)と(経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)の記載には、本有価証券報告書提出日時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が含まれている。これらはその発表又は公表の時点において当社が適切と考える情報や分析、一定の前提等に基づき策定したものであり、かかる見積りに固有の限界があることに加え、実際の業績は、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性がある。かかる要因については、後記「3 事業等のリスク」を参照されたい。
日本製鉄グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献することを企業理念に掲げて事業を行っています。
<日本製鉄グループ企業理念>基本理念
日本製鉄グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献します。
経営理念
1.信用・信頼を大切にするグループであり続けます。
2.社会に役立つ製品・サービスを提供し、お客様とともに発展します。
3.常に世界最高の技術とものづくりの力を追求します。
4.変化を先取りし、自らの変革に努め、さらなる進歩を目指して挑戦します。
5.人を育て活かし、活力溢れるグループを築きます。
(経営環境)
中長期的な環境変化については、次のとおり想定しています。
世界経済は、今後とも新興国の経済成長やAI・エネルギー関連投資の拡大による成長が期待されます。一方、保護主義への転換、相互関税の発動等、政治と経済の相互作用が強まることで不確実性が増しています。こうした環境下での成長停滞リスク等を念頭に置く必要があります。
鉄鋼の需要見通しについては、インドをはじめとする新興国での経済成長に伴う需要増加、米国での製造業国産化による高級鋼需要の増加が期待されます。一方、日本国内では人口減少や製造業の海外移転等を背景に、需要の減少傾向が続く見通しです。供給面では、中国経済のピークアウトや内需の減少にも関わらず、中国国内での高水準の生産と積極的な輸出姿勢が続いており、通商摩擦の拡大も懸念されます。世界的な鉄鋼供給過剰構造の解消にはなお時間を要し、今後とも厳しい経営環境が続くと想定しています。
2026年度については、上記に加え、中東情勢が経済活動に与える影響が見込まれるものの、過去のオイルショック時に見られたエネルギー供給面での影響にとどまらず、グローバル分業型のサプライチェーンを構築している現在の経済構造のもと世界全体に波及するものとなっています。加えて、中東地域の経済規模が格段に拡大したことにより中東地域は日本を含むアジア諸国にとって重要な輸出マーケットとなっており、同地域の情勢は幅広い産業の需要に極めて大きな影響を及ぼします。特に鉄鋼業は多くの産業を下支えする基幹産業であるなか、当社は、他社と比較して品種メニューが豊富で対応する産業分野も極めて広く事業展開もよりグローバルに進めていることから、中東情勢が当社業績に与える影響について、現時点で網羅的かつ合理的に把握することはできません。
(経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
2025年12月、当社は、お客様価値の創造を通じて持続可能で豊かな社会の実現に貢献する、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指し、成長を続けるため、「2030中長期経営計画」を策定しました。2026年度からの2030中長期経営計画では、一段と厳しい経営環境を想定し、国内事業のさらなる収益基盤強化と海外事業でのグローバル成長戦略の実行により、世界No.1の鉄鋼メーカーへの復権を果たします。
連結実力利益1兆円以上の実現を目指すとともに、将来のグローバル粗鋼1億トン以上の実現に向け、国内は、さらなる収益基盤強化による収益力向上、海外は、グローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大を推進する各種施策を実行していきます。
これらの戦略を支える経営基盤をさらに強化するために、研究リソースを継続的に投入し世界最先端技術の開発を推進するとともに、業務刷新・効率化を推進し、人材の競争力強化等にも取り組んでいきます。
2030中長期経営計画の概要と具体的施策は次のとおりです。
<2030中長期経営計画(2025年12月公表)の概要と具体的施策>当社は、お客様価値の創造を通じて持続可能で豊かな社会の実現に貢献する、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指し、成長を続けるため、「2030中長期経営計画」を策定し、諸施策に取り組んでいます。
Ⅰ.計画の概要
日本製鉄は、連結実力利益1兆円以上を確実に実現するとともに、将来のグローバル粗鋼1億トン以上の実現に向け、以下の戦略に基づき各種施策を実行していきます。
1.国内:さらなる収益基盤強化による収益力向上
国内事業では、コスト競争力の徹底追求に加え、総合的ソリューションの展開、グループ総合力の最大化を通じて、各需要分野・品種毎のニーズに応じた競争力を強化し、収益力の向上を図ります。自動車、インフラ(建築・土木)、さらにはエネルギー・造船等の分野毎に、お客様価値を創造し、国内需要を捕捉していきます。
2.海外: グローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大
海外事業では、米国・欧州、インド、タイを重点地域とし、設備投資の実行に加え、日本製鉄の技術・ノウハウを最大限移転し、鉄源一貫体制を強化します。これにより、高級鋼から汎用鋼まで様々な需要を捕捉し、飛躍的に利益の拡大を図ります。
これらの戦略を支える経営基盤をさらに強化するために、研究リソースを継続的に投入し世界最先端技術の開発を推進するとともに、業務刷新・効率化を推進し、人材の競争力強化等にも取り組んでいきます。
Ⅱ.具体的施策
1. 国内:さらなる収益基盤強化による収益力向上
[需要分野・品種に応じた競争力強化]
(1) コスト競争力の徹底追求
製鉄事業の主要な事業である薄板事業において、新鋭設備投資の立上げと効果のフル発揮を推進します。各製鉄所・製造拠点の主たる役割を明確化し、集中的に生産することで効率化を図るとともに、グループ会社も含めた最適生産・物流体制を築きます。こうした最適生産体制追求の一環で、東日本製鉄所鹿島地区の連続焼鈍1基を2027年度末目途に休止します。
また、生産性向上に向けた日本製鉄と協力会社横断での改善取組みや、業務刷新・効率化にも徹底的に取り組むことで、国際競争を勝ち抜くコスト競争力を確保します。
(2) 総合的ソリューションの展開
自動車分野におけるNSafe®-AutoConceptやインフラ(建築・土木)分野でのProStruct®、エネルギー・造船分野向けの高機能商品・ソリューション提案を通じ、お客様価値の創造を図ります。また、名古屋製鉄所次世代熱延の活用や九州製鉄所八幡地区・瀬戸内製鉄所広畑地区・阪神地区(堺)における電磁鋼板の能力増強、㈱中山製鋼所との業務提携等を通じて、お客様の様々なニーズへの対応力を強化し、国内各分野での需要を捕捉します。
(3) グループ総合力の最大化
インフラ(建築・土木)分野において、地域軸で営業部や支社・支店、グループ会社が一体となった営業活動を一層強力に進めるとともに、日本製鉄グループ一貫での生産・流通体制を追求し、内需の捕捉力を強化します。また、これまでも進めてきたグループ会社再編によるさらなる収益力向上にも引き続き取り組んでいきます。
2. 海外:グローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大
重点地域である米国・欧州、インド、タイにおいて積極的な設備投資を行っていくにあたり、今まで国内で培ってきた設備エンジニアリング技術を最大限活かすとともに、操業・商品等の技術力や品質管理・工程管理等のノウハウを移転し、海外事業の利益拡大を追求します。また、技術やノウハウ移転の効果発揮を確実なものとするために、人材についても集中的に投入し、グローバル成長戦略を確実に実行します。
(1) 米国
日本製鉄はUnited States Steel Corporation(以下「USスチール」)の買収を通じて、世界最大の高級鋼市場である米国において鉄源一貫製造体制を構築しています。 USスチールは、2028年末までに110億ドルの設備投資を実行し、日本製鉄は、最先端の操業技術・設備技術・商品技術を移転していくことにより、設備投資効果・シナジーを最大限発揮します。USスチールの競争力を抜本的に強化し、今後も成長が見込まれる米国の高級鋼ニーズに応えていきます。
(2) インド
人口増を背景とした経済成長により、鋼材需要の拡大が見込まれるインドでは、ArcelorMittal Nippon Steel India Limitedにおいて高級鋼製造対策とさらなる生産規模拡大を推進していきます。具体的には、インド西海岸ハジラ製鉄所において、既に着手している最新鋭の薄板製造設備も含めた能力拡張を確実に進めるとともに、南部(アンドラプラデシュ州ラジャヤペタ)における一貫製鉄所建設に着手し、インド国内でのシェアの拡大を図ります。
(3) タイ
タイの薄板市場は高級鋼・汎用鋼ともに今後も堅調な成長が期待されます。日本製鉄はタイにおいて、G Steel Public Company Limited及びG J Steel Public Company Limited並びにNS-Siam United Steel Co., Ltd.を中心に現在、約30%の市場シェアを確保していますが、鉄源からサプライチェーン一貫での強化を図り、インサイダーとしての強みを最大限発揮することで、ASEANの最重点マーケットであるタイの薄板市場におけるさらなるポジション拡大を図ります。
3. GXの推進
カーボンニュートラルへの取組みについては、国内で2030年までに大型電炉の実装を図るとともに、並行してGXスチール市場の形成に向けた制度化・国際標準化を推進していきます。また、政府支援や産官学連携強化を通じて革新技術の開発を加速し、2050 年でのカーボンニュートラルの実現を目指します。
4. 経営基盤の強化
国内・海外における主要施策を着実に実行する基盤として、最先端技術の開発推進、業務刷新・効率化の推進及び人材競争力の強化に取り組みます。
(1) 最先端技術の開発推進
研究リソースを継続的に投入し、安定生産とコスト競争力を実現するプロセス開発や品種高度化に貢献する商品開発を推進します。また、カーボンニュートラルに向けた革新技術の開発にも継続的に取り組みます。さらに、USスチールとの連携等グローバル研究開発体制の強化も図り、世界最先端技術の開発をより一層加速します。
(2) 業務刷新・効率化の推進
DXも含めた業務刷新・効率化を通じて、事業成長や付加価値の創造に直接的につながる仕事に集中し、生産性向上や技術力・営業力強化を通じて圧倒的競争力を確保します。そして、海外も含めた人材投入等全社最適の観点から課題に迅速・的確かつ機動的に対応し、持続的成長を実現する企業風土の確立に取り組んでいきます。
(3) 人材競争力の強化
人材の育成と活躍を推進すべく、人材の多様化を引き続き推進するとともに、海外派遣を含むグローバル人材育成施策のさらなる充実に取り組みます。また、育児等のライフイベントとの両立を支援する各種制度はすでに充実していますが、その実効性を最大化する取組みを加速化します。あわせて、業務刷新・効率化を含む生産性向上施策も実行し、社員一人ひとりの個の力を強化し、組織パフォーマンスを最大化します。
Ⅲ. 財務目標・株主還元
1.経営資源投入方針と投資計画
企業価値の持続的な向上を目指して、成長投資・株主還元・財務体質の健全性において、適切なバランスを追求しながら、経営資源を戦略的に投入します。
国内におけるさらなる収益基盤の強化による収益力向上、海外におけるグローバル成長戦略の実行による飛躍的利益拡大のために、今後5年間で、総額6兆円規模*1の設備投資・事業投資を実施します。
*1 USスチール(米国)への約110億ドルの投資(~2028年末)を含む。
2.収益・財務目標、株主還元方針
(1) 収益・財務目標
経営計画の諸施策の実行により、中長期的な収益力及び資本効率の向上、並びに財務基盤の強化に取り組んでいきます。こうした取組みの成果として、2030年度を一つのマイルストーンとし、下記の財務指標の達成を目指します。
主要財務指標(2030年度目標)
| 連結実力利益 | 1兆円/年以上 |
| ROE | 10%程度(2031年度以降 10%) |
| D/E | 0.7程度 |
| D/EBITDA *2 | 3.5以下 |
*2 劣後債等の資本性等調整後
(2) 株主還元方針(下限配当の新設)
中長期的成長に向けた投資、株主還元、財務体質の健全性を適切なバランスで実現する観点から、現行の「連結配当性向年間30%程度を目安」とする配当方針を継続します。
加えて、安定した収益基盤を築いてきたことも踏まえ、株主・投資家の皆様の配当の予見性を高め、日本製鉄の株式の魅力を高める観点から、2030中長期経営計画の5年間(2027年3月期~2031年3月期)においては、1株当たりの年間配当額の下限を24円とする方針とします。
日本製鉄は、今般策定した2030中長期経営計画の達成を通じて、世界No.1の鉄鋼メーカーへの復権を果たし、日本経済の復活に貢献します。
(経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、本報告書「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載しています。
(注) 上記(経営環境)と(経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)の記載には、本有価証券報告書提出日時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が含まれている。これらはその発表又は公表の時点において当社が適切と考える情報や分析、一定の前提等に基づき策定したものであり、かかる見積りに固有の限界があることに加え、実際の業績は、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性がある。かかる要因については、後記「3 事業等のリスク」を参照されたい。