有価証券報告書-第123期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 16:17
【資料】
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【項目】
121項目

対処すべき課題

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
「トピー工業グループの存続と発展を通じて、広く社会の公器としての責務を果たし、内外の信頼を得る」をグループ基本理念としております。
当社グループは、顧客の満足を得られる品質とコストを追求した商品を提供することで社会の発展に寄与し、また、適時・適切な情報開示、地域社会への貢献、地球環境問題への積極的な取り組み等を通じて、企業として社会的責任を果たしていくことにより、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を一層高めていくことを使命としております。
(2)経営環境及び対処すべき課題
今後のわが国経済は、雇用・所得環境の改善や政府の経済対策等により、緩やかに回復していくと期待されるものの、欧米を中心とした保護主義的動き、中国や新興国経済の先行き、中国の過剰生産能力等に不安材料があり、当社グループを取り巻く事業環境は予断を許さない状況が継続するものと思われます。
このような経営環境下、当社グループは、2016年度からの3年間を実行期間とする中期経営計画「Growth & Change 2018」において、成長ドライバーと位置付ける自動車・産業機械部品事業のグローバル展開の加速化、鉄鋼事業の独自技術を生かした製品群の拡充、クローラーロボットや合成マイカの新事業への挑戦等の諸施策を着実に推進し、事業の持続的な成長を目指します。加えて、将来を担う人材が最大限に能力を発揮できる働きがいのある会社への変革を図ってまいります。
中期経営計画「Growth & Change 2018」の概要は、以下のとおりです。
① 基本方針
当社グループを取り巻く事業環境は、世界的には新興国を中心に自動車需要や鉄鋼需要の拡大が期待される一方で、人口の減少や高齢化の進展等により国内需要の拡大は期待できないと見込まれます。また、回復が遅れている建設機械及び鉱山機械需要については、先行き不透明感があるものの世界の人口増加や都市化率の上昇を背景に長期的には伸長していくと予想されます。
中期経営計画「Growth & Change 2018」では、グローバルでの“成長”と高収益体質への“変革”を引き続き推進し、自動車・産業機械部品事業を成長ドライバーと位置付け、グローバルでの事業展開を加速することで、持続的な成長を目指します。また、独自技術の新たな活用方法を創造し、新事業へ挑戦します。
② 事業の持続的成長(セグメント別施策)
(鉄鋼事業)
新製鋼工場の効果を最大限に発揮するとともに、当社グループの強みである異形形鋼の製造技術と加工技術を生かした製品群で、新たな需要を開拓します。
(自動車・産業機械部品事業)
新興国を中心に世界の自動車需要が拡大するとともに、グローバル競争が熾烈化する中で、自動車メーカーは共通プラットホーム化によるコスト削減を進めています。これに対応して世界のどこへでも共通設計のホイールを供給できるグローバル供給体制を拡大・強化することにより、当社グループのプレゼンスを高めます。
建設機械用足回り部品については、海外の生産・物流拠点の拡充に加え、国内マザー工場機能の強化により、グローバル供給体制の再構築を図ることで、新たな顧客開拓を推進します。
また、工業用ファスナーは、グローバル生産拠点の相互補完等により、生産能力の増強を図ることで、拡大する需要を確実に捕捉します。
(発電事業)
周辺環境との調和を最大限配慮した発電設備による、安定した稼働体制の維持及び電気の安定供給に引き続き注力してまいります。
(その他)
長年培ってきた建設機械用足回り部品の製造技術を活用したクローラーロボットを、災害対応や海底調査等の用途に展開するとともに、自動・自律走行が可能な革新的な移動機構を実用化し、需要の拡大が期待されるサービス分野や農業分野への拡販を図ります。
また、電気炉の溶融技術を応用した合成マイカは、化粧品用途での更なる拡販を図るとともに、食品包装フィルム等の工業用途へ拡販を図ります。
③ 社会からの信頼と共感
(リスクマネジメントの推進)
コンプライアンスの徹底および安全・環境・防災等のリスクマネジメントの重要性が高まっており、当社グループ全体のリスクマネジメント体制の強化を図ります。
(コーポレートガバナンスの強化)
経営の健全性・透明性・効率性等の観点から、ガバナンス体制を点検・改善し、実効性の向上を図ります。また、株主の皆様との利益意識の共有と中長期での目標達成への動機づけを目的として、経営陣を対象とした業績連動型株式報酬を導入いたしました。
(株主還元の充実)
株主の皆様への配当につきましては、利益還元を更に充実させるために従前の「連結配当性向25%程度を目標」から「30~35%を目安」へ指標を引き上げました。また、投資と自己資本の充実とのバランスに配慮しつつ、自己株式取得についても検討してまいります。
④ 企業基盤の強化
基幹業務システムを刷新し業務基盤を強化します。また、「働きがい向上委員会」を創設し、将来を担う中堅・若手スタッフが最大限に能力を発揮できる働きがいのある会社づくりを着実に推進します。さらに、変化に柔軟に対応できる企業風土ならびに意識と行動の改革を図ります。
⑤ 数値目標及び計数計画
イ)数値目標2018年度ロ)計数計画2018年度
売上高営業利益率5.6%売上高2,500億円
自己資本利益率(ROE)7.7%(海外売上高比率31%)
総資産事業利益率(ROA)6.1%営業利益140億円
D/Eレシオ0.60親会社株主に帰属する当期純利益85億円

(3)会社の支配に関する基本方針について
① 基本方針の内容の概要
当社は上場会社であるため、当社の株式は、株主・投資家の皆様によって自由に取引ができるものです。したがいまして、当社は、当社の株式に対する大規模な買付行為につきましても、これを一概に否定するものではありません。大規模な買付行為の提案に応じるべきか否かの判断は、当社の経営を誰に委ねるべきかという問題に関連しますので、最終的には、個々の株主の皆様の自由な意思によってなされるべきであると考えます。
しかしながら、近年、わが国の資本市場においては、対象となる企業の経営陣との協議や合意のプロセスを経ることなく、いわば敵対的に、突如として一方的に大規模な株式の買付行為を強行するといった動きが顕在化しつつあります。このような一方的な大規模な買付行為の中には、株主の皆様に対して当該買付行為に関する十分な情報が提供されず株主の皆様に株式の売却を事実上強要するおそれがあるものや、株主の皆様が当該買付行為の条件・方法等について検討し、また、当社取締役会が代替案の提示等を行うために必要かつ十分な時間を確保することができないもの、その他真摯に合理的な経営を行う意思が認められないもの等当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なう買付行為もあり得るものです。
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業理念、当社の企業価値の様々な源泉及び当社を支える各利害関係者との信頼関係を十分に理解した上で、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を中長期的に確保し、または向上させることを真摯に目指す者でなければならないと考えております。したがいまして、上記のような当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なう大規模な買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
② 基本方針の実現に資する特別な取り組みの概要
当社は、多数の投資家の皆様に中長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を向上させるための取り組みとして、それぞれの事業部門が培ったノウハウを複数の事業部門が共有することによってつくり上げた独創性あふれる技術・技能と、それを用いた高付加価値製品を展開するとともに、経営の健全性・透明性・効率性等の観点から当社に相応しいガバナンス体制を整備しております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの概要
当社は、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保しまたは向上させることを目的として、いわゆる買収防衛策(以下「本対応方針」といいます。)を導入しております。
本対応方針の概要は、当社の株券等を20%以上取得しようとする大規模買付者に対して、大規模買付行為に関する必要な情報の事前の提供、取締役会によるその内容の評価・検討等に必要な時間の確保等、本対応方針に定める大規模買付ルールに従うことを求め、大規模買付者が大規模買付ルールに従わない場合や、大規模買付ルールに従っても当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なうものであると明白に認められる場合に対抗措置を発動できるとするものです。
上記②及び本③の内容の詳細につきましては、下記の当社ウェブサイトをご参照ください。
http://www.topy.co.jp/stock/policy/index.html
④ 上記②の取り組みについての取締役会の判断
当社は、多数の投資家の皆様に中長期的に継続して当社に投資していただくため、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を向上させるための取り組みとして、上記②の取り組みを実施しております。上記②の取り組みの実施を通じて、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を向上させ、それを当社の株式の価値に適正に反映させていくことにより、上記のような当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なう大規模な買付行為は困難になるものと考えられ、上記②の取り組みは、上記①の基本方針に資するものであると考えております。
したがいまして、上記②の取り組みは上記①の基本方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
⑤ 上記③の取り組みについての取締役会の判断
上記③の取り組みは、十分な情報の提供と十分な検討等の時間の確保の要請に応じない大規模買付者及び当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を著しく損なう大規模買付行為を行いまたは行おうとする大規模買付者に対して、対抗措置を発動できることとしています。
したがいまして、上記③の取り組みは、これらの大規模買付者による大規模買付行為を防止するものであり、上記①の基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みであります。また、上記③の取り組みは、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保しまたは向上させることを目的として、大規模買付者に対して、当該大規模買付者が実施しようとする大規模買付行為に関する必要な情報の事前の提供及びその内容の評価・検討等に必要な時間の確保を求めるために実施されるものです。さらに、上記③の取り組みにおいては、株主意思の重視(株主総会決議による導入、株主意思確認総会による発動及びサンセット条項(注))、合理的かつ客観的な対抗措置発動要件の設定、特別委員会の設置等の当社取締役会の恣意的な判断を排し、上記③の取り組みの合理性を確保するための様々な制度及び手続が確保されているものであります。
したがいまして、上記③の取り組みは上記①の基本方針に沿うものであり、株主の皆様の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。
(注)買収防衛策の導入後、定期的に株主総会の承認を確保する条項をいいます。