四半期報告書-第78期第1四半期(平成26年4月1日-平成26年6月30日)

【提出】
2014/08/11 13:42
【資料】
PDFをみる
【項目】
30項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第1四半期連結累計期間における世界経済は、一部に弱さが見られるものの、緩やかな回復傾向が続いており、底堅さが見られました。米国は、景気の緩やかな回復が続いており、アジア地域については、中国は景気拡大の速度は緩やかになっているものの拡大傾向は続いており、韓国、台湾においては景気の持ち直し傾向となりました。新興国においては持ち直しに至らず、横ばいの動きとなりました。一方、欧州は、各国の緊縮財政の影響等により弱い動きが続いておりましたが、全体として緩やかな持ち直し傾向となりました。
わが国経済は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動により、当第1四半期連結累計期間前半は個人消費が低調だったものの、海外需要の堅調な推移や国内生産の増加、これに伴う設備投資の増加等もあり、全体として堅調に推移しました。
当社グループの関連業界では、自動車は、国内は消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動があったものの、当第1四半期連結累計期間後半には生産持ち直しの動きが見られました。海外ではアジアの一部地域で消費冷え込みの影響があったものの、欧州は持ち直しの動きとなり、北米や中国も需要は堅調に推移しました。携帯電話は、スマートフォンの需要が海外を中心に好調に推移しました。家電やパソコンは、国内は個人消費の低迷による影響により総じて弱い動きとなりましたが、海外需要は堅調に推移しました。国内住宅建設の需要は減少しましたが、公共投資は堅調に推移しました。鉄鋼は、造船や産業機械向けは堅調に推移したものの、自動車販売や建設需要減少の影響もあり、生産は減少しました。
このような状況のもと、当第1四半期連結累計期間における当社グループの業績は、平成25年7月1日付で日立電線株式会社と合併したことによる影響もあり、合併前となる前年同期に比べて売上高は、65.2%増の223,750百万円、営業利益は、9,072百万円増の17,802百万円、経常利益は、8,722百万円増の17,710百万円となりました。四半期純利益は、売上、利益の増加に加え、特別利益として事業譲渡益3,937百万円、固定資産売却益125百万円を計上したことから、前年同期比14,754百万円増の18,444百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高または振替高を含んでおります。
①高級金属製品
当セグメントの売上高は、前年同期比8.3%増の62,727百万円となりました。また、営業利益は前年同期比1,698百万円増加し、8,158百万円となりました。
特殊鋼については、工具鋼は、ASEAN向けの需要に調整の動きがあったものの、国内向けは自動車生産の持ち直し等に伴い堅調に推移し、前年同期比で増加しました。電子材料は、中小型用ディスプレイ関連材料の需要が好調に推移するとともに、半導体等パッケージ材料もスマートフォンやタブレット端末を中心とした需要も堅調に推移し、前年同期比で増加しました。産業機器材料は、自動車関連材料については環境親和製品への需要が国内、海外ともに堅調に推移し、航空機関連材料も旺盛な需要となりました。エネルギー関連材料は昨年からの円安効果の落ち着きがあったものの、全体としては前年同期比で増加しました。
ロールにおいては、各種ロールについては、国内の需要は回復傾向となり、海外の需要も堅調に推移し増加しました。射出成形機用部品については、スマートフォンやタブレット端末を中心とした需要好調を背景に、国内向け、海外向けともに回復基調となりましたが、前年同期比では横ばいとなりました。
アモルファス金属材料においては、北米市場向けの需要が好調に推移したことに加え、主要市場である中国でも需要増加の期待を背景に顧客での在庫補充の動きが見られたことや、円安による影響もあり、前年同期比で増加しました。
切削工具については、産業機械等の国内需要が好調に推移し、海外向けも輸出改善を背景に堅調に推移し増加しました。
②磁性材料
当セグメントの売上高は、前年同期比6.7%増の34,372百万円となりました。また、営業利益は前年同期比3,382百万円増加し、4,142百万円となりました。
マグネットにおいては、希土類磁石は、ハイブリッド車やパワーステアリングなどの自動車用電装部品の需要は好調に推移しました。また、家電関連およびFA関連の需要も好調に推移したことにより、前年同期比で増加しました。フェライト磁石は、国内、海外とも自動車用電装部品および家電用部品の需要が好調に推移し増加しました。
軟質磁性材料およびその応用品については、フェライト応用品は太陽光発電用部品向けの需要が好調に推移し、フェライトコアも自動車用電装部品およびスマートフォン向けを中心に需要が堅調に推移しました。ファインメットは、欧州向け太陽光発電用部品の需要が堅調に推移し、全体で増加しました。
③高級機能部品
当セグメントの売上高は、前年同期比2.4%増の47,016百万円となりました。また、営業利益は前年同期比231百万円減少し、3,012百万円となりました。
自動車用鋳物については、耐熱鋳造部品は、当第1四半期連結会計期間に入り主要市場である欧州において需要持ち直しの兆しが見え始めたことや、好調な米国市場の需要に支えられ、前年同期並みとなりました。高級ダクタイル鋳鉄製品は、米国をはじめとする、海外の自動車における旺盛な需要が続き、国内も消費税率引き上げに伴う需要反動減の影響も限定的となり、全体として好調に推移したことから増加しました。アルミホイールは、米国の需要が堅調に推移し、国内も当社製品の搭載車種の生産が増加した影響もあり、前年同期比で増加しました。
配管機器においては、各種管継手は、米国における需要は堅調に推移したものの、国内は消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動による住宅着工戸数への影響もあり、前年同期比で減少となりました。ステンレスおよびプラスチック配管機器については、ガス用製品に対する施工性・耐震性の高評価を受けたものの、住宅着工数減少の影響により、前年同期比では減少となりました。
建築部材については、国内における民間設備投資や公共投資等による需要は堅調なものの、鉄骨造建設需要が大幅に増加した前年同期と比較すると減少しました。
④電線材料
当セグメントの売上高は80,277百万円となりました。また、営業利益は4,494百万円となりました。
電線については、電力・産業システムおよび電子・通信材料は、国内建設投資関連に加え、工作機械向け等の需要が堅調に推移しました。また、海外鉄道案件および医療用プローブケーブルの受注も伸長しました。電機材料についても、巻線は自動車用など内需を中心に好調でした。
自動車部品においては、注力分野である電装部品を中心に旺盛な需要が持続しました。
情報デバイスについては、スマートフォンの普及による通信事業者の設備増強投資が続いていることから、ネットワーク機器の売上が堅調に推移しました。
⑤その他
当セグメントの売上高は、前年同期比55.3%増の1,329百万円となりました。また、営業利益は前年同期比42百万円減少し、104百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動および投資活動の結果得られた資金が財務活動で使用した資金を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べ14,620百万円増加し、110,163百万円となりました。
当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、18,179百万円となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益が21,691百万円、売上債権等の運転資金の減少による収入が4,874百万円、一方で法人税等の支払による支出が6,443百万円あったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は、161百万円となりました。これは主に事業譲渡による収入9,678百万円、一方で有形固定資産の取得による支出が7,650百万円、事業譲受による支出が1,900百万円あったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、3,479百万円となりました。これは主に配当金の支払が4,389百万円あったこと等によるものです。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更はありません。
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について、当社は、開発型企業として、継続的に基盤技術の高度化を図り、新技術に挑戦することによって新製品及び新事業を創出し、新たな価値を社会に提供し続けることを事業活動の基本としております。これを推進するため、株式会社日立製作所を親会社とする日立グループの一員として、同社との関係において事業運営及び取引では自律性を維持しつつ、研究開発協力等を通じて同グループ各社と緊密な協力関係を保ち、その経営資源を有効に活用することで、高品質の製品及びサービスの提供を図ることとしております。
また、当社は、上場会社として、常に株主、投資家及び株式市場からの期待及び評価を認識し、情報の適時かつ適切な開示に努めるとともに、持続的成長の実現に資する経営計画の策定、企業統治の強化等を通じて、合理的で緊張感のある経営を確保することが重要であると認識しております。これらにより、当社は、企業価値の向上及び親会社のみならず広く株主全般に提供される価値の最大化を図ってまいります。
(4)研究開発活動
当社の研究開発はマーケットイン志向のディビジョンラボ制を採っております。各カンパニーはそれぞれの事業戦略に沿って、各カンパニーの研究開発部門で開発を推進しております。さらに、次世代の主力となる新製品・新技術や基盤技術は、株式会社日立製作所の各研究所と強い連携体制を組んで開発を進めております。また、日立グループ関連事業部門と連携して新用途も開拓しております。一方、将来の新製品に繋がる新材料・新技術シーズの発掘には、海外を含めた大学等の社外機関との共同研究を積極的に活用しております。これらの中で、全社的に重要な新製品・技術については、経営トップも参画した制度で開発を進めております。
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は4,885百万円であります。
各事業分野別の研究主要課題は次のとおりであります。
①高級金属製品
金型・工具、産業機器・エネルギー等の分野に向けた高級特殊鋼、アモルファス金属材料・ナノ結晶軟磁性材料、各種圧延用ロール、構造用セラミックス部材、排ガス浄化用セラミックフィルタ(セラキャットフィルタ)、切削工具等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は1,414百万円であります。
②磁性材料
高性能磁石、情報端末用高周波部品部材、軟磁性材料の応用製品等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は786百万円であります。
③高級機能部品
自動車用高級鋳物製品とその製造技術・設計評価システム、管継手・バルブその他の配管用部材及び工法等周辺技術を含めた配管トータルシステム、建築部材等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は660百万円であります。
④電線材料
産業用・車輌用・通信用電線に関連する電線・接続技術、機器用電線、自動車用電線及び巻線に関連する電線・接続技術、自動車用電装部品・ホース、工業用ゴム、情報ネットワーク機器、携帯電話基地局用アンテナ、化合物半導体等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は2,025百万円であります。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループを取り巻く事業環境は、国内においては、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動により弱さが残るものの、各種経済対策の効果が期待され、緩やかな回復を続けていくとみられます。海外においては、景気の下振れも懸念され、わが国の景気を下押しするリスクがあります。
当社グループの関連業界においては、自動車は、国内販売は消費税率引き上げに伴う影響が予想されますが、米国や中国向け需要の拡大が見込まれます。携帯電話は、国内では減少傾向ですが、世界全体では、スマートフォンが市場をけん引し、好調に推移すると見込まれます。家電やパソコンは、安定的な成長が見込まれ、緩やかな成長を継続すると見込まれます。国内住宅建設は、当面、弱い状態が続く一方、公共事業や民間の設備投資は増加基調が続くと見込まれます。鉄鋼は、公共投資が高水準で推移し、自動車生産も回復に向かうことで、緩やかに回復すると見込まれます。
(6)資金の財源及び資金の流動性についての分析
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動および投資活動の結果得られた資金が財務活動で使用した資金を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べ14,620百万円増加し、110,163百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは18,179百万円の収入となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益が21,691百万円、売掛債権等の運転資金の減少による収入4,874百万円、一方で法人税等の支払による支出が6,443百万円あったこと等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは161百万円の収入となりました。これは主に事業譲渡による収入が9,678百万円、一方で有形固定資産の取得による支出が7,650百万円、事業譲受による支出が1,900百万円あったこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは3,479百万円の支出となりました。これは主に配当金の支払が4,389百万円あったこと等によるものです。
また、当第1四半期連結会計期間末の総資産は849,015百万円で、前連結会計年度末に比べ8,273百万円増加しました。流動資産は521,072百万円で、前連結会計年度末に比べ13,294百万円増加しました。これは主に関係会社預け金が12,255百万円増加したこと等によるものです。固定資産は327,943百万円で、前連結会計年度末に比べ5,021百万円減少しました。これは主に投資有価証券が3,487百万円減少したこと等によるものです。
負債合計は460,917百万円で、前連結会計年度末に比べ6,627百万円減少しました。これは主に未払法人税等が3,564百万円、退職給付に係る負債が2,574百万円減少したこと等によるものです。純資産合計は388,098百万円で、前連結会計年度末に比べ14,900百万円増加しました。これは主に利益剰余金が14,149百万円増加したこと等によるものです。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、株主・投資家、ビジネスパートナーなど当社グループをとりまくステークホルダーの皆様との信頼関係を築きながら、より良い社会の実現に貢献するために、社会的責任を自覚した企業活動を行うことを基本方針としております。そのために、基盤技術の高度化と新技術への挑戦によって新製品・新事業を創出し、新たな価値を社会に提供してまいります。製品の開発、製造に当たっては、次世代に引き継ぐ環境に配慮した企業活動を促進いたします。さらに、企業情報の適時かつ適切な開示、地域社会への貢献などを通じて社会とのコミュニケーションを推進して、より広範な社会の視点を経営に反映し、社会との信頼関係を築きます。当社グループは、これらの企業活動によって、「最良の会社」を具現して、企業価値の向上につなげてまいります。
当社グループを取り巻く事業環境は、短期的には上記(5)に記載のとおりですが、世界規模で経済構造が変化する中、市場のグローバル化が加速し、今後ますます競争が激しくなっていくことが予想されます。かかる状況下において、昨年7月1日に当社と日立電線株式会社は経営統合し、材料・製品開発力の強化、市場基盤・顧客基盤の強化・拡大およびグローバル生産・販売体制の整備等を実行することにより、持続的に発展することをめざしてまいります。
上記のとおり、当社を取り巻く事業環境は大きな転換点を迎えており、新たな発展の実現に向け、2013年度(平成26年3月期)を初年度とする3ヵ年の「2015年度中期経営計画」を策定いたしました。
本計画では、高機能材料メーカーとして持続的発展を実現していくために、グローバル成長戦略の強化・加速、新製品創出・新技術開発力の強化、国内事業の精選、固定費削減および統合新会社としてのシナジー実現等をめざしてまいります。