訂正有価証券報告書-第82期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2022/12/13 16:10
【資料】
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【項目】
135項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、株主・投資家の皆様、ビジネスパートナーの皆様等当社グループを取り巻くステークホルダーとの関係を築きながら、より良い社会の実現に貢献するために、社会的責任を自覚した企業活動を行うことを基本方針としております。そのために、基盤技術の高度化と新技術への挑戦によって新製品・新事業を創出し、新たな価値を社会に提供してまいります。製品の開発、製造に当たっては、次世代に引き継ぐ環境に配慮した企業活動を促進いたします。さらに、企業情報の適時かつ適切な開示、地域社会への貢献等を通じて社会とのコミュニケーションを推進して、より広範な社会の視点を経営に反映し、社会との信頼関係を築きます。当社グループは、これらの企業活動を通して企業価値の向上につなげてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、「2021年度中期経営計画」において、最終年度の目標とする経営指標を以下のとおりとしております。
2021年度目標
想定為替レート 1$=105円
(2019年4月25日公表)
売上収益960,000百万円
調整後営業利益80,000百万円
調整後営業利益率8.3%
ROIC(投下資本利益率)7.7%

(注)「調整後営業利益」は、事業再編等の影響を排除した経営の実態を表示するために、連結損益計算書に表示している営業利益からその他の収益、その他の費用を除いた指標です。
(3)対処すべき課題
当社グループは事業開始以来、自動車・産業インフラ・エレクトロニクス等、さまざまな産業において特色ある製品をお届けすることを通じ、社会に貢献してまいりました。
近年、世界規模で経済構造が激しく変化し、社会のニーズが多様化するなかで、次々に新しい技術・製品・サービスが生み出されています。さらに、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に代表されるように、企業に対して、社会を構成する一員として持続可能な社会の実現に向けて主体的に取り組み貢献することが、ますます強く要請されるようになっています。また、当社グループの事業領域である素材産業においては、社会の変化に伴いニーズが高度化・多様化するとともに、こうしたニーズに対応する新素材開発のスピードが年々加速しています。
このような状況において当社は、経営理念で掲げる「『最良の会社』の具現」が当社のミッション(使命、存在意義)であるとの認識のもと、その実現に向けてこのたび2021年度を最終年度とする「2021年度中期経営計画」を策定いたしました。
本中期経営計画においては、「ヒトをつくり、イノベーションをつくり、未来をつくる」をビジョンとして掲げ、経営戦略・施策の推進により「持続可能な社会を支える高機能材料会社」を実現します。そのために当社グループでは、企業の基盤となる人財に対して事業運営を通じた成長と豊かな社会生活の両立の機会を提供するとともに、顧客との協創により当社グループの強みをいかした「Only1、No.1」事業・製品を強化・拡充することで、素材のイノベーションを起こすことをめざします。こうしたイノベーションの成果の積み重ねにより、持続可能な社会の実現、社会全体の未来の創造に貢献してまいります。
本中期経営計画の具体的なアクションプランは、以下のとおりです。
①高成長・高収益分野へのリソース集中
自動車の電装化・電動化をはじめとする市場・技術のトレンドに対応した製品展開と事業拡大を図り、経営資源を高成長・高収益分野に集中するとともに、ポートフォリオの継続的刷新を推進します。
②組織改革によるシナジー最大化
4カンパニー制から2事業本部制への移行及びリソースの集中や迅速な意思決定により、将来にわたり注力する市場・ビジネスを主軸に据え、各事業間のシナジーの強化を図るとともに、コーポレート部門の充実や事業本部間の人財交流の活性化により横串機能を高め、戦略機能及びガバナンスの両面の強化を図ります。
③フロント強化、顧客との協創
フロント機能(営業部門、研究開発部門)を強化し、顧客との協創により当社グループの独創的な技術を組み合わせた「Only1、No.1」事業・製品を早期に市場投入することにより、市場環境・顧客ニーズの変化に対応し力強い成長を実現します。
④大型設備投資のフル戦力化
前中期経営計画において行った大型設備投資のフル戦力化、早期の効果刈り取りを行うとともに、新たな設備投資については、高成長・高収益分野に重点配分する精選投資を実行します。
⑤構造改革、経営基盤強化施策の断行
低収益で十分な改善の見込めない事業や製品は、実行責任部署により縮小・撤退等を推し進め、経営資源の集中や有効活用の徹底を図ります。また、新たな経営指標としてROIC(Return on Invested Capital:投下資本利益率)による管理を導入し、CCC(Cash Conversion Cycle:運転資金手持日数)の短縮など投下資本圧縮を推進し、キャッシュフローの改善と資産効率の向上を図ります。
さらに、グローバルにおける人財の採用・育成、女性の活躍促進等の施策により、ダイバーシティマネジメントや働き方改革の推進とその効果の最大化を図り、イノベーティブで挑戦意欲の高い企業文化を創造します。
(4)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、開発型企業として、継続的に基盤技術の高度化を図り、新技術に挑戦することによって新製品及び新事業を創出し、新たな価値を社会に提供し続けることを事業活動の基本としております。これを推進するため、株式会社日立製作所を親会社とする日立グループの一員として、同社との関係において事業運営及び取引では自律性を維持しつつ、研究開発協力等を通じて同グループ各社と緊密な協力関係を保ち、その経営資源を有効に活用することで、高品質の製品及びサービスの提供を図ることとしております。また、当社は、上場会社として、常に株主、投資家及び株式市場からの期待及び評価を認識し、情報の適時かつ適切な開示に努めるとともに、持続的成長の実現に資する経営計画の策定、企業統治の強化等を通じて、合理的で緊張感のある経営を確保することが重要であると認識しております。これらにより、当社は、企業価値の向上及び親会社のみならず広く株主全般に提供される価値の最大化を図ってまいります。