訂正有価証券報告書-第118期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2019/06/20 13:44
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業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における日本経済は、期間の前半は世界経済の不透明感の高まりなどから停滞感を伴う状況で推移しましたが、期間の後半は非住宅を中心とする建設投資や自動車を中心とする鉱工業生産の回復などの要因から緩やかに回復しました。
世界経済では、牽引役が期待される米国で失業率の大幅な改善と高い経済成長率が確認されたことから、2016年12月と2017年3月に政策金利の追加引き上げが行われ、中国経済も減税や公共投資などの政策効果から夏以降は内需が堅調な推移を見せました。一方で期間の最終盤には、米国新大統領の議会との対立から主要政策の実現性に懐疑的な見方が広がった事に加え、英国のEU離脱通知や北朝鮮問題などのリスク要因から世界的な株価の下落と円高の動きが現れました。
日本国内鉄鋼市場では、期間の前半は需要産業の生産が盛り上がりを欠き、鉄鋼原材料の価格上昇に呼応した製品価格是正の動きも勢いを欠いておりましたが、秋以降は鋼材受注の回復と歩調を合わせ在庫調整が順調に進んだことに加え、中国における政府主導の減産に起因した原料炭価格急騰などの要因から、期間の後半は値上げの機運が高まりました。
海外鉄鋼市場では、中国鉄鋼業の高水準な輸出を背景に、世界各地域でアンチダンピングやセーフガードなど保護主義的措置が頻発しておりますが、期間の後半は中国国内の鉄鋼需要の好転に加え、原料炭価格急騰の影響などから、アジアを中心に鉄鋼市況は堅調に推移しました。なお、期間の最終盤には鉄鋼原材料の価格下落や中国市況の軟化などの要因から海外市況は軟調に転じました。
このような環境のなか、当社グループの当連結会計年度の業績は、売上高154,221百万円(前年同期比4,992百万円減)、営業利益13,168百万円(同5,866百万円増)、経常利益13,763百万円(同5,319百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,734百万円(前期は2,771百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
採算重視の販売活動と価格是正に努めましたが、日本国内では鋼板商品および建材商品で期間の前半に市況軟化の影響を受けたこと、海外では台湾の子会社であるSYSCO社の米国向け販売量の減少に加え、為替の影響などもあり、減収となりました。損益面では、タイの子会社であるPPT社および中国の子会社であるYSS社の改善に加え、台湾SYSCO社の台湾国内での販売強化の効果、日本国内ではエネルギーコスト低減に加え鋼板商品の価格是正に努めたことなどから、2016年11月2日に開示しました予想を上回る実績となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 鋼板関連事業
売上高は142,811百万円(前年同期比4,946百万円減)、営業利益は12,969百万円(前年同期比5,787百万円増)であります。
<鋼板業務>日本国内のひも付き(特定需要家向け)では、顧客へのきめ細やかな対応に努め販売数量は前期比で回復しましたが、販売価格の是正に時間を要していることなどから減収となりました。店売り(一般流通向け)では、地域密着営業に努めたことなどから販売量が増加し、価格是正も一定の進捗があったことから増収となりました。
海外では、台湾のSYSCO社は、米国のアンチダンピングの影響などから輸出の販売量が減少し減収となりましたが、台湾国内で高いブランド力を活かした販売強化に努めた結果、利益は前期比で大きく増加しました。タイのPPT社は、品質面での更なるレベルアップに努めるとともにコストダウンにも取り組んだ結果、販売量が増加し通期で黒字となりました。中国のYSS社は、販売量および損益改善で一定の進捗がありますが、計画に対する遅れを鑑み「固定資産の減損に係る会計基準」に基づく減損測定を行った結果、2016年12月末にYSS社の保有する固定資産につき714百万円の減損処理を行いました。引き続き黒字化に向け取り組みを進めてまいります。
<建材業務>建材業務の建材商品では、顧客への提案営業に努めましたが、需要が弱含む中、主に期間の前半でルーフの販売量が減少したことなどから減収となりました。エクステリア商品では、前期に好調だった大型倉庫、自転車置場の販売数量は減少しましたが、ダストピットの販売が好調であったことに加え、中・大型物置の「エルモ」も好調を維持していることなどから概ね前期並みの売上となりました。なお、工事については物件の大型化による工期の長期化などの要因から、減収となりました。
以上から、鋼板関連事業としては減収となりました。
② ロール事業
売上高は3,385百万円(前年同期比89百万円減)、営業利益は264百万円(前年同期比1百万円減)であります。
輸出の販売量は減少しましたが、日本国内の鉄鋼向けでは耐摩耗性を高めた製品の拡販に努めたことなどから販売量が増加し、概ね前期並みの実績となりました。
③ グレーチング事業
売上高は3,672百万円(前年同期比122百万円増)、営業利益は162百万円(前年同期比86百万円増)であります。
公共事業では災害復興・防災対策に予算の多くが配分されたことから主力の道路事業向けでは厳しい状況となりましたが、民間建設案件に注力したことに加え高機能商品の拡販にも取り組んだことなどから、前期を上回る実績となりました。
④ 不動産事業
売上高は995百万円(前年同期比132百万円減)、営業利益は758百万円(前年同期比37百万円増)であります。
賃貸ビルの入居率は向上しておりますが、前期と比べ販売用不動産の売上が減少したことから減収となりました。
⑤ その他事業
売上高は3,356百万円(前年同期比53百万円増)、営業利益は316百万円(前年同期比85百万円増)であります。
運輸・倉庫業の売上が増加したことなどから増収となりました。
(2) キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は10,218百万円(前年同期比9,186百万円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益(12,800百万円)、減価償却費(4,169百万円)、売上債権の増加額(△3,398百万円)、法人税等の支払額(△3,341百万円)等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の支出は1,559百万円(前年は資金の支出10,278百万円)となりました。これは主に、定期性預金の収入と支出との純額(5,554百万円)、有形固定資産の取得による支出(△4,768百万円)、投資有価証券の取得による支出(△3,307百万円)等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の支出は9,897百万円(前年は資金の支出3,265百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純減額による支出(△5,737百万円)、自己株式の取得による支出(△1,807百万円)、配当金の支払額(△1,675百万円)等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ1,742百万円減少し39,047百万円となりました。