訂正有価証券報告書-第117期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2019/06/20 13:37
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【項目】
132項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における日本経済は、ゆるやかな回復基調にあると考えられますが、勢いを欠く状況で推移しました。2016年に入り、中国をはじめとする新興国経済や原油安への懸念が高まり金融・株式市場が混乱するとともに円高が進んだことから、1月末には日銀がマイナス金利政策の導入を決定しましたが、設備投資や個人消費は盛り上がりに欠く状況が続き、停滞感が強まっております。
世界経済は、米国は継続して着実な回復を見せ2015年12月には約9年半ぶりに政策金利の引き上げが行われた一方で、中国経済は減速傾向を強め、アジアをはじめとする新興国や資源国の経済は弱含む状況で推移しました。2016年に入り米国FRBが追加利上げに慎重な姿勢を見せていることから、原油安や世界経済への懸念などの要因と併せ、円高圧力が高まっております。
鉄鋼業においては、日本国内市場は自動車・建設向けともに需要が力強さを欠いたことから粗鋼生産は前年を下回る状況で推移するとともに、出荷の弱含みから在庫率は依然高水準で推移しております。円高是正から増勢が一服していた輸入材は、海外鉄鋼市況の悪化に伴い夏以降は日本国内への流入が再び増加しました。海外鉄鋼市場は、中国の景気減速感が更に強まったことから、中国鉄鋼業の輸出が増勢を強め、世界的な市況低迷と通商摩擦の要因となりました。2016年に入り中国市況改善の兆しが現れておりますが、投機的動きから鉄鋼製品価格が乱高下するなど不安定な状況が続いております。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
① 鋼板関連事業
売上高は147,758百万円(前年同期比15,415百万円減)、営業利益は7,181百万円(前年同期比3,731百万円増)であります。
<鋼板業務>日本国内のひも付き(特定需要家向け)では、在庫の積み上がり解消が進まないなかで採算重視の販売活動に努めたこと、また期間の後半は安価輸入材の流入が再び増加したことなどから、主に建材向けめっき鋼板の販売量が減少しました。店売り(一般流通向け)は、住宅着工の回復の遅れなどの要因から期間の前半は販売が伸び悩みましたが、期間の後半は回復傾向となり通期では販売量が増加しました。台湾のSYSCO社は、期間の後半に表面処理鋼板を対象とする米国でのアンチダンピング調査の影響を受けたことなどから販売量が減少しましたが、台湾国内での販売強化に努めた結果、損益への影響は軽微にとどめることができました。タイの子会社であるPPT社は、採算を重視した販売活動とコストダウンに努めた結果、2015年10月以降の月次決算は黒字となっております。
<建材業務>建材業務の建材商品では、ファインパネル・グランウォールの販売は順調に推移しましたが、ルーフの販売量が減少したことなどから減収となりました。エクステリア商品では、小型物置のエスモは住宅着工の回復の遅れなどの影響から伸び悩みましたが、中・大型のエルモは2014年のモデルチェンジの効果が現れてきたことなどから販売数が増加し、物置全体としては増収となりました。またダストピットの販売も好調であったことなどから、エクステリア商品全体としても増収となりました。工事については複数の比較的大規模な物件が順調に進捗し、増収となりました。
以上から、鋼板関連事業としては減収となりました。
② ロール事業
売上高は3,474百万円(前年同期比1百万円減)、営業利益は266百万円(前年同期比246百万円増)であります。
国内・輸出いずれの販売量も減少しましたが、高付加価値品の提案営業に努めコストダウンにも取り組んだことなどから損益は回復しました。
③ グレーチング事業
売上高は3,550百万円(前年同期比39百万円増)、営業利益は76百万円(前年同期比10百万円減)であります。
販売量は概ね前期なみとなりましたが、価格是正に努めたこと、また高機能商品の販売が増加したことなどから増収となりました。
④ 不動産事業
売上高は1,128百万円(前年同期比221百万円増)、営業利益は720百万円(前年同期比201百万円増)であります。
販売用不動産の売上が増加したことなどから増収となりました。
⑤ その他事業
売上高は3,302百万円(前年同期比1,518百万円減)、営業利益は231百万円(前年同期比263百万円減)であります。
前期は機械プラントで海外大口物件の売上があった要因から減収となりました。
(2) キャッシュ・フロー
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は19,404百万円(前年同期比16,576百万円増)となりました。これは主に、減価償却費(4,311百万円)、減損損失(6,603百万円)、売上債権の減少(3,471百万円)、たな卸資産の減少(6,783百万円)等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の支出は10,278百万円(前年は資金の支出1,355百万円)となりました。これは主に、定期性預金の収入と支出との差額(△8,320百万円)、有形固定資産の取得(△2,810百万円)、投資有価証券の売却による収入(2,188百万円)等の差し引きによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の支出は3,265百万円(前年は資金の収入2,193百万円)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出(△1,235百万円)、配当金の支払額(△1,556百万円)等によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末に比べ5,592百万円増加し40,790百万円となりました。