有価証券報告書-第122期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、冷延鋼板、表面処理鋼板、建材商品、エクステリア商品、各種ロール、グレーチング等鉄鋼を素材とした各種製品の製造販売を中心に、また付帯事業として鋼板加工業、倉庫業、スポーツ施設の運営、不動産賃貸業等の事業活動を行っております。当社グループはこの事業活動を通じて、「新しい個性を持った価値の創造」を基本理念に掲げ、社会から信頼され、必要とされる存在価値のある企業を目指しております。この「新しい個性を持った価値」とは、株主と顧客から信頼され期待される機能の創造(事業価値)、必要とされるベストメーカーとしての持続力(存続価値)、変革挑戦し成長する社員一人ひとりの個性(社員価値)、社会・自然環境と調和し共生する努力(社会価値)であります。これらの経営理念を推進し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資することを経営の基本方針としております。
(2)経営戦略等
当社は独立系の鉄鋼メーカーとして、表面処理鋼板事業とその川下分野としての建材事業からなる鋼板関連事業を中心に、電炉事業を源流とする鉄鋼ロール事業および鋼製グレーチング事業、さらにはエンジニアリング、不動産事業等を擁し、ユニークな存在感を発揮する企業として成長してきました。
今後も当社の基本理念・経営理念・行動原則に基づく機動力を活かした経営を追求するとともに、当社グループの総合力と企画力を発揮することで、海外では新たな成長に向け事業の積極的な展開を進め、国内では縮小トレンドの需要環境下でさらにシェアアップを図り、事業領域の拡大に取り組みます。この「海外事業展開」と「国内需要捕捉」を成長の基軸とし、「安全」・「安心」・「環境」・「景観」をキーワードとして、商品開発・製造・販売など事業活動のあらゆる側面に展開し、ステークホルダーの皆様にさまざまな価値を提供することで、広く社会から必要とされる企業を目指します。
また、当社グループをとりまく環境が激しく変化するなか、当社グループが持続的に成長を果たしていくためには、将来を見据えたビジョンと計画を持ち、その内容をさまざまなステークホルダーと共有することで当社グループの活力を高めていくことが有効であることから、当社の創立90周年にあたる2025年に向けた長期ビジョン『桜(SAKURA)100』を策定しております。当社グループはこの『桜(SAKURA)100』のもと、当社のシンボルマークである桜のように、さまざまな環境の変化に順応するたおやかな姿、新しい事業領域に挑戦し花を咲かせる姿、グローバルに愛され永く花を咲かせる姿を目指し、連結営業利益100億円を安定して計上できる100年企業への発展を実現してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、2017年度~2019年度の経営計画である『淀川製鋼グループ中期経営計画2019』(以下、「中期経営計画2019」といいます。)に続く、2020年度~2022年度の経営計画として『淀川製鋼グループ中期経営計画2022』(以下、「中期経営計画2022」といいます。)を策定し、2020年5月に骨子を、2020年11月に定量目標を開示しております。なお、詳細は当社ウェブサイトに掲載しておりますので、下記をご参照下さい。
< https://www.yodoko.co.jp/ir/management/managementplan/ >中期経営計画2019においては、定量的業績目標を「連結経常利益100億円の安定的計上」と掲げておりましたが、中期経営計画2022においては、主に海外の事業環境悪化の影響や長期化する新型コロナウイルス感染症の影響等を鑑み、定量的業績目標を10億円下方修正し、連結経常利益(2022年度)90億円以上としております。
中期経営計画2022の初年度である2021年3月期(2020年度)は、新型コロナウイルス感染症が当社グループの経営環境に与える影響の程度が見通せない中でのスタートとなりましたが、日本国内の需要の停滞や海外市場における各地域での保護主義的政策の影響など厳しい経営環境の中、当社グループの強みである機動力を発揮しコスト削減や販売価格の改善、新規顧客の開拓などの企業努力を重ね、連結経常利益97億円と2022年度の目標を超える水準の業績となりました。
(4)経営環境
足元の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない状況や長期化が予想される米中対立などから、先行きの不透明感が増しております。
日本経済においては、一部に持ち直しの動きがみられるものの、国民のワクチン接種にはなお相当の期間を要することが想定され、新型コロナウイルス感染症と経済活動は一進一退の状況が続くことが予想されます。
鉄鋼市場においては、日本国内市場・海外市場いずれにおいても、当面は需給バランスが不安定な状況が懸念され、引き続き厳しく不透明な状況が続くものと考えられます。
当社グループにおいては、保護主義的措置の影響が続く海外子会社の厳しい受注環境に加え、各地域の需要およびコスト環境も予断を許さない不安定な動きが続くと考えられ、厳しい事業環境が継続するものと予想されます。
このような不透明な事業環境の中、当社グループとしましては、「中期経営計画2022」の達成に向けて、強みである機動力を最大限発揮しながら、新しい市場の開拓や高付加価値商品の拡販を推し進め、収益力強化を図ってまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症による2022年3月期以降の当社グループの経営環境への影響は、現時点においては重大ではないとの前提を置いております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、中期経営計画2019に続く新たな経営計画として、2020年度から始まる3年間の中期経営計画2022を策定し、取り組みを進めております。
その概要は以下のとおりです。
なお、詳細は当社ウェブサイトに掲載しておりますので、下記をご参照下さい。
< https://www.yodoko.co.jp/ir/management/managementplan/ >a.対象会社
淀川製鋼所及び連結子会社8社
b.対象期間
2020年度~2022年度の3年間
c.基本戦略
「機動力を活かした収益構造の強靭化」「新しい分野への挑戦」「持続可能な経営基盤の構築」を基軸とする以下の6項目を基本戦略とします。
d.資本政策と株主還元
当社は「株式会社淀川製鋼所 コーポレートガバナンスガイドライン」のなかで、資本政策の基本方針を定めております。
< https://www.yodoko.co.jp/assets/pdf/ir/management/governance/governance.pdf >中期経営計画2022の期間中については、資本政策の基本方針に加え、以下の考え方に基づき機動的に資金を活用してまいります。
ⅰ 当社グループの主力事業が属する鉄鋼業界は、日本国内では人口減少とともに長期的な市場拡大を期待することは難しく、海外ではグローバルな経済の変動と各地域・国における通商政策に大きな影響を受ける厳しい経営環境が続くことが予想されます。このような厳しい環境の中で当社グループが持続的に成長していくためには、既存事業における競争力強化と新しい事業領域開拓の双方に、優先的に資金を充当することが必要であります。
ⅱ 当社は自社の資本コストを定期的に分析しており、資本コストを上回る資本効率を実現するために、既存事業における投下資本利益率の向上、ならびに積極的投資による非事業資産の事業資産への組み換えにより、資本効率の向上に取り組みます。
ⅲ 株主の皆様への利益還元としては、業績に応じた配当金のお支払いを重視することとし、配当の指標としては、年間1株あたり50円以上を維持した上で、連結配当性向年間30%~50%程度を目途に実施することとします。
e.設備投資
生産効率向上やコスト低減、品質向上など競争力強化を目的とした戦略的な投資は優先的に実施し、また、既存事業の継続に必要な老朽設備・施設の更新も計画的に実施することを基本方針とします。
2020~2022年度の総投資額(連結):150~200億円規模
[内訳]競争力強化 :75~125億円規模
既存事業基盤の維持、その他 :75億円規模
f.定量的目標
前述の「(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」を参照ください。
以上に示しましたとおり、中期経営計画2022において基本戦略としております「機動力を活かした収益構造の強靭化」「新しい分野への挑戦」「持続可能な経営基盤の構築」に沿った取り組みを進め、長期ビジョンの達成に向けた助走期間としての施策の展開を進めることが、当面の対処すべき課題であります
(1)経営方針
当社グループは、冷延鋼板、表面処理鋼板、建材商品、エクステリア商品、各種ロール、グレーチング等鉄鋼を素材とした各種製品の製造販売を中心に、また付帯事業として鋼板加工業、倉庫業、スポーツ施設の運営、不動産賃貸業等の事業活動を行っております。当社グループはこの事業活動を通じて、「新しい個性を持った価値の創造」を基本理念に掲げ、社会から信頼され、必要とされる存在価値のある企業を目指しております。この「新しい個性を持った価値」とは、株主と顧客から信頼され期待される機能の創造(事業価値)、必要とされるベストメーカーとしての持続力(存続価値)、変革挑戦し成長する社員一人ひとりの個性(社員価値)、社会・自然環境と調和し共生する努力(社会価値)であります。これらの経営理念を推進し、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資することを経営の基本方針としております。
(2)経営戦略等
当社は独立系の鉄鋼メーカーとして、表面処理鋼板事業とその川下分野としての建材事業からなる鋼板関連事業を中心に、電炉事業を源流とする鉄鋼ロール事業および鋼製グレーチング事業、さらにはエンジニアリング、不動産事業等を擁し、ユニークな存在感を発揮する企業として成長してきました。
今後も当社の基本理念・経営理念・行動原則に基づく機動力を活かした経営を追求するとともに、当社グループの総合力と企画力を発揮することで、海外では新たな成長に向け事業の積極的な展開を進め、国内では縮小トレンドの需要環境下でさらにシェアアップを図り、事業領域の拡大に取り組みます。この「海外事業展開」と「国内需要捕捉」を成長の基軸とし、「安全」・「安心」・「環境」・「景観」をキーワードとして、商品開発・製造・販売など事業活動のあらゆる側面に展開し、ステークホルダーの皆様にさまざまな価値を提供することで、広く社会から必要とされる企業を目指します。
また、当社グループをとりまく環境が激しく変化するなか、当社グループが持続的に成長を果たしていくためには、将来を見据えたビジョンと計画を持ち、その内容をさまざまなステークホルダーと共有することで当社グループの活力を高めていくことが有効であることから、当社の創立90周年にあたる2025年に向けた長期ビジョン『桜(SAKURA)100』を策定しております。当社グループはこの『桜(SAKURA)100』のもと、当社のシンボルマークである桜のように、さまざまな環境の変化に順応するたおやかな姿、新しい事業領域に挑戦し花を咲かせる姿、グローバルに愛され永く花を咲かせる姿を目指し、連結営業利益100億円を安定して計上できる100年企業への発展を実現してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、2017年度~2019年度の経営計画である『淀川製鋼グループ中期経営計画2019』(以下、「中期経営計画2019」といいます。)に続く、2020年度~2022年度の経営計画として『淀川製鋼グループ中期経営計画2022』(以下、「中期経営計画2022」といいます。)を策定し、2020年5月に骨子を、2020年11月に定量目標を開示しております。なお、詳細は当社ウェブサイトに掲載しておりますので、下記をご参照下さい。
< https://www.yodoko.co.jp/ir/management/managementplan/ >中期経営計画2019においては、定量的業績目標を「連結経常利益100億円の安定的計上」と掲げておりましたが、中期経営計画2022においては、主に海外の事業環境悪化の影響や長期化する新型コロナウイルス感染症の影響等を鑑み、定量的業績目標を10億円下方修正し、連結経常利益(2022年度)90億円以上としております。
中期経営計画2022の初年度である2021年3月期(2020年度)は、新型コロナウイルス感染症が当社グループの経営環境に与える影響の程度が見通せない中でのスタートとなりましたが、日本国内の需要の停滞や海外市場における各地域での保護主義的政策の影響など厳しい経営環境の中、当社グループの強みである機動力を発揮しコスト削減や販売価格の改善、新規顧客の開拓などの企業努力を重ね、連結経常利益97億円と2022年度の目標を超える水準の業績となりました。
(4)経営環境
足元の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない状況や長期化が予想される米中対立などから、先行きの不透明感が増しております。
日本経済においては、一部に持ち直しの動きがみられるものの、国民のワクチン接種にはなお相当の期間を要することが想定され、新型コロナウイルス感染症と経済活動は一進一退の状況が続くことが予想されます。
鉄鋼市場においては、日本国内市場・海外市場いずれにおいても、当面は需給バランスが不安定な状況が懸念され、引き続き厳しく不透明な状況が続くものと考えられます。
当社グループにおいては、保護主義的措置の影響が続く海外子会社の厳しい受注環境に加え、各地域の需要およびコスト環境も予断を許さない不安定な動きが続くと考えられ、厳しい事業環境が継続するものと予想されます。
このような不透明な事業環境の中、当社グループとしましては、「中期経営計画2022」の達成に向けて、強みである機動力を最大限発揮しながら、新しい市場の開拓や高付加価値商品の拡販を推し進め、収益力強化を図ってまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症による2022年3月期以降の当社グループの経営環境への影響は、現時点においては重大ではないとの前提を置いております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、中期経営計画2019に続く新たな経営計画として、2020年度から始まる3年間の中期経営計画2022を策定し、取り組みを進めております。
その概要は以下のとおりです。
なお、詳細は当社ウェブサイトに掲載しておりますので、下記をご参照下さい。
< https://www.yodoko.co.jp/ir/management/managementplan/ >a.対象会社
淀川製鋼所及び連結子会社8社
b.対象期間
2020年度~2022年度の3年間
c.基本戦略
「機動力を活かした収益構造の強靭化」「新しい分野への挑戦」「持続可能な経営基盤の構築」を基軸とする以下の6項目を基本戦略とします。
A.機動力を活かした収益構造の強靭化 A-1.ビジネスモデルの深化 A-2.ものづくり力の底上げ | B.新しい分野への挑戦 B-1.既存事業を基盤とした新分野の開拓 |
C.持続可能な経営基盤の構築 C-1.将来を見据えた積極的投資と資本効率向上 C-2.次世代を担う人材の育成と組織力強化 C-3.全てのステークホルダーとの共生 |
d.資本政策と株主還元
当社は「株式会社淀川製鋼所 コーポレートガバナンスガイドライン」のなかで、資本政策の基本方針を定めております。
< https://www.yodoko.co.jp/assets/pdf/ir/management/governance/governance.pdf >中期経営計画2022の期間中については、資本政策の基本方針に加え、以下の考え方に基づき機動的に資金を活用してまいります。
ⅰ 当社グループの主力事業が属する鉄鋼業界は、日本国内では人口減少とともに長期的な市場拡大を期待することは難しく、海外ではグローバルな経済の変動と各地域・国における通商政策に大きな影響を受ける厳しい経営環境が続くことが予想されます。このような厳しい環境の中で当社グループが持続的に成長していくためには、既存事業における競争力強化と新しい事業領域開拓の双方に、優先的に資金を充当することが必要であります。
ⅱ 当社は自社の資本コストを定期的に分析しており、資本コストを上回る資本効率を実現するために、既存事業における投下資本利益率の向上、ならびに積極的投資による非事業資産の事業資産への組み換えにより、資本効率の向上に取り組みます。
ⅲ 株主の皆様への利益還元としては、業績に応じた配当金のお支払いを重視することとし、配当の指標としては、年間1株あたり50円以上を維持した上で、連結配当性向年間30%~50%程度を目途に実施することとします。
e.設備投資
生産効率向上やコスト低減、品質向上など競争力強化を目的とした戦略的な投資は優先的に実施し、また、既存事業の継続に必要な老朽設備・施設の更新も計画的に実施することを基本方針とします。
2020~2022年度の総投資額(連結):150~200億円規模
[内訳]競争力強化 :75~125億円規模
既存事業基盤の維持、その他 :75億円規模
f.定量的目標
前述の「(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」を参照ください。
以上に示しましたとおり、中期経営計画2022において基本戦略としております「機動力を活かした収益構造の強靭化」「新しい分野への挑戦」「持続可能な経営基盤の構築」に沿った取り組みを進め、長期ビジョンの達成に向けた助走期間としての施策の展開を進めることが、当面の対処すべき課題であります