有価証券報告書-第84期(2025/04/01-2026/03/31)
<戦略>気候変動を含めた環境課題に関するリスク・機会分析(TCFD)
当社グループでは、気候変動が短期・中期・長期の視点で自社のバリューチェーンにもたらす政策・規制や市場変化による移行リスク、異常気象などの物理リスクの中で、特に事業への影響が大きいと想定されるリスクと機会を特定するためにシナリオ分析を実施しています。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、パリ協定の目標である「産業革命前からの気温上昇を1.5℃未満に抑える」ことを想定した政策移行の影響が大きいシナリオ(1.5℃シナリオ)、及び環境規制が強化されず物理的リスクが高まるシナリオ(4℃シナリオ)の2つの世界観を想定しています。この2つのシナリオにおいて気候変動がもたらすリスク及び機会を特定し、その財務影響を可能な限り定量化し、当社グループの環境戦略に反映させることで、事業の持続的成長や将来リスクの低減につなげ、企業としてのレジリエンスを高める取り組みを進めています。
2024年3月期には、2030年をマイルストーンとして設定し、事業プロセス、自社バリューチェーン、インパクトの拡大の3つのフェーズにおいてCO2排出量を削減する「低炭素社会への移行計画」を策定しました。事業プロセスにおいては、省エネ対策、燃料転換、追加性の高い再生可能エネルギーへの移行・調達などの施策に加えて、製造現場で水素への燃料転換に向けた実証実験を実施するなど、Scope 1, Scope 2排出量の削減に取り組んでいます。自社バリューチェーンにおいては排出量の多くの割合を占める「製品使用」と「調達」に注力しており、製品の省エネ化はもちろんのこと、サプライヤーエンゲージメントを通じた調達や物流における排出量の削減、これらの活動から得られた一次データの活用、循環型のエコシステムやビジネスモデルの構築に努めています。さらに、節湯水栓・節水型トイレや新築戸建向け高性能窓などの販売構成比率を100%とする目標を掲げ、暮らしのエネルギー効率を高める製品を通じて、気候変動緩和に向けたインパクトの拡大と低炭素社会への移行を推進しています。
自然資本・生物多様性に関するリスク・機会分析(TNFD)
自然資本及び生物多様性と自社バリューチェーンとの依存、影響の関係、リスクと機会を特定するためにTNFDが提唱するLEAPアプローチに基づく評価を実施しています。対象原材料は、ウォーターテクノロジー事業、ハウジングテクノロジー事業、リビング事業の主要製品の原材料である「アルミ」「銅」「セラミック」「木材」としScience Based Targets Network が開発した自然への影響が大きい原材料リストであるHigh Impact Commodity Listに該当する原材料の90%以上を評価の対象としています。バリューチェーン上流と直接操業における自然への依存と影響及び優先地域を特定し、自然に関連するリスクと機会の評価を行いました。特定された重要なリスクと機会は、気候変動課題の取り組みと関連づけられたことから、自然関連課題に対する取り組みがすでに戦略に反映されていることが示され、更に上流におけるリスクと機会を追加しました。
重要なリスクに対する対応戦略
(注)1.TCFDのシナリオ分析に基づくものです。
2.Scope 1 & 2のCO2排出量に対して炭素税(国際エネルギー機関(IEA)が公表する1.5℃目標実現のために導入が必要と想定される炭素税価格を使用)が課せられた場合の想定額を算出
3.世界資源研究所(WRI)が提供するAqueduct Floods及び日本の各自治体のハザードマップを用いて、全生産拠点の浸水リスクを評価(事業継続計画(BCP)によるリスク低減を加味せず、生産拠点の立地条件のみに基づく)し、国土交通省の治水経済調査マニュアルが提示する浸水高さごとの想定停止日数と、該当拠点の1日当たりの生産高を乗じて損失額の平均値を算出
4.製品使用において間接的に消費される給湯エネルギーなどに由来した排出量は除く
重要な機会に対する対応戦略
当社グループでは、気候変動が短期・中期・長期の視点で自社のバリューチェーンにもたらす政策・規制や市場変化による移行リスク、異常気象などの物理リスクの中で、特に事業への影響が大きいと想定されるリスクと機会を特定するためにシナリオ分析を実施しています。シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、パリ協定の目標である「産業革命前からの気温上昇を1.5℃未満に抑える」ことを想定した政策移行の影響が大きいシナリオ(1.5℃シナリオ)、及び環境規制が強化されず物理的リスクが高まるシナリオ(4℃シナリオ)の2つの世界観を想定しています。この2つのシナリオにおいて気候変動がもたらすリスク及び機会を特定し、その財務影響を可能な限り定量化し、当社グループの環境戦略に反映させることで、事業の持続的成長や将来リスクの低減につなげ、企業としてのレジリエンスを高める取り組みを進めています。
2024年3月期には、2030年をマイルストーンとして設定し、事業プロセス、自社バリューチェーン、インパクトの拡大の3つのフェーズにおいてCO2排出量を削減する「低炭素社会への移行計画」を策定しました。事業プロセスにおいては、省エネ対策、燃料転換、追加性の高い再生可能エネルギーへの移行・調達などの施策に加えて、製造現場で水素への燃料転換に向けた実証実験を実施するなど、Scope 1, Scope 2排出量の削減に取り組んでいます。自社バリューチェーンにおいては排出量の多くの割合を占める「製品使用」と「調達」に注力しており、製品の省エネ化はもちろんのこと、サプライヤーエンゲージメントを通じた調達や物流における排出量の削減、これらの活動から得られた一次データの活用、循環型のエコシステムやビジネスモデルの構築に努めています。さらに、節湯水栓・節水型トイレや新築戸建向け高性能窓などの販売構成比率を100%とする目標を掲げ、暮らしのエネルギー効率を高める製品を通じて、気候変動緩和に向けたインパクトの拡大と低炭素社会への移行を推進しています。
自然資本・生物多様性に関するリスク・機会分析(TNFD)
自然資本及び生物多様性と自社バリューチェーンとの依存、影響の関係、リスクと機会を特定するためにTNFDが提唱するLEAPアプローチに基づく評価を実施しています。対象原材料は、ウォーターテクノロジー事業、ハウジングテクノロジー事業、リビング事業の主要製品の原材料である「アルミ」「銅」「セラミック」「木材」としScience Based Targets Network が開発した自然への影響が大きい原材料リストであるHigh Impact Commodity Listに該当する原材料の90%以上を評価の対象としています。バリューチェーン上流と直接操業における自然への依存と影響及び優先地域を特定し、自然に関連するリスクと機会の評価を行いました。特定された重要なリスクと機会は、気候変動課題の取り組みと関連づけられたことから、自然関連課題に対する取り組みがすでに戦略に反映されていることが示され、更に上流におけるリスクと機会を追加しました。
重要なリスクに対する対応戦略
| 気候 | 自然 | リスク内容と 事業への影響 | 財務影響の程度 (注)1 | 対応策 | 指標と目標 | |||
| 1.5℃ シナリオ | 4℃ シナリオ | |||||||
| 移行リスク | ● | 炭素税導入による操業コストの増大 | 約100億円 (注)2 | 追加課税なし | ・Scope1,2のGHG削減に向けた取り組み(エネルギー使用の効率化・削減、電化・燃料転換、再生可能エネルギーへの移行など) ・長期目標の達成に向けた製造技術検証 | 2031年3月期までに ・Scope 1,2 50.4%削減 ・Scope 3 (注)4 30%削減 (2019年3月期比) | 2051年3月期までに Scope1~3 実質ゼロ | |
| ● | ● | 市場の変化による原材料・部材調達コストの増加 | 定量化に必要なパラメータ不足のため 財務影響は非算出 | ・サプライヤーエンゲージメント ・技術設計による資源使用量の削減 ・リサイクル材使用による天然資源の使用削減 | 2031年3月期までに廃棄物などのリサイクル率 95% | |||
| ● | 環境負荷低減に向けた設備導入によるコストの増加 | - | 環境戦略が事業戦略へ統合されたことによる適切な事業判断 ・循環利用が困難な廃棄物の再資源化 | - | ||||
| ● | ● | 自社工場における環境関連法規制への未対応による企業価値毀損 | - | 環境マネジメント ・LIXIL行動指針・LIXIL環境方針の遵守 ・ISO14001に基づく内部監査 | - | |||
| ● | ● | 調達先における環境関連法規制の未対応による調達活動の停止 | - | ・サプライチェーンマネジメント | - | |||
| 物理リスク | ● | ● | 台風や洪水に伴う自社工場の被災による売上機会の喪失 | 約15億円 (注)3 | リスクマネジメント ・大規模自然災害に対する計画的な設備投資・更新 ・調達先の適正化、適切な在庫確保、バックアップ生産体制の構築による製品供給への対策 ・固定資産を補償する適切な付保 | - | ||
| ● | ● | 渇水などによる自社工場の操業停止による売上機会の喪失 | 定量化に必要なパラメータ不足のため財務影響は非算出 | ・水使用効率向上に向けた取り組み ・Science Based Targets Networkのコーポレートエンゲージメントプログラムへの参加 | 2031年3月期までに 水使用効率20%向上 (2019年3月期比) | |||
| ● | 原材料の採掘などに伴う生態系破壊による調達活動の停止 | - | ・サプライチェーンマネジメント | - | ||||
(注)1.TCFDのシナリオ分析に基づくものです。
2.Scope 1 & 2のCO2排出量に対して炭素税(国際エネルギー機関(IEA)が公表する1.5℃目標実現のために導入が必要と想定される炭素税価格を使用)が課せられた場合の想定額を算出
3.世界資源研究所(WRI)が提供するAqueduct Floods及び日本の各自治体のハザードマップを用いて、全生産拠点の浸水リスクを評価(事業継続計画(BCP)によるリスク低減を加味せず、生産拠点の立地条件のみに基づく)し、国土交通省の治水経済調査マニュアルが提示する浸水高さごとの想定停止日数と、該当拠点の1日当たりの生産高を乗じて損失額の平均値を算出
4.製品使用において間接的に消費される給湯エネルギーなどに由来した排出量は除く
重要な機会に対する対応戦略
| 気候 | 自然 | 機会内容と事業への影響 | LIXILの取り組み | 指標と目標 |
| ● | 新築住宅のZEH普及や既築住宅の省エネリフォーム拡大に向けた省エネ商品・サービスの需要増加 | ・気候変動の緩和に向けた製品・サービスの取り組み ・他企業との協働による住宅・建築分野における包括的環境負荷低減 | ・2031年3月期までに新築戸建住宅向け高性能窓の販売構成比(日本)100% ・2031年3月期までに節湯水栓・節水型トイレの販売構成比 (日本)100% | |
| ● | ● | 低炭素材料を利用した製品、資源の環境性に配慮した製品などの需要増加 | ・リサイクル材使用による天然資源の使用削減 ・循環利用が困難な原材料の再資源化 ・資源効率性の高い製品の拡充 ・使い捨てプラスチックパッケージの削減 | 2031年3月期までにリサイクルアルミの使用比率 100% |
| ● | 災害対策・災害復興商材などの需要増加 | 製品を通じた気候変動への適応 ・シャッター、スタイルシェード(適応) ・レジリエンストイレ(断水) ・減災プロジェクト | - | |
| ● | ● | 節水・水質改善などに貢献する商材などの需要増加 | ・節水製品による水使用削減 ・LIXIL Public Partners(LPP)の取り組み | 2031年3月期までに節水製品による水使用削減貢献量 年間20億㎥ |
| ● | サプライチェーンにおける環境データのトレーサビリティ構築によるレジリエンスの向上 | ・サプライチェーンマネジメント ・サプライヤーエンゲージメント | - | |
| ● | 資源効率化に向けた技術革新の投資及び新技術の導入による企業価値向上 | ・循環利用が困難な原材料の再資源化 ・新規技術開発による環境負荷低減 ・長期目標の達成に向けた製造技術検証 | - |