有価証券報告書-第194期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/27 14:48
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業績等の概要

(1) 業績
当期の世界経済は、米国においては、家計支出が堅調であったことを背景に景気が拡大基調で推移し、欧州においても、ユーロ安による輸出増や個人消費の伸張により、景気は緩やかに回復しました。一方、新興国では、中国経済の減速が顕著になり、その影響を受けて東南アジア経済が伸び悩んだほか、ブラジルやロシアなどにおいても、資源価格の下落等により、厳しい経済状況が続きました。
わが国の経済は、企業収益の改善を起点とした設備投資の増加や雇用環境の改善により、内需を中心に景気は引き続き緩やかに回復してきましたが、中国をはじめとする新興国における景気減速や年明け以降の円高進行が輸出・生産面でマイナスに作用するなど、先行き不透明感が増しています。
このような環境の下、当社グループでは、中期経営計画『Furukawa G Plan 2015』に掲げた「インフラ/自動車市場への注力」という方針に基づき、インフラ市場関連では、情報通信部門において、モロッコやミャンマーに新たな事業拠点を設立したほか、エネルギー・産業機材部門においては、電力事業の再編を目的として、持分法適用の関連会社である㈱ビスキャスより、海外電力事業を譲り受けたことに加え、ベトナムに電力機器事業の子会社を設立するなど、グローバル市場での事業拡大・競争力強化を図ってまいりました。また、自動車市場関連では、電装・エレクトロニクス部門において、自動車用アルミワイヤハーネス接続部品等の新製品開発や需要旺盛なハイブリッド車向け平角巻線の生産能力増強などを推進しました。そのほか、ファナック㈱と産業用レーザ・ダイオード・モジュールの開発・製造を行う合弁会社を設立するなど、新事業分野の開拓にも努めてまいりました。
当期の業績につきましては、エネルギー・産業機材部門や金属部門では、銅地金価格の下落等により売上高が減少しましたが、情報通信部門で、北米における光ファイバ・ケーブルの需要が旺盛であったほか、電装・エレクトロニクス部門で、自動車用電池や放熱用部品などの販売が好調に推移しました。損益面では、自動車部品事業での円安による海外工場製造品の輸入コスト増がありましたが、金属部門において銅箔事業の構造改革を行うとともに、エネルギー・産業機材部門において半導体製造用テープなど安定した利益が見込める製品への注力を進めたことなどにより、総じて営業損益が改善しました。これらの結果、連結売上高は8,749億円(前期比0.8%増)、連結営業利益は271億円(前期比51.7%増)となりました。海外売上高は4,053億円(前期比5.2%増)で、海外売上高比率は46.3%となり、前期比1.9ポイント増となりました。上記に加え、㈱ビスキャスにおける事業再編に伴う損失計上に関連して持分法による投資損失を計上したことなどにより、連結経常利益は187億円(前期比同水準)となりました。また、当社が保有する不動産の売却益等による特別利益219億円、過去のワイヤハーネスカルテルに関連する民事賠償等による特別損失192億円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は100億円(前期比36.1%増)となりました。
なお、単独の業績につきましては、売上高は3,989億円(前期比4.4%減)、営業利益は55億円(前期比67億円改善)、経常利益は122億円(前期比157.0%増)、当期純損失は55億円(前期比98億円悪化)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
[情報通信部門]
光ファイバ・ケーブルについては、景気後退の影響を受けたブラジルなどを除き、北米を中心とした旺盛な需要を背景に売上高が伸張し、また、ネットワーク関連事業も堅調に推移しました。これらの結果、当部門の連結売上高は1,592億円(前期比2.6%増)、連結営業利益は78億円(前期比37.4%増)となりました。また単独売上高は545億円(前期比8.4%増)となりました。
当部門では、昨年9月に、モロッコにおいて光ファイバ・ケーブルの製造子会社を設立したほか、昨年12月には、ミャンマーにおいて情報通信ネットワークの設計および通信工事コンサルタント業務を行う子会社を設立しました。また、同じく昨年12月には南米におけるLANソリューションシステム事業を拡大することを目的に、ブラジルにある通信用機器製造会社を買収いたしました。
[エネルギー・産業機材部門]
銅地金価格の下落に伴う製品価格の低下や中国での販売不振により、電力ケーブルの売上が低迷しましたが、スマートフォン向けなどの半導体需要が増加したことにより、半導体製造用テープの販売が好調に推移したほか、発泡製品の売上が欧州において伸張しました。また、非常用電線に使用される機器用電線の販売も好調で、損益の向上に寄与しました。これらの結果、当部門の連結売上高は2,813億円(前期比4.1%減)、連結営業利益は70億円(前期比64.1%増)となりました。また、単独売上高は1,223億円(前期比10.8%減)となりました。
当社は、㈱ビスキャスから、同社の地中送電線および海底送電線事業のうち海外部門を昨年4月に譲り受けたことに加え、これら事業の国内部門についても本年10月を目処に譲り受ける予定です。また、昨年11月には、ベトナムにおいて、送変電機材や架空配線機材などの送配電部品事業の子会社を、現地企業との合弁により設立するなど、電力インフラへの需要が拡大する海外市場での事業の強化に努めています。
[電装・エレクトロニクス部門]
放熱用部品であるヒートシンクの需要が旺盛であったこと、子会社の古河電池㈱においてハイブリッド車およびアイドリングストップ車向け鉛蓄電池の販売が好調であったことなどから、売上を伸ばしました。一方、自動車用ワイヤハーネスは、円安による海外工場製造品の輸入費用増加や、海外拠点での新規車種向け製品の製造立ち上げ時の混乱などにより、コストが増加しました。これらの結果、当部門の連結売上高は3,311億円(前期比7.4%増)、連結営業利益は129億円(前期比同水準)となりました。また、単独売上高は1,586億円(前期比3.3%減)となりました。
なお、昨年4月に、当社持分法適用の関連会社である㈱UACJとの合弁で、ハードディスク用アルミ基板材の販売・技術サービスを行う子会社を設立しました。
[金属部門]
一昨年2月の日光事業所における大雪被害による、銅条製品製造工程の一部停止が完全復旧し、同製品の販売については数量面では概ね所期の計画を達成しましたが、銅地金価格の下落による製品価格の低下や銅箔の需要伸び悩み等により、当部門全体の売上高は減少しました。損益面につきましては、銅箔事業において電力コスト等の面で競争力が低下した国内製造能力を縮小し、台湾子会社への製造移管を促進するなどの損益改善策を実施したことなどにより、赤字幅が縮小しました。これらの結果、当部門の連結売上高は1,224億円(前期比8.4%減)、連結営業損失は11億円(前期比38億円改善)となりました。また、単独売上高は601億円(前期比4.2%減)となりました。
また、昨年10月1日付で、当社の銅条・高機能材事業部門における貴金属めっき事業について、当社完全子会社の古河精密金属工業㈱を承継会社とする吸収分割(簡易分割)を行いました。
[サービス・開発等部門]
物流、情報処理・ソフトウェア開発、各種業務受託等による当社グループ各事業のサポート、不動産の賃貸、水力発電、新製品研究開発等を行なっております。
当部門の連結売上高は542億円(前期比1.2%増)、連結営業利益は5億円(前期比6億円改善)となりました。また、単独売上高は34億円(前期比同水準)となりました。
当部門では、昨年7月に、ファナック㈱との合弁で、金属の切断、溶接等に使用される産業用光ファイバ・レーザの基幹部品である高出力レーザ・ダイオード・モジュールを製造する関連会社FFレーザ㈱を設立しました。新会社では、急速に普及が進んでいる産業用光ファイバ・レーザ分野において、事業の拡大を進めていきます。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、517億円(前連結会計年度比222億円の増加)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益+214億円、減価償却費+232億円等により
+416億円(前連結会計年度比+1億円)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出△256億円、固定資産の売却による収入+226億円等により+19億円(前連結会計年度比+255億円)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、有利子負債の削減等により△209億円(前連結会計年度比△54億円)となりました。