訂正有価証券報告書-第192期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/07/23 13:49
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業績等の概要

(1) 業績
当期の世界経済は、米国においては、住宅市場の回復や失業率の改善を背景に個人消費が堅調に推移するなど、緩やかな景気回復が継続し、また、欧州においても、債務問題の克服と経済成長を促す政策の実施や輸出の好調な推移により、景気低迷から脱却する兆しが見られた。一方、新興国においては、先進国からの投資減少などもあり、全般的には成長に陰りが見えてきた。わが国においては、日本銀行による量的・質的緩和策の導入以降、公共投資の増加により、雇用・所得環境が改善する中で個人消費も底固く推移しており、景気は回復を続けてきた。
このような環境の下、当社グループにおいては、昨年4月よりグループ全体の事業遂行力の強化を目的とした事業部門制に移行し、新中期経営計画「Furukawa G Plan 2015」で掲げた「インフラ/自動車市場」での成長に向けた施策を着実に実行してきた。インフラ市場においては、ブラジルにおける光ケーブル拠点の拡充など、新興国市場の旺盛な需要を確実に取り込む活動を引き続き実施してきた。自動車市場においても、アジアや中米において生産拠点の開設や増強を行なったほか、営業・設計・調達を行なう地域統括会社を中国に設立するなど、顧客のニーズにきめ細かく対応できる体制を整えてきた。このほか、構造改革も引き続き推進しており、拠点集約による生産体制の効率化や一部製品の海外生産シフトなど、収益力強化への取組みを継続して実施してきた。また、昨年11月に運転を開始した福島県での「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」において採用された浮体式風力発電用ライザーケーブルや、自動車の軽量化を促進させるアルミワイヤハーネスといった「新技術・新製品」の開発のほか、ブラジルでの「古河電工グループ総合技術展」の開催といった、当社技術や製品をグローバルにアピールする活動も行なってきた。
なお、本年2月の関東地方における大雪により当社日光事業所の建屋が一部損壊し、銅条などの製造工場で操業停止を余儀なくされた。復旧には本年末までかかる見込みだが、お客様の要請に応えるべく全力で対応している。このほか、当社グループの軽金属部門を担っていた古河スカイ㈱は、昨年10月1日に住友軽金属工業㈱と合併し、両社統合後の社名を㈱UACJと改め、新たなスタートを切った。これに伴い、当社の連結子会社であった同社は当社の持分法適用の関連会社となった。
当期の業績については、上述の㈱UACJ発足により、昨年10月から軽金属部門が当社連結の範囲から外れたことによる影響や、自動車向けリチウムイオン電池用銅箔の需要低迷などがあったものの、円安効果に加え、ワイヤハーネスが好調に推移した自動車用部品の売上が増加したことなどから、連結売上高は9,318億円と前期比0.8%の増収となった。海外売上高は3,841億円(前期比11.1%増)で、海外売上高比率は41.2%となり、前期比3.8%増と大幅に増加した。損益面については、液晶テレビ向け反射板MCPETや銅箔などの需要低迷による影響はあったものの、徹底した経費削減活動の成果に加え、前期低迷した情報通信分野の需要が復調し、自動車用部品の売上も好調に推移したことなどにより、連結営業利益は255億円(前期比43.3%増)、連結経常利益は255億円(前期比45.0%増)となった。また、特別損益において事業構造改革費用や固定資産の減損などによる特別損失172億円、保有する投資有価証券の売却などによる特別利益89億円を計上し、連結当期純利益は56億円(前期比56.8%増)となった。
なお、単独の業績については、売上高は4,283億円(前期比8.1%増)、営業利益は22億円(前期比56億円改善)、経常利益は92億円(前期比48.9%減)、当期純利益は29億円(前期比80.8%減)となった。
セグメント別の業績は次のとおりである。
[情報通信部門]
情報通信部門においては、中国で光ファイバの売上が低迷したほか、北米でも低調だったが、ブラジルなど南米における光ケーブル需要の回復やタイでの携帯電話工事関連事業が拡大したことなどにより、当部門の連結売上高は1,540億円(前期比5.4%増)となった。損益については、引き続き生産拠点等の集約による生産性向上などに努め、連結営業利益は72億円(前期比277.2%増)となった。また単独売上高は573億円(前期比12.6%増)となった。
当部門では、世界的なブランド力を有する米国OFS社や、現地市場で着実に事業規模を拡大しているブラジルFISA社を有しており、今後も本事業の更なるグローバル展開を図っていくとともに、次世代型光通信のキー技術となる小型ITLA(波長可変半導体レーザ)などの高機能部品、機器、システムを開発することで、通信インフラ大容量化へのニーズに貢献していく。
[エネルギー・産業機材部門]
エネルギー・産業機材部門においては、液晶テレビ向け反射板MCPETの売上が大きく後退したものの、昨年に引き続きスマートフォンなどに使用される半導体製造用テープの売上が堅調であったことや、太陽光発電設備の増加により管路製品や各種ケーブル類の売上が好調に推移したことなどにより、当部門の連結売上高は2,989億円(前期比12.5%増)となった。損益については、国内におけるケーブル価格の低下やMCPETの売上減少などが影響し、連結営業利益は17億円(前期比15.0%減)となった。また、単独売上高は1,371億円(前期比6.3%増)となった。
当部門では、「浮体式洋上ウィンドファーム実証研究事業」の成果や、着実に販売実績を上げている太陽光発電設備向け管路材などの製品により、引き続き国内外における次世代エネルギーをも含めた電力インフラ市場での事業規模拡大を図っていく。
[電装・エレクトロニクス部門]
電装・エレクトロニクス部門においては、世界規模での自動車販売台数の増加を背景に自動車用部品が売上を伸ばし、また、国内市場においても軽自動車や新車種向けを中心にワイヤハーネスが好調を維持したことや、ハードディスク用アルミ基板材が安定して売上を伸ばしたことなどから、当部門の連結売上高は2,910億円(前期比19.4%増)となった。損益についても、ワイヤハーネスを中心に自動車用部品が堅調に推移したことなどから連結営業利益は140億円(前期比50.5%増)となった。また、単独売上高は1,585億円(前期比13.6%増)となった。
当部門では、アジア各国やメキシコにおいて、ワイヤハーネスの製造会社や販売会社を設立するなど、グローバルな拡大を見せる自動車用部品需要を着実に取り込む施策を引き続き展開していく。
[金属部門]
金属部門においては、円安の影響から、当部門の連結売上高は1,307億円(前期比1.0%増)と前年より増加したものの、国内電力料金の上昇による採算性の悪化や、競争激化による価格低下の影響を受けたこと、また、本年2月に発生した日光事業所における大雪被害による操業停止の影響などもあり、連結営業損失は31億円(前期比18億円悪化)となった。また、単独売上高は728億円(前期比1.7%減)となった。
当部門の銅箔事業では、国内における製造拠点の集約と、台湾の古河銅箔股份有限公司や台日古河銅箔股份有限公司への製造移管を更に加速し、競争が激化する市場において安定した利益を生み出す体制の構築を進めていく。
[軽金属部門]
軽金属部門においては、前述のとおり、当部門を構成していた古河スカイ㈱(現 ㈱UACJ)が、昨年10月から当社の持分法適用の関連会社となった。当期における昨年4月から同年9月までの当部門の累計連結売上高は966億円、同連結営業利益は44億円となった。
[サービス等部門]
サービス等部門においては、情報処理・ソフトウェア開発、物流、各種業務受託等による当社グループ各事業のサポートのほか、不動産の賃貸や水力発電等を行なっている。当部門の連結売上高は438億円(前期比18.4%増)、連結営業利益は10億円(前期比31.2%減)となった。また、単独売上高は28億円(前期比4.3%減)となった。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、253億円(前連結会計年度比52億円の減少)となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益173億円を計上したこと等により、+189億円(前連結会計年度比△360億円)となった。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得等により、△403億円(前連結会計年度比+46億円)となった。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入による資金調達を行ったこと等により、+299億円(前連結会計年度比+413億円)となった。