訂正有価証券報告書-第192期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/07/23 13:49
【資料】
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【項目】
134項目

対処すべき課題

(1)当面の対処すべき課題
1)コンプライアンスの徹底
当社は、かねて関係当局の調査を受けていた自動車用部品のカルテルに関して、昨年4月にカナダで同国競争法違反により罰金を課され、同年7月には欧州委員会から欧州競争法違反により制裁金を課す決定を受けた。また、昨年12月および本年1月には、架空送電工事に係るカルテルについて、公正取引委員会より排除措置命令および課徴金納付命令を受け、これに伴い、本年4月および5月には、電気工事業の一部について、国土交通省より建設業法に基づく処分を受けている。このほか、国内外の電力ケーブル事業者等を対象に平成21年1月に開始された欧州委員会による調査の結果として、本年4月に持分法適用の関連会社である㈱ビスキャスとともに、同委員会から制裁金を課す決定を受けた。
当社グループでは、平成20年以降の公正取引委員会の立ち入り検査などを契機として、社外有識者の意見も取り入れながら独占禁止法・競争法違反行為の根絶を図ってきた。今後も、同業他社との接触や価格決定に関する社内ルールの徹底など再発防止のための活動を継続するとともに、独占禁止法・競争法遵守にとどまらず、他の法領域においても、各国・地域における近時の法規制の強化に対応した国内外グループ役職員への教育の充実や、内部監査部門によるモニタリングの強化といった活動をグループを挙げて展開し、コンプライアンスの徹底と信頼の回復に努めていく。
2)日光事業所における大雪被害について
本年2月の関東地方における大雪により、重要な設備に大きな被害はなかったものの、伸銅品を製造する当社日光事業所の工場建屋の一部が損壊する被害が発生した。伸銅品のうち線・棒製品については同2月中に製品の製造および供給を再開したが、条関連製品については中間工程の一部を他社に委託し製造・供給を行なっており、復旧には本年末までかかる見込みである。
当社では、社長を本部長とする「日光雪害復旧対策本部」を中心に、お客様への対応と操業の早期復旧に現在全力で取り組んでいる。また、グループ全体で災害時に備えた事業継続計画の見直しを行ない、今後も安定した製品供給体制の構築を図っていく。
3)中期経営計画 「Furukawa G Plan 2015」の推進
当社グループにおいては、昨年4月に策定した中期経営計画「Furukawa G Plan 2015」において掲げた施策を、今後も着実に実行していく。
本計画を開始した昨年4月から戦略事業単位としての事業部門制に移行し、各事業の運営および収益責任の明確化を図った。当社の各事業を取り巻く環境は国内外で日々変化しており、各事業部門がそれぞれの環境変化に応じ事業戦略を柔軟に見直し、収益力強化へ向けた施策を迅速に実行することにより、当社グループ全体の持続的成長へ向けた基盤構築を図っていく。また、電力・通信インフラ/自動車関連分野における各製品についても、更なる研究開発および新製品開発を進めるとともに、各事業部門がこれらを事業化する施策を着実に実施し、市場での確固たるポジションを早期に構築し、中期経営計画で掲げた成長戦略の実現を目指していく。
このほか、本計画における「グループ・グローバル経営の強化」施策を実行するため、昨年11月には社長を本部長とする「グループ・グローバル経営推進本部」を設置した。この組織を中心に、グローバルに広がる当社グループ各社・各拠点に対する運営の基盤整備と支援を推進する体制を整え、グループ一体となった経営の更なる強化を進めるとともに、各事業の連携や製品の組み合わせ、グループ横断的な営業活動の展開といった取組みも加速させていく。
以上のように、本計画の策定時に掲げた施策を徹底的に遂行し、当社グループの更なる企業価値向上に努めていく。
(2)会社の支配に関する基本方針
Ⅰ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、平成19年3月9日開催の取締役会において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を次のとおり定めている。
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましいと考えております。
もっとも当社は、株式を上場して市場での自由な取引に委ねているため、会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆様全体の意思に基づき決定されるべきであり、会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えます。
しかしながら、当社株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、株主が買付の条件等について検討したり、当社の取締役会が代替案を提案するための充分な時間や情報を提供しないもの、買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、株主共同の利益を毀損するものもありえます。
このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、例外的に当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと判断します。

Ⅱ.基本方針の実現に資する取組み
当社グループは、「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献する」ことを基本理念としている。当社グループの事業領域は、「情報通信」、「エネルギー・産業機材」、「金属」、「電装・エレクトロニクス」など多岐にわたるが、これらの事業は明治17年の創業以来培ってきた素材の加工・応用技術を基盤に、産業の発展に伴い創造してきたものである。その事業創造の過程で、当社グループは、独自の技術、経験および経営ノウハウ等を積み重ねるとともに、顧客、取引先、地域社会、従業員などの様々なステークホルダーとの間の良好な関係の維持、発展に努めてきた。これらは、当社グループの有形・無形の貴重な財産であり、これらを毀損することなく、中長期的な視野で企業価値と株主共同の利益の一層の向上に結びつけるよう努めている。
以上の方針を事業へ展開していくにあたり、当社では、上記「(1)当面の対処すべき課題」に記載のとおり、2015年度までの3ヵ年を対象とする中期経営計画「Furukawa G Plan 2015」を策定し、新興国を中心とした電力・通信といったインフラ市場の旺盛な需要への対応、自動車関連分野におけるアジアを中心とした製造・販売体制の構築のほか、持続的成長に向けた基盤の構築や財務体質の改善に取り組んでいる。
当社では、多数の株主および投資家による当社への長期的な投資を促進するため、企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして、以上のような施策を実施しており、これらの取組みは、上記Ⅰの基本方針の実現にも資するものと考えている。
Ⅲ.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、平成19年6月26日開催の第185回定時株主総会決議により、買収防衛策として「当社株式の大規模買付行為への対応策」を導入し、以降、一部内容を変更するとともに、買収防衛策を更新してきている。現在の買収防衛策は平成25年6月25日開催の第191回定時株主総会決議により、更新されたものである。(以下、現在の買収防衛策を「本プラン」という。)
本プランは、当社株式の大規模買付が行われる場合の手続きを明確にし、株主が適切な判断をするために必要な情報や時間を確保したり、買付者との交渉等が一定の合理的ルールにしたがって行われることを確保することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としており、その概要は次のとおりである。
当社の発行済株式総数の20%以上となる株式の買付または公開買付を実施しようとする買付者には、必要な情報を当社に提出していただき、当該大規模買付行為は取締役会による評価期間(大規模買付行為の方法により、買付者からの必要情報の提供後60日または90日とする。)経過後にのみ開始されるものとし、買付者が本プランの手続きを遵守しない場合や当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう買付であると取締役会が判断した場合、例外的に対抗措置(大規模買付者等による権利行使は認められないとの行使条件を付した新株予約権の無償割当等)を発動する場合がある。ただし、取締役会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外監査役および社外有識者からなる第三者委員会を設置し、第三者委員会は外部専門家の助言を得たうえで、買付内容の検討等を行う。取締役会は対抗措置の発動に先立ち、第三者委員会に対し対抗措置の発動の是非について諮問し、第三者委員会は十分検討した上で対抗措置の発動の是非について勧告を行う。取締役会は、判断に際して第三者委員会の勧告を最大限尊重するものとする。
本プランの詳細は、当社ホームページ(http://www.furukawa.co.jp/)に掲載している。
Ⅳ.基本方針の具体的取組みおよび本プランが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて
当社は、前述のとおり、厳しい経営環境の下、持続的成長に向けた基盤の構築や財務体質の改善等に努めている。これらは当社の業績、経営指標を向上させ、企業価値の増大、株主共同の利益の向上につなげようとする取組みである。また、本プランは、次の理由から、基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致しており、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではない。
1)買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本プランは、経済産業省および法務省が平成17年5月27日に発表した企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針の定める三原則を充足している。
2)株主意思を重視するものであること
本プランは、平成25年6月25日開催の第191回定時株主総会決議により導入したもので、株主の意思が反映されたものとなっている。
3)合理的な客観的要件の設定
本プランにおける対抗措置は、合理的な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえる。
4)独立性の高い社外者の判断の重視
本プランにおける対抗措置の発動等の運用に際しての実質的な判断は、独立性の高い社外者のみから構成される第三者委員会により行われることとされている。また、その判断の概要については株主に情報開示をすることとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に適うように本プランの透明な運営が行われる仕組みが確保されている。
5)デッドハンド型やスローハンド型の買収防衛策ではないこと
株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとしていることから、取締役の選任議案に関する議決権の行使を通じて、本プランに対する株主の意思を反映させることが可能となっている。したがって、本プランは、いわゆる「デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)」ではない。また、当社は、取締役の任期を1年とし、期差任期制を採用しておらず、経営陣の株主に対する責任をより明確なものとしている。したがって、本プランは、いわゆる「スローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)」でもない。