四半期報告書-第193期第3四半期(平成26年10月1日-平成26年12月31日)

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2015/02/10 9:22
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものである。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、引き続き米国経済が回復傾向にある一方で、欧州経済の長期低迷や中国経済の成長鈍化など、不安定要素も見られた。日本経済についても、消費税率の引き上げに伴う家計の委縮による内需の冷え込みや、円高対策として進められた製造拠点の海外移管の影響で、円安が以前ほど輸出増に結びつかず、逆に輸入材料費のコスト増といったマイナス影響も見られ、景気回復はもたついた。
このような状況のもとで、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の当第3四半期連結累計期間の業績は、光ファイバ・ケーブル事業や電力ケーブル事業の海外子会社で回復が見られたものの、軽金属部門を構成していた古河スカイ㈱(現㈱UACJ)が2013年10月から当社の持分法適用の関連会社となったことや、2014年2月に発生した日光事業所における大雪被害による操業停止の影響に加え、自動車部品事業で円安などによる輸入コストが増加したことなどにより、売上高は前年同期比8.8%減の6,324億円、営業利益は前年同期比42.2%減の102億円となった。なお、古河スカイ㈱の持分法適用会社化の影響を除くベースでは、売上高は4.9%増、営業利益は18.8%減となる。経常利益は前年同期比42.4%減の122億円、四半期純利益は前年同期比61.1%減の27億円となった。
セグメントの業績は次のとおりである。
なお、第1四半期連結会計期間より、従来「情報通信」に含めていた一部事業について、開発を更に加速すべく管理所管の見直しを行い、報告セグメントの区分を「サービス等」に変更している。
また、報告セグメントの位置づけをより適切に表示するため、「サービス等」の名称を「サービス・開発等」に変更している。
これに伴い、前年同期比較の数値は、前第3四半期連結累計期間の数値を変更後の報告セグメントの区分に組替えて算出している。
情報通信部門
情報通信部門においては、光ファイバ・ケーブル事業が北米・欧州の需要回復や海外子会社の固定費削減効果、国内のファイバ輸出の円安効果で改善し、タイの携帯電話工事関連事業も好調を維持したものの、国内のプロジェクト品の減少などから、当部門の売上高は1,137億円(前年同期比2.0%増)、営業利益は41億円(前年同期比7.7%減)となった。
エネルギー・産業機材部門
エネルギー・産業機材部門においては、国内の中低圧電力ケーブル事業が輸送費増などから採算悪化したものの、中国での高圧電力ケーブル事業が構造改革と売上増で回復したことに加え、スマートフォンなどに使用される半導体の製造用テープが好調に推移したことなどから、当部門の売上高は2,158億円(前年同期比3.8%増)、営業利益は25億円(前年同期比109.7%増)となった。
電装・エレクトロニクス部門
電装・エレクトロニクス部門においては、放熱製品事業は好調だったが、自動車部品事業で円安や日光雪害による部材調達のコスト増に加え、一部顧客の国内自動車生産の減少などの影響もあり、当部門の売上高は2,224億円(前年同期比5.5%増)、営業利益は75億円(前年同期比20.8%減)となった。
金属部門
金属部門においては、銅箔事業で国内拠点での減損による償却費減の効果があったもの、銅条事業が2014年2月に発生した日光事業所における大雪被害による売上減や外部委託費増加などにより、売上高は984億円(前年同期比2.7%減)、営業損失は38億円(前年同期比15億円悪化)となった。
軽金属部門
軽金属部門においては、前述の通り、当部門を構成していた古河スカイ㈱(現㈱UACJ)が、2013年10月から当社の持分法適用の関連会社となっている。なお前年同期の売上高は966億円、営業利益は44億円であった。
サービス・開発等部門
サービス・開発等部門においては、情報処理・ソフトウェア開発、物流、各種業務受託等による当社グループの各事業のサポート、不動産の賃貸、水力発電、新製品研究開発の推進等を行っているが、当部門の売上高は392億円(前年同期比24.0%増)、営業損失は2億円(前年同期比4億円悪化)となった。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
①当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はない。
②会社の支配に関する基本方針
Ⅰ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、平成19年3月9日開催の取締役会において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を次のとおり定めている。
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する者が望ましいと考えております。
もっとも当社は、株式を上場して市場での自由な取引に委ねているため、会社を支配する者の在り方は、最終的には株主の皆様全体の意思に基づき決定されるべきであり、会社の支配権の移転を伴う買付提案に応じるかどうかの判断も、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えます。
しかしながら、当社株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、株主が買付の条件等について検討したり、当社の取締役会が代替案を提案するための充分な時間や情報を提供しないもの、買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、株主共同の利益を毀損するものもありえます。
このような大規模な買付行為や買付提案を行う者は、例外的に当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと判断します。

Ⅱ.基本方針の実現に資する取組み
当社グループは、「世紀を超えて培ってきた素材力を核として、絶え間ない技術革新により、真に豊かで持続可能な社会の実現に貢献する」ことを基本理念としている。当社グループの事業領域は、「情報通信」、「エネルギー・産業機材」、「金属」、「電装・エレクトロニクス」など多岐にわたるが、これらの事業は明治17年の創業以来培ってきた素材の加工・応用技術を基盤に、産業の発展に伴い創造してきたものである。その事業創造の過程で、当社グループは、独自の技術、経験および経営ノウハウ等を積み重ねるとともに、顧客、取引先、地域社会、従業員などの様々なステークホルダーとの間の良好な関係の維持、発展に努めてきた。これらは、当社グループの有形・無形の貴重な財産であり、これらを毀損することなく、中長期的な視野で企業価値と株主共同の利益の一層の向上に結びつけるよう努めている。
以上の方針を事業へ展開していくにあたり、当社では、2015年度までの3ヵ年を対象とする中期経営計画「Furukawa G Plan 2015」を策定し、新興国を中心とした電力・通信といったインフラ市場の旺盛な需要への対応、自動車関連分野におけるアジアを中心とした製造・販売体制の構築のほか、持続的成長に向けた基盤の構築や財務体質の改善に取り組んでいる。
当社では、多数の株主および投資家による当社への長期的な投資を促進するため、企業価値ひいては株主共同の利益を向上させるための取組みとして、以上のような施策を実施しており、これらの取組みは、上記Ⅰの基本方針の実現にも資するものと考えている。
Ⅲ.基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、平成19年6月26日開催の第185回定時株主総会決議により、買収防衛策として「当社株式の大規模買付行為への対応策」を導入し、以降、一部内容を変更するとともに、買収防衛策を更新してきている。現在の買収防衛策は平成25年6月25日開催の第191回定時株主総会決議により、更新されたものである。(以下、現在の買収防衛策を「本プラン」という。)
本プランは、当社株式の大規模買付が行われる場合の手続きを明確にし、株主が適切な判断をするために必要な情報や時間を確保したり、買付者との交渉等が一定の合理的ルールにしたがって行われることを確保することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることを目的としており、その概要は次のとおりである。
当社の発行済株式総数の20%以上となる株式の買付または公開買付を実施しようとする買付者には、必要な情報を当社に提出していただき、当該大規模買付行為は取締役会による評価期間(大規模買付行為の方法により、買付者からの必要情報の提供後60日または90日とする。)経過後にのみ開始されるものとし、買付者が本プランの手続きを遵守しない場合や当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なう買付であると取締役会が判断した場合、例外的に対抗措置(大規模買付者等による権利行使は認められないとの行使条件を付した新株予約権の無償割当等)を発動する場合がある。ただし、取締役会は、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外監査役および社外有識者からなる第三者委員会を設置し、第三者委員会は外部専門家の助言を得た上で、買付内容の検討等を行う。取締役会は対抗措置の発動に先立ち、第三者委員会に対し対抗措置の発動の是非について諮問し、第三者委員会は十分検討した上で対抗措置の発動の是非について勧告を行う。取締役会は、判断に際して第三者委員会の勧告を最大限尊重するものとする。
本プランの詳細は、当社ホームページ(http://www.furukawa.co.jp/)に掲載している。
Ⅳ.基本方針の具体的取組みおよび本プランが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて
当社は、前述のとおり、厳しい経営環境の下、持続的成長に向けた基盤の構築や財務体質の改善等に努めている。これらは当社の業績、経営指標を向上させ、企業価値の増大、株主共同の利益の向上につなげようとする取組みである。また、本プランは、次の理由から、基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致しており、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではない。
1)買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本プランは、経済産業省および法務省が平成17年5月27日に発表した企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針の定める三原則を充足している。
2)株主意思を重視するものであること
本プランは、平成25年6月25日開催の第191回定時株主総会決議により導入したもので、株主の意思が反映されたものとなっている。
3)合理的な客観的要件の設定
本プランにおける対抗措置は、合理的な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しているものといえる。
4)独立性の高い社外者の判断の重視
本プランにおける対抗措置の発動等の運用に際しての実質的な判断は、独立性の高い社外者のみから構成される第三者委員会により行われることとされている。また、その判断の概要については株主に情報開示をすることとされており、当社の企業価値・株主共同の利益に適うように本プランの透明な運営が行われる仕組みが確保されている。
5)デッドハンド型やスローハンド型の買収防衛策ではないこと
株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとしていることから、取締役の選任議案に関する議決権の行使を通じて、本プランに対する株主の意思を反映させることが可能となっている。したがって、本プランは、いわゆる「デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)」ではない。また、当社は、取締役の任期を1年とし、期差任期制を採用しておらず、経営陣の株主に対する責任をより明確なものとしている。したがって、本プランは、いわゆる「スローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)」でもない。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における研究開発費は123億円である。
また、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に生じた重要な変更の内容は、次のとおりである。
GaN(窒化ガリウム)は、永年の活動の成果を活かすべく、平成26年4月にGaNパワーデバイス市場のリーダーであるTransphorm, Inc.(アメリカ合衆国カリフォルニア州)に出資を行なった。今後同社と研究開発分野のコラボレーションを図るなど、戦略的なパートナーシップを構築し、両社のGaNパワーデバイスに関連する製品群の強化、育成を図る(関連部門:電装・エレクトロニクス部門)。
また平成26年11月、従来の製品別の研究開発から研究ステージ(基礎研究・要素技術開発・製品開発)別の研究開発体制への移行を目的として、6研究所から4研究所へ再編する研究開発組織の改革を行なった。新体制は、当社グループのコア技術を集結し、技術力の向上、技術融合により新たな価値を創出し新製品開発に繋げる研究所として「コア技術融合研究所」、新事業の実現・成長を目指した先端技術の研究に取り組む「先端技術研究所」、現中期経営計画におけるターゲット領域(自動車、インフラ)での製品開発に注力する「自動車・エレクトロニクス研究所」および「情報通信・エネルギー研究所」の4研究所で構成されている。
(4) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は、広範かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額または、数量で示すことはしていない。