有価証券報告書-第203期(2024/04/01-2025/03/31)

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2025/06/23 11:34
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【項目】
214項目
② 戦略
<25中計における人材マネジメント戦略>経営戦略・事業戦略の実行にあたり、対話を通じた成長ベクトルのすり合わせを行うことで、個人と組織がともに成長し実行力を向上させ、社会課題を解決しビジョン2030を達成します。(図1)
(図1)古河電工グループの人材マネジメント戦略

経営戦略・事業戦略を実行する上で必要な人材を集めて 組織を形成し、その人材の成長を組織が支援して活躍してもらうことで、やりがいを感じながら活躍し続けられる組織風土を醸成していくストーリーを描き、それらをWill・Can・Needsの3つの要素で捉えて具体的な活動に取り組んでいます(表1)。
日常の事業活動の中で3つの要素に関わる課題を抽出し、戦略に応じた形で改善に取り組むことで、事業戦略の実現と持続的な業績向上へ貢献し、ビジョン2030を達成します。
(表1)Will・Can・Needsの3要素について
Will・Can・Needsとは2024年度の主な課題・取組み内容ありたい姿
1)Needsを共有
組織は、個人が活躍していく場を役割と機能・組織・取り扱う情報の編成を通じて明確に示し、個人はそれを明確に知り理解できる。
・中期的に人材を確保していくためのサクセッションプランの策定、全体の人材確保のための採用力強化への取組み。
・目標管理制度の運用強化に取組み、実行力の向上に向けて個人と組織がベクトルをすり合わせる仕組みを構築。
・「人権・労働慣行」及び労務分野のリスクの対応への取組み(ガバナンス強化の観点)。
・事業戦略遂行に必要な人材(当社グループが誠実に磨きつづけてきた技術力と提案力を活かして、社会課題解決を起点とした事業創出や価値創造に向かって積極的に変革できる人材)が確保されている状態。
・公平性の高い人事制度が公正に運用されている状態。
2)Canを増やす
組織は、個人が活躍していくための成長を支援し(知識経験を得る機会の提供)、個人は自律的なキャリアを描き自ら学ぶ。
・教育の提供が限定的であった従来の階層別中心の教育体系を見直し、より多くの個人が知識・スキルを獲得できるようなキャリア自律支援、リスキリング(※)への取組み。
※ 当社グループのリスキリングの定義:
新規・既存問わず、業務遂行において必要な知識・スキルを自律的に学ぶこと。
・事業戦略遂行に必要な組織と個人の成長の観点から必要とされるキャリアパスや能力・スキルを明示し、個々人がキャリアゴールを明確に描き、自律的な学びを通じて成長できる状態。
・当社グループの技術力と提案力を通じて顧客と共創し、顧客の課題解決と当社グループの収益拡大を実現できる人材が育成されている状態。
3)Willを高める
個人がその場に魅力を感じ、やりがいを得て、さらに成長・活躍していく。
・多様な個人が当社グループのパーパスに共感し、働きがいを感じながら、能力・技術を磨き、発揮し続けられるための理念浸透、D&I推進、エンゲージメント向上への取組み。・経営のマテリアリティのひとつである「人材・組織実行力の強化」を目指し、個人が当社グループのパーパスに共感し、成長・活躍し続けたいと思えるようなエンゲージメントの高い組織風土が醸成されている状態。
さらに、個人の成長・活躍をチームとしての成果へ繋げるリーダーシップが発揮されチームマインドが醸成されている状態。

<具体的な活動>1)Needsを共有
a)サクセッションプランと育成計画の立案
経営人材及び各組織の部長候補の育成を目的として、サクセッションプランと育成計画を策定し、実行しています。経営人材については、外部アセスメントを活用した人材プールの形成や外部研修への派遣を進めるとともに、育成計画に基づくタフアサインメントを含む計画的な異動を進めています。また、社外取締役が過半を占める指名・報酬委員会において、経営人材育成の仕組みの適正性及び運用状態をモニタリングするとともに、執行役員の登用やCEOサクセッションプランに関して複数年かけて計画的に取り組んでいます。部長層のサクセッションプランについては2023年度に全組織にて策定したプランと育成計画に基づき継続して実行に取り組んでいます。また、課長層については、各組織と人事部門との議論を通じ、部長候補へのパイプラインを意識したサクセッションプランを策定しました。2025年度はそのプランに基づいて育成計画を策定し、実行していきます。
b)採用力の向上
経営戦略、事業戦略の実行に向けた多様な人材を確保する体制構築に取り組んでいます。2024年度は採用活動の業務効率化に取組み、特にキャリア採用において、各組織からの採用要請に効率的に応える採用オペレーションの確立や採用リードタイムを短縮(前年比△47%)しました。その他の取組みについては以下のとおりです。
・キャリア採用・・・リファラル採用の導入、入社後の定着フォロー体制の強化
・新卒採用・・・・・コース別採用(※)の導入、採用媒体の刷新(会社案内や新卒採用WEBサイト)
※ 初任配属時の職種を「事業推進」「組織管理」「ポテンシャル」にグルーピングしコース化
c)目標管理制度の運用見直しとフォロー
2021年の人事制度改定では、「チャレンジの促進」「シンプル&オープン」「人材育成」をコンセプトとし、目標管理制度の運用見直しを行いました。個々人の目標達成を上位方針の達成、業績向上につなげることを目指し、部や課の方針と個々人の目標管理の連動を強化しています。具体的には、組織目標設定時のメンバーの参画、資格毎の役割期待を踏まえた「重要度」や「資格相当度」の設定、部門内での目標ランクの基準を合わせる調整会議の実施等を行っています。2024年度に実施した期首目標面談に関するアンケート調査では、90%以上の従業員が組織方針について「十分理解できた」あるいは「概ね理解できた」と肯定的に捉えています。
d)「人権・労働慣行」及び労務分野のリスクの対応
「人権・労働慣行」のリスクに対しては、人権尊重に対する企業の責任を果たすため、古河電工グループ人権方針に基づいた人権を尊重した事業活動の推進、人権デューディリジェンスを実施しています。また、内部通報やコンプライアンス意識調査の結果を分析し、必要な改善策を実施しています。さらに、従業員を代表する労働組合とも意識を共有し、負の影響の防止・低減に向けた対話も行っています。
労務分野におけるリスク低減に向けては、グローバルでは当社グループが進出している各国の法令に基づいた労務コンプライアンスの遵守状況確認のためのチェックリストを作成し、グループ全体での労務リスクを定期的に確認しています。さらに、国内ではグループ会社の人事担当責任者が集い、当社グループにおける人事・労務に関する取組みの方針や課題を共有する場を年2回開催し、連携強化に努めています。
2)Canを増やす
a)リスキリング
当社グループでは、事業戦略を実現するために組織と個人の双方の成長に必要な能力・スキルと現状とのギャップを可視化し、能力・スキル獲得に向けた仕組みづくりについて、経営層や各組織と議論しました。その結果、当社グループのリスキリングの定義を「新規・既存問わず、業務遂行において必要な知識・スキルを自律的に学ぶこと」としました。
具体的には、個人のスキル習得・成長のプロセス(図2)を支援するために、「一部の個人が、決まったタイミングと回数と場所で、全員で一律のスキルを学ぶ環境」から、「個人が、いつでも、どこでも、何度でも、多種多様なスキルを学ぶことができる環境」へ変更し、その機会提供を可能にする新たなEラーニングシステムを2024年度に導入しました。これにより、個人が自由に多種多様なスキルを学べる環境が提供され、さらに一部の研修を置き換えることで個人のタイミングでいつでも受講や予習復習をすることが可能になりました。また、従来の研修カリキュラムの事前・事後学習にEラーニングを活用し、学びを最大化する連携にも取り組んでいます。さらに、職場や組織の垣根を超えた学び合いの機会を創出する等の場を提供しています。今後もさらに個人の自律的な学びや成長の支援に取り組んでいく予定です。
(図2)個人のスキル習得・成長のプロセス

b)グローバル人材育成体系
「グローバルビジネスリーダー(GBL)研修」を2006年度から開始し、2013年度からは、グローバル人材の育成の観点を強化した「グローバル・マインドセット・プログラム(GMP)」に衣替えして継続実施しています。また、海外の現地従業員を対象に「グローバル・デベロップメント・プログラム(GDP)」を2010年度から実施しており、グループの結びつきの強化を狙って、一部のカリキュラムをGMPと合同で実施しています。さらに、2014年度からは一定期間にわたり若手従業員を海外に派遣する「グローバル・チャレンジ・プログラム(GCP)」を開始し、多様な人材の確保と成長の場を提供しています。
c)キャリア自律支援
ⅰ)キャリアサポート室
2021年度にキャリアサポート室を立ち上げ、年代・階層別のキャリアデザイン研修やキャリア形成に役立つセミナーの開催、個別のキャリア面談実施等、既存の人事制度と連携しながら従業員の自律的キャリア形成を支援する取組みを行っています。
ⅱ)個人がキャリアを選択する仕組み
2021年度より社内副業制度(Fキャリアチャレンジ)を運用開始しており、業務の20%を上限に、自ら手をあげて、興味あるプロジェクトに参加することで、自身の成長・やりがい・キャリア形成に結び付けてもらう仕組みとしています。制度はじまって以来72プロジェクト、170名が参加(2024年度は24プロジェクト、58名が参加、増加傾向)しており、受け入れ部門によい刺激を与え、本人のモチベーションが向上し、送り出し部門にも良い影響を与えています。2024年度は、より従業員の自律的なキャリア実現を加速させるため、従業員が自ら手をあげ異動が可能な社内公募制度を本導入しました。社内求人数82件に対し応募者数34名、マッチング数13名となり、2023年度の試行導入時(社内求人数57件、応募者数34名、マッチング数10名)を上回る結果となりました。いずれの制度においても、認知度の向上に伴い、キャリア自律支援が個人と組織に良い影響を与えており、今後も継続して取り組んでいきます。
3) Willを高める
a)理念浸透
当社グループでは、経営の判断軸となり、従業員一人ひとりが当社グループで誇りを持って働くことにつながる当社グループの存在意義を示した「古河電工グループ パーパス」を2024年3月に制定し、これまでの理念体系を見直しました。
パーパスの浸透には、認知・理解・共感・行動の4つのステップがあると捉え、2024年度はまず認知拡大を、そして理解・共感の醸成を目的とした施策を開始しました。認知拡大については、トップメッセージ発信、グループ報特集号発行、動画発信、ポスター掲示、クレドカード配布のほか、パーパスをテーマにしたTVCM放映等を行いました。また、理解・共感の醸成に関しては、当社グループ全体のパーパスと、それぞれの組織や従業員自身とのつながりを考えてもらう機会をつくりました。具体的には、組織については、当社グループの経営層を対象にワークショップを開催し、「古河電工グループパーパス」が各自の組織にとってはどのような意味を持っているのかをグループ討論し、各組織のパーパスを作成しました。その上で、そこに込めた思いも含めて、自部門に自分の言葉で伝えてもらう取組みを行いました。また、個人については、トライアルとして、本部系組織の管理職を対象に、自分にとって重要な価値観(個人のパーパス)を探すゲーム等を通じて、楽しみながらパーパスについて考える「マイパーパスワークショップ」を実施しました。
当社グループの理念体系では、将来に向けて持続的に成長していく上で特に大事にし、より強化していきたい価値観を「Core Values」として定めており、その浸透に向けたワークショップを定期的に開催するとともに、日常的な会議の場での振り返り等を行い、浸透に向けた取組みを継続して実施しています。
従業員一人ひとりがやりがいや成長実感を得て自身の存在意義を感じ、組織のエンゲージメント向上や目標達成につなげるため、パーパスを「自分事化」し、「Core Values」に基づいて日々行動する状態を目指して、粘り強く取り組んでいきます。
b)エンゲージメント
従業員一人ひとりがパーパスに共感し、当社グループで成長・活躍し続けたいと思えるようなエンゲージメントの高い組織風土を醸成することで、事業戦略の遂行に必要な多くの人材が成長・活躍し、持続的な企業価値向上に貢献できると考えています。そのために、人材・組織の状態を可視化し、その結果を踏まえた改善施策を事業活動に反映する目的で、2022年度より人材・組織実行力調査「フルカワEサーベイ」を開始しました。この調査における「従業員エンゲージメント」のスコアを25中計におけるサステナビリティ指標として目標を設定し、各種施策を着実に実行しています。
エンゲージメント向上に向けては、単体各部門や一部の関係会社と人事部門で調査結果を踏まえて対話を行い、組織の悩み事や人材マネジメントにおける課題を特定しました。その改善活動においては人事部門が伴走支援を行いました。また、対話を通じて得られた各組織の取組みを「好事例」として社内ポータルサイトに掲載し広く情報共有しました。
また、サーベイ結果を分析したところ、エンゲージメントスコア向上に相関が高い「理念・方針の浸透度」「業務運営の効率性の向上」については改善傾向が見られました。また、単体各部門との対話から「上司部下のコミュニケーションが改善した」「組織運営体制の強化が必要」「管理職層の一層のマネジメントスキル向上が必要」等の定性情報が得られたことから、特に単体においては、次の改善活動に重点を置いて取り組んでいます。
・理念・方針の一層の浸透
部門長や上司がパーパス、事業戦略・目標についてしっかり伝え、従業員一人ひとりが自分事化し、やりがいと成長実感を持ちながら仕事に向き合えるように、各組織でコミュニケーションの強化・改善を行う。
・業務運営の効率性の向上
成果の創出や目標達成に向けて「業務プロセスや組織運営」を改善し、より生産性の高い組織に変化することを目指して、管理職層のマネジメントスキルの向上に取り組む。
c)ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進
D&Iを、企業成長に向けた人材基盤の強化の重要な要素として取組みを推進しています。社長を委員長としたHK・D&I委員会を設置し、全社を挙げて積極的な取組みを展開しています。それらの取組みは、社外からも評価され、女性活躍推進法に基づく優良企業「えるぼし」三段階目に認定されています。

女性活躍推進については、特に意思決定層の多様性確保が重要と考え、管理職層の女性比率を25中計におけるサステナビリティ指標に設定しています。女性従業員の少なさを課題と捉え、採用から育成・登用までパイプラインを充実させる取組みを進めています。育成・登用については、各部門と人事部門が人材プールやポストの可能性について相互認識を深め、女性管理職候補者層の個別育成計画を策定・実行しています。当社の男女賃金差異については、資格・職群毎に見ると制度面では賃金差が生まれにくい仕組みを整えていますが、管理職層に比べて一般職層の女性比率が高いことが賃金差の主要因と捉えており、特に子育て世代の男女の働き方の違いによる影響が考えられます。そのため、パイプラインを充実させる取組みを継続するとともに、両立支援の観点で職場環境の整備、従業員への情報発信と啓蒙活動に取り組んでいきます。
また、働き方改革では、より多くの人に活躍してもらい、生産性を高めるために、「ワークスタイル変革」と「組織風土改革」の両面から、さまざまな施策を推進しています。育児や介護等のライフイベントとの両立支援施策、遠隔地勤務制度の導入やコロナ禍以降もテレワークと出社を組み合わせたハイブリッドな働き方を推奨する等、柔軟な働き方が可能な制度を拡充し、従業員のワークライフバランスの向上に取り組んでいます。なお、2007年からは仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組んでいる企業「くるみん」認定事業主として、積極的に子育て支援の充実に取り組んでいます。さらに、2025年度からは「男性育休取得率100%」という目標を掲げ、具体的な活動を計画し、目標達成に向けて取り組んでいきます。

障がい者雇用推進については、社会的責務を果たすことに加えて、D&Iの観点から共生社会の実現に向けて貢献するべく積極的な取組みを進めています。グループ各社及び特例子会社古河ニューリーフ㈱での雇用拡大と、バリアフリー化やリモートワーク導入等の職場環境や働き方の更なる改善を進め、より働きやすい環境を整備していきます。
d)リーダーシップ・チームマインド
「チームで成果を上げる」組織を目指し、2020年に「良いチームをつくる」リーダーとなるための大事な1つの心構えと6つの行動原則「古河電工流上司心得七則(フルカワセブン)」を定めました。役員及び課長以上の管理職が周囲に「行動宣言」し日々実践するとともに、360度フィードバックによる振り返りを実施し、更なる行動変容に繋げています。取組みを開始して5年が経過し、リーダーの意識・行動に良い変化が見られ、チームにおけるメンバーの関係性が改善してきました。今後は、チーム活動と成果との結びつきによりフォーカスし、チーム力の更なる強化に向けた取組みを加速していきます。
e)安全衛生と健康経営の推進
ⅰ)従業員の安全・衛生
主に労働災害、交通事故、疾病等による、従業員の死亡、就業不可、障がいの残存、長期休業、体調不良といったリスクを認識し、事業継続の大前提として「安全と健康を全てに優先する」との考えから様々な施策を展開しています。安全については災害ゼロに向けた3つのアプローチ(①安全人間化教育による安全知識の付与と実践、②本質安全化活動による設備の安全化推進、③安全管理レベルの向上による安全組織の構築)により安全推進活動を進めています。
ⅱ)健康経営の推進
健康経営を、従業員一人ひとりが身体的・精神的・社会的に良好な状態(well-being)を目指すことと定義し、従業員の活力やパフォーマンスが上がることが組織や企業の成長にもつながるとの考えのもと、全社一丸となって健康経営の諸施策を推進しています。当社グループでは、経営的な視点から、戦略的に従業員の健康管理・健康づくりに取り組む「健康経営」を推進していくため、2017年に「古河電工グループ健康経営宣言」を制定し、従業員が健康意識を高め、自らの健康づくりに積極的に取り組んでいくための支援を行っています。具体的には、健康経営戦略MAPを策定し、「ヘルスリテラシー」「メンタルヘルス」「生活習慣」「運動機能」「喫煙」を重要な5本柱を軸とした各施策を検討し、取組みを推進しています。
これらの活動が評価され、2017年から9年連続で「健康経営優良法人」に認定されています。

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