有価証券報告書-第202期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/24 15:20
【資料】
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【項目】
212項目
② 戦略
<25中計における人材マネジメント戦略>経営戦略・事業戦略の実行にあたり、対話を通じた成長ベクトルのすり合わせを行うことで、個人と組織がともに実行力を向上させ成長するとともに、社会課題を解決しビジョン2030を達成します。(図1)
(図1)古河電工グループの人材マネジメント戦略

個人と組織がともに成長していくためには、「魅力的な個人」と「魅力的な組織」であることが必要不可欠であると考えています。組織は個人が活躍する場をつくり、伝え、そこで活躍していくための成長を支援します。そして、個人がその場(組織や職場環境)に魅力を感じてもらい、さらに活躍し続けてもらうと同時に、組織の持続的な成長・成功につなげていくことを目指します。そのために、人と組織について6つの視点・要素から働きかけを行い、活動の全体像を把握するとともに、日常の事業活動の中で、意識的に改善に向けた取組みを推進していきます。(図2)
(図2)人と組織の成長に向けた具体的活動の枠組み

<具体的な活動>■組織構造・人員構成、採用・配置■
経営戦略・事業戦略に必要な組織体制及び人材の獲得・定着を目指し、後継者育成、要員管理の取組みを展開しています。
(1)サクセッションプランと育成計画の立案
経営人材及び各組織の部長候補の育成を目的として、サクセッションプランと育成計画を策定し、実行しています。経営人材については、外部アセスメントを活用した人材プールの形成や外部研修への派遣を進めるとともに、育成計画に基づくタフアサインメントを含む計画的な異動を進めています。また、社外取締役が過半を占める指名・報酬委員会において、経営人材育成の仕組みの適正性及び運用状態をモニタリングするとともに、執行役員の登用やCEOサクセッションプランに関して複数年かけて計画的に取り組んでいます。部長層のサクセッションプランについては、2023年度に全組織にてサクセッションプランと育成計画の策定まで完了しました。2024年度は、さらに部長候補へのパイプラインを意識した課長層のサクセッションプラン策定と育成について、各組織と人事部門との議論を進めます。
(2)採用力の向上
① キャリア採用
経営戦略、事業戦略の実行に向けた多様な人材の確保という観点で、キャリア採用活動に継続的に注力して取り組んでいきます。
② 新卒採用
採用環境の変化に加え、就職に対する学生の意識変化もあり、人材獲得競争は激しさを増しています。学生に対する訴求力向上の一環として、初任配属時の職種をある程度限定した「コース別採用」を導入しました。配属する職種を限定することで、キャリアパスの解像度を高め、個々人の成長イメージを描きやすくし、多様な考えを持った優秀な人材の獲得を推進していきます。
■情報の流れ・調整・意思決定の仕組み■
(1)目標管理制度の運用見直しとフォロー
2021年の人事制度改定では、「チャレンジの促進」「シンプル&オープン」「人材育成」をコンセプトとし、目標管理制度の運用見直しを行いました。個々人の目標達成を上位方針の達成、業績向上につなげることを目指し、部や課の方針と個々人の目標管理の連動を強化しています。具体的には、組織目標設定時のメンバーの参画、資格毎の役割期待を踏まえた「重要度」や「資格相当度」の設定、部門内での目標ランクの基準を合わせる調整会議の実施等を行っています。2023年度に実施した2022年度期首目標面談に関するアンケート調査では、90%以上の従業員が自身に求められる目標のレベル感が「把握できた」あるいは「概ね把握できた」と肯定的に捉えています。
(2)「人権・労働慣行」及び労務分野のリスクへの対応
「人権・労働慣行」のリスクに対しては、人権尊重に対する企業の責任を果たすため、古河電工グループ人権方針に基づいた人権を尊重した事業活動の推進、人権デューディリジェンスを実施しています。また、内部通報やコンプライアンス意識調査の結果を分析し、必要な改善策を実施しています。
労務分野におけるリスク低減に向けては、グローバルでは当社グループが進出している各国の法令に基づいた労務コンプライアンスの遵守状況確認のためのチェックリストを作成し、グループ全体での労務リスクを定期的に確認する仕組みを確立しました。また、結果を踏まえた改善さらに、国内ではグループ会社の人事担当責任者が集い、当社グループにおける人事・労務に関する取組みの方針や課題を共有する場を年2回開催し、連携強化に努めています。

■業務スキル・職務遂行能力■
経営戦略・事業戦略の実現と、多様な人材の挑戦と成長を支援する両面の観点から、各種施策を展開しています。
(1)人材育成
① リスキリング施策
2023年度には、事業戦略を実現するために組織と個人、双方の成長の観点から必要とされる能力・スキルと現状とのギャップの可視化、及び能力・スキル獲得に向けた仕組みづくりについて、経営層や各組織と議論し、当社グループのリスキリングの定義を「新規・既存問わず、業務遂行に置いて必要な知識・スキルを自律的に学ぶこと」としました。
具体的には、個人のスキル習得・成長のプロセス(図3)を支援するために、「一部の個人が、決まったタイミングと回数と場所で、全員で一律のスキルを学ぶ環境」から、「個人が、いつでも、どこでも、何度でも、多種多様なスキルを学ぶことができる環境」へ変更し、その機会提供を可能にする新たなEラーニング・システムを2024年度に全社導入することを決定しました。これにより、個人がいつでも多種多様なスキルを学習できるコンテンツを提供し、さらに各種研修カリキュラムとの連携や、職場や組織の垣根を超えた学び合いの機会を創出すること等、個人の自律的な学びの支援を進めていきます。
(図3)個人のスキル習得・成長のプロセス

② グローバル人材育成体系
「グローバルビジネスリーダー(GBL)研修」を2006年度から開始し、2013年度からは、グローバル人材の育成の観点を強化した「グローバルマインドセットプログラム(GMP)」に衣替えして継続実施しています。また、海外の現地従業員を対象に「グローバルデベロップメントプログラム(GDP)」を2010年度から実施しており、グループの結びつきの強化を狙って、一部のカリキュラムをGMPと合同で実施しています。
さらに、2014年度からは一定期間にわたり若手従業員を海外に派遣する「グローバル・チャレンジ・プログラム(GCP)」を開始し、多様な人材の確保と成長の場を提供しています。
(2)キャリア形成支援
① キャリアサポート室
2021年度にキャリアサポート室を立ち上げ、年代・階層別のキャリアデザイン研修やキャリア形成に役立つセミナーの開催、個別のキャリア面談実施等、既存の人事制度と連携しながら従業員の自律的キャリア形成を支援する取組みを行っています。
② 個人がキャリアを選択する仕組み
2021年度より社内副業制度(Fキャリアチャレンジ)を運用開始しており、業務の20%を上限に、自ら手をあげて、興味あるプロジェクトに参加することで、自身の成長・やりがい・キャリア形成に結び付けてもらう仕組みとしています。制度はじまって以来48プロジェクト、112名が参加しており、受け入れ部門によい刺激を与え、本人のモチベーションが向上し、送り出し部門にも良い影響を与えています。
2023年度は、より従業員の自律的なキャリア実現を加速させるため、従業員が自ら手をあげ異動をすることが可能な社内公募制度を試行導入し、社内求人数57件に対して応募者数34名、マッチング数10名となりました。結果を踏まえて2024年度に本導入を決定しています。
■コミュニケーション・組織風土■
(1)ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の推進
D&Iを「人材・組織実行力の強化」における重要な要素と位置づけ、社長直下のHK・D&I委員会を設置し、全社を挙げて積極的な取組みを展開しています。
① 女性活躍推進
企業成長の基盤として特に意思決定層の多様性確保が重要と考え、管理職層の女性比率を25中計におけるサステナビリティ指標に設定し、取組みを進めています。女性従業員の絶対数が少ないことを最大の課題と捉え、採用から中核人材の育成・登用まで、すべての局面でパイプラインを維持・強化する取組みを粘り強く進めるとともに、女性自身やその上司がキャリアアップを前向きに捉えられるよう、上司のリーダーシップ変革、フィードバック強化、柔軟な働き方の整備、自律的なキャリア形成支援といった全社的な組織風土・環境整備も並行して実施しています。
2023年度は、各部門と人事部門で対話を重ねる中で人材プールや配置ポストの可能性について相互認識を深め、各部門で女性管理職候補者層の個別育成計画の作成に着手しました。また、女性役員による講演会や管理職一歩手前層を対象としたラウンドテーブル等のマインドセット施策も実施しました。これらの取組みが評価され、女性活躍推進法に基づく優良企業「えるぼし」三段階目に認定されています。また、2023年度には、NPO法人J-Winが主催する「ダイバーシティ・アワード」ベーシック部門アチーブメント大賞を受賞しました。


② 働き方改革
生産性と働きがいの向上をねらいとする「ワークスタイル変革」と、当社グループのCore Valuesの体現を促進することを狙いとした「組織風土改革」の両面から、さまざまな施策を推進しています。
個人の挑戦や成長を支援し、個々人がより能力を発揮するための施策として、妊娠・出産、育児、介護等の多様なライフイベントと業務との両立を支援する制度や、各種休暇制度、フレックスタイム制やテレワーク制度等を拡充し、従業員のワークライフバランスの向上に取り組んでいます。2007年より仕事と子育ての両立支援に積極的に取り組んでいる企業「くるみん」認定事業主として、積極的に子育て支援の充実に取り組んでいます。

2023年5月には、新型コロナの5類感染症移行に伴い、コロナ禍以降の働き方に関する方針を策定しました。今後も従業員の働きがいと生産性向上を目指し、リモートワークと対面の双方のメリットを最大限活用するハイブリッドなワークスタイルを推進していきます。
③ 障がい者雇用推進
社会的責務を果たすだけでなく、企業成長の基盤として多様な人材や組織の可能性を追求するD&Iの観点から、障がい者の方に働いていただける環境の拡大を目指し、積極的な取組みを進めています。
グループ各社及び特例子会社古河ニューリーフ㈱での雇用拡大と、リモートワークやバリアフリー等の職場環境や働き方の更なる改善を進め、より働きやすい環境を整備していきます。
グループ全体での取組みとしてグループ適用拡大を進めています。2023年度は、障がいを持つ方が従事している職務が限定的であるということを重点課題として、職域拡大を目的に古河ビジネス&ライフサポート㈱をグループ適用会社として追加しました。
(2)安全衛生と健康経営の推進
① 従業員の安全・衛生
主に労働災害 、交通事故、疾病等による、従業員の死亡、就業不可、障がいの残存、長期休業、体調不良といったリスクを認識し、事業継続の大前提として「安全と健康を全てに優先する」との考えから様々な施策を展開しています。安全については災害ゼロに向けた3つのアプローチ(①安全人間化教育による安全知識の付与と実践、②本質安全化活動による設備の安全化推進、③安全管理レベルの向上による安全組織の構築)により安全推進活動を進めています。
② 「健康経営の推進」
健康経営を、従業員一人ひとりが身体的・精神的・社会的に良好な状態(well-being)を目指すことと定義し、従業員の活力やパフォーマンスが上がることが組織や企業の成長にもつながるとの考えのもと、全社一丸となって健康経営の諸施策を推進しています。当社グループでは、経営的な視点から、戦略的に従業員の健康管理・健康づくりに取り組む「健康経営」を推進していくため、2017年に「古河電工グループ健康経営宣言」を制定し、従業員が健康意識を高め、自らの健康づくりに積極的に取り組んでいくための支援を行っています。具体的には、以下のようなユニークな取組みを行っています。
・2025年に向けた「産業保健の中期5ヵ年計画」を策定し、ヘルスリテラシー向上・喫煙対策・メタボリック対策・メンタルヘルス対策・身体機能向上施策、熱中症対策、化学物質管理体制構築施策等の様々な施策を各拠点で展開し従業員の健康づくり活動を推進
・従業員一人一人の健康意識を相互に高めるため、社内の挨拶には製造業として愛着のある「ご安全に!」とともに「ご健康に!」を使用
・2015年に「喫煙対策5か年計画」を策定、2020年に全社で敷地内全面禁煙を達成
これらの活動が評価され、2017年から8年連続で「健康経営優良法人」に認定されています。
(3) 理念浸透
当社グループが持続的に成長していく上で、特に大事にし、より強化していきたい価値観をCore Valuesとして定めています。Core Valuesの浸透に向けたワークショップを定期的に開催するとともに、日常的な会議の場での振り返り等を行い、浸透に向けた取組みを継続して実施しています。
なお、当社グループでは、従業員一人ひとりが誇りを持って挑戦し続けるために、グループの理念体系を見直し、当社グループの存在意義を示した「古河電工グループ パーパス」を2024年3月に制定しました。今後はパーパスの浸透活動を通じて、グループ全体にパーパスへの共感を醸成する取組みを進めます。
■リーダーシップ・チームマインド■
「チームで成果を上げる」組織を目指し、2020年に「良いチームをつくる」リーダーとなるための大事な1つの心構えと6つの行動原則「古河電工流上司心得七則(フルカワセブン)」を定めました。役員及び課長以上の管理職が周囲に「行動宣言」し日々実践するとともに、360度フィードバックによる振り返りを実施し、さらなる行動変容に繋げています。取組みを開始して4年が経過し、リーダーの意識・行動に良い変化が見られ、チームにおけるメンバーの関係性が改善してきました。今後は、チーム活動と成果との結びつきによりフォーカスし、チーム力のさらなる強化に向けた取組みを加速していきます。
■エンゲージメント■
(1)従業員エンゲージメント測定と活用
2022年度より従業員エンゲージメントスコア調査として、「フルカワEサーベイ」を開始しました。「フルカワEサーベイ」における「持続可能なエンゲージメント」のスコアを25中計におけるサステナビリティ指標として目標を設定し、各種施策を着実に実行していきます。
(2)報酬制度の見直しと評価への納得度の向上
2021年12月に「チャレンジの促進」「シンプル&オープン」「人材育成」をコンセプトとした人事処遇制度の改定を実施し、報酬制度を見直し、個人のやりがいを高められるよう、制度運用の強化に取り組んでいます。
① 個々人の挑戦意欲と健全な社内競争を喚起することを目指し、給与制度を年功による積み上げ型から、現在発揮している能力や意識姿勢を評価し昇降給があるゾーン型の給与体系に見直しました。
② 人事考課に関連するコミュニケーションプロセスを改めて規定し、上司は一人ひとりの成長に繋がるよう、評価と改善点について責任あるフィードバックを通して評価納得度を高めています。
(3)フィードバックの強化
2021年度の人事制度改定では、目標管理制度の運用見直しを行いました。具体的には、期首には従業員一人一人にチャレンジングな目標を掲げるよう促し、期中には上司の支援やフィードバックの頻度をあげるよう意識づけしました。PDCAサイクルを短くし、頻繁なフィードバックを行うことで、人材育成と業績向上の両面に良い影響を与える運用に変更しました。期末には日常の業務遂行状況をもとに上司部下の面談の場で一人一人に良い点と改善点のフィードバックを行い、翌年度の動機づけに繋げています。
2022年度結果より人事考課点を全従業員に通知しています。2023年度に実施したモニタリング結果(回収率76%)では、2022年度期末面談実施率は98%、「事実に基づいたフィードバック」の実感度、「期末評価」への納得度は共に、「納得できる」「ある程度納得できる」の回答割合が90%を超え、フィードバックがなされていることを確認しました。今後も目標管理の実施状況をモニタリングし、運用を継続改善します。また、現場の運用上の悩みへの人事のアドバイスや好事例の共有等のフォローを充実させ、個々人が主体的に高い目標に挑戦し、自身の成長と組織への貢献を感じられるよう、活動を進めていきます。

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