有価証券報告書-第101期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/22 15:57
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116項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「技翔創変」を経営理念とし、技術集約型精密製品の創造を通じて、お客様の問題解決を図り社会に貢献することを基本方針としております。
当社グループといたしましては、お客様の海外現地調達の加速、激化する価格競争や為替の変動、その他いかなる環境の変化にも耐えうる経営体質の構築が不可欠と考え、持続的成長を支えるため経営効率を高めることにグループ一丸となって積極的に挑戦してまいります。
また、技術革新の勢いが増してきている中、技術動向を把握し、当社のコア技術である精密塑性加工技術を応用した新製品のスピードある開発を進めていきます。
さらに、コンプライアンス遵守、環境保全などにグループ一丸となって取り組むと共に、当社の国内外の拠点の最適地で生産した高品質な製品をお客様に提供してまいります。
(2)目標とする経営指標
中期経営目標において策定した連結売上高500億円、営業利益率10%を重要な経営指標として、達成に向け高収益企業への変革を目指し、資産の効率的活用を図っていく方針です。
(3)中期的な会社の経営戦略
当社の強みである自動車関連事業を更に拡大し、電子情報通信関連事業においては経営資源の集中、開発・営業力の強化を進め、新たな分野として医療・環境分野において新規事業の開拓を進めます。
①自動車関連事業
-既存事業の基盤強化と拡大
自動車用線材は、日本、中国、メキシコのグローバル3拠点による生産能力拡大と生産効率化により、最適生産・供給体制の構築を進めます。自動車関連製品はグローバル拠点で新規案件の取り込み、収益拡大と収益構造の改善を目指します。
②電子情報通信関連事業
-経営資源の集中と開発・営業力の強化
クラウドコンピューティングの成長によるデータセンター向け需要拡大をターゲットとして経営資源を集中し、開発力、営業力を強化しシェアの維持・拡大を図ります。
③新規事業への取り組み
自動車の電動化、軽量化の加速に伴い、電子化製品の需要増加と素材転換が進む中、当社の得意とする精密塑性加工技術と電子情報通信部品製造技術を応用したHV・EV・FCVに搭載されるキーパーツの開発と量産化を進め、将来の中核事業へ育成してまいります。また、成長分野として医療・環境分野への新規事業開拓を進め、医療・介護機器市場、環境・エネルギー関連市場へ参入を図ります。
(4)会社の対処すべき課題
世界経済は2017年の成長基調が2018年も継続し、緩やかな成長が見込まれ、短期的には安定した拡大が予測されています。一方で、米国の保護主義的な関税政策の発動により貿易の緊張感が高まっており、また、中東や東アジアにおいては地政学リスクも依然として存在しており、将来の景気、市場への変動リスクを抱えています。当社においては、海外事業の比重が年々増しており、グローバルな成長需要を取り込み、予測されるリスクへの対策準備を行うことは事業の促進と安定化に必要な条件となっています。
当社グループは、現在進めている中期経営計画において、コア技術である精密塑性加工技術をベースとした自動車関連事業、電子情報通信事業のグローバル市場のシェア拡大、成長分野における新規事業化により、連結売上高500億円を目指しております。
次の項目を対処すべき主な課題として、目標達成に向けて取組んでまいります。
①自動車関連事業の拡大
世界の自動車需要増加が予測される中、既存製品群とその応用製品で販売拡大を進めます。世界自動車販売台数は2020年頃には約1億台に達することが予想され、当社連結売上の約7割を占める自動車関連事業はさらに成長が見込める事業と考えております。一方、競合他社との競争もグローバル化により激化しており、当社は、自動車関連材料・部品における強みを活かし、さらに一層のシェアの維持・拡大に努めてまいります。
(ア)自動車用線材事業の拡大
日本、中国、メキシコの3拠点による材料生産体制の増強を進め、グローバル最適生産・供給体制の構築を進めています。中国における生産効率化、メキシコの量産安定化により、生産拡大が進んでおり、3拠点からの供給を効率的に行うことにより、新規顧客の開拓、既存顧客へのBCP対応も含めて万全の態勢で臨んでまいります。
(イ)「材料から製品までの一貫生産」の強みを活かす
「材料から製品までの一貫生産」の強みを最大限活かし、HV車用弁ばね材料や高トルクぜんまいばね用圧延材等材料開発にも取組んでおり、顧客の技術要求にも対応してまいります。
・シートベルト用ぜんまいばねと材料のシェア拡大
自動車ユーザーの安全に対する意識の向上にともない、自動車における安全装置の重要性も高まっています。当社は、韓国企業との合弁会社でシートベルト用ぜんまいばねの材料生産を一極集中生産することにより生産効率の向上とスケールメリットを追求しています。他方、ぜんまいばねの製造はグローバル拠点を活用し、現地顧客のニーズに確実に対応する体制を構築しています。こうした取り組みにより、新規案件の量産化に向けた準備が進んでおり、当該製品のシェア拡大と事業拡大に取り組んでゆく方針です。
②電子情報通信関連事業-経営資源の集中と開発・営業力の強化
電子情報通信関連事業は、当社連結売上の約3割を占め、成長が見込まれる市場に当社の経営資源を集中することで開発と営業力の強化に取り組んでいます。
ハードディスク・ドライブ用サスペンション事業は、クラウドコンピューティングの成長によるデータセンター向け需要拡大をターゲットとして、2017年度においては、主力モデル生産ラインの増設と改良を実施、歩留り改善による稼働率の向上をはかりました。
2018年度も安定稼働による需要への確実な対応を行うと共に、顧客の求める製品に対して当社固有の製品技術を強みとした経営資源を活用することでシェア拡大を目指します。
プリンター部品、光通信部品は提案型の開発・営業により引き続き顧客開拓を進めます。
③新規事業への取組み
当社の得意とする精密塑性加工技術と電子情報通信部品製造技術を応用して、自動車電動化部品の開発、医療・環境分野への参入を進めています。
(ア)自動車電動化部品
次世代自動車(HV・PHV・EV・FCV)の需要は、各国の燃費規制強化に伴い2025年以降加速することが予測されています。当社は精密塑性加工技術・塗装技術・接合技術を活かした以下の製品開発に取組んでいます。
・シャントセンサー
バスバー一体型の大電流センサーで低電流から大電流(200~800アンペア)まで高精度に検出します。国内外からの引き合いも多く、一部部品は量産用として正式採用が決まり2017年度より販売を開始いたしました。更に電流検出回路モジュール品として完成度を高め2018年より拡販を進めて参ります。
・バスリング
モーターの配線作業を大幅に簡素化できる新しいバスリングで、1本の銅の平角線からの成形でプレス金型が不要であり、小ロット対応が可能な製品です。これによりHV車、EV車等のモーター、産業用モーター等に使用が可能な製品です。
・角線マグネットワイヤ
当社の特許技術・圧延技術による角線を使用することによりモーターの小型化、ならびにアルミ製による軽量化および耐熱性の向上等の特性を有しております。これらの特性により、当社のモーターコイル用マグネットワイヤは、車載モーターや電気製品搭載モーターのコイル材として使用可能な製品です。
(イ)医療・介護機器
山梨大学、大日本印刷との共同開発による、人工膝関節置換手術後のリハビリロボットは製造販売業許可を取得し、上市に向けての準備を進めています。
また、京都大学COIプログラムで取組んでいます脳卒中後の歩行リハビリロボットは改良型3号機が完成し、当年度より評価データ収集を本格化させ完成度を高めてまいります。
(ウ)環境・エネルギー関連市場への参入
当社は、太陽電池に使用されるシリコン・ウエハの切断ダイヤモンド砥粒電着ワイヤーソーの量産体制を確立し、受注活動を進めています。
また高温水蒸気を利用した連続炭化装置は、素材を燃やさず炭化させることが可能でCO2削減効果を発揮します。この装置により量産した竹炭は、タッチパネルインク材料として販売を開始しています。今後は、付加価値の高い微粒子炭の用途開発に挑戦してまいります。
(5)当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)
当社は、平成29年5月12日開催の取締役会において、「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策」を更新することを決議し、同対応策の更新は、平成29年6月23日開催の第100期定時株主総会において承認されました(以下、更新後の対応策を「本プラン」といいます。)。本プランの概要は、以下のとおりです。
①当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、特定の者の大規模な株式買付行為に応じて当社株式の売買を行うかどうかは、最終的には当該株式を保有する株主の皆様のご判断に委ねられるべきものであると考えます。
しかしながら、対象会社の経営陣の賛同を得ずに一方的に行われる大規模買付提案の中には、その目的等からみて企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が大規模買付提案の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
また、当社グループの企業価値を将来にわたって向上させるためには、中長期的な視点での企業経営が必要不可欠であり、そのためには、お客様、お取引先、従業員、地域社会などとの良好な関係の維持はもとより、1943年の創業以来、当社が築き上げてきたさまざまな専門的・技術的なノウハウの活用など、当社グループの深い理解による事業の運営が必須です。
したがって、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方といたしましては、当社の企業理念、企業価値のさまざまな源泉および当社を支えていただいているステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保、向上させるものでなければならないと考えております。したがいまして、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付提案またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えております。
②基本方針の実現に資する取組み
当社および当社グループは、上記①の基本方針の実現のために、次のとおりさまざまな取組みを行っております。
1)自動車分野の拡大
グローバル市場での競争が激化する中、既存製品群とその応用製品での販売拡大を進めます。世界自動車販売台数は2020年頃には約1億台に達することが予想され、当社連結売上の約7割を占める自動車分野はさらに成長が見込める事業と考えております。当社は、材料関連製品、自動車関連製品における強みを大いに発揮し、さらに一層のシェアの維持・拡大に努めて参ります。
(ア)弁ばね用材料事業の拡大
弁ばね用材料事業において、客先需要が当社の生産能力を超えることが予測されることを踏まえ、将来需要に備えるべくグローバルな生産体制の整備を目指し、京都工場、中国、メキシコの3拠点による材料生産体制の増強を進めて参りました。2016年にはほぼ生産体制が確立し、今後は新規顧客の開拓も進め、更なる需要の取り込みを進めて参ります。3拠点からの供給を効率的に行うことにより、BCP対応も含めて万全の態勢で臨んで参ります。
(イ)「材料から製品までの一貫生産」の強みを活かす
「材料から製品までの一貫生産」の強みを最大限活かし、HV車用弁ばね材料や高トルクぜんまいばね用圧延材など材料開発にも取り組んでおり、顧客の技術要求にも対応して参ります。
・シートベルト用ぜんまいばねと材料のシェア拡大
自動車ユーザーの安全に対する意識が向上するとともに、自動車における安全装置の重要性も高まっています。
シートベルトについても、需要増を見込みグローバル・シェアを拡大すべく、さらに供給能力を引き上げてゆく方針です。当社は、韓国企業との合弁会社で材料を一極集中生産することで、生産効率の向上とスケールメリットを追求し、他方、ぜんまいばねの製造については、グローバル拠点を活用することで、現地顧客のニーズを確実に掴み対応する体制を構築しています。メキシコにおいて量産を開始、北米市場参入を促進していきます。
2)電子情報通信分野-経営資源の集中と開発・営業力の強化
電子情報通信分野は技術革新や需要変動リスクを伴うものの、クラウドコンピューティング化の促進や北米市場の拡大が予測されることから、当社連結売上の約3割を占める電子情報通信事業は、成長が予測されるデータセンター市場や企業向けサーバ部品をターゲットに経営資源を集中し、開発力、営業力を強化しシェアの維持・拡大を図ります。
3)新規事業への取組み
当社の得意とする精密塑性加工技術と電子情報通信部品製造技術を応用して、自動車電動化部品の開発、医療・環境分野への参入を進めています。
(ア)自動車電動化部品
次世代自動車(HV・PHV・EV・FCV)の需要は、各国の燃費規制強化に伴い2025年以降加速することが予測されています。当社は精密塑性加工技術・塗装技術・接合技術を活かした以下の製品開発に取り組んでいます。
・シャントonバスバー
バスバー一体型の大電流センサーで低電流から大電流(200~800アンペア)まで高精度に検出します。国内外からの引き合いも多く、一部部品は量産用として正式採用が決まり2017年度より販売を開始いたします。
・バスリング
モーターの配線作業を大幅に簡素化できる新しいバスリングで、1本の銅の平角線からの成形でプレス金型が不要であり、小ロット対応が可能な製品です。これによりHV車、EV車等のモーター、産業用モーター等に使用が可能な製品です。
・角線マグネットワイヤ
当社の特許技術・圧延技術による角線を使用することによりモーターの小型化、ならびにアルミ製による軽量化および耐熱性の向上等の特性を有しております。これらの特性により、当社のモーターコイル用マグネットワイヤは、車載モーターや電気製品搭載モーターのコイル材として使用可能な製品です。
・ワイヤレス給電コイル
異形断面材のエッジワイズ曲げ技術、およびリアクトルコイルの加工後塗装技術の応用等による大電流用の非接触給電コイル製品であり、異形断面性による丸線の約半分のコイル厚、加工後塗装による高い耐電圧性、および安定形状による周波数安定性を有しております。これらの特性により、EV車や電車等大電流用の給電コイル、高速道路の移動給電システム用給電コイル等に使用可能な製品です。
(イ)医療・介護機器
京都大学COIプログラムで取り組んでいます脳卒中後の歩行リハビリロボットは、1号機を更に改良した2号機が完成し、今年度より評価データ収集を本格化させ完成度を高めて参ります。
(ウ)環境・エネルギー関連市場への参入
当社は、太陽電池に使用されるシリコン・ウエハの切断ダイヤモンド砥粒電着ワイヤーソーの量産体制を確立し、受注活動を進めています。
また、独自開発した連続炭化装置は、高温水蒸気の利用により、材料を燃やす必要がなくCO2削減を可能としています。この装置により量産した竹炭は、タッチパネルインク材料として販売を開始しています。今後は、付加価値の高い微粒子炭の用途開発に挑戦して参ります。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社取締役会は、当社株券等の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを明確にし、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報及び時間、並びに大規模買付行為を行おうとする者との交渉の機会を確保するために、当社株券等の大規模買付行為に関する対応策を更新することといたしました(以下、更新後の対応策を「本プラン」といいます。)。
本プランは、当社株券等の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを策定するとともに、一定の場合には当社が対抗措置をとることによって大規模買付行為を行おうとする者に損害が発生する可能性があることを明らかにし、これらを適切に開示することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資さない当社株券等の大規模買付行為を行おうとする者に対して、警告を行うものです。
大規模買付行為を行う者又は提案する者(以下「大規模買付者」といいます。)が、当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付けまたは当社が発行者である株券等について、公開買付けに係る株券等の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付けのいずれかにあたる買付を行った場合は、新株予約権の無償割当て、その他当社取締役会が適切と認めた対抗措置(以下「本新株予約権の無償割当て等」といいます。)を行うか否かを検討いたします。
大規模買付者は、当社取締役会が別段の定めをした場合を除き大規模買付行為の実行に先立ち、当社取締役会に対して、大規模買付者の買付内容の検討に必要な情報(以下「本必要情報」といいます。)及び当該大規模買付者が大規模買付行為に際して本プランに定める手続を遵守する旨の誓約文言等を記載した書面(以下「買付説明書」と総称します。)を当社の定める書式により提出していただきます(大規模買付者から当社への連絡は、書面または口頭を問わず、全て日本語にてなすものとします。)。
当社取締役会は、当該買付説明書の記載内容が本必要情報として不十分であると判断した場合には、買付者等に対し、追加的に情報を提供するよう求めることがあります。この場合、買付者等においては、かかる情報を追加的に提供していただきます。
当社取締役会は、大規模買付者から提供された情報・資料等に基づき、また、必要に応じて外部専門家等(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家)の助言を得ながら、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上の観点から、大規模買付者による大規模買付行為の内容の検討を行い、当社取締役会による代替案の検討及び大規模買付者と当社取締役会の事業計画等に関する情報収集・比較検討等を行います。
さらに、大規模買付者から大規模買付行為に係る提案がなされた事実とその概要、本必要情報の概要その他の状況及び当社取締役会としての意見を速やかに情報開示します。
当社取締役会は、当該対抗措置を発動するか否かの判断において、原則として社外役員から構成される独立委員会の勧告を最大限尊重するものとし、当該勧告に従うことが取締役の善管注意義務に違反することとなる場合を除き、当該勧告に従うものとします。
当社は、対抗措置の発動の賛否に関する株主意思の確認手続として、株主意思確認総会における株主投票、又は書面投票のいずれかを選択できるものとします。株主意思確認総会は、定時株主総会又は臨時株主総会と併せて開催される場合もあります。但し、(a)大規模買付ルールが遵守されない場合、(b)大規模買付ルールが遵守され、かつ、当社取締役会が当該買収提案が当社の企業価値ひいては株主共同の利益の最大化に資すると判断した場合、(c)大量買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付行為が当社企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に反すると判断される場合には、原則として、株主意思の確認手続は行われません。
④具体的な取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由
当社取締役会は、上記②記載の取組みが、当社の企業理念に根ざした企業価値向上策として、また、上記③記載の取組みが下記に記載するような合理性を有する買収防衛策として、いずれも上記①記載の基本方針に沿うものであり、当社の株主の共同の利益を損なうものではなく、かつ当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
・買収防衛策に関する指針の要件を全て充足していること
本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を全て充足しています。また、経済産業省・企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」において示された考え方に沿うものであります。
・株主共同利益の確保・向上の目的をもって更新されていること
本プランは、当社株式に対する大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が判断するために必要な情報や時間、あるいは当社取締役会による代替案の提示を受ける機会を確保すること等を可能にするものであり、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって更新されるものです。
・株主意思を重視するものであること
本プランは、平成29年6月23日開催の当社第100期定時株主総会において承認の決議を得て更新されたもので、その有効期間は平成32年6月開催予定の定時株主総会終結の時までです。また、本プランの有効期間の満了前であっても、株主総会において、本プランの変更又は廃止の決議がなされた場合には、当該決議に従い変更又は廃止されることになります。
さらに、本プランは、独立委員会が対抗措置の発動についての勧告を行うに際して対抗措置に発動に関し予め株主意思確認手続を行うべき旨の留保を付した場合、また独立委員会の勧告の内容にかかわらず当社取締役会が自らの判断で株主意思確認手続を行うべきと判断した場合には、対抗措置の発動の賛否に関する株主意思を確認し、本プランに基づいた対抗措置の実施について、株主の皆様に直接ご判断いただくこととなっております。
・合理的な客観的発動要件の設定
本プランは、予め定められた合理的客観的発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しています。
・独立性の高い第三者の判断を重視すること
当社は、本プランにおいて、大規模買付行為が行われる場合、当社取締役会の恣意的な対抗措置の発動を排除し、株主の皆様のために客観的な判断を行う諮問機関として、独立委員会を設置することとしております。独立委員会は、公正かつ中立的な判断を確保するため、原則として3名以上の当社社外取締役または当社社外監査役により構成されます。
独立委員会は、大規模買付行為が行われた場合には、当該大規模買付行為が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうものであるか否か等を判断します。そして、当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かの判断に際して、独立委員会の勧告を最大限尊重するものとし、当該勧告に従うことが取締役の善管注意義務に違反することとなる場合を除き、当該勧告に従うものとします。
このように、独立性の高い独立委員会による勧告を尊重することにより、当社取締役会の恣意的な判断を排除し、当社の企業価値・株主共同の利益の確保を図る目的に沿った本対応方針の運用が行われる枠組が確保されています。
・デッドハンド型若しくはスローハンド型買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により廃止することができることから、当社の株券等を大規模に買い付けた者が、当社株主総会で取締役を指名し、かかる取締役で構成される取締役会により、本プランを廃止することが可能です。したがって、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。
また、当社は期差任期制を採用していないため、本プランはスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
なお、本プランの詳細については、インターネット上の当社ウェブサイト(アドレスhttp://www.suncall.co.jp/)をご参照ください。