有価証券報告書-第98期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/24 15:33
【資料】
PDFをみる
【項目】
118項目

対処すべき課題

世界経済が大きく変動する中、顧客の海外生産移管が急速に進み、新興国メーカーとの激しい競争等、当社グループを取り巻く環境は厳しさを増してきています。
当社グループは、現在進めている中期経営計画において、コア技術である精密金属塑性加工をベースに、自動車やデジタル製品、光通信のグローバル市場でのシェア拡大を進め、2018年度に連結売上高500億円を目指しております。その中で、次の項目を対処すべき主な課題として、収益力の向上に取組んでまいります。
(1)売上高の拡大
グローバル市場での競争が激化する中、既存製品群とその応用製品での販売拡大を進めます。自動車関連ではHV・PHV・EV車向けの製品供給に注力し、ハードディスクドライブ関連ではクラウド環境を支えるサーバー向け等にデュアル・ステージ・アクチュエーター付きサスペンションの供給を通じて参入を進めます。インクジェットプリンター用ローラーはシェアの維持・拡大に努めると同時に、他の機能部品への採用活動に注力してまいります。
(2)グローバル生産体制の強化
自動車部品では従来から日本、米国、中国、タイの4極生産体制で対応してきました。加えて、今後も需要が見込める自動車向け弁ばね用材料も生産拠点をメキシコと中国に設け、日本との3極体制を敷きます。当社の強みである材料から製品までの一貫生産体制をグローバルネットワークで実現してまいります。インクジェットプリンター用ローラーは引き続き顧客の近くに生産拠点を構えると同時に、最適拠点から供給する体制も整えております。
(3)新製品開発体制の強化
自動車部品の分野では、これまで培ってきた技術を応用し、次世代の自動車に搭載されるパーツを提案し、当社製品のすそ野を広げていく所存です。環境関連での一部の案件においては、開発も最終段階に入り、量産化・市場投入の道筋が立ってきております。医療・福祉関連では、装着型の運動支援システムを大学との連携により進めており、医療関係者を中心に既に高い期待が寄せられております。このように、自動車部品も、それ以外の分野においても、新製品開発体制を強化し、新たな市場開拓に尽力してまいります。
(4)グローバル競争に勝ち抜く原価低減
コンパクトな生産ラインにつながる素材開発、生産ラインの改造による生産工程の省略化・効率化・さらなる省人化を進めるとともに、各現場における地道な改善活動等を推進し、グローバル競争に勝ち抜くべく、当社グループ一丸となって原価低減を進めてまいります。
(5)当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)
当社は、平成26年5月14日開催の取締役会において、「当社株券等の大規模買付行為に関する対応策(以下「本プラン」という。)を更新することを決議し、平成26年6月25日開催の第97期定時株主総会において承認されました。本プランの概要は、以下の通りです。
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社取締役会は、公開会社として当社株式の自由な売買を認める以上、特定の者の大規模な株式買付行為に応じて当社株式の売買を行うかどうかは、最終的には当該株式を保有する株主の皆様のご判断に委ねられるべきものであると考えます。
しかしながら、近時、わが国の資本市場においては、対象会社の経営陣の賛同を得ずに、一方的に大規模買付提案を強行する動きが顕在化しております。こうした大規模買付提案の中には、その目的等からみて企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が大規模買付提案の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
また、当社グループの企業価値を将来にわたって向上させるためには、中長期的な視点での企業経営が必要不可欠であり、そのためには、お客様、お取引先、従業員、地域社会などとの良好な関係の維持はもとより、昭和18年の創業以来、当社が築き上げてきたさまざまな専門的・技術的なノウハウの活用など、当社グループの深い理解による事業の運営が必須です。
したがって、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方といたしましては、当社の企業理念、企業価値のさまざまな源泉及び当社を支えていただいているステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保、向上させるものでなければならないと考えております。したがいまして、企業価値ひいては株主共同の利益を毀損するおそれのある不適切な大規模買付提案又はこれに類似する行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として適当でないと考えております。
② 基本方針の実現に資する取組み
(イ) 当社の企業価値の源泉
当社は、昭和18年、航空機用エンジンの弁ばね用高級鋼材料を製造する目的で創業しました。創業以来、技術集約型精密製品の創造をビジネステーマとして、Fine Precision Products(超精密製品)の機能創造を通じて、顧客の問題解決を図り社会に貢献することを基本理念に、今日まで歩んできました。
創業時から培われた精密金属塑性加工技術は、異形ダイス開発、超精密金型技術と融合して省資源化に役立つ高精度異形線開発に発展し、“ばね”を中心とした弾性利用部品の設計技術を通じて、自動車用部品の分野で世界でもユニークな材料から加工品までの一貫メーカーの地位を不動なものとしています。
一方、早くから電子情報通信分野の飛躍的発展にも注力し、高精度金属塑性加工にエンジニアリングプラスチック、ファインセラミックス加工技術を取り入れ、クリーン技術、界面技術、精密組立技術と融合させて、高度情報化社会を支える大容量記憶装置(ハードディスクドライブ)、プリンター(複写機、レーザープリンター、インクジェットプリンター)、光通信装置のキーパーツを供給しています。
こうした精密製品の生産技術力、開発力が当社の企業価値の源泉であると考えております。
(ロ) 中長期的な企業価値向上に向けた取組み
当社グループは、中期経営計画において、コア技術である精密金属塑性加工をベースに、自動車やデジタル製品、光通信のグローバル市場でのシェア拡大を進め、2018年度に連結売上高500億円を目指しています。
世界経済が大きく変動する中、顧客の海外生産移管が急速に進み、新興国のメーカーとの激しい競争に直面するなど、当社グループを取り巻く環境は厳しくなってきています。当社グループでは、次の項目を対処すべき主な課題として取組んでいます。
(ⅰ) 売上高の拡大
自動車部品分野では、既存製品の販売拡大を図るとともに、HV・EV車向け製品への参入を進めます。情報技術分野ではハードディスクドライブ向けマイクロアクチュエーター付きサスペンションや顧客仕様に改良した光通信用コネクター/アダプターなど開発製品の市場展開を進めます。プリンター用ローラーについては、新用途への活用提案により販売拡大に努めます。
(ⅱ) グローバル生産体制の強化
自動車関連はアジアや北米向けの需要が今後ますます伸びることが見込まれます。また、為替リスクなど外部環境の変化に対応すると同時に、新興国メーカーとの競争で優位性を維持しなければなりません。継続した投資を行い日本、アジア、北米の3極生産体制を強化していきます。また弁ばね用線は合弁事業による中国での生産を開始し、拡大する需要に対応していきます。なお、北米事業体制強化のため2013年9月に設立したメキシコ現地法人は、現在、弁ばね用線の製造に向けた工場建設および製造ライン設置を進めております。
(ⅲ) 新製品開発体制の強化
次世代自動車HV・EV・FCVに搭載されるコア技術を応用した製品、バイオマスを利用した環境製品および医療・福祉製品となる装着型運動支援システムの開発に注力します。
(ⅳ) グローバル競争に勝ち抜く原価低減
生産工程を省略しコンパクトな生産ラインにつながる素材開発、生産性を高めたラインへの改造や現場における地道な改善活動など当社グループ一丸となった原価改善活動を通じ、原価低減を進めていきます。
(ⅴ) 内部統制システムの精度アップと業務の効率化
「内部統制システムの充実」は、業務の効率化、適正化等を通じてさまざまな利益をもたらすと同時に、証券市場に対する内外の信頼を高め、当社を取り巻く全てのステークホルダーに多大な利益をもたらすものと認識しております。業務ルールの標準化・文書化による責任・権限の明確化・業務の可視化、IT活用による不正・誤謬の発生しないシステムのさらなるレベルアップに取り組んでおります。
(ⅵ) コンプライアンスの推進
当社の一員として、社会人として良識と責任のある行動をとるよう日頃から「コンプライアンス委員会」を軸に推進しております。社員1人ひとりが特に留意すべき事項を「行動規範」として定めており、社員が常に日頃の業務遂行の指針とするよう各職場で繰り返し読み合わせするなどして徹底しております。また、年に一度「コンプライアンス強化週間」を設け、トップメッセージの発信や、コンプライアンスアンケートを実施し、全員参加でコンプライアンスを推進する機会としております。
こうした精密製品の製造・販売、内部統制・コンプライアンスの充実を通じて、株主・投資家をはじめすべてのステークホルダーの皆様方の期待に応えるべく、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上を目指した活動を継続してまいります。
(ハ) コーポレートガバナンス
当社は、上記諸施策の実行に向けた体制を整備し、持続的な企業価値向上を追求することが重要と考え、コーポレートガバナンスの強化を図っております。取締役の任期を1年とし、取締役の経営責任を明確にし、経営環境の変化に迅速に対応できる体制としております。代表取締役等と直接の利害関係のない独立した立場から、客観的な視点で取締役会を監督するため、社外取締役、社外監査役を選任しております。また、執行役員制度を導入し、経営方針及び重要な業務執行の決定と日常の業務執行を区分することで、取締役会の意思決定と監督機能の強化を図っております。そして、代表取締役社長直轄且つ他部門から独立した内部監査室を設置し、当社及びグループ会社における業務活動が法令・定款及び社内ルールに基づき適法且つ公正に運営されているか等、各部門の内部統制、コンプライアンス、業務遂行状況等についての内部監査を実施し、業務の改善提案、改善結果の確認等を行い、その内容を適宜、取締役、監査役に報告する機能も有しております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財産及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社取締役会は、当社株券等の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを明確にし、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報及び時間、並びに大規模買付行為を行おうとする者との交渉の機会を確保するために、当社株券等の大規模な買付行為への対応策(以下「本プラン」といいます。)を導入しております。
本プランは、当社株券等の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを策定するとともに、一定の場合には当社が対抗措置をとることによって大規模買付行為を行おうとする者に損害が発生する可能性があることを明らかにし、これらを適切に開示することにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資さない当社株券等の大規模買付行為を行おうとする者に対して、警告を行うものです。
大規模買付行為を行う者又は提案する者(以下「大規模買付者」といいます。)が当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付け又は当社が発行者である株券等について、公開買付けに係る株券等の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付けのいずれかにあたる買付けを行った場合は、新株予約権の無償割当て、その他当社取締役会が適切と認めた対抗措置(以下「本新株予約権の無償割当て等」といいます。)を行うか否かを検討いたします。
大規模買付者は、当社取締役会が別段の定めをした場合を除き大規模買付行為の実行に先立ち、当社取締役会に対して、大規模買付者の買付内容の検討に必要な情報(以下「本必要情報」といいます。)及び当該大規模買付者が大規模買付行為に際して本プランに定める手続きを遵守する旨の誓約文言等を記載した書面(以下「買付説明書」と総称します。)を当社の定める書式により提出していただきます(大規模買付者から当社への連絡は、書面または口頭を問わず、全て日本語にてなすものとします。)。
当社取締役会は、当該買付説明書の記載内容が本必要情報として不十分であると判断した場合には、買付者等に対し、追加的に情報を提供するよう求めることがあります。この場合、買付者等においては、かかる情報を追加的に提供していただきます。
当社取締役会は、大規模買付者から提供された情報・資料等に基づき、また、必要に応じて外部専門家等(ファイナンシャル・アドバイザー、公認会計士、弁護士、コンサルタントその他の専門家)の助言を得ながら、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上の観点から、大規模買付者による大規模買付行為の内容の検討を行い、当社取締役会による代替案の検討及び大規模買付者と当社取締役会の事業計画等に関する情報収集・比較検討等を行います。
さらに、大規模買付者から大規模買付行為に係る提案がなされた事実とその概要、本必要情報の概要その他の状況及び当社取締役会としての意見を速やかに情報開示します。
当社は、対抗措置の発動の賛否に関する株主意思の確認手続きとして、株主意思確認総会における株主投票、又は書面投票のいずれかを選択できるものとします。株主意思確認総会は、定時株主総会又は臨時株主総会と併せて開催される場合もあります。但し、(a)大規模買付ルールが遵守されない場合、(b)大規模買付ルールが遵守され、かつ、当社取締役会が当該買収提案が当社の企業価値ひいては株主共同の利益の最大化に資すると判断した場合、(c)大量買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付行為が当社企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に反すると判断される場合には、株主意思の確認手続きは行われません。
④ 具体的な取組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
当社取締役会は、上記②記載の取組みが、当社の企業理念に根ざした企業価値向上策として、また、上記③記載の取組みが下記に記載するような合理性を有する買収防衛策として、いずれも上記①記載の基本方針に沿うものであり、当社の株主の共同の利益を損なうものではなく、かつ当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
・買収防衛策に関する指針の要件を全て充足していること
本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を全て充足しています。また、企業価値研究会が平成20年6月30日に公表した「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」において示された考え方に沿うものであります。
・株主共同利益の確保・向上の目的をもって更新されていること
本プランは、当社株式に対する大規模買付行為が行われた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主の皆様が判断するために必要な情報や時間、あるいは当社取締役会による代替案の提示を受ける機会を確保すること等を可能にするものであり、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって更新されるものです。
・株主意思を重視するものであること
本プランは、平成26年6月25日開催の当社第97期定時株主総会において承認の決議を得て更新されたもので、その有効期間は平成29年6月開催予定の定時株主総会終結の時までです。また、本プランの有効期間の満了前であっても、株主総会において、本プランの変更又は廃止の決議がなされた場合には、当該決議に従い変更又は廃止されることになります。
さらに、大規模買付ルールに従った大規模買付行為が行われた場合には、原則として、対抗措置の発動の賛否に関する株主意思を確認し、本プランに基づいた対抗措置の実施について、株主の皆様に直接ご判断いただくこととなっております。
・合理的な客観的発動要件の設定
本プランは、予め定められた合理的客観的発動要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みを確保しています。
・第三者専門家の意見の取得
大規模買付者が出現した場合、独立した第三者の助言を得ることができることにより、当社取締役会による判断の公正さ・客観性がより強く担保された仕組みとなっています。
・デッドハンド型若しくはスローハンド型買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会により廃止することができることから、当社の株券等を大規模に買付けた者が、当社株主総会で取締役を指名し、かかる取締役で構成される取締役会により、本プランを廃止することが可能です。したがって、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交代させてもなお発動を阻止できない買収防衛策)ではありません。
また、当社は期差任期制を採用していないため、本プランはスローハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の交代を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間を要する買収防衛策)でもありません。
なお、本プランの詳細については、インターネット上の当社ウェブサイト(アドレスhttp://www.suncall.co.jp/)をご参照ください。