有価証券報告書-第70期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 13:02
【資料】
PDFをみる
【項目】
149項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「品質こそ我らが命」を原点思想とし、お客様へ「安全・安心」をお届けするとともに、より健全で心地よく質の高い暮らし方を創造します。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
グループ全体の連携を図り、収益性と資本効率を高めることを目指し、連結売上高営業利益率10%および連結ROE10%を超える水準を目標として取り組んでおります。
(3) 経営環境及び経営戦略等
今後の世界経済は、欧州や中国での経済成長の鈍化や米中間の通商問題に加え、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済活動の抑制により、景気減速の流れが強まっております。また国内経済においては、2019年10月の消費税増税以降、製造業を中心に弱含みとなる中、感染症は収束に向かいつつも、経済活動への影響は長期化する恐れもあり、先行きの不透明感はより一層増しております。
このような状況のもと、当社グループは2018年度を初年度とする中期経営計画「G-shift 2020」を推進しており、「熱と暮らし」「健康と暮らし」をキーワードに、グローバル市場で生活レベルの向上に寄与することを目指しております。また、既存商品やサービスの提供だけでなく、自社のコア技術に新しい技術を取り込み、応用発展させた独自の商品・サービスを創出、さらに縮小分野から成長分野へ経営資源をシフトするとともに、その最適配置を推し進め、「5つのグループ共通テーマ」と「3つのプロセス改革」を実行し、10年後20年後を見据えた持続的な成長へと繋げてまいります。
<5つのグループ共通テーマ>①ブランディングの推進
②長期ロードマップの策定と共有
③事業領域の拡大
④経営資源の最適配分
⑤業務効率と経営の質的向上
<3つのプロセス改革>①商品企画プロセス
②海外事業運営プロセス
③ジャストインタイム生産プロセス
当社は、生産・販売体制を基礎とした6つの地域別セグメントを報告セグメントとしております。それぞれの事業戦略は以下になります。
〈日本〉
日本国内は少子高齢化や人口減少が続き、今後、世帯数の減少も予測されております。ガスコンロやガス給湯機器などの既存事業では、今後の成長は厳しくなることが予想されます。当社グループは、「健康と暮らし」をキーワードに、ガス衣類乾燥機や食器洗い乾燥機などの独自商品による市場拡大に努めるとともに、将来の成長基盤となる商品・サービスに向けた研究開発を推進、また既存商品においてもハイブリッド給湯・暖房システム「ECO ONE(エコワン)」を中心とした環境・省エネ性に優れた給湯機器や入浴後も温かさが持続するマイクロバブルバスユニットの普及に加え、コンロでの自動調理を可能にする「デリシアプリ」など、次世代情報技術を活用したサービスの提供を推進し、よりお客様に選ばれるブランドを目指します。
〈アメリカ〉
給湯器の販売台数が年間900万台にのぼるアメリカ市場では、その約90%以上はタンクに湯を貯めて使用する貯湯式給湯器であります。当社グループの主力商品である瞬時にお湯を作るタンクレスガス給湯器は、湯切れの心配もなく省エネ性能も高いため、貯湯式給湯器に比べ、利便性と環境性に優れた商品として現地での評価が高まり、市場の拡大が続いています。タンクレスガス給湯器の販売拡大を図る中、現地生産能力の強化を行い、さらなる需要拡大に対応していきます。また給湯器市場以外にも当社グループの強みである流体制御技術や熱利用技術を生かした高効率ガスコンビボイラーの販売拡大を進め、アメリカ市場でのさらなる成長を図ります。
〈オーストラリア〉
天然資源が豊富なオーストラリアは、一次エネルギー消費の多くを石炭や天然ガスなどの化石燃料に依存していますが、近年、地球温暖化防止に向けた取り組みとして、化石燃料から再生可能エネルギーへの利用拡大の動きが見られます。当社グループは瞬間式ガス給湯器の販売に加え、オーストラリア現地での電気貯湯式給湯器の生産、また家庭用ルームエアコンや業務用空調機器の販売を行うなど、多様なエネルギーの利用環境に対応した給湯機器や空調機器を展開しています。当社グループは従来機器の省エネ性能を高めるとともに、電気式ヒートポンプ給湯器などの再生可能エネルギーを利用した機器の拡充を図り、現地社会に最適なエネルギー機器の提供に努めます。
〈中国〉
社会インフラの拡大と所得水準の向上により、中国におけるガス機器市場は拡大が続き、多くのガス機器メーカーが参入する市場となっています。当社グループはこれまで培ってきた制御技術により細やかな温度制御を実現した給湯器やセンサー機能を搭載したガスコンロなど、独自の価値提供を通し現地競合メーカーとの差別化を図ります。また経済発展が進む3,4級都市への展開や、成長著しいインターネット市場での販売強化を通し、ガス機器市場での優位性を高めます。
〈韓国〉
韓国経済は半導体産業を中心に中国への輸出依存度が高く、中国半導体産業の成長鈍化に伴い、韓国国内の景気は停滞が続いています。住宅関連事業の内需も厳しい状況にあり、コンロ市場においては、電気コンロの伸長により競合他社との価格競争は激化しています。当社グループは現地市場のニーズに対応した機器の開発や、内需影響を受けにくい輸出品目の拡充などを通し経営の改善を進めます。
〈インドネシア〉
インドネシアでは2006年から政府主導によるLPガス普及の国家プロジェクトが進められ、多くの家庭にガスコンロが普及しています。当社グループは日本で培った高品質のガスコンロの販売を続け、現地ガスコンロ市場での高いシェア及びブランドを獲得しています。インドネシアの人口構成は若年層の割合が高く、経済発展による所得水準の向上により市場の拡大が期待される住宅設備市場において、キッチン一体型のビルトインコンロやレンジフードなど高価格帯商品の拡充を進め、現地生活文化の向上に貢献していきます。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、対処すべき事業上の課題として、「エネルギー消費量・CO²排出量削減」、「消費者安全・品質向上」を掲げ、それぞれの課題解決に向けた取り組みを推進してまいります。
⦅エネルギー消費量・CO²排出量削減⦆
家庭におけるエネルギー消費は、先進国では給湯・空調・厨房分野で約6~7割を占めており、家庭から排出されるCO²の削減は当社グループの果たすべき役割として極めて大きいものと認識しております。省エネ技術を徹底的に追求し、エネルギー消費量・CO²排出量の削減に努め「環境」への貢献を進めてまいります。
⦅消費者安全・品質向上⦆
「品質こそ我らが命」を原点思想とした事業への取り組みをもとに、お客様に安心して商品をお使いいただけるよう、商品のライフサイクルの全てのプロセスにおいて不良を出さない『ゼロディフェクト』を追求した改善活動をグローバルに推進してまいります。
また当社グループは、対処すべき財務上の課題として、中長期的な視野で事業成長を継続し、健全でリスクに強い財務基盤を構築することを基本方針としています。持続的な成長を促す将来への種まきとそれを支える経営資源への投資、安定配当と配当性向の向上を目指す株主還元など、資本の最適配分を進めてまいります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響について、今後の当社グループの事業活動に関する不確実性が高まっております。しかしながら、当社グループの商品が生活必需品としての性格が強く、買替比率の高い商品構成であるため、新型コロナウィルス感染症の影響による大幅な事業縮小などはないものと現時点では考えております。