有価証券報告書-第66期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/28 12:58
【資料】
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【項目】
115項目

対処すべき課題

(1) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題
今後の世界経済は、先進諸国では緩やかな景気の回復が続くと思われますが、新興国においては中国やASEAN諸国の景気拡大テンポが鈍化傾向にあり、先行き不透明な状況が続くと予想されます。一方、国内経済は、人口減少や高齢化によって個人消費に過度な期待はできないものの、生活レベルの向上は継続していくものと思われます。
当社グループは2015年度を初年度とする中期経営計画「進化と継承 2017」を現在推進しております。「品質こそ我らが命」の原点思想や創業以来培ってきた「リンナイ精神」を『継承』し、新たな時代への『進化』を遂げてまいります。国内では電力・ガスの小売り自由化や環境・省エネに対する各種政策の推進、海外においては新興国での生活水準向上や先進国での環境・省エネ製品に対するニーズの高まりなど、それぞれの事業環境の変化に対応し、新たなビジネスモデルを創出してまいります。中期経営計画で掲げた『進化』するための重点課題を推進することで、総合熱エネルギー機器メーカーとしてのブランドを確立するとともに、今後の持続的な成長へとつなげてまいります。
また会社の対処すべき課題として以下のように認識しております。
<環境>家庭におけるエネルギー消費は、先進国では厨房・給湯・空調分野で約6~7割を占めており、環境(CO2・NOx排出の削減)と省エネにおいて、当社グループの果たすべき役割は極めて大きいものと認識しております。省エネ技術を徹底的に追求し、生活に密着した商品を通じて「環境」への貢献を進めてまいります。
<品質>「品質こそ我らが命」を原点思想とした事業への取り組みをもとに、お客様に安心して当社製品をお使いいただけるよう、本質的な安全とゼロディフェクトを追求した改善活動をグローバルに推進してまいります。
(2) 株式会社の支配に関する基本方針
①当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、上場会社である当社の株券等は原則として市場において自由に売買されるべきものであると考えており、当社株券等の大量の買付行為を行う者による当社株券等の大量の買付け要請に応じて当社株券等の売却を行うか否かは、最終的には当社株券等を保有する当社株主の皆様のご判断に委ねられるべきものと考えております。したがって、大量の買付行為が当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益の確保・向上に資する提案であれば、一概にこれを否定するものではありません。
しかしながら、当社取締役会との事前の十分な交渉や取締役会の同意を経ることなく当社株券等の大量の買付行為が一方的に行われ、その目的や買収後の方針等の十分な情報開示がなされない場合、当社の株券等を保有する株主の皆様がその保有する株券等の買付けの要請に応じるか否かについて、十分な判断を行うだけの時間および情報の確保を困難にする恐れがあるものと考えております。
当社は、このような、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を毀損する買付けを行おうとする者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者としてふさわしくないものと考えており、これらの者による大量の買付行為に対しては必要かつ適切な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保する必要があると考えております。
②基本方針の実現に資する特別な取り組み
当社は、安定した収益基盤をベースとし、中長期的視野に立った競争力強化とあらゆるステークホルダーの満足度を向上させることにより、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を確保・向上させることが、多様な投資家の皆様からの当社への投資につながり、結果として、基本方針の実現に資するものと考え、次のような取り組みを実施しております。
当社は、大正9年の創業以来96年にわたり、熱を通じて快適な暮らしを社会に提供することを使命とし、「品質こそ我らが命」や「和・氣・眞」といった当社独自の精神を礎とし、高度な熱利用技術とモノづくりへのこだわりを持ち、給湯分野、厨房分野、空調分野を通して生活文化の向上に寄与すべく事業を展開してまいりました。国内外すべてのグループ各社が、リンナイブランドのもと、豊かで快適な住生活の創造に向け、質の高い商品とサービスの安定的供給に取り組み、これまでの発展を支えてきております。特に、海外での事業活動においては、40余年にわたる実績を積み上げてまいりました。結果、現在では16カ国に生産・販売拠点を有し、海外売上比率が4割を超えており、当社の特性の一つとなっております。
当社は、持続的な企業価値向上のためには、長年にわたって取り組んできた安全・安心、環境、省エネ、健康・高齢化を念頭に、「品質第一の顧客志向」の継続実施や「地球環境に配慮した商品提供」を行うとともに、「技術革新による競争優位の強化」によって高水準な収益基盤と中長期的視点に基づいた成長戦略の実現が必要不可欠であると考えております。
このような当社事業の歴史的背景と今後の方向性を踏まえ、当社では、当年度に平成29年度を最終年度とする中期経営計画「進化と継承2017」を策定し、過去から培ってきたリンナイ精神を継承し安定的に事業を継続するとともに今後予測される新たな時代の変化に対応すべく進化を遂げるよう推進中であります。また、グループ全体の連携を図り本業の収益性と資本効率を高めることを目指し、連結営業利益率10%および連結ROE10%を超える水準の維持を目標として取り組んでまいります。
なお、当社は、コーポレートガバナンスの強化を経営上の重要な課題と位置づけており、経営環境の変化に対応して、最適な経営体制を機動的に構築するとともに、事業年度ごとの経営責任の一層の明確化と、株主の皆様の信任を問う機会の増加のために、取締役の任期を1年としております。
③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組みの一つとして、当社株券等の大量の買付行為が行われた場合に、株主の皆様が、当社の特性を踏まえた上で、当該買付行為に応じるか否かを判断するために十分な情報と時間を確保すること、また、大量の買付行為を行う者との交渉の機会を確保することが、当社の企業価値を向上させ、株主の皆様の共同の利益を確保することにとって不可欠であり、当社株券等の大量の買付行為を行う際の一定のルールを設ける必要があると考えました。
そこで当社は、平成20年5月13日開催の当社取締役会において、当社株券等の大量買付行為への対応策(買収防衛策)の内容を決定し、同年6月27日開催の当社第58回定時株主総会における株主の皆様のご承認を経てこれを導入後、平成23年5月11日開催の当社取締役会および同年6月29日開催の第61回定時株主総会におけるご承認を経て継続、さらに平成26年5月9日開催の当社取締役会および同年6月27日開催の第64回定時株主総会におけるご承認に基づきこれを一部変更の上更新し(以下、当該一部変更後の当社株券等の大量買付行為への対応策(買収防衛策)を「本プラン」といいます。)、継続しております。
本プランにおいては、当社株券等の特定株式保有者等の議決権割合を20%以上とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株式保有者等の議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為に対する情報提供等に関する一定のルールを設定するとともに、対抗措置の発動手続等を定めております。
④前記取り組みが、基本方針に沿い、株主の共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないことについて
a.「基本方針の実現に資する特別な取り組み」
上記取り組みは、当社の企業価値ひいては株主の皆様の共同の利益を継続的かつ持続的に確保・向上させるための具体的取り組みとして策定されたものであり、基本方針の実現に資するものです。
したがいまして、係る取り組みは、基本方針に沿い、当社の株主の皆様の共同の利益を害するものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
b.「基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み」
ア 買収防衛策に関する指針において定める三原則を完全に充足していること
本プランは、経済産業省および法務省が平成17年5月27日付で発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」において定められた三原則を完全に充足しております。
イ 株主の皆様の意思の重視と情報開示
本プランの効力発生には、平成26年6月27日開催の当社第64回定時株主総会における株主の皆様のご承認をいただいており、本プランの導入には株主の皆様の意思が反映されたものとなっております。
また、本プランの有効期間満了前であっても、当社株主総会において、本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになっており、本プランは、その廃止についても株主の皆様の意思に基づく形になっております。
さらに、株主の皆様に、本プランの廃止等の判断および大量買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かについての判断を適切に行っていただくために、当社取締役会は、大量買付情報、その他の大量買付者から提供を受けた情報を株主の皆様へ当社取締役会が適時適切に開示することとしております。
ウ 当社取締役会の恣意的判断を排除するための仕組み
(ⅰ) 独立性の高い社外者の判断の重視
当社は、本プランの導入にあたり、取締役会の恣意的判断を排除するために、独立委員会を設置することとしております。
当社に対して大量買付行為がなされた場合には当社取締役会の諮問に応じる形で、独立委員会が、大量買付行為に対する対抗措置の発動の是非等について審議・検討した上で当社取締役会に対して勧告し、当社取締役会は独立委員会の勧告を最大限尊重した上で決議を行うこととされており、取締役会の恣意的判断に基づく対抗措置の発動を可及的に排除することができる仕組みが確保されております。
(ⅱ) 合理的な客観的要件の設定
本プランは、大量買付者が、本プランにおいて定められた大量買付ルールを遵守しない場合又は大量買付者が、当社の企業価値を著しく損なう場合として合理的かつ詳細に定められた客観的要件を充足した場合にのみ発動することとされており、この点においても、当社取締役会による恣意的な対抗措置の発動を可及的に排除する仕組みが確保されております。
(ⅲ) デッドハンド型やスローハンド型買収防衛策ではないこと
本プランは、当社取締役会により廃止することができるものとされていることから、デッドハンド型買収防衛策ではありません。また、当社は、取締役の任期について、期差任期制を採用しておりませんので、本プランは、スローハンド型買収防衛策でもありません。