訂正有価証券報告書-第74期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度との比較にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。
①財政状態及び経営成績の状況
新型コロナウイルス感染症の法的位置付けが移行し、経済活動の正常化が進んだことで緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっております。また、自動車や産業機械など関連産業においては、設備投資に持ち直しの動きが見られるものの、物価上昇、ウクライナ情勢の長期化や中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動などの影響もあり、依然として不透明な状況が続いております。
このような経営環境のもと当社グループにおきましては、「つながる&見える化で、新たなモビリティ ファクトリー インフラを攻略する」を基本方針に掲げ、工具事業を核とした成長戦略を展開し、収益・利益の拡大に努めてまいりました。とくに、収益性の改善に向け製品仕様の見直しや加工工法の改善、デジタル推進による業務の効率化など、全社一丸となってコストダウンに取り組んでまいりました。そのほか、2023年1月17日付で子会社化した株式会社HI-TOOLを連結した効果もあり、当連結会計年度の売上高は84億28百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益は8億47百万円(前年同期比6.7%増)、経常利益は9億1百万円(前年同期比9.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては5億82百万円(前年同期比1.9%減)となりました。
事業セグメントごとの経営成績の概要につきましては、以下のとおりであります。
[工具事業]
主力の当事業部門では、「安全、快適、能率・効率、環境」をキーワードに、既存顧客の深耕、新規顧客の開拓並びにブランド価値向上などの事業戦略を展開しております。
開発面では、「安全、快適、能率・効率、環境」を追求するR&Dコンセプト「新・工具大進化」の具現化に向けた製品・サービスを市場投入しております。その一翼を担う「TRASAS(TRAceable Sensing and Analysis System)」シリーズは、IoT技術を搭載した工具や測定具、作業支援デバイス、これらのシステムソフトウェアで構成されており、作業データを無線でデバイスへ転送することで作業履歴の自動的な記録・管理・分析を可能にいたしました。「TRASAS」シリーズ代表製品の一つである「メモルク」のラインナップとして、ガスや水道管などの締め付け作業に最適な「モンキヘッド」タイプや豊富なバリエーションの交換ヘッドと組み合わせ可能な「交換式ヘッド」タイプを2024年1月に発売するなど、同製品のラインナップ拡充に取り組んでおります。
また、航空宇宙産業やMRO(Maintenance Repair Overhaul)産業をはじめ様々な業界で安全に対する社会的要求が高まり、作業の管理体制強化や効率化が求められるなか、世界初となる360°あらゆる角度から電波の読み取りが可能なRFID搭載工具「nepros ID」シリーズをRFIDタグメーカーと共同開発いたしました。同IoT対応工具を厳格な工具管理が求められる作業現場で活用することで、使用履歴管理による紛失抑制や紛失した際の工具の探索を容易にすることなどにより整備における安全性向上に貢献いたします。
これらの成長戦略の柱となるIoT技術を用いたツールを中心に、作業管理のニーズが高い多様な業種へ向け、開発を展開してまいります。
さらに、京都大学との産学連携による共同研究を進めていた構造最適化手法「トポロジー最適化」を用いた従来の概念を覆す全く新しいツール、「nepros neXT(ネプロス ネクスト)」シリーズを展開しております。引き続き、強度を保ちながら軽量化し究極の使いよさを追求する本シリーズのラインナップ拡充に努めてまいります。
そのほか、研究分野として、材料や構造・機構に関する新たな開発にも積極的に取り組み、「安全で、使う人や環境にやさしいツール」の製品化を通じ、多様性を認め合う持続可能な社会の実現を目指しております。
販売面では、工具メーカーとしてのノウハウと先進のテクノロジーを融合し、作業者の経験や勘に頼っていた作業の標準化と効率化を提案しております。具体的には、作業現場で確認できた課題やその対策案について、最適な作業工具や作業手順の改善ポイント、作業トレーサビリティの運用方針などを検討後、導入計画を策定し提案しております。
ようやく、対面活動が社会的に再開するなか、国内営業の専門部隊である「凄腕究め隊」を中心に、様々な展示会への出展や研修会の開催に注力してまいりました。また、工具ミュージアム「KTCものづくり技術館」に開設した「kDNA Studio(きずなスタジオ)」やピットガレージにて収録した課題解決や新製品情報に関するウェビナーコンテンツをウェブメディア「KTC times」で配信することでお客様との対話を図るなど、当社グループ特有のDXを推進し、よりスマートにより多くのお客様へソリューションを提供しております。
さらに、同ミュージアムでの製品体験に加え、新たな取り組みとして、製品の貸し出しによりお客様自身の現場で体感できる機会をサービスとして提供するなど、リアルと現場にこだわった活動に取り組んでおります。
生産面では、「新・工具大進化」を支えるためのものづくり革新を進めており、人とロボットそれぞれの長所を活かした協働環境の運用を目指しております。具体的には、脱着作業などの単純な繰り返し作業は複数の加工設備に共用で使用可能な協働型ロボットが行い、人はより付加価値の高い作業へシフトすることが可能になりました。さらに、協働型自走式ロボットを活用し、人と協働できる独自の少人化ラインの展開を目指すなど、「ものづくりの最適化」を図り生産性の向上を推進してまいります。
これらに加え、作業者の高い技術を要する熱間鍛造ハンマ工程の半自動化により習熟度に頼らない仕組みを構築するなど既存生産設備の改善に取り組むとともに、生産の各工程に新規設備を導入し、とくにnepros製品をベースとした各成長戦略の実現に向けて能力増強を図るなど、生産体制のさらなる安定と強化に取り組んでおります。
また、当社グループは、ESGの取り組みとして「地球に、社会に、私たちができること」、「E 地球環境に徹底的に貢献する」、「S あらゆるステークホルダーと共生する」、「G 持続可能な信頼される企業であり続ける」を基本方針とし、安全・安心で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを展開しております。加工工法の改善による生産現場の省エネルギー化や再生可能エネルギーの利用推進、「技育(技術の教育)」を通じた産学連携による未来の技術者育成への貢献などの活動を通じて、環境、社会への貢献と企業発展を目指して積極的に取り組んでおります。
これらの結果、付加価値の高いソリューション案件を中心とした直販部門が堅調に推移するとともに、市販部門における一般産業市場向けの販売も堅調に推移し、当連結会計年度の売上高は82億円(前年同期比0.5%増)、セグメント利益は6億87百万円(前年同期比9.5%増)となりました。
[ファシリティマネジメント事業]
当事業部門では、所有不動産の有効活用を目指し、物件の整備、運営管理を推進しております。不動産の賃貸については、全ての物件で高い入居率を確保しております。引き続き入居者満足度の向上を図り、収益の安定化に取り組んでまいります。
当連結会計年度におきましては、所有不動産の安定稼働により、売上高は2億28百万円(前年同期比2.7%減)、セグメント利益は1億59百万円(前年同期比3.9%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、固定資産の取得による支出、配当金の支払等で資金を支出したものの、主に営業活動で獲得した資金がそれらの支出を上回った結果、前連結会計年度末に比べて1億17百万円増加し、当連結会計年度末残高は、34億16百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金の増加は5億3百万円(前年同期は1億93百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益9億円(前年同期は8億26百万円)に加え、減価償却費3億90百万円(前年同期は3億44百万円)による資金の増加があった一方、棚卸資産の増加1億60百万円(前年同期は6億14百万円)、法人税等の支払額2億34百万円(前年同期は3億37百万円)、売上債権の増加1億55百万円(前年同期は69百万円)、その他の負債の減少98百万円(前年同期は25百万円の増加)、仕入債務の減少77百万円(前年同期は56百万円の増加)などによる資金の減少があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は2億3百万円(前年同期は4億23百万円)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出2億3百万円(前年同期は2億25百万円)による資金の減少があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は1億82百万円(前年同期は1億81百万円)となりました。これは主に、配当金の支払額1億70百万円(前年同期は1億70百万円)があったことなどによるものであります。
当社グループの資金需要の動向につきましては、成長戦略投資を進めながら、継続的・安定的な株主還元を続けてまいります。
具体的には配当と投資と手許資金のバランスを保ちつつ、配当に関しては、継続的かつ安定的な配当の維持と業績に応じた配当を基本とし、投資に関しては「新・工具大進化」の実現に向けた新製品開発や生産革新の実現に向けた活動等に投資いたします。手許資金に関しては、今後の経済動向の不確実性拡大に備えるためにも現状水準を維持いたします。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の生産実績には、仕入商品を含んでおります。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、次のとおりであります。
a.売上高
当連結会計年度における売上高は、84億28百万円(前年同期比0.4%増)となりました。TRASASシリーズのラインナップ拡充や、お客様の課題解決に向けた提案、展示会の出展や研修会の開催などに取り組んでまいりました。その結果、付加価値の高いソリューション案件を中心とした直販部門及び市販部門における一般産業市場向けの販売が堅調に推移しました。
b.営業利益
営業利益は、収益性の改善に向けた製品仕様の見直しや加工工法の改善、デジタル推進による業務の効率化など、全社挙げてのコストダウン推進により、8億47百万円(前年同期比6.7%増)となり、売上高営業利益率は10.0%(前年同期比0.5ポイント増)となりました。
c.営業外損益及び経常利益
営業外損益は、営業外収益として受取配当金46百万円、営業外費用として支払利息4百万円を計上したことなどにより、54百万円の利益(純額)となり、経常利益は9億1百万円(前年同期比9.0%増)となりました。
d.特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別損益は、金額的重要性のあるものの発生はありませんでした。税金等調整前当期純利益は9億円(前年同期比9.0%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税に3億16百万円、法人税等調整額に2百万円を計上したことにより、5億82百万円(前年同期比1.9%減)となりました。
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。
a.資産
当連結会計年度末の総資産は、165億40百万円となり、前連結会計年度末に対し18億16百万円増加となりました。その主な内容は、投資有価証券が11億4百万円、機械装置及び運搬具(純額)が2億86百万円、電子記録債権が2億10百万円、商品及び製品が1億27百万円、現金及び預金が1億17百万円増加したことなどによるものであります。
b.負債及び純資産
当連結会計年度末の負債合計は、41億71百万円となり、前連結会計年度末に対し6億29百万円増加となりました。その主な内容は、その他流動負債が4億33百万円、繰延税金負債が3億35百万円、未払法人税等が82百万円増加した一方、未払金が84百万円、支払手形及び買掛金が73百万円減少したことなどによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、123億68百万円となり、前連結会計年度末に対し11億86百万円増加となりました。その主な内容は、その他有価証券評価差額金が7億66百万円、利益剰余金が4億11百万円増加したことなどによるものであります。
当社グループの当連結会計年度の流動性及び資金の源泉は、次のとおりであります。
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資金需要
当社グループの資金需要は大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。
運転資金需要の主なものは、製造販売業として機能するための原材料等の仕入や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要の主なものは、工場や社屋等の建物及び機械装置、DXを推進するための営業活動用設備等の有形固定資産投資に加え、TRASASシリーズ用ソフトウェアや情報処理のための無形固定資産投資等があります。
c.財務政策
当社グループは運転資金につきましては、現在、内部資金より充当し、不足が生じた場合は短期借入金で調達を行っております。また、設備資金につきましては、設備投資計画に基づき資金計画を策定しており、内部資金で不足する場合は、長期借入金等により調達を行っております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前連結会計年度との比較にあたっては、暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。
①財政状態及び経営成績の状況
新型コロナウイルス感染症の法的位置付けが移行し、経済活動の正常化が進んだことで緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっております。また、自動車や産業機械など関連産業においては、設備投資に持ち直しの動きが見られるものの、物価上昇、ウクライナ情勢の長期化や中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動などの影響もあり、依然として不透明な状況が続いております。
このような経営環境のもと当社グループにおきましては、「つながる&見える化で、新たなモビリティ ファクトリー インフラを攻略する」を基本方針に掲げ、工具事業を核とした成長戦略を展開し、収益・利益の拡大に努めてまいりました。とくに、収益性の改善に向け製品仕様の見直しや加工工法の改善、デジタル推進による業務の効率化など、全社一丸となってコストダウンに取り組んでまいりました。そのほか、2023年1月17日付で子会社化した株式会社HI-TOOLを連結した効果もあり、当連結会計年度の売上高は84億28百万円(前年同期比0.4%増)、営業利益は8億47百万円(前年同期比6.7%増)、経常利益は9億1百万円(前年同期比9.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては5億82百万円(前年同期比1.9%減)となりました。
事業セグメントごとの経営成績の概要につきましては、以下のとおりであります。
[工具事業]
主力の当事業部門では、「安全、快適、能率・効率、環境」をキーワードに、既存顧客の深耕、新規顧客の開拓並びにブランド価値向上などの事業戦略を展開しております。
開発面では、「安全、快適、能率・効率、環境」を追求するR&Dコンセプト「新・工具大進化」の具現化に向けた製品・サービスを市場投入しております。その一翼を担う「TRASAS(TRAceable Sensing and Analysis System)」シリーズは、IoT技術を搭載した工具や測定具、作業支援デバイス、これらのシステムソフトウェアで構成されており、作業データを無線でデバイスへ転送することで作業履歴の自動的な記録・管理・分析を可能にいたしました。「TRASAS」シリーズ代表製品の一つである「メモルク」のラインナップとして、ガスや水道管などの締め付け作業に最適な「モンキヘッド」タイプや豊富なバリエーションの交換ヘッドと組み合わせ可能な「交換式ヘッド」タイプを2024年1月に発売するなど、同製品のラインナップ拡充に取り組んでおります。
また、航空宇宙産業やMRO(Maintenance Repair Overhaul)産業をはじめ様々な業界で安全に対する社会的要求が高まり、作業の管理体制強化や効率化が求められるなか、世界初となる360°あらゆる角度から電波の読み取りが可能なRFID搭載工具「nepros ID」シリーズをRFIDタグメーカーと共同開発いたしました。同IoT対応工具を厳格な工具管理が求められる作業現場で活用することで、使用履歴管理による紛失抑制や紛失した際の工具の探索を容易にすることなどにより整備における安全性向上に貢献いたします。
これらの成長戦略の柱となるIoT技術を用いたツールを中心に、作業管理のニーズが高い多様な業種へ向け、開発を展開してまいります。
さらに、京都大学との産学連携による共同研究を進めていた構造最適化手法「トポロジー最適化」を用いた従来の概念を覆す全く新しいツール、「nepros neXT(ネプロス ネクスト)」シリーズを展開しております。引き続き、強度を保ちながら軽量化し究極の使いよさを追求する本シリーズのラインナップ拡充に努めてまいります。
そのほか、研究分野として、材料や構造・機構に関する新たな開発にも積極的に取り組み、「安全で、使う人や環境にやさしいツール」の製品化を通じ、多様性を認め合う持続可能な社会の実現を目指しております。
販売面では、工具メーカーとしてのノウハウと先進のテクノロジーを融合し、作業者の経験や勘に頼っていた作業の標準化と効率化を提案しております。具体的には、作業現場で確認できた課題やその対策案について、最適な作業工具や作業手順の改善ポイント、作業トレーサビリティの運用方針などを検討後、導入計画を策定し提案しております。
ようやく、対面活動が社会的に再開するなか、国内営業の専門部隊である「凄腕究め隊」を中心に、様々な展示会への出展や研修会の開催に注力してまいりました。また、工具ミュージアム「KTCものづくり技術館」に開設した「kDNA Studio(きずなスタジオ)」やピットガレージにて収録した課題解決や新製品情報に関するウェビナーコンテンツをウェブメディア「KTC times」で配信することでお客様との対話を図るなど、当社グループ特有のDXを推進し、よりスマートにより多くのお客様へソリューションを提供しております。
さらに、同ミュージアムでの製品体験に加え、新たな取り組みとして、製品の貸し出しによりお客様自身の現場で体感できる機会をサービスとして提供するなど、リアルと現場にこだわった活動に取り組んでおります。
生産面では、「新・工具大進化」を支えるためのものづくり革新を進めており、人とロボットそれぞれの長所を活かした協働環境の運用を目指しております。具体的には、脱着作業などの単純な繰り返し作業は複数の加工設備に共用で使用可能な協働型ロボットが行い、人はより付加価値の高い作業へシフトすることが可能になりました。さらに、協働型自走式ロボットを活用し、人と協働できる独自の少人化ラインの展開を目指すなど、「ものづくりの最適化」を図り生産性の向上を推進してまいります。
これらに加え、作業者の高い技術を要する熱間鍛造ハンマ工程の半自動化により習熟度に頼らない仕組みを構築するなど既存生産設備の改善に取り組むとともに、生産の各工程に新規設備を導入し、とくにnepros製品をベースとした各成長戦略の実現に向けて能力増強を図るなど、生産体制のさらなる安定と強化に取り組んでおります。
また、当社グループは、ESGの取り組みとして「地球に、社会に、私たちができること」、「E 地球環境に徹底的に貢献する」、「S あらゆるステークホルダーと共生する」、「G 持続可能な信頼される企業であり続ける」を基本方針とし、安全・安心で持続可能な社会の実現に向けた取り組みを展開しております。加工工法の改善による生産現場の省エネルギー化や再生可能エネルギーの利用推進、「技育(技術の教育)」を通じた産学連携による未来の技術者育成への貢献などの活動を通じて、環境、社会への貢献と企業発展を目指して積極的に取り組んでおります。
これらの結果、付加価値の高いソリューション案件を中心とした直販部門が堅調に推移するとともに、市販部門における一般産業市場向けの販売も堅調に推移し、当連結会計年度の売上高は82億円(前年同期比0.5%増)、セグメント利益は6億87百万円(前年同期比9.5%増)となりました。
[ファシリティマネジメント事業]
当事業部門では、所有不動産の有効活用を目指し、物件の整備、運営管理を推進しております。不動産の賃貸については、全ての物件で高い入居率を確保しております。引き続き入居者満足度の向上を図り、収益の安定化に取り組んでまいります。
当連結会計年度におきましては、所有不動産の安定稼働により、売上高は2億28百万円(前年同期比2.7%減)、セグメント利益は1億59百万円(前年同期比3.9%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、固定資産の取得による支出、配当金の支払等で資金を支出したものの、主に営業活動で獲得した資金がそれらの支出を上回った結果、前連結会計年度末に比べて1億17百万円増加し、当連結会計年度末残高は、34億16百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金の増加は5億3百万円(前年同期は1億93百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益9億円(前年同期は8億26百万円)に加え、減価償却費3億90百万円(前年同期は3億44百万円)による資金の増加があった一方、棚卸資産の増加1億60百万円(前年同期は6億14百万円)、法人税等の支払額2億34百万円(前年同期は3億37百万円)、売上債権の増加1億55百万円(前年同期は69百万円)、その他の負債の減少98百万円(前年同期は25百万円の増加)、仕入債務の減少77百万円(前年同期は56百万円の増加)などによる資金の減少があったことなどによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動による資金の減少は2億3百万円(前年同期は4億23百万円)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出2億3百万円(前年同期は2億25百万円)による資金の減少があったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動による資金の減少は1億82百万円(前年同期は1億81百万円)となりました。これは主に、配当金の支払額1億70百万円(前年同期は1億70百万円)があったことなどによるものであります。
当社グループの資金需要の動向につきましては、成長戦略投資を進めながら、継続的・安定的な株主還元を続けてまいります。
具体的には配当と投資と手許資金のバランスを保ちつつ、配当に関しては、継続的かつ安定的な配当の維持と業績に応じた配当を基本とし、投資に関しては「新・工具大進化」の実現に向けた新製品開発や生産革新の実現に向けた活動等に投資いたします。手許資金に関しては、今後の経済動向の不確実性拡大に備えるためにも現状水準を維持いたします。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 工具事業(千円) | 8,956,089 | 94.7 |
| ファシリティマネジメント事業(千円) | - | - |
| 合計(千円) | 8,956,089 | 94.7 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の生産実績には、仕入商品を含んでおります。
b.受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 工具事業(千円) | 8,200,207 | 100.5 |
| ファシリティマネジメント事業(千円) | 228,362 | 97.3 |
| 合計(千円) | 8,428,569 | 100.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| トラスコ中山株式会社 | 1,242,105 | 14.8 | 1,408,748 | 16.7 |
| ヤマト自動車株式会社 | 1,155,870 | 13.8 | 1,055,485 | 12.5 |
| トヨタ自動車株式会社 | 968,238 | 11.5 | 879,003 | 10.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、次のとおりであります。
a.売上高
当連結会計年度における売上高は、84億28百万円(前年同期比0.4%増)となりました。TRASASシリーズのラインナップ拡充や、お客様の課題解決に向けた提案、展示会の出展や研修会の開催などに取り組んでまいりました。その結果、付加価値の高いソリューション案件を中心とした直販部門及び市販部門における一般産業市場向けの販売が堅調に推移しました。
b.営業利益
営業利益は、収益性の改善に向けた製品仕様の見直しや加工工法の改善、デジタル推進による業務の効率化など、全社挙げてのコストダウン推進により、8億47百万円(前年同期比6.7%増)となり、売上高営業利益率は10.0%(前年同期比0.5ポイント増)となりました。
c.営業外損益及び経常利益
営業外損益は、営業外収益として受取配当金46百万円、営業外費用として支払利息4百万円を計上したことなどにより、54百万円の利益(純額)となり、経常利益は9億1百万円(前年同期比9.0%増)となりました。
d.特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別損益は、金額的重要性のあるものの発生はありませんでした。税金等調整前当期純利益は9億円(前年同期比9.0%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税に3億16百万円、法人税等調整額に2百万円を計上したことにより、5億82百万円(前年同期比1.9%減)となりました。
当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。
a.資産
当連結会計年度末の総資産は、165億40百万円となり、前連結会計年度末に対し18億16百万円増加となりました。その主な内容は、投資有価証券が11億4百万円、機械装置及び運搬具(純額)が2億86百万円、電子記録債権が2億10百万円、商品及び製品が1億27百万円、現金及び預金が1億17百万円増加したことなどによるものであります。
b.負債及び純資産
当連結会計年度末の負債合計は、41億71百万円となり、前連結会計年度末に対し6億29百万円増加となりました。その主な内容は、その他流動負債が4億33百万円、繰延税金負債が3億35百万円、未払法人税等が82百万円増加した一方、未払金が84百万円、支払手形及び買掛金が73百万円減少したことなどによるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は、123億68百万円となり、前連結会計年度末に対し11億86百万円増加となりました。その主な内容は、その他有価証券評価差額金が7億66百万円、利益剰余金が4億11百万円増加したことなどによるものであります。
当社グループの当連結会計年度の流動性及び資金の源泉は、次のとおりであります。
a.キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資金需要
当社グループの資金需要は大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。
運転資金需要の主なものは、製造販売業として機能するための原材料等の仕入や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要の主なものは、工場や社屋等の建物及び機械装置、DXを推進するための営業活動用設備等の有形固定資産投資に加え、TRASASシリーズ用ソフトウェアや情報処理のための無形固定資産投資等があります。
c.財務政策
当社グループは運転資金につきましては、現在、内部資金より充当し、不足が生じた場合は短期借入金で調達を行っております。また、設備資金につきましては、設備投資計画に基づき資金計画を策定しており、内部資金で不足する場合は、長期借入金等により調達を行っております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。