有価証券報告書-第65期(2024/03/16-2025/03/15)

【提出】
2025/06/06 14:06
【資料】
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【項目】
139項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針
当社グループは創業以来一貫して、プロ用作業工具・特殊専用工具をはじめ、特殊クレーン等のマテハン類や工作機械用の治工具類にいたるまで幅広い品揃えを行い、国内はもとより世界数十か国のあらゆる産業でご愛顧いただいております。幅広い産業を支える一翼を担わせていただいているという自負のもと、今後も省人、省力、安全、環境整備をコンセプトとして、プロ用工具、機器類の開発により産業社会に貢献したいと考えております。
また、環境関連事業である太陽光発電などの展開においては、微力ながらも、限りある資源の消費を抑制するとともにCO2などの削減を行い、次世代のための社会貢献活動として進めてまいります。
これらの事業を通じ、お客様のお役に立てる、愛されるメーカーを目指すとともに、経営の効率化に努め、より一層の経営基盤を強化し、業績向上に努めてまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、売上高経常利益率、ROE(自己資本利益率)、EPS(1株当たり当期純利益)、自己資本比率を経営の主たる指標としております。株主資本の効率的運用による投資効率の高い経営を行うことが、株主の皆様及び従業員を含めたすべての利害関係者の利益に合うものと考えております。特に売上高経常利益率を向上させることを基本におき、今後の成長が見込め、収益性の高い金属製品事業の中の産業機器の構成比率を高めていく方針であります。また、技術力と開発力を背景に、各事業領域において顧客ニーズを反映させた特色ある新製品、新事業を創出し、深耕拡大し続ける価値創造企業としてグループの連携強化を図ってまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは1918年の創業以来、「開発指向型」企業として、時代に応じた製品を提案し、生産工場、倉庫など広範な産業界における作業現場に関わってまいりました。
近状では、あらゆる市場において電動化や自動運転化など、技術の進展とともに省力化が進んでいます。この好機に当社の強みである多彩な製品群と高い信頼性を深化させ、ブランディングの確立と収益基盤の強化を進めてまいります。コア事業である金属製品事業については、お客様ニーズを第一に捉え、画期的で魅力ある製品開発を軸に「攻めの構造改革」として次の事項を実施してまいります。
①付加価値を持つ製品開発と既存製品のリニューアル化を中心とし、他社製品との差別化及び特許製品の拡大を継続してまいります。
②韓国に開設いたしました子会社を軸に販路拡大を進め、アジア諸国から北米のマーケットを中心とし、世界を視野においた海外戦略を推進いたします。
③顧客ニーズを踏まえた顧客目線での物作りのため、優れた品質、技術を持った国内外の他メーカーとの連携や生産委託を含め、徹底した品揃えを図ってまいります。
④徹底したコストカットを継続的に行ってまいります。
これらを着実に実行し、経営の合理化、製品グループの徹底強化を図り、時代の流れに沿った物作り、販売戦略を軸に、企業体質の転換を図ってまいります。
また、環境関連事業については、売電事業に加え、次の柱となる新しい価値を生み出す事業を模索しており、将来この事業を育成していきたいと考えております。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
次期の見通しといたしましては、わが国経済は雇用・所得環境の改善や円安傾向によるインバウンド需要の拡大
等、景気回復への期待が高まる一方で、深刻な人手不足、米国の関税政策による資源・エネルギー価格等の物価上
昇、急激な金利・為替変動等の不確実性が経済活動に影響を及ぼす可能性がございます。海外各国では、米国の政
権交代をきっかけとした各種政策リスクの上昇、中国の不動産不況による内需低迷、ロシア・ウクライナ情勢の長
期化等、依然として先行き不透明な状況が続くものと予想されます。
このような状況のなか、当社グループは、開発型企業として100年以上にわたり磨き続けた鍛造技術とアナログ
製品の製造販売にこだわり、その匠の技術を継承してまいりました。一方、デジタル技術の進化が著しい近年にお
いては、アナログ製品に先進技術も組み合わせながら、更に顧客満足度を追及し、あらゆる産業へのソリューショ
ン提供を通じ社会に貢献してまいります。また、販売体制については、マーケティングやメンテナンス体制の強化
などによりブランドイメージ向上と販売の拡大に取り組み、生産体制については、鍛造技術の更なる向上に取り組
みながら、老朽化施設・設備の更新や、最新設備の増設、一気通貫生産体制構築による生産管理能力向上等によ
り、生産能力増強を行いQCD向上に努めてまいります。さらには、コミュニケーション改革による組織力強化を
推し進め、全社一丸となって収益改善に注力するとともに、次世代を担う人材のキャリア形成のための教育研修や
制度体系を整備することにより、時代の変化に素早く対応できる状況分析と戦略思考を持った人材育成に取り組ん
でまいります。
主要事業である金属製品事業の国内市場では、吊クランプ管理アプリケーション「S・M・A・Я・T」のプロ
モーション戦略の拡大、新製品開発プロジェクトの推進力を高め、お客さまのニーズに沿った新製品をシステマチ
ックかつ迅速にマーケットへ投入してまいります。また、一気通貫生産体制の構築によるQCD向上等により、販
売拡大及び競争力強化に繋げてまいります。
海外市場につきましては、世界経済の動向が不透明な中、主要市場である韓国では経営環境のモニタリングを行
いながら、現地法人の強みを活かした営業施策の展開や販売パートナーとの関係性強化を図ってまいります。その
他の地域につきましては、特定取引先との戦略的パートナーシップの強化、フランス等空白市場の攻略、北米エリ
アの手工具販売ルート開拓等に注力するとともに、吊クランプを中心とした販売拡大に向けたソリューションビジ
ネスを強化してまいります。
また、新物流倉庫・組立工場が2024年秋に本格稼働し、安全性、作業環境の向上等により物流と生産の高効率化
に取り組むとともに、今後、本社工場敷地内の物流倉庫及び仕上工場跡地に新工場の増設を予定しております。
環境関連事業につきましては、自然環境への配慮や設置コスト、発電効率面で優位性のある水上設置型太陽光発
電所の施工及び関連部材の販売に取組んでまいりましたが、連結子会社である株式会社スーパーツールECOが手掛ける環境関連事業につきましては、2028年までに受注済み案件を完了させ環境関連事業から撤退いたします。売電部門の大阪府河南町及び柏原市に設置した3ヵ所の発電所は順調に稼働しており、収益に貢献しているため、引き続き事業に取り組んでまいります。引き続き、グループ企業価値向上に向けた選択と集中を進めながら更なる成長を目指してまいります。