有価証券報告書-第65期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/27 16:27
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【項目】
110項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は379億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億45百万円増加いたしました。また、負債は89億21百万円(前連結会計年度末比5億73百万円の減少)、純資産は290億70百万円(前連結会計年度末比19億18百万円の増加)であります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は208億29百万円で、前連結会計年度末に比べ6億97百万円減少しております。主な要因は、受取手形及び売掛金の増加5億44百万円、現金及び預金の減少2億06百万円、有価証券の減少10億00百万円であります。
なお、当連結会計年度末における流動比率(流動資産の流動負債に対する割合)は264.4%(前連結会計年度末は256.8%)で、当社グループの短期債務に対する支払能力は十分であると判断しております。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は171億62百万円で、前連結会計年度末に比べ20億42百万円増加しております。主な要因は、借地権の減損処理などによる無形固定資産の減少3億69百万円、当社名古屋工場の移転による設備投資や本社移転用地(神戸市中央区)の購入などによる有形固定資産の増加20億95百万円、インドネシア現地法人への出資などによる投資その他の資産の増加3億17百万円であります。
なお、当連結会計年度末における固定比率(固定資産の純資産に対する割合)は59.0%(前連結会計年度末は55.7%)、固定長期適合率(固定資産の長期資本(純資産と固定負債の合計)に対する割合)は57.0%(前連結会計年度末は53.5%)であり、当社グループの設備投資の現状に関しましては、問題のない水準であると判断しております。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は78億76百万円で、前連結会計年度末に比べ5億06百万円減少しております。主な要因は、短期借入金の減少4億05百万円であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は10億45百万円で、前連結会計年度末に比べ66百万円減少しております。主な要因は、退職給付に係る負債の増加2億88百万円、長期借入金の減少1億72百万円、繰延税金負債の減少1億80百万円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は290億70百万円で、前連結会計年度末に比べ19億18百万円増加しております。これは主に、利益剰余金が19億13百万円、非支配株主持分が1億21百万円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末の1株当たり純資産は1,827円70銭(前連結会計年度末比118円23銭の増加)、自己資本比率は73.1%(前連結会計年度末比2.2ポイントの上昇)となりました。今後も50%以上の自己資本比率を維持することで、健全な財務体質を確保していくことが、当社グループにとりまして重要であると判断しております。
(2) 経営成績の分析
(概要)
当連結会計年度におけるわが国経済は、日銀の金融政策などの効果が下支えし景気の緩やかな回復が期待されたものの、年度後半に入り中国を初めとしたアジア新興国などの海外景気の下振れや急激な為替変動により経済停滞が長期化するリスクが強まり、企業収益や設備投資に減速の兆候が現れてきました。
このような状況のもと、当社主要の溶射加工部門では、半導体・液晶分野向け加工において、半導体回路の超微細化やスマートフォンやタブレットに搭載される中小型パネルの高精細化の要求に伴い、新規開発の高機能皮膜の採用が進み、前期比で増収となりました。また、産業機械分野向け加工も中国高速鉄道用ベアリングや火力発電向けボイラへの溶射需要が堅調に推移いたしました。鉄鋼分野向け加工は、中国を発端とする世界的な「鉄冷え」の厳しい環境の中、設備更新需要を取り込み、前期比微増を確保いたしました。その他の分野は、石油化学プラント向けが好調に推移したほか、電炉メーカーやガラス窯業向けが前期好調の反動で減少したものの全体としては増収を維持することができました。
当社の溶射周辺技術部門においては、ZACコーティング加工では商品群の一部を溶射加工に切替えた影響、またTD処理加工では自動車のモデルチェンジが少なかったことによる新作金型の減少などの影響でともに減収となりました。
連結子会社の売上高につきましては、国内では自動車分野向け切削工具が堅調な日本コーティングセンター株式会社の売上が大きく貢献いたしました。一方、海外では半導体市場の拡大に伴って漢泰国際電子股份有限公司(台湾)が好調に推移した反面、液晶価格の下落により東賀隆(昆山)電子有限公司(中国)が減収となりました。連結子会社全体としては前期比で微増となりました。
収益面においては、当社グループは生産効率を上げることなどによりコスト削減に努め、収益力向上に継続的に取り組んでまいりましたが、当連結会計年度につきましては、長期金利の低下に伴う退職給付費用の増加や、当社神戸工場深江分室における固定資産の利用計画の見直しに伴う減損損失の発生などにより、利益率が低下いたしました。
この結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高は前期比26億78百万円(10.3%)増の287億46百万円、営業利益は前期比2億37百万円(5.2%)増の48億05百万円、経常利益は前期比1億38百万円(2.8%)増の50億27百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比15百万円(0.5%)減の30億15百万円となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は287億46百万円(前期比10.3%増)となりました。その内訳は、溶射加工が219億32百万円(前期比14.4%増、構成比76.3%)、PVD処理加工が19億77百万円(前期比1.5%増、構成比6.9%)、その他が48億35百万円(前期比2.2%減、構成比16.8%)となっております。
なお、セグメント別売上高の状況に関しましては、1「業績等の概要」の(1)業績を参照願います。
(営業利益)
売上原価が190億19百万円、販売費及び一般管理費が49億21百万円となり、当連結会計年度の営業利益は48億05百万円(前連結会計年度の営業利益45億68百万円に比べ2億37百万円(5.2%)増)となりました。なお、売上高営業利益率は、前期比0.8ポイント減の16.7%であります。
(経常利益)
当連結会計年度における営業外損益(収益)は、純額で2億22百万円となりました。この結果、経常利益は50億27百万円(前連結会計年度の経常利益48億89百万円に比べ1億38百万円(2.8%)増)となりました。なお、売上高経常利益率は、前期比1.3ポイント減の17.5%であります。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度におきましては、特別利益として固定資産売却益2百万円、特別損失として固定資産除売却損14百万円、減損損失3億23百万円等を計上いたしました結果、税金等調整前当期純利益は46億88百万円(前連結会計年度の税金等調整前当期純利益48億41百万円に比べ1億52百万円(3.1%)減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における実効税率(税金等調整前当期純利益に対する法人税等の比率)は31.3%で、当期純利益は32億21百万円となりました。非支配株主に帰属する当期純利益が2億06百万円となったため、親会社株主に帰属する当期純利益は30億15百万円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益30億30百万円に比べ15百万円(0.5%)減)となりました。また、1株当たり当期純利益金額は198円40銭(前連結会計年度199円41銭)、自己資本当期純利益率(ROE)は11.2%(前連結会計年度12.2%)であります。
(3) キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物は18億63百万円増加し、期末残高は78億27百万円となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。
平成24年
3月期
平成25年
3月期
平成26年
3月期
平成27年
3月期
平成28年
3月期
自己資本比率(%)68.272.970.870.973.1
時価ベースの自己資本比率(%)83.169.874.193.581.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)51.435.650.626.613.3
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)94.985.088.3116.3149.6

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。