有価証券報告書-第98期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/28 9:39
【資料】
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【項目】
111項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における国内経済は、GDPがプラスを維持し、緩やかながらも景気持ち直しが見られました。個人消費は、雇用環境の改善が持続し、株価の回復などを背景にやや明るさが見られました。世界経済では、年前半の米国経済の足踏みや中国経済の失速懸念、英国のEU離脱決定による金融市場の混乱などから大幅に減速がみられたものの、年後半から米国経済持ち直しや構造改革を進める中国経済の下支え、主要各国の迅速な対応による金融市場の不透明感の後退などから、緩やかな持ち直しが進み、通年では前年を若干下回る成長率となりました。
このような状況のなか、当社は積極的な販売活動と製品開発に注力してまいりました。この結果、販売構成比の高い太陽電池シリコンウェーハ加工用の電着ダイヤモンドワイヤの販売数量は増加したものの、ウェーハ価格が下がった影響により販売単価が下落し、更に液晶関連工具の販売減少により、電子半導体業界向け売上高は前期を大きく下回る結果となりました。一方、輸送機器業界向け関連工具の販売は堅調な状況にあり、前期を上回る売上高となりました。機械業界及び石材・建設業界向け関連工具の売上高は、前期を下回る実績となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、420億24百万円(前期比7.6%減)となりました。利益面におきましては、主力製品の電着ダイヤモンドワイヤの販売単価下落等が影響し、営業利益26億45百万円(前期比44.3%減)、経常利益29億45百万円(前期比42.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益24億87百万円(前期比25.5%減)となりました。
業界別に概況を述べると次のようになります。
①電子・半導体業界
太陽電池シリコンウェーハ加工用の電着ダイヤモンドワイヤは、主要販売先である中国をはじめ、台湾、欧州にて大きく販売数量を伸ばしましたが、ウェーハ価格の低下により、販売単価が下落したため、売上高は大きく減少しました。
半導体市場においてはメモリ等の生産増に伴って、半導体関連工具は前期を上回る売上高を計上する事ができました。一方、液晶関連工具はFPD市場の成長鈍化やタッチパネルの低価格化や生産過剰の影響を受け売上高が減少しました。
これらの結果、電子・半導体業界向け売上高は183億23百万円(前期比9.0%減)となりました。
②輸送機器業界
自動車業界では、国内の生産台数は微増でしたが、欧州、中国やインドなどでは前期を上回る自動車販売により、世界全体での生産台数は増加しました。その結果、自動車関連工具の販売は増加しました。航空機業界ではエンジン・機体とも前期を上回る生産となりましたが、航空機関連工具は、工具性能改善により使用量が減少したため、売上高が減少しました。
これらの結果、輸送機器業界向け売上高は84億81百万円(前期比0.5%増)となりました。
③機械業界
軸受業界では、自動車や二輪車向けの生産が好調でしたが、産業機械向けの生産が減少したために業界全体の生産が減少し、その結果、関連工具の販売は減少しました。一方、超硬工具業界では、自動車等の輸送機器向けの販売は底堅く推移したものの、業界全体の生産が減少した影響から、関連工具の販売は減少しました。工作機械業界では、新興国向けの販売が振るわず、国内・欧米向けも同様の傾向にあり、関連工具の販売は前期より減少しました。
これらの結果、機械業界向け売上高は88億5百万円(前期比6.0%減)となりました。
④石材・建設業界
国内の建設業界では、公共投資が前期を下回る状況となり、当社工具が多く使われる補修工事も減少した事により、国内の建設関連工具の販売は減少しました。海外向けポータブルカッタは新製品投入による客先の在庫調整等もあり販売は減少しました。
これらの結果、石材・建設業界向け売上高は48億18百万円(前期比13.0%減)となりました。
⑤その他
大学、研究機関、窯業及び宝飾等上記以外の業種への売上高は15億95百万円(前期比19.3%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
項目前連結会計年度
(百万円)
当連結会計年度
(百万円)
増減
(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー7,2906,205△1,084
投資活動によるキャッシュ・フロー△3,228△1,1942,033
財務活動によるキャッシュ・フロー△3,590△2,631958
現金及び現金同等物に係る換算差額△362△68293
現金及び現金同等物の増減額1092,3102,200
現金及び現金同等物の期末残高12,96615,2762,310

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、152億76百万円となり前連結会計年度末と比べ23億10百万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、62億5百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が32億41百万円、減価償却費が33億53百万円、法人税等の支払額が11億65百万円あった事によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出された資金は、11億94百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が22億円、投資有価証券の取得による支出が12億27百万円、投資有価証券の償還による収入が17億円あった事によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出された資金は、26億31百万円となりました。これは主に、自己株式の取得による支出が8億47百万円、配当金の支払額が14億9百万円あった事によります。