有価証券報告書-第142期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/19 11:51
【資料】
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【項目】
86項目
(1) 【コーポレート・ガバナンスの概要】
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方
当社は、「公明正大、社会貢献、環境保全、品質第一、顧客優先、技術革新、全員参加」からなる「基本理念」を実践し、誠実に社会的責任を果たすことで、社会から広く信頼を得て、長期安定的に企業価値を向上させることを経営の最重要課題としております。事業活動を通じて豊かな社会づくりに貢献することを基本に、株主やお客様、取引先、債権者、地域社会、従業員などのステークホルダーとの良好な関係を築くことが重要と考えております。
こうした考えのもと、経営の効率性と公正性・透明性を維持・向上するため、経営環境の変化に迅速かつ柔軟に対応できる体制を構築するとともに、経営の監督機能強化や情報の適時開示などに取り組み、コーポレート・ガバナンスの充実をはかっております。
② 企業統治の体制の概要及び当該体制を採用する理由
当社は取締役会を毎月開催することで、経営に関わる重要事項の決定および取締役の職務執行の監督を行っております。さらに、会社経営などにおける豊富な経験と高い識見を有する社外取締役を選任し、取締役会において、適宜意見・質問を受けるなど、社外取締役の監督機能を通して、客観的な視点からも、取締役会の意思決定および取締役の職務執行の適法性・妥当性を確保しております。また、取締役会の実効性について、毎年社外取締役・監査役へのインタビューを行い、評価・意見を踏まえて向上をはかっております。一方で、ビジョン、経営方針、中期経営戦略、大型投資などの経営課題については、副社長以上と監査役および議案に関わる経営役員などで構成する「マネジメントコミッティ」で、さまざまな対応を協議しております。
当社は事業部制を採用し、事業運営に関わる権限の多くを事業部に委譲しております。しかし、特に重要な事項については、「事業執行会議」において、社長が各事業部の最高責任者に対し、定期的に監督、フォローを行っております。「経営会議」では、取締役、監査役、経営役員などをメンバーとして、月々の業務執行状況の報告・確認、取締役会の審議内容およびその他の経営情報の共有化をはかっております。また、人事、品質、生産、調達、技術の各機能において課題を審議する機能会議や、CSR、環境、輸出取引管理などの特定事項を審議する委員会を設置し、それぞれの分野における重要事項やテーマについても協議しております。
当社は監査役制度を採用するとともに、会社法の要件を満たし、独立性を有する社外監査役を選任しております。監査役は株主の負託を受けた独立の機関として、毎年、経営環境変化や監査実施状況を踏まえ、監査役会において監査方針を策定しております。
以上のとおり、経営監督体制が充分に整い、機能しているとの認識から、当社は現状の体制を採用しております。
業務執行・監督のしくみは、次のとおりであります。

③ 企業統治に関するその他の事項
当社は「基本理念」を実践し誠実に社会的責任を果たすべく、職場力の強化・心づくりと人材育成に不断の努力を払っております。以上の認識を基盤とした会社法所定の以下の項目に関する当社の基本方針およびその運用状況の概要は次のとおりであります。
[内部統制の整備に関する基本方針]
(イ) 取締役の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
・取締役に必要とされる法知識、求められる義務と責任に関して、新任役員研修および都度実施する役員法令講習会等によって、識見を高め意識の向上をはかり、取締役が法令、法の精神および定款に則って行動することを徹底する。
・業務執行にあたっては、取締役会、経営会議、マネジメントコミッティ、事業執行会議および組織横断的な機能別の管理会議体・委員会で、総合的に検討したうえで意思決定を行う。これらの会議体・委員会への付議事項は規程に定め、適切に付議する。また、主要な会議体・委員会には監査役の出席を得るとともに、監査役による重要書類の閲覧の機会を常時確保する。
・企業倫理、コンプライアンスおよび危機管理に関する重要課題について、CSR委員会および機能別の管理会議体・委員会にて適切に審議しリスクへの対応をはかる。また、取締役および使用人の行動規範として「豊田自動織機 社員行動規範」を策定し、あらゆる企業活動の前提として周知徹底をはかる。
・使用人に対して社外弁護士を受付窓口とする「企業倫理相談窓口」をはじめとした複数の相談窓口を設置し、取締役のコンプライアンスに関わる重要事項の早期発見に努める。
(ロ) 取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に関する体制
・取締役の職務執行に係る情報の保存及び管理については、保存する情報の対象の特定、作成責任部署、保存責任部署、保存方法、保存期間等について定めた社内規程ならびに法令に基づき、適正に作成、保存および管理し、必要に応じて常に閲覧、検証できる状態を維持する。
(ハ) 損失の危険の管理に関する規程その他の体制
・予算制度等により資金を適切に管理するとともに、稟議制度等により重要度に応じて決裁権限者および業務執行責任者を定め、業務および予算の執行にあたってのリスク管理を行う。大規模な投資等の重要案件については、取締役会およびマネジメントコミッティへの付議基準を定めた規程に基づき適切に付議し、事業機会とリスクを評価し合理的判断のもと意思決定する。
・財務リスクを明確にして、それに対する統制活動を文書化し、その実施状況を確認するなど、財務報告の信頼性確保に取り組む。また、情報開示委員会を通じて、適時適正な情報開示を確保する。
・品質、安全、環境、人事労務、情報セキュリティ、輸出取引管理等のコンプライアンスとリスクについて、各事業は、事業長の義務と責任において体制を整備し日常管理を行う。機能別の管理会議体・委員会および本社機能各担当部署は必要に応じて、会社規則の制定、マニュアルの作成・配付、研修の実施、業務監査等を行い、全社的管理を行う。
・災害等の発生に備え、マニュアルの整備や訓練を行うほか、必要に応じて、リスク分散措置並びに損失に備えて保険付保等の対応をとる。
・リスクが顕在化して重要問題が発生した場合には、リスク対応マニュアルに則って適切な対策、処置を講じるとともに必要な情報開示を速やかに行う。
(ニ) 取締役の職務の執行が効率的に行われることを確保するための体制
・方針管理制度のもと、中期経営計画および年度毎の会社方針を策定し、これに基づき、各事業は、事業長の責任において事業部方針・利益計画・各組織の実施事項等を明確にし方針管理・日常管理を行う。その業務執行状況については、取締役会、経営会議、事業執行会議、社長現場点検等で確認する。
・新製品の開発、システム開発、生産ラインの新設等については、その品質・コスト・納期を確保するために、商品企画から製品設計、生産準備、生産移行、初期生産等における審査ステップを設けたDR(デザインレビュー)制度のもと、各事業の事業長が管理する。
(ホ) 使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保するための体制
・「豊田自動織機 社員行動規範」を周知し、重要事項について研修や職場ミーティング等で徹底をはかる。
・各組織における職務分掌と責任権限の明確化をはかるとともに、業務プロセスの中にコンプライアンスとリスク管理のしくみを組み込む。その実効性については、業務監査および自主点検の実施等により確認する。
・使用人に対して社外弁護士を受付窓口とする「企業倫理相談窓口」をはじめとした複数の相談窓口を設置し、使用人のコンプライアンスに関わる問題の早期発見および事前相談による未然防止に努める。
(ヘ) 株式会社並びにその親会社及び子会社からなる企業集団における業務の適正を確保するための体制
・子会社を管理監督する主管事業部等は、当社の基本理念、行動規範、会社方針、事業部方針、財務・品質・安全・環境・人事労務等に関わる重要な方針等を各子会社に展開し、子会社の取締役は、その責任のもと、当該子会社の業務執行の適正性と適法性を確保する内部統制の整備と運用をはかる。
・子会社の主管事業部等は、子会社の取締役、監査役および使用人との定期または随時の情報交換および当社より派遣する非常勤取締役による経営の監督を通じて、子会社取締役の業務の適正性と適法性を確認する。
・当社の本社の機能各部は、子会社への重要な方針の展開、内部統制の整備等において、子会社の主管事業部等および子会社を支援する。
・子会社の取締役および使用人が、当該子会社の経営上重要な事項について当社へ報告する体制として、関係会社管理規則を整備、運用する。
・子会社の取締役および使用人に対して、当社の「企業倫理相談窓口」の利用を促すとともに、子会社が設置する内部通報窓口への重要な通報案件を当社に報告することを求め、子会社の取締役および使用人のコンプライアンスにかかわる問題の早期把握と解決に努める。
(ト) 監査役がその職務を補助すべき使用人を置くことを求めた場合における当該使用人に関する事項
・監査役の職務を補助する専任の組織として監査役室を設け、取締役の指揮命令に服さない、監査役室員を複数名置く。
(チ) 前号の使用人の取締役からの独立性、および当該使用人に対する指示の実効性の確保に関する事項
・監査役室員の人事については、事前に監査役会又は監査役会の定める常勤監査役の同意を得る。
・当社又は子会社の取締役および使用人は、監査役の指示に基づく監査役室員の調査、情報収集に協力する。
(リ) 取締役及び使用人、子会社の取締役及び使用人又はこれらの者から報告を受けた者が監査役に報告をするための体制
・取締役および使用人は、監査役の求めに応じ、業務執行状況の報告を定期または都度行うとともに、会社に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を発見したときは直ちに監査役に報告する。
・子会社の取締役および使用人は、監査役の求めに応じ、都度監査役に業務の報告を行う。また、子会社の主管事業部等および本社の機能各部は、子会社の経営上重要な事項について、適宜監査役に報告する。
・監査役への報告を理由として、当社又は子会社の取締役および使用人に対する不利益な取り扱いを行わないよう、しくみを整備、運用する。
(ヌ) その他監査役の監査が実効的に行われることを確保するための体制
・主要な役員会議体には監査役の出席を得るとともに、監査役による重要書類の閲覧、会計監査人との定期および随時の情報交換の機会、内部監査部門との連携を確保する。また、必要に応じた外部人材の直接任用等、監査役の職務に要する費用を負担する。
[基本方針の運用状況の概要]
(イ) 取締役および使用人の法令遵守
・新任役員研修および役員法令講習会(「忖度」とマスコミの行動原理からみる日本型企業不祥事のメカニズム)を行い、取締役の識見を高めました。
・使用人のコンプライアンスに対する理解を一層深めるため、新入社員教育や階層別教育、全社職場ミーティングで、「豊田自動織機 社員行動規範」を周知しております。海外拠点へは、周知を支援するために作成した映像教材を6カ国語に翻訳し展開しております。また、毎月テーマを決めてeラーニング教材を配信し、自主的にコンプライアンスに関する感度を磨ける環境づくりに努めました。
・社外に設置した「企業倫理相談窓口」や社内の各種相談窓口が有効に機能するために、通報者に不利益は及ばないことを明確に示し、制度の利用を使用人に周知しました。また、相談案件に適切に対応するとともに、利用状況を取締役に報告しました。
(ロ) 損失の危険の管理
・大規模な投資等の重要案件については、付議基準に基づき、取締役会およびマネジメントコミッティにより、事業機会とリスクを評価し意思決定しました。
・安全、品質、環境等のコンプライアンスとリスクについては、機能別の管理会議・委員会を開催し、全社的管理を行っています。
・災害(地震、火災・爆発、水害など)に備え、防災防火会議を開催しております。また、全工場での避難訓練に加え、各工場での工場本部訓練(初期消火、情報収集、搬送救護など有事の役割の訓練)も実施しております。
・機密情報漏洩の未然防止のため、情報セキュリティや機密漏洩に関するマニュアルを整備して教育するとともに、機密情報の漏洩事故を想定した実践的な訓練を実施しております。
(ハ) 取締役の職務執行の効率性
・方針管理制度により、中期経営計画および年度会社方針を策定し、これに基づき各組織の実施事項を明確にして方針管理・日常管理を行いました。重要事項は、取締役会およびマネジメントコミッティで、付議基準に基づき審議・決議するとともに、その執行状況については、取締役会、経営会議、事業執行会議、社長現場点検等で確認しました。
(ニ) 企業集団における業務の適正性
・子会社の主管事業部等は、基本理念、会社方針などの重要な方針を子会社に展開し、子会社と定期または随時に情報交換の機会を設け、子会社の会社方針や安全、品質、環境、コンプライアンスなどの推進状況等について確認・フォローしました。
・内部監査部門および安全衛生や環境などの機能部門は、子会社の業務監査や点検シートによる子会社の自主点検などの方法により、法令遵守等の状況を確認・フォローしました。
(ホ) 監査役への報告および監査の実効性
・当社および子会社の取締役等から業務執行状況を監査役へ報告しました。また、取締役の重要な意思決定、業務執行・法令遵守状況を把握できるよう、主要な役員会議体には監査役の出席の機会を設けています。
さらに、経営の透明性を高めるため、IR専任の組織を設置し、株主および投資家の皆様へのアカウンタビリティの確保に努めております。
④ 責任限定契約の概要
当社は全ての社外取締役および社外監査役との間に会社法第423条第1項の賠償責任を限定する契約を締結しており、当該契約に基づく賠償責任限度額は、同法第425条第1項に定める額を責任の限度としております。
⑤ 取締役の定数および取締役の選任の決議要件
(イ) 当社の取締役は、20名以内とする旨を定款に定めております。
(ロ) 当社は、取締役の選任は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨を定款に定めております。
(ハ) 当社は、取締役の選任は、累積投票によらない旨を定款に定めております。
⑥ 株主総会決議事項を取締役会で決議することができる事項および理由
当社は、以下について株主総会の決議によらず、取締役会で決議することができる旨を定款に定めております。
(イ) 会社法第165条第2項の規定により、自己の株式を取得することができる旨
(経営環境の変化に対応した機動的な資本政策を遂行できるようにするため)
(ロ) 会社法第426条第1項の規定により、取締役(取締役であった者を含む)の同法第423条第1項の賠償責任を法令の限度において免除することができる旨
(取締役が期待される役割を十分に発揮できるよう、取締役の責任を軽減するため)
(ハ) 会社法第426条第1項の規定により、監査役(監査役であった者を含む)の同法第423条第1項の賠償責任を法令の限度において免除することができる旨
(監査役が期待される役割を十分に発揮できるよう、監査役の責任を軽減するため)
(ニ) 毎年9月30日最終の株主名簿に記載もしくは記録された株主または登録株式質権者に対し、会社法第454条第5項に定める剰余金の配当をすることができる旨
(剰余金の配当などを取締役会の決議により実施することが可能となったため)
(ホ) 会社法第459条第1項各号に掲げる事項を定めることができる旨
(剰余金の配当などを取締役会の決議により実施することが可能となったため)
⑦ 株主総会の特別決議要件
当社は、株主総会の特別決議の要件である定足数を緩和できるようになったため、会社法第309条第2項に定める決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもってこれを行う旨を定款に定めております。