有価証券報告書-第125期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 13:01
【資料】
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【項目】
150項目

研究開発活動

当社グループ(当社及び連結子会社)は、2020年度において、「新型コロナ禍での事業継続体制の強化」とともに「積極的な研究開発投資の継続」を経営方針とし、一流の商品とサービスの提供を通して社会に貢献することを目指してきております。具体的には「商品一流化活動」を推進し、顧客の収益性向上に貢献する「知性に富んだ魅力的な商品(スマート商品)」の開発など、当社グループ一丸で取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発投資総額は195億円であり、セグメントごとの主な研究開発成果は次のとおりであります。
(1) 機械コンポーネント
減・変速機につきましては、「AGV(自動搬送車)用ドライブソリューションsmartris(スマートリス)」を市場投入しました。AGVやAMR(自律移動ロボット)の駆動用として最適なギヤ・サーボモータ・ドライバを安全でコンパクトなワンパッケージとし、さまざまな走行性能や可搬性能を実現します。 また、ギヤモータの故障を未然に検知する「ギヤモータ状態監視システムS-CMS」を市場投入しました。従来商品では多くの場合に必要となる複雑な設定や初期値の入力を不要とすることで、できるだけ簡単に導入でき、すぐに役立つ商品となっています。ギヤモータの劣化傾向を把握・管理し、計画的なメンテナンスや予防保全により生産ラインのダウンタイム短縮に貢献します。
当該部門に係る研究開発費は17億円であります。
(2) 精密機械
プラスチック加工機械につきましては、超高速全電動射出成形機「SEEV-A-SHRシリーズ」を市場投入しました。これまでに発売した型締力500,2200,2800kNの3機種に、型締力1000,1300,1800,3500,4500kNの5機種を新しく追加し、全8種類のフルラインアップでお客様の様々な用途に対して最適な機種を提供します。主な特徴として、射出成形での限界レベルの薄肉化・低歪化を実現しています。 フィルム加工機械につきましては、液晶ポリマー(LCP)対応のインフレーション装置を市場投入しました。同装置では、LCPを安定的にフィルム成形する技術を実現しております。 精密機器につきましては、超電導マグネット冷却用途の4K-GM冷凍機と組み合わせて使用する、空冷圧縮機「FA-50シリーズ」を市場投入しました。従来機から通信、センシング機能及び熱交換性能を強化した上で圧縮機ユニットサイズを28%小型化しました。また、最新型の高効率4K-GM冷凍機から旧モデル冷凍機との組み合わせを可能とし、新規の需要および従来機からの置換え需要を取込める上位互換を実現しました。
レーザ加工システムにつきましては、「Z‘eye(ゼット・アイ)シリーズ」を市場投入しました。反射レーザ光とプラズマ光のインライン測定により、溶接品質の良否を判断する従来型の溶接モニタに新たに加工面の視認性を強化し、生産ラインの検査省力化に貢献します。
制御システムにつきましては、スマート駆動システム「System MXs」を市場投入しました。2次電池・電子材料のコンバーテック製造ライン向けに、これまで培ったRoll to Roll駆動方式の張力制御、ダンサー制御、比例制御などを標準パッケージとして搭載し、お客様での試運転、設備保全の効率化に貢献します。また、製品検査市場向けのAI搭載型3次元追従外観検査システムでは、従来の「KITOVシリーズ」に新たな「KITOV-CORE」を追加し、お客様の運用要求に応じたシステム対応の拡充を行いました。「KITOVシリーズ」は多様な欠陥を検出可能とし、直感的な操作性を実現しております。
クーラント処理装置につきましては、マグネットを利用した新用途への適用や機能向上製品の市場投入を進めております。
精密研削盤につきましては、環境に配慮したクーラント飛散防止カバーや自動化機能の付加などを進めております。
当該部門に係る研究開発費は74億円であります。
(3) 建設機械
建設機械分野では、作業性、経済性、環境保全性、安全性を追求した新商品開発及び研究に継続して取り組んでおります。 油圧ショベルにつきましては、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録された「お知らせ機能付周囲監視装置『FVM2』搭載油圧ショベル」をさらに安全性と作業効率を進化させた衝突軽減システム「FVM2+」を搭載した機械が好評です。また、特定特殊自動車排出ガス規制(オフロード法)2014年基準に適合し、低燃費と作業性を高次元で両立させた7.5tクラスの後方超小旋回機「SH75X-7」及び同超小旋回機「SH75XU-7」を市場投入しました。 道路機械につきましては、欧州ノンロードディーゼル第5次排出ガス規制(StageⅤ)に対応した最大舗装施工幅6mのクローラ式アスファルトフィニッシャ「HA60C-11」を市場投入しました。 当該部門に係る研究開発費は47億円であります。
(4) 産業機械
産業機器につきましては、「BNCT治療システムNeuCure」並びに「BNCT線量計算プログラムNeuCureドーズエンジン」が、日刊工業新聞社主催の第63回「十大新製品賞」において、日本力(にっぽんぶらんど)賞を受賞しました。日本発の高度医療機器が各方面で評価され、BNCT及び当社の認知度向上につながりました。
蒸気タービンにつきましては、市場の高効率化要求に対応し、高圧段へ反動翼を搭載した復水タービンの初号機を受注しました。また、低圧段に関しても新たに翼形状最適化翼を開発し、さらなる高効率化を実現しました。
搬送システムにつきましては、各種運搬荷役機械のリアルタイム監視と故障診断復旧支援から保守・操業管理支援に至る統合型の遠隔監視システムとして「SIRMS」を開発し、サービスの提供を開始しました。機上の設備情報をクラウドネットワークを介して任意の地点からリモート監視が可能となり、お客様の保守戦略や最適な物流と製品の信頼性確保に貢献します。
当該部門に係る研究開発費は38億円であります。
(5) 船舶
船舶につきましては、中期的なタンカー市場の変化に対応し、かつ、厳しい新環境規則や新燃料にも適合した顧客収益性の高い「中型タンカー」が好評を得ております。新燃料についてはLNG、メタノール燃料船に対する船級の設計基本承認(AIP)を取得済みです。また、塗装技術や溶接技術のほか、生産管理の高度化にも取り組み、さらなる品質と生産性の向上を実現しました。
当該部門に係る研究開発費は2億円であります。
(6) 環境・プラント
水環境プラントにつきましては、民間工場排水処理設備のリノベーションとして、昨年度上市した「エアロインパクト」を納入しました。本方式により処理負荷アップと処理水質の安定化を実現しました。近年、局地的、集中的な降雨による下水処理施設の浸水被害のリスクが増加しています。そのリスクに対応するための「分流式下水道の雨天時浸入水量予測及び雨天時運転支援技術に関する実証事業」について、国土交通省による下水道革新的技術実証事業(B-DASHプロジェクト)として採択されました。
化工機につきましては、中~高粘度液の微粒子製造装置「NANOVisK」が、ファインケミカル分野等で着実に使用拡大しております。
当該部門に係る研究開発費は17億円であります。
(smartrisは、住友重機械工業㈱より商標出願中です) (Z’eyeは、住友重機械工業㈱の登録商標です)
(FVMは、住友重機械工業㈱の登録商標です)
(NeuCureは、住友重機械工業㈱の登録商標です) (SIRMSは、住友重機械搬送システム㈱より商標出願中です)
(エアロインパクト/AEROIMPACTは、住友重機械エンバイロメント㈱より商標出願中です)