有価証券報告書-第120期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 14:05
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【項目】
125項目

研究開発活動

当社グループ(当社及び連結子会社)は、「中期経営計画2016」(平成26~28年度)において、3つの基本方針である『着実な成長』『高収益への反転』『たゆみなき業務品質改善』を掲げて、一流の商品とサービスの提供を通して社会の発展に貢献することを目指しております。具体的には、グローバル市場に通用する一流商品の創出のために、「商品一流化活動」を推進し、顧客の収益性向上に貢献する「知性に富んだ魅力的な商品(スマート商品)」の開発など、当社グループ一丸で取り組んでおります。また、開発段階における市場品質確保を目的とした、プロセス変革活動を精力的に進めております。
当連結会計年度の研究開発投資総額は124億円であり、セグメント毎の主な研究開発成果は次のとおりです。
(1) 機械コンポーネント
減・変速機につきましては、サーボモータ用高精度遊星減速機「IBシリーズ」に大型同心軸機種「P2タイプ」2サイズおよび小型直交軸機種「PK1タイプ」3サイズを追加、販売を開始しました。業界トップクラスのコンパクト性と、各サーボモータメーカに対応した取付けフランジを揃え、金属加工機械や精密制御用途での要求に応えています。
当該部門に係る研究開発費は18億円であります。
(2) 精密機械
プラスチック加工機械につきましては、全電動射出成形機の汎用ベースマシンにおいて、精密・安定性、操作性、金型対応性を向上させた「SEEV-Aシリーズ」として「SEEV-A」(型締力50~180ton)、「SEEV-A-HD」(型締力220~500ton)を市場投入しました。また、複合成形に適した全電動竪型射出成形機(ロータリーテーブルタイプ)「SR-Zシリーズ」において、従来の型締力50、75tonに加えて、新たに120tonの「SR120Z」を市場投入しました。更に、モバイル端末用液晶パネルの導光板成形における更なる薄型化要求に対応するべく、射出・型締性能を強化した導光板専用機「SE180EV-A-LGP」を市場投入しました。
精密機器につきましては、GM冷凍サイクルの運転圧力を上げることにより,圧縮機の圧縮比を低減し現行のシステムに比べ消費電力を約40%削減すると共に、顧客装置の稼働率向上のため、従来にないコンセプトの冷却パネルデザインにより、アルゴンガス吸蔵量を従来比67%向上させた、次世代クライオポンプ「SICERA Ultra」を市場投入しました。
制御コンポーネントにつきましては、ダイボンダ用エアソニックの市場投入とコーターライン制御用ソフトウェアの機能拡張を行いました。
電子機械につきましては、パワーデバイス用レーザアニール装置のラインナップを拡充しました。また、溶接・切断用途のファイバーレーザを搭載したレーザシステムを拡充しました。
半導体製造装置につきましては、イオン注入機「SAion-300」を市場投入しました。この装置は、従来の中電流イオン注入機と高電流イオン注入機の機能を1台で果たすことができる新しいコンセプトの装置です。今後、台湾、日本を初めとして、北米、韓国市場へと順次投入し、世界展開を進めてまいります。
平面研削盤につきましては、従来の油圧シリンダー駆動用油圧ユニットに対して40~50%の省エネ効果が得られる「HST駆動装置」を開発しました。
当該部門に係る研究開発費は48億円であります。
(3) 建設機械
建設機械につきましては、経済性、環境保全性、及び安全性を追求した市場・顧客ニーズに応える新商品開発、研究に取り組んでおります。
油圧ショベルにつきましては、先進国及び新興国それぞれの排ガス規制に対応したエンジンを搭載した新型機種を市場投入しました。また、操作性、低燃費で好評なアクティブハイブリッドショベル「SH200HB-6」のハイブリッド技術に関する性能向上の研究を行っております。
道路機械につきましては、暫定第4次排出ガス規制対応エンジンを搭載し、国内生産機では最大級の舗装幅となるアスファルトフィニッシャ「HA90C-2」を国内市場に投入しました。「HA90C-2」では、2.8mから7.5mまで無段伸縮が可能なスクリード「J・paver2875」を新規開発し、高い舗装精度と利便性を両立させました。これまで、国内の大型機市場は、欧州メーカーの独擅場でありましたが、本機の利便性並びに舗装性能が評価され、東京国際空港(羽田空港)で誘導路を舗装しました。また、新型ミニアスファルトフィニッシャ4機種「HB1741W-5C、HB31W-5C、HB1432W-5C、HB25W-5C」並びに新型振動ローラ4機種「HW30VWH-6、HW41VWH-6、HW30VSH-6、HW41VSH-6」を国内市場へ投入しました。
当該部門に係る研究開発費は38億円であります。
(4) 産業機械
医療機器につきましては、アルツハイマー病の原因のひとつである、脳内アミロイドベータプラークのPET検査に用いられる、放射性医薬品合成設備「MPS200Aβ」の医療機器製造販売承認を国産品として初めて取得し販売を開始しました。また、陽子線治療システムとして、世界初のラインスキャニングによる治療が開始され、平成27年12月に第1例の治療が完了しました。更に、サイクロトロン中性子照射システムとホウ素化合物を用いた、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)による治験(第Ⅱ相)が開始され、安全性と忍容性が確認出来た最大線量にて治験を行い、BNCTの有効性を確認する計画です。
鍛造プレスにつきましては、自動車ボディ・フレームの大幅な軽量化を実現する製造システム「STAF」を開発しております。
蒸気タービンにつきましては、初段全周高圧ケースの開発が完了し、先に市場投入した長翼機の適用範囲を拡大しました。海外自家発市場を中心に、展開を開始しております。
当該部門に係る研究開発費は11億円であります。
(5) 船舶
船舶につきましては、厳しい新環境規則にも適合し、かつ、シェール革命に代表される市場の変化にも対応した、顧客収益性の高い中型タンカーを開発、市場投入し、多くの顧客から好評を得ています。また、生産技術開発の面では、塗装技術や溶接技術のほか、生産管理の高度化にも取り組み、更なる品質と生産性の向上を実現しました。
当該部門に係る研究開発費は1億円であります。
(6) 環境・プラント
水環境プラントにつきましては、民間向けに、微細な懸濁物質を高速で沈降分離する「スミシックナーZ」を市場投入し、製鉄所の循環水や排水処理において導入に向けた検討を進めております。また、下水処理場の高度処理を行う反応タンク向けに省エネ型撹拌機を開発し、従来の水中曝気撹拌機と比べて1/20、低動力型と比べて1/7の省エネを実現し(当社比)、公的機関の認証を得ました。
化工機につきましては、汎用および高機能樹脂の分野で使用されている「MAXBLEND」「SUPERBLEND」などの撹拌装置に加え、ファインケミカル分野での使用拡大が期待される高粘度液の微粒子製造装置「NANOVisK」を市場投入しました。
冷却塔につきましては、主力の新型中容量冷却塔「KG05」用として、新たに充填材(熱交換器)スピンエフを開発しました。基本形状を最適化することで冷却塔の処理水量の増加に加え、顧客ニーズである省エネ・省スペースを実現しました。
塑性加工機につきましては、アイドリングストップ車向けにフローフォーミングによる増肉加工技術を発展させ、一体化により疲労強度を向上、高耐久化を実現しました。
当該部門に係る研究開発費は7億円であります。
(SICERAは、住友重機械工業㈱の登録商標です。)
(SAionは、住友重機械イオンテクノロジー㈱の登録商標です。)
(アクティブ ハイブリッド ショベルは、住友建機㈱の登録商標です。)
(J・paverは、住友建機㈱の登録商標です。)
(スミシックナーは、住友重機械エンバイロメント㈱の登録商標です。)
(MAXBLENDは、住友重機械プロセス機器㈱の登録商標です。)