有価証券報告書-第112期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/30 13:32
【資料】
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【項目】
153項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、つばきグループ共通の企業理念・行動指針である「TSUBAKI SPIRIT」を制定しております。
これは、先人たちから受け継いできた「つばきグループのDNA」や今後のつばきグループが世の中に提供できる価値を見つめ直し、私たちがこれからも大切にすべきこと、そして新たに取り組むべきことを「社会的使命」「目指すべき姿」「行動原則」「創業の精神」として明確に表現・体系化したものです。
社会的使命「動かすことに進化をもたらし、社会の期待を超えていきます。」を果たすため、グループが世の中に提供できる価値の最大化を追求しております。
技術を磨き続けることで「モノづくり」にこだわり、その上で「モノづくり」の枠を超えたソリューションの提供を通じて、真に顧客や社会が求める価値を提供し続けます。
社会の期待に応え、さらに、その期待を超える価値を提供することで、社会から必要とされ続ける企業となることを目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2025年度を最終年度とする「中期経営計画2025」において以下の数値目標を掲げております。(いずれも連結ベース)
・売上高:3,000~3,200億円
・営業利益率:9~11%
・ROE:8%以上
・配当性向:30%を基準とする
・CO2排出量削減:2013年度比30%削減(対象:国内グループ会社)
2018年度比20%以上削減(対象:海外グループ会社)
(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題
当社グループは、2021年6月に「長期ビジョン2030」および「中期経営計画2025」を策定いたしました。「長期ビジョン2030」では、2030年のありたい姿を「“Linked Automation”(高機能化と高度オートメーション化された技術領域)テクノロジーにより、社会課題の解決に貢献する企業グループを目指します。」と定めました。この長期ビジョンのもと、当社グループは「人にやさしい社会の実現」「安心・安全な生活基盤の構築」「地球にやさしい社会の創造」といった社会課題の解決へ貢献する新事業に取り組むとともに、既存事業の拡大により売上高規模5,000億円企業(2030年)を目指してまいります。
また、「中期経営計画2025」では、既存事業での収益力を強化するとともに、「長期ビジョン2030」の実現に向け持続的成長につながる新事業の種まきを行う5年間と位置付けて、以下の方策を展開してまいります。
①持続的成長が可能となる次世代ビジネスの創出
・社会課題に対応する新事業分野への進出
・社会課題解決に向けた新商品・新技術の創出と育成
②既存事業のさらなる市場地位確立と収益力の強化
・グローバルトップ商品:競争優位性の維持・強化
・ニッチトップ商品:価格競争力の向上による販売の拡大
③モノづくり改革および人づくり強化による事業基盤の強化
④ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組み強化
・環境(E):CO2総排出総量削減に向けた取り組み
・社会(S):機会創出に向けた攻めの取り組み(製品を通じた社会価値(CSV)の向上)
・ガバナンス(G):グローバルでのガバナンス強化と事業リスク最小化による事業基盤強化
当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルスの影響に加え、世界情勢によるエネルギー・素材価格、為替変動等の経済への影響が懸念され、不透明な状況が続くものと予想されます。こうした中、本年度(2023年3月期)においては「中期経営計画2025」に則り、将来の拡大成長を見据えた新事業領域の開拓、コア技術の磨き上げとモノづくり改革の全社展開、および持続可能な社会に寄与するサステナビリティ課題への対応強化に注力してまいります。
なお、事業部門別には、主として以下の課題に取り組んでまいります。
まず、チェーン事業におきましては、「ムダのない製造工場」に向けてシステム連携および自動化への対応を強化するとともに、未来型新商品の開発に向けた取り組みを展開してまいります。
次に、モーションコントロール事業では、複合型商品の開発に注力するとともに、スマートファクトリー(「見える工場」「止まらない工場」「つながる工場」)の実現に向けた活動に注力してまいります。
さらに、モビリティ事業では、既存ビジネスで環境対応商品をグローバルに展開すると同時に、新たなモビリティビジネスの開拓に向けて独自性のある商品の開発と提供に取り組んでまいります。
そして、マテハン事業では、システムインテグレーションビジネスの強化、メンテナンス事業の拡大に注力するとともに、再生医療等の新事業分野を含め、事業拡大に向けた各種活動を展開してまいります。
また、安心・安全で天候に左右されない「植物工場向け自動化装置(アグリビジネス)」、災害時対応やスマート電力網の構築に寄与するV2X(Vehicle to Everything)対応充放電装置「eLINK®」、モノづくりのノウハウを生かした遠隔監視等の「モニタリングシステム」では、社外との連携を強化することにより、新規事業育成への取り組みをさらに進めてまいります。
その他の課題として、事業の継続と社会的責任を果たすため、当社グループにおけるESGの重要課題を抽出し、事業活動を通じた対応を推進してまいります。環境・社会課題関連では、2022年3月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同表明および「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」への署名を行いました。これらを機に、グループ全体で一層の活動強化を図ってまいります。また、健康増進活動による健康経営の推進と環境整備を含めた働き方改革により、従業員の活力向上に取り組んでまいります。ガバナンス関連では、現行のコーポレート・ガバナンス体制において実効性評価に基づく取締役会の活性化策を実施するとともに、リスクマネジメント活動をグローバルに展開してまいります。