有価証券報告書-第104期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/26 15:00
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【項目】
165項目

対処すべき課題

当社は、「人と時間」「人と環境」の分野で新しい価値を創造し、安心・快適で健全な社会の実現に貢献することを経営理念としております。
この経営理念のもと、経営環境の変化に対応した最適なガバナンス体制を機軸に、既存事業の拡大に加え中長期・グローバルな視点での新しい事業・市場を創出して持続成長を実現することにより企業価値の最大化を図ります。また、事業活動を通じて確保した適正な利益を継続的に還元して、「顧客、取引先、株主、社員、地域社会」の全てのステークホールダーに信頼され評価される企業を目指してまいります。
当社は、2020年4月から2023年3月までの3ヵ年の「新中期経営計画」を策定しております。
その概要は次のとおりであります。
[1]基本方針
新中期経営計画では、「100年企業への3rd Stage -持続成長につながる盤石な経営基盤の確立-」を経営コンセプトとして掲げ、グローバル時代に対応した経営管理体制整備やコンプライアンスの更なる徹底を基礎として、ESG経営を意識しながら、企業価値向上に向けて以下の2つの重要課題に取り組んでまいります。
①成長ドライブへの投資
急速に進みつつあるデジタル・トランスフォーメーションの動きに対応して、当社においても各事業分野におけるデジタル化、IT化を強力に推進してまいります。特に、ソフト系資産やIoT、AI等への戦略投資など、成長ドライブに対して確実な投資を実行し、売上・利益の持続成長を実現いたします。
同時に、前第7次中期経営計画から開始いたしましたベンチャー企業やスタートアップ企業への投資やM&Aについても継続して取り組み、第6の事業の柱構築を目指してまいります。
②各部門の強みの相乗効果による断トツの競争優位性の確立
各部門、各グループ会社の強みを改めて分析・把握した上で、それらをさらに強化するために上記①で示した戦略投資を実行しながら、それぞれの強みの相乗効果を図り、競争優位性をさらに高めてまいります。この取り組みの中で、当社がこれまでに培ってきた顧客基盤の深化・拡大に取り組むとともに、商品ラインナップについて市場トレンドを見据えた拡充をさらに図ってまいります。
新中期経営計画の目標は、「3KPIs AVERAGE 12%」の達成といたします。
①OPR(営業利益率) 13%達成
②CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル) 12%短縮
③ROE(自己資本利益率) 11%達成
この基本方針に基づく地域別の主な施策と課題は以下のとおりです。
1.日本市場
日本市場においては、国内グループ各社やグループ外の企業とも連携を強化し、全事業についてハード、ソフト、サービスに亘る総合ソリューション提案力の質と量の向上を図り、直販・直サポートの強みを活かした「3in1活動」を推進してまいります。既存顧客との関係強化や新規顧客への取引拡大により、バランスの取れたフロー&ストックビジネスを拡大することにより、各事業で断トツの競争優位性の確立を目指します。
情報システムは、2019年4月に働き方改革関連法が施行され、今後も労働関連の各種法改正が続きます。長時間労働是正のための労働時間の適正な把握が求められるほか、同一労働同一賃金の導入や副業・兼業、リモートワーク等による労働スタイルの変化に伴い複雑な労働時間管理が企業の責務となったことを背景に、適法な労働時間管理体制の整備・再構築を目的とした就業管理システムへの需要が継続しております。また、各種行政手続きの電子化が進むことで、クラウドサービスに対する需要の拡大が見込まれます。
このような市場環境下、中小市場では人事労務管理パッケージソフトウェア「TimePro-NX」による就業・人事・給与のトータル提案継続によりさらなるシェア拡大を図るとともに、従業員の採用から退職までに生じる様々な届出や申告業務を電子化するクラウドサービス「e-AMANO」の展開を強化してまいります。また、需要が底堅い中堅・大規模市場では、「TimePro-VG」を軸にクレオ社との連携による就業・人事・給与・会計のソフトウェアとコンサルティング営業の強化に取り組んでまいります。今後市場拡大が見込まれる教員や医師等の勤怠管理に対する取り組みも強化し、ハード・ソフト・サービス・クラウドまでの「ワンストップサービス」で顧客基盤の維持・拡大を図り、更なる業容拡大に取り組んでまいります。
パーキングシステムは、不安定な景気動向の影響を受けて駐車場稼働率の低下が見られるものの、キャッシュレス決済の普及やチケットレスでの運用等の新たな需要により、駐車場関連市場は引き続き拡大しております。また、駐車場運営上のコスト削減、場内の安全・安心の確保、環境への配慮、利用者の利便性の向上に加えて、デジタルトランスフォーメーションの流れの中で、クラウドによる駐車場サービスやETC技術を活用した運用に関するソリューション提案ニーズが高まってきております。
このような市場の変化の中で、システム機器の機能・操作性の向上を図りつつ、大手駐車場管理会社との連携を一層強化し、中小駐車場管理会社には駐車場データセンターを介した各種サービスなどを提供するとともに、予約ビジネスやシェアリングエコノミー、自動運転技術の進歩等の市場変化への対応を引き続き行ってまいります。また、運営受託事業の提案強化、駐輪場やセキュリティゲート、有料道路などの施設に関する取り組みも強化拡充を継続し、事業の拡大を図ってまいります。
環境システムは、景況感の急速な悪化に伴い国内外で企業の設備投資マインドが弱い状況となっております。
このような市場環境下、国内では新製品の投入や既存商品の新領域への展開による汎用機の台数拡大を図るとともに、景況感に左右されにくい製薬・食品・化粧品市場等の事業領域の拡大を図ってまいります。また、産業機器メーカーとの提携などによるエンジニアリング力の強化や周辺装置を含めた省エネ・省力化提案によるトータル販売、IoTを活用した新たなサービスの提案にも取り組んでまいります。
クリーンシステムは、企業の清掃コスト削減の動きが継続する上に、清掃作業員の高齢化、女性採用率の増加による作業者負担の軽減が求められる中、清掃機器には安全性・操作性の向上、ローコストで建物の美観維持に関わるニーズに加え、ロボット技術を活用した清掃作業の自動化に対する需要が拡大しております。
このような市場環境下、国内では、清掃ロボット市場の拡大に対応した商品ラインナップの強化や通信機能を利用した各種サービスの提供、洗浄機によるファクトリー市場の拡大、保守契約やサプライ品の受注推進によるストックビジネスの拡大など、顧客基盤の維持・拡大を図ってまいります。また、清掃受託や美観維持も含めた総合提案を推進してまいります。
2.北米市場
北米においては、パーキングシステムは、アマノマクギャン社において抜本的な改革の実行により本格的な業績回復を早期に目指すとともに、システム機器の拡販や、新システムの展開を図ります。情報システムは、アキュタイムシステムズ社の就業情報ターミナルの拡販、クラウド連携商品の拡充により、業容の拡大を図ります。クリーンシステムはアマノパイオニアエクリプス社の木材床研磨機器部門のさらなる業容拡大を図るとともに、新たな市場の開拓や新たな商材の発掘を進めてまいります。環境システムは、アマノメキシコ社においてメキシコを含めた北米市場における戦略策定を進めてまいります。
3.欧州市場
欧州においては、情報システムは、ホロクオルツ社におけるワークフォース・マネジメント、アクセスコントロール事業等の推進による顧客基盤の更なる強化を図るとともに、フランス以外の新たな国での事業展開を目指します。パーキングシステムは、システム機器販売及び運営受託事業の展開による事業拡大を図ります。
4.アジア市場
アジアにおいては、パーキングシステムは、運営受託事業のサービス強化と新たな地域への展開により、事業拡大を目指します。環境システムは、アジアグループ各社と日本との連携により、日系企業へのエンジニアリング力、販売・サービス体制を強化し、また、各地域においてサプライチェーンネットワークの構築を図ります。
[2]数値計画
本計画の最終年度である2023年3月期は売上高140,000百万円以上、営業利益18,500百万円以上の達成を目指してまいります。
(数値計画の主な前提・ポイント及び新型コロナウイルス感染症の影響)
・初年度である2021年3月期は、国内外のグループ各社が新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響を大きく受けることを想定。特に、同上期は各国の外出禁止令や外出自粛により受注活動や生産活動の一部が一定期間停止する可能性が高く、その後の回復過程にも影響が残ることを前提としている。
・アマノ単体の情報システムの働き方改革の追い風を引き続き受け、多少の変動はありながらも成長が継続する見込み。一方、パーキングシステムはオリンピック需要が一巡、環境システムも米中貿易摩擦の影響継続で中期経営計画前半期は低迷するが、後半期には成長軌道に回帰。
・国内外の駐車場運営受託事業は引き続き成長ドライバーとして全体の業績を牽引。
・懸案の北米アマノマクギャン社はマネジメント変更などを通して組織・事業の再構築を実施したことから、初年度後半からの収益改善を計画。
なお、現時点では暫定的に3ヵ年の数値計画を以下のとおり策定しておりますが、新型コロナウィルス感染症の終息時期やその後の各国経済の回復過程等、事業環境には不透明感が強いことから、2021年3月期の上期終了時点で数値計画の見直しを実施する予定です。
<数値計画>(単位:百万円)
2021年3月期2022年3月期2023年3月期
金額前年比金額前年比金額前年比
売上高110,000△17.3%125,00013.6%140,00012.0%
営業利益7,000△56.7%14,000100.0%18,50032.1%
営業利益率6.4%11.2%13.2%
経常利益7,800△53.8%15,00092.3%19,50030.0%
親会社株主に
帰属する
当期純利益
6,100△42.3%10,00063.9%13,00030.0%