有価証券報告書-第156期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/23 13:38
【資料】
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【項目】
65項目

業績等の概要

(1) 業績
当社は、2016年11月8日に創立100周年を迎えました。当社グループの企業理念の実現に向けて、創立100周年から10年後の2026年に目指していく姿を「NSKビジョン2026(あたらしい動きをつくる。)」として策定しました。
この「NSKビジョン2026」の下、当社グループは2016年度から2018年度迄の第5次中期経営計画をスタートさせました。この中期経営計画では、「次の100年に向けた進化のスタート」をスローガンとし、「オペレーショナル・エクセレンス(競争力の不断の追求)」と「イノベーション&チャレンジ(あたらしい価値の創造)」を方針に据えて、持続的成長、収益基盤の再構築、新成長領域確立の3つの経営課題に取り組んでいます。
当連結会計年度の世界経済を概観すると、日本経済は為替相場の円高基調もありましたが、個人消費に底打ちがみられ景気全般としては緩やかな回復傾向となりました。米国経済は個人消費を中心に堅調に推移しました。欧州では、ユーロ圏を中心に緩やかな回復傾向が続きました。また、中国は底堅く推移し、その他アジアでは景気の持ち直しの動きがみられました。なお、英国のEU離脱問題や世界的な地政学リスクの高まりを受けて、景気の先行きに不透明感があります。
このような経済環境下、当連結会計年度の売上高は9,491億70百万円と前期に比べて2.7%の減収となりました。営業利益は653億41百万円(前期比△27.0%)、税引前利益は636億17百万円(前期比△27.1%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は455億60百万円と前期に比べて30.7%の減益となりました。
当社グループのセグメントごとの市場環境と業績は次のとおりです。
①産業機械事業
産業機械事業は、第2四半期を底に需要の回復がみられましたが、対前期では減収となりました。当社グループの状況を地域別にみると、日本では、工作機械向けを中心に減収となりました。米州は半導体向けやアフターマーケット向けが増加しました。欧州においては、風力発電向けやアフターマーケット向けの需要が落ち込みました。中国では、電機向けや鉄道車両向けなどが堅調に推移しました。その他アジアにおいては、韓国で半導体向けの増加がみられたものの、全般的に需要の低迷が続きました。
このような地域別状況に為替変動(円高)の影響も加わり、産業機械事業の売上高は2,269億24百万円(前期比△6.8%)、営業利益は146億60百万円(前期比△27.3%)となりました。
②自動車事業
自動車事業は、グローバルに緩やかな拡大が続きました。当社グループの状況を地域別にみると、日本では、トランスミッション向けを中心に増収となりました。米州は北米での販売が減少しました。欧州は緩やかに増加しました。中国では、小型車優遇税制効果もあり高い伸びが続きました。その他アジアにおいては、全般的に増加傾向となりました。
このような地域別状況ではありましたが、為替変動(円高)の影響を受け、自動車事業の売上高は6,962億71百万円(前期比△1.3%)、営業利益は645億77百万円(前期比△8.8%)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は1,395億73百万円となり、前連結会計年度末に比べて359億42百万円減少しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られたキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて406億86百万円減少し、679億36百万円の収入となりました。主な収入の内訳は、税引前利益636億17百万円、減価償却費及び償却費433億54百万円、仕入債務の増加144億39百万円であり、一方で主な支出の内訳は、退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産の増減額201億33百万円、売上債権の増加220億7百万円、法人所得税の支払額199億19百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて90億31百万円増加し、542億43百万円の支出となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出532億97百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用されたキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて196億60百万円減少し、484億13百万円の支出となりました。主な収入の内訳は、社債の発行による収入200億円であり、一方で主な支出の内訳は、長期借入金の返済による支出179億63百万円、社債の償還による支出200億円、自己株式の取得による支出150億1百万円、配当金の支払額218億82百万円です。
(3) 並行開示情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに関する項目との差異に関する事項につきまして、当社は日本基準に基づく連結財務諸表を作成しておらず、差異の金額を算定することが困難であるため、以下の通り概算値を記載しています。
① 表示方法の変更
日本基準では、営業外収益、営業外費用、特別利益及び特別損失に表示していた項目を、IFRSでは財務関連項目を金融収益又は金融費用へ、それ以外の項目については、持分法による投資利益、その他の営業費用等へ表示しています。
② 退職給付に係る費用
日本基準では、発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用をその他の包括利益として認識した後に、一定の期間で償却していました。IFRSでは、発生した数理計算上の差異はその他の包括利益として認識し、過去勤務費用は純損益として認識することが求められています。
この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価、販売費及び一般管理費が約24億円減少し、その他の包括利益が約16億円減少しています。