有価証券報告書-第80期(2025/04/01-2026/03/31)
② 戦略
(ⅰ)リスクと機会の抽出
リスクと機会を以下の分類に従い抽出いたします。
気候変動に関連するリスクと機会の特定を行うにあたっては、以下の短期的・中期的・長期的観点に立って検討いたします。
(ⅱ)リスクと機会の評価方法
抽出したリスクと機会を以下の評価方法で定量化いたします。
・影響度:「量的影響」と「質的影響」について、合計を算出(1~30点)
・発生度:「可能性が非常に高い」~「可能性が低い」の範囲を4段階で判断(5~30点)

このような定量化を行って、リスクと機会の分布状況を確認いたします。強度が高いところから1から5までのランク付けを行い、3までの枠内を当社グループのリスクと機会として特定いたします。
(ⅲ)対応計画の策定、対応実績のとりまとめ
当社グループは、2026年3月期のリスクと機会への対応計画を策定し、その対応実績を取りまとめました。
また、2025年3月期に特定したリスクと機会について、シナリオ分析を行い、気候変動による当社財務への影響を推計いたしました。影響額は当社の財務データ(分野別・工場別の売上、工場資産額等)をベースに、WWF Risk Filter Suiteや個別市場の成長予測値などから、1.5℃シナリオに基づいた将来変化のパラメーターを取り出し推計しています。
(注)1.5℃シナリオ:産業革命前からの平均気温上昇が1.5℃に抑えられているシナリオ
シナリオ分析の結果によると、気候変動に伴う激甚な気象災害が水害リスクとして当社の財務に大きな影響を及ぼす可能性が示唆されております。当社は、2011年にタイの中部で発生した洪水により、当時タイに所有していた5工場のうち2工場が操業停止した経験を有しており、それ以来、水害リスクに対して、BCPの策定、防水堤や工場敷地のかさ上げ等の物理的対策を講じております。現在では、水害リスクのある工場では、リスクの程度に応じた適切な対策が講じられていると評価しておりますが、引き続き、水害リスクが具体化しないよう、対策状況のフォローアップ、改善向上に努めてまいります。
このシナリオ分析結果を踏まえ、2027年3月期のリスクと機会への対応計画を策定いたしました。
(ⅰ)リスクと機会の抽出
リスクと機会を以下の分類に従い抽出いたします。
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気候変動に関連するリスクと機会の特定を行うにあたっては、以下の短期的・中期的・長期的観点に立って検討いたします。
(ⅱ)リスクと機会の評価方法抽出したリスクと機会を以下の評価方法で定量化いたします。
・影響度:「量的影響」と「質的影響」について、合計を算出(1~30点)
・発生度:「可能性が非常に高い」~「可能性が低い」の範囲を4段階で判断(5~30点)

このような定量化を行って、リスクと機会の分布状況を確認いたします。強度が高いところから1から5までのランク付けを行い、3までの枠内を当社グループのリスクと機会として特定いたします。(ⅲ)対応計画の策定、対応実績のとりまとめ
当社グループは、2026年3月期のリスクと機会への対応計画を策定し、その対応実績を取りまとめました。
| 事項 | リスク | 機会 | 2026年3月期 対応計画 | 2026年3月期 対応実績 |
| 水リスク対応 | 洪水、台風、高潮、干ばつ等による工場の操業停止 | レジリエンスを高めることによる、顧客からの信頼確保 | ・共通帳票でのリスク管理の拡大 ・リスクサーベイの継続実施 ・好事例のヨコテン(横展開)、対策レベルの平準化 | ・主要拠点における共通帳票の運用開始 ・リスクサーベイを国内/海外 計15拠点に実施し、防災体制強化等の活動に反映 ・事例を共有する会合開催、拠点訪問による展開 ・新災害報告ルール/システムの導入 |
| 輸送を含めた生産性・資源エネルギー効率の向上 | 原材料や電力料金、燃料の高騰、炭素に係る規制等による収益の悪化 | 省エネ、低炭素、自働化の推進、省資源の生産活動による収益の向上 | ⦅生産効率向上⦆ ・製造工程の自働化、高効率、チョコ停撲滅、DX等 ・スクラップ削減、再資源化等 ⦅輸送効率向上⦆ ・梱包充填率、コンテナ積載率の改善 ・地産地消、ミルクラン(巡回集荷)の実施 ・航空便から船便へのモーダルシフト | ⦅生産効率向上⦆ ・DXを活用した自働化・省人化、工数削減、チョコ停改善活動の推進 ・歩留まり改善等、好事例のヨコテン(横展開)によるスクラップ削減、材料の再資源化等の活動を実施 ⦅輸送効率の向上⦆ ・梱包仕様や緩衝材の工夫による梱包充填率の改善 ・空間の有効活用等によるコンテナ積載率の向上 ・地産地消、ミルクラン(巡回集荷)の活用 ・航空便から船便へのモーダルシフトの推進 ・AI/DXによるルートの最適化 |
| 製品性能の向上、新製品の提供 | 省エネ性能、LCA、CFP(カーボンフットプリント)等の新指標による市場淘汰 | 省エネ、低炭素、省資源の製品提供による市場の獲得 | ・省電力、高効率製品の開発 ・小型、軽量化による原材料の削減 ・リサイクル樹脂材の使用 ・市場開拓(HEV/EV向け、自動運転技術、データセンター、スマートシティ、ヘルス・介護、電動自転車、住宅分野、空調等) | ・サーバー向け高効率ファンモーター生産開始等 ・小型、低背、複合型の車載フラットアンテナの開発等 ・顧客からの要請に基づき、再生材の活用開始 ・HEV/EV、自動運転技術市場、バッテリープロテクションモジュール、LiDAR用モーター等の量産 ・ヒューマノイドロボット、商用ドローン市場(ベアリング、トルクセンサー等) |
| 顧客・各国等の要求への対応 | 再エネ導入、CFP削減等の顧客要求等の不履行によるビジネス喪失 | 脱炭素に向けた顧客要求等の誠実な履行による受注の確保 | ・再エネの調達(自家発電、PPA(電力購入契約)等) ・再生材の使用 ・第三者格付け調査への回答対応 ・CFPの算定 | ・自社大規模太陽光発電等の再エネ導入 ・顧客からの再エネ、再生材の使用要求に対する対応(自家発電、PPA等) ・CDP2025気候変動A(最高評価)初選定 ・各種格付評価機関への回答対応 ・CSRD(EUの企業サステナビリティ報告指令)、SSBJ(日本のサステナビリティ基準委員会)等の動向の把握、注視 ・CFP算定作業等 |
| PFC、SF6の 排出抑制 | 温室効果の強いPFC、SF6の規制に伴うガス代替化、除害設備導入による投資額増大 | PFC、SF6排出量削減への積極的な対応による顧客からの信頼確保 | ・半導体生産工程の除害装置の設置 ・マグネシウム鋳造成形時のSF6削減 | ・半導体生産工程におけるプラズマ除害装置の導入と安定稼働 ・マグネシウム鋳造成型時における運転条件の最適化、まとめ生産、非稼働時における使用量の削減等 |
また、2025年3月期に特定したリスクと機会について、シナリオ分析を行い、気候変動による当社財務への影響を推計いたしました。影響額は当社の財務データ(分野別・工場別の売上、工場資産額等)をベースに、WWF Risk Filter Suiteや個別市場の成長予測値などから、1.5℃シナリオに基づいた将来変化のパラメーターを取り出し推計しています。
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(注)1.5℃シナリオ:産業革命前からの平均気温上昇が1.5℃に抑えられているシナリオ
シナリオ分析の結果によると、気候変動に伴う激甚な気象災害が水害リスクとして当社の財務に大きな影響を及ぼす可能性が示唆されております。当社は、2011年にタイの中部で発生した洪水により、当時タイに所有していた5工場のうち2工場が操業停止した経験を有しており、それ以来、水害リスクに対して、BCPの策定、防水堤や工場敷地のかさ上げ等の物理的対策を講じております。現在では、水害リスクのある工場では、リスクの程度に応じた適切な対策が講じられていると評価しておりますが、引き続き、水害リスクが具体化しないよう、対策状況のフォローアップ、改善向上に努めてまいります。
このシナリオ分析結果を踏まえ、2027年3月期のリスクと機会への対応計画を策定いたしました。
| 事項 | リスク | 機会 | 2027年3月期対応計画 |
| 水リスク対応 | 洪水、台風、高潮、干ばつ等による工場の操業停止 | レジリエンスを高めることによる顧客、投資家、行政からの信頼の確保 | ・リスク情報の収集力強化 ・リスクサーベイの継続実施 ・好事例のヨコテン(横展開)、対策レベルの標準化 |
| 輸送を含めた生産性、資源エネルギー効率の向上 | 原材料・電力料金・燃料の高騰、炭素に係る規制(ETS(排出権取引制度)、CBAM(EU炭素国境調整措置)等)、国内外情勢等による収益の悪化 | AI/DX活用による省エネ・低炭素・自働化の推進、省資源・省人化された生産活動による収益の向上 | ⦅生産効率向上⦆ ・稼働率向上、チョコ停撲滅、製造工程の自働化、AI/DX活用等 ・スクラップ削減、再資源化等 ・設備更新時の省エネ設備の選定 ⦅輸送効率向上⦆ ・梱包充填率、コンテナ積載率等の改善 ・地産地消、ミルクラン(巡回集荷)、AI/DXの活用によるルート 最適化 ・航空便から船便へのモーダルシフト等 |
| 製品性能の向上、新市場の獲得 | 省エネ性能、LCA、CFP等の指標による市場淘汰、新市場への対応遅延による機会喪失、市場シェア低迷、減収 | 製品性能(省エネ・低炭素・省資源)の優位性確立による市場シェアの拡大・新市場の獲得 | <製品性能向上>・省電力、高効率製品の開発 ・小型、軽量化等による原材料の削減、再生材の使用拡大 <市場開拓>AIサーバー/データセンター、ニューモビリティ、完全自動運転、ヒューマノイドロボット、商用ドローン、航空・宇宙、医療・ヘルスケア、産業機器、住宅設備、スマートシティ等 |
| 顧客・各国の要求等への対応 | 再エネ導入、CFP削減等の顧客要求等の不履行によるビジネス喪失、違反 | 脱炭素に向けた顧客要求の誠実な履行による受注確保、第三者評価機関による評価向上 | ・顧客要求等への対応(再エネの導入拡大、CFP対応、再生材の採用、サプライヤーエンゲージメント推進等) ・サステナビリティ報告(SSBJ、CSRD)、第三者評価/格付調査(CDP、Ecovadis等)への対応 |
| PFC、SF6の排出抑制 | 温室効果の強いPFC、SF6の規制によるガス代替化、除害設備導入による投資額増大 | PFC、SF6排出削減への積極的対応による顧客の信頼関係強化 | ・半導体生産工程における除害装置導入、PFCガスの除害率向上 ・マグネシウム鋳造成形時における徹底的なSF6使用量削減 |



