有価証券報告書-第65期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/23 11:30
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【項目】
158項目

有報資料

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において、当社グループが判断したものであり、その実現を保証するものではありません。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは「SOFT(技術)・HARD(機械)・HEART(心)を創ります。人と地球に優しい製品を開発し社会に貢献します」の経営理念のもと、生産性の向上に役立つ切削工具等の開発・製造・販売に携わってまいりました。また、ブランドステートメントとして“「つくる」の先をつくる”を掲げ、お客様や社会のニーズに応える高付加価値製品を生み出し、モノづくりの夢と可能性を切り拓くことを経営の基本方針としております。
また、当社グループは、社会との共存と自社の持続可能性を同期させた「サステナビリティ基本方針」を策定しております。社会と共生しつつ企業としての持続的成長を維持継続するため、小径切削工具を中心に「人と地球にやさしい高付加価値製品を、最小限の資源でつくり、環境負荷の低減に努める」ことで、精密・微細加工用工具分野で圧倒的なプレゼンスを目指します。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社グループの持続的成長と社会との共存を実現するため、当社の各部門とグループ企業体が互いに連携し、製品開発サイクルの好循環をつくり出すことで、高付加価値製品の継続的な創造、提供の実現を図ります。
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上記目的達成のため、開発・生産・販売の各部門においては、下記戦略を実施してまいります。
① 開発部門
新製品開発においては、当社グループの強みである豊富な製品ラインアップの一層の強化・拡充を図るとともに、他社との明確な「違い」を基軸とした独自性の高い製品開発を推進してまいります。「違い」とは、他社にない製品、これまでにない加工方法を実現する製品の特性を指し、価格競争に依拠しない付加価値創出の源泉と位置付けております。具体的には、新素材を用いた工具開発や加工方法・コーティング技術の改良に加え、営業部門との連携による市場ニーズの的確な把握を通じ、販売店およびユーザーから継続的に選好される製品開発に取り組んでまいります。
また、生産技術開発においては、次世代加工技術への対応を通じた既存技術の高度化を基本方針とし、自社開発工具研削盤のさらなる機能向上や、画像処理技術を活用した自動測定範囲の拡大を図ってまいります。
② 生産部門
生産活動においては、仙台工場で策定した「ものづくり行動指針」を実践し、高性能で品質のバラツキが少なく、かつ価格競争力を有する高付加価値製品を安定的に供給できる体制の高度化を図ってまいります。自社開発機による自動化ラインの増強および自動化範囲の拡大を通じて、無人化・省力化を継続的に推進してゆくほか、より効率的でムダのない生産体制の確立に向け、品質改善および原価低減を目的とした小集団改善活動「オレンジFC活動(Future Challenge)」の一層の強化に取り組んでまいります。
さらに、仙台工場への生産集中リスク分散のため、子会社新潟工場の生産能力増強を図るほか、生産効率および環境負荷低減の観点から電力使用量の削減を推進してまいります。
③ 販売部門
国内販売においては、製品拡販と新製品を含む市場需要の発掘、掘り起しのための仕組みづくりに改めて注力し、販売網の整備、多様で有益な製品情報を提供する環境の整備、在庫の充実を図ることなどにより、ユーザーに対して、用途に合った最適な製品をタイムリーかつ効率的に供給できる体制を強化してまいります。また、代理店、販売店との協働を踏まえた施策を展開するとともに、ユーザー向けには、自社サイトにおける工具検索機能の高度化や、オウンドメディア等を通じた製品情報の発信、データ分析に基づくマーケティングを推進してまいります。
海外においては、地域別戦略に基づいて重点攻略地域を定め、ローカルパートナーとの協働を通じ、地域の特性に応じたアプローチを行うことにより、世界の精密・微細加工市場の開拓および拡大に取り組んでまいります。
(3)経営環境について
当社グループの主力製品である小径切削工具は、精密・微細加工を要する金型や各種部品の製造に使用されております。これらは、自動車、半導体、電子部品、光学機器、日用品、医療機器など、幅広い産業分野で活用されております。このため、当社グループの業績は、これら最終製品の生産動向に影響を受けます。
近年は、成長を牽引してきたスマートフォンや自動車分野の需要が一巡しております。一方で、AIやデータセンター関連などにおいて、国内および一部海外市場で新たな小径工具需要が発生しております。中期的には、DXの進展に伴う半導体・電子部品需要の拡大が見込まれております。また、医療や航空宇宙分野などの新たな成長領域においても、精密・微細加工技術への需要増加が期待されております。これらを背景に、小径切削工具市場は引き続き成長が期待されるものと認識しております。
当社グループを取り巻く現在の経営環境は、依然として厳しい状況が継続しております。地政学上の諸問題の拡大や資源を巡る各国の動向により、国内外の経済活動の安定性および予見可能性の確保が一層困難となっております。加えて、素材費や人件費を中心としたコスト上昇が着実に進んでおります。
このような環境の中、主要需要先の動向を見ると、自動車部品関連は国内生産の縮小傾向の影響を受け、足元の伸びは限定的となる見込みであります。一方で、半導体・電子部品関連は、AIやデータセンター需要に支えられ、引き続き堅調に推移する見通しであります。輸出については、中国における自動車関連および電子機器関連需要、ならびにアジア諸国の需要を背景に、販売数量は全体として増加する見込みであります。
(4)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
わが国が圧倒的な強みを発揮する精密・微細加工分野を、小径工具を使った切削加工技術の面から支え続けてゆくこと、ユーザー様が安心して新たな精密・微細加工にチャレンジできるよう、高性能で品質の安定した製品を、販売店を通じ妥当な価格で安定的に供給していくこと、が当社グループの使命であると認識しております。
当社グループが対処すべき事業上の課題は、上記使命を踏まえ、内外の代理店、販売店による販売網の一段の充実を図りつつ、小径工具分野において、他社との明確な「違い」を有する独自性の高い新製品を継続的に供給するとともに、標準品においても圧倒的な品揃えと在庫水準を維持することで、ユーザーにとって代替困難なポジションを確立し、市場におけるプレゼンスの一層の向上を図ることであります。
当社グループが対処すべき財務上の課題は、ここ数年成長が鈍化し設備投資が伸び悩んだため、総資産に占める現預金の割合が増加し資産効率の悪化を招いている点であります。これに対処するため当期は約13億円の自己株式取得を実施するなど資本政策を強化しましたが、今後は生産自動化や生産効率改善に向けての設備投資に加え、新製品戦略の強化等により早期に成長軌道へ復帰することで、増産のための設備投資にも現預金を振り向けることにより、資産効率を改善してまいる所存であります。
なお、足元懸念材料であるタングステンの市場価格高騰による超硬素材の価格上昇につきましては、素材メーカーと協働しながら、十分な素材在庫を確保し対応してゆくほか、一段の原価低減活動の推進に加え、取引条件の見直しや製品価格の改定に着手しております。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上よりも利益を優先する経営方針を掲げ、売上高経常利益率20%の確保を目標としております。当期の売上高経常利益率は21.2%、前期比2.3ポイント増となり、目標を上回りました。国内外での市況回復に加え、新製品戦略、営業体制強化、原価低減といった中期課題への対応が一定の成果を生んでおります。
また、株主資本を効率的に活用する観点から自己資本純利益率(ROE)10%の確保も経営指標としております。当期は増益及び自己株式取得による資本効率の改善により、ROEは前期より0.9ポイント改善し8.0%の実績となりました。
厳しい経営環境が続く中、足元施策の着実な遂行により、経常利益率の目標20%の継続達成と当社が認識する株主資本コスト(CAPM等を参考に算定)8.6%を上回るROEの回復を当面の目標としつつ、中期経営計画に基づく施策の推進により、再度の利益成長を目指します。
次期の計数計画につきましては、タングステン価格の高騰から通期予算の策定が困難となっており、合理的な算定が可能となった段階で速やかに開示する予定であります。
(6)経営戦略の現状と見通し
「中期的な会社の経営戦略」に記載の通り、この数年間市場成長が一時的に鈍化する中、製品開発を起点とする「高付加価値製品の循環戦略」を重点的に展開しており、開発部門では、前期に高硬度鋼材向けの新コーティングを使った製品やユニークなレンズ形状エンドミル等を開発し、当期は12の新製品(14型番)を市場に投入するなど、製品群の充実に継続して取り組んでおり、生産部門では、自社製研削盤の改善や測定技術の向上を図るとともに、小集団活動や自動化を推進して着実な原価低減を進めており、販売部門では、商流を重視し内外の販売網を活用して多様な製品を滞りなくユーザーに届ける仕組みの充実を図ってまいりました。
今後の見通しにつきましては、精密・微細加工の市場は中長期的に着実な拡大が見込まれると想定し、引き続き小径工具の製造販売に特化し、他社との「違い」を追求しつつ市場と共に成長してゆくための中期的施策を策定し実行することで、再び持続的な利益成長の実現を目指してまいります。
(7)その他、会社の経営上重要な事項
① 内部管理体制の整備・運用状況
当社グループでは、社内規程や稟議制度を整備し、ルールに基づいた業務運営を実施しております。また、内部統制報告制度への対応につきましては、常務取締役を委員長とする「内部統制委員会」を設置し、内部統制の整備・運用の推進及びその評価、また監査法人により実施される内部統制監査への対応を行っております。
② 指名・報酬委員会の設置
当社グループでは、ガバナンス強化の観点から任意の指名・報酬委員会を設置しております。指名・報酬委員会は独立社外取締役が過半を構成し、委員長は独立社外取締役から選任される諮問委員会であり、取締役等の候補者の指名(監査等委員である取締役を除きます)や、取締役等の報酬(監査等委員である取締役を除きます)について取締役会より諮問を受け、審議内容を答申することで、取締役会の独立性を高めるものであります。
③ 資本コストや株価を意識した経営の実現に向けての対応
当社グループは、資本コストを上回る資本効率の達成を重要課題と認識しており、詳細は「(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の通りであります。当期は、中期経営課題である海外販売の強化と新製品の開発による製品群の充実が奏功し、また原価低減にも注力した結果、売上高経常利益率21.2%と目標を達成いたしました。また、低下が続いていたROEについては、増益及び自己株式取得による資本効率の改善により、当期は8.0%と前期より0.9ポイント改善しております。
当社グループの中期的な経営課題については整理を終え対策に着手しており、当面は足元の事業計画を着実に遂行することにより、経常利益額および経常利益率の反転定着を図るとともに、グループ全体で中期課題の解決に取り組むことで、持続的成長の実現および資本コストを上回る水準へのROE回復を目指してまいります。
④ その他
その他の取組みといたしましては、監査等委員による各部門長へのヒアリングの実施、内部監査部門による各部門への内部監査の実施等を行っております。なお、内部監査につきましては、社長及び取締役会・監査等委員会へ報告、答申等を行うデュアルレポーティング制度を採用しております。コンプライアンスにつきましては、コンプライアンス担当役員を中心に推進を図っており、従業員研修会や社内業務連絡(コンプライアンス便り 月1回配信)で取り上げることにより、社内教育に努めております。また外部弁護士を窓口とする「コンプライアンス相談窓口」を設け、内部通報制度の窓口といたしております。

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