有価証券報告書-第51期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 10:03
【資料】
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【項目】
172項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、
①常に研究開発に励み、独自の技術を駆使することによって社会に貢献し、顧客とともに栄える会社
②誠意(信)と協調(和)を基本とし、各自の個性を尊重し合いながら、全力を発揮出来る楽しい会社
③国際的視野にたち、自らの向上にチャレンジするインテリジェントな会社
④いたずらにスケールメリットを求めず、適正利潤により全社員の生活向上と、福祉の充実を図れる会社
を経営理念とし、企業ニーズに最適な水処理ソリューションを提供してまいります。
(2)経営環境
当社グループは、超純水製造装置の設計・施工・販売とそのメンテナンス及び消耗品の販売を主たる業務としており、その対象は半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)をはじめとする電子部品関連、医薬品、化学・化学薬品、食品等多岐にわたっております。その中でも、最も高い純度の水処理が要求される分野を主要な事業ターゲットとしており、特に半導体分野において世界を牽引する企業との取引関係が重要な事業基盤となっております。
(3)経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループは、アジアにおける半導体・FPD・製薬工場向け純水・超純水装置のプロミネントカンパニーを目指すことを中長期的な目標に掲げており、この目標を達成するために、国内・韓国・中国・台湾を中心とするアジアでの競争力強化と受注拡大に注力してまいります。迅速かつきめ細かな対応による差別化を図り、環境等に対するニーズを的確に捉え、
①国内:半導体・製薬関連装置の積極的受注及びメンテナンス拡大による安定収入の確保
②韓国:半導体・FPD市場でのトップシェアを堅持
③中国台湾:採算性に配慮し、半導体関連企業を中心に現地企業との協業による受注に注力
④製薬業界へのUF膜法による注射用水製造装置の提案・受注強化
⑤コストダウン、経費削減の取り組み継続
に取り組み、事業展開を図ってまいります。
また、当社グループは収益性を示す連結売上高営業利益率を重要な経営指標と位置付け、当該指標の継続的な向上により企業価値増大を図ってまいります。2020年3月期における連結売上高営業利益率は8.8%となっておりますが、コスト低減、経費削減とともに新規市場開拓、周辺事業拡大及び高付加価値商品の拡販等による更なる向上を目指してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループを取り巻く経営環境を展望すると、主力製品である超純水製造装置は、国内では製薬・半導体関連企業の堅調な投資が見込まれ、海外では韓国・中国・台湾を中心に半導体・FPD関連企業の工場新設が継続する見通しですが、採算については受注競争の激化により大型装置の採算性低下が避けられない状況となっております。
このような経営環境の下、当社グループは水処理の研究開発及び技術力の向上に積極的に取り組むことにより、半導体・FPDを中心とする世界の最先端産業の発展・向上に貢献するとともに、超純水分野で培った技術をベースに近年ニーズが高まっている環境関連分野を強化すること、並びに超純水技術を製薬向け注射用水・精製水製造装置などに応用し、健康支援の一端に寄与することで、中期経営目標の達成に向けた経営活動をグループ一丸となって推進しております。
これを実現させるための当社グループの課題としましては、①営業力の強化、②受注採算の改善及び為替リスクの回避、③継続的な研究開発による他社との差別化及び新商品の市場投入、④優秀な人材の確保と育成、⑤一般水処理事業への事業領域拡大が重要な経営課題と認識しております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大と長期化により、景気の先行きは予断を許さない状況となっております。当社グループといたしましては、進行中の案件に関しては感染症拡大に最大限の注意を払いながら工事を続行する等、現時点で中断や延期等の情報は無く、大きな影響は見られておりません。しかしながら、先行き不透明な状況でもあることから、今後の事業環境の推移を注視し、開示すべき事象が発生した場合には、速やかにお知らせいたします。
(5)具体的な取り組みの状況等
① 営業力の強化
水質の維持及びトラブル発生時の迅速な対応など顧客ニーズの的確な把握ときめ細かな対応を通じ、競争力の高い販売先を確保していくため、国内外において必要に応じ新たな拠点展開を図っております。
この観点から、超純水製造装置の納入場所の近接地域への進出が営業強化には不可欠であるとの認識に基づき、国内では顧客企業の近隣地域に拠点を設置し、受注活動を展開するとともに海外においては、韓国に株式会社野村マイクロ・サイエンス コリア、中国に上海野村水処理工程有限公司、アメリカに野村マイクロ・サイエンス USA Ltd.,Co、台湾に野村微科學工程股份有限公司、ベトナムに野村マイクロ・サイエンス(Vietnam)Co.,Ltdをそれぞれ設置し、受注活動を展開しております。なお、株式会社野村マイクロ・サイエンス コリアは、2011年11月に韓国に設立した研究開発機能を有する株式会社NADを2014年1月1日付で株式会社野村マイクロ・サイエンス コリアを存続会社として吸収合併し、グループ経営の効率化・合理化を図っております。
また、国内におきましては、プラスチック製配管材料の販売強化を図る目的で、2009年4月にアグループラスチック株式会社を設立しております。
② 受注採算の改善及び為替リスクの回避
当社グループの海外売上高比率が概ね60%という状況の中、極力円建てで受注することと併せ、海外拠点展開と並行して現地企業からの原材料の調達比率を引き上げ、コストダウンを図る等更なる受注採算の改善及び為替リスクの回避に取り組んでおります。
③ 継続的な研究開発による他社との差別化及び新商品の市場投入
「超純水の更なる高度化」、「環境規制への対応」、「省エネ」等、多様化・高度化する顧客ニーズに迅速かつ的確に対応するため、民間企業・大学等との共同研究に積極的に取り組んでおり、将来展望のある新商品の開発並びに超純水製造装置以外の商品等の市場投入により、他産業・他用途に向けて拡販等を図っております。
④ 優秀な人材の確保と育成
従来から実施している大学の研究機関への派遣研修制度を継続するほか、エンジニア及び研究開発部門の採用を中心に展開しており、2020年度は7名の新卒者を採用いたしました。
⑤ 一般水処理事業への事業領域拡大
長年当社が培った超純水製造技術を活用しつつ、素材メーカーや商社など他社との協業により、半導体・FPD関連企業以外の工場の廃水処理など、従来の当社のマーケットとは異なる領域での受注確保に取り組んでおります。