有価証券報告書-第184期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/28 15:52
【資料】
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【項目】
160項目

対処すべき課題

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、本文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
経営方針(対処すべき課題)
◎株主価値の向上に関して
当社及び当社株主の最善の利益のために行動することが当社取締役会の責任であり、最も重要であると認識しております。
当社は、潜在的な投資家やスポンサーとのエンゲージメントと戦略的選択肢の検討を行うため、すべての委員が当社から独立した社外取締役で構成される特別委員会を設置し、2022年4月7日、潜在的な投資家やスポンサー(以下「本パートナー候補」という。)とのエンゲージメントと戦略的選択肢の検討を行うこととしました。当社は本パートナー候補との協議を交えながら、当社の企業価値向上に向けた戦略的選択肢に関する提案を募集するプロセスを慎重に進めてまいりました。
当社は、2022年7月19日、複数の本パートナー候補を第2次入札プロセスに招聘することを決定し、以後、より包括的な提案を受領すべく、財務・法務・税務・規制その他の事項を含む当社事業に関するデューディリジェンスを実施する機会を付与してまいりました。その後、当社は、複数の本パートナー候補から、完成度は様々ではあるものの、複数のより詳細な意向表明書(法的拘束力のあるものを含む。)を2022年9月30日までに受領しました。これらの提案を受け、当社は、今後のステップを決定するために、財務・法務・税務・規制その他の観点から各提案の評価を進めてまいりました。当社は、2023年3月3日、日本産業パートナーズ㈱(以下「JIP」という。) から最終提案書を受領し、その後の交渉を経て、2023年3月23日、当社は、取締役会において、JIPの曾孫会社であるTBJH㈱(現TBJH合同会社。以下「公開買付者」という。)による当社の普通株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」という。)に関して、当該時点における当社の意見として、公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに対して賛同の意見を表明するものの、当該時点において、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することまではしないことを決議するとともに、公開買付者との間で、公開買付者による本公開買付けの実施や当社による本公開買付けへの賛同の意見の維持等について定める本公開買付契約を締結いたしました。
当社は、本取引の意義やその後に生じた当社を取り巻く状況の変化を踏まえ、2023年3月23日付の意見において留保していた本公開買付けへの応募を推奨するか否かに係る意見の内容について継続して検討しておりましたが、2023年6月8日、当社が設置した特別委員会の意見の内容を踏まえて、原意見表明を変更し、同日時点の当社の意見として、本公開買付けに関して、公開買付けが開始された場合には、これに賛同するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議しました。なお、本公開買付けが開始されるまでの間に、特別委員会に対して、特別委員会が同日付で当社取締役会に対して答申した意見に変更がないかを検討し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更内容を明らかにした上で更に意見を述べるよう諮問すること、及びかかる特別委員会の意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、あらためて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しております。
公開買付者は、2023年7月下旬を目途に本公開買付けを開始することを目指しているとのことですが、公開買付者によれば、本公開買付けの開始には、国内外の競争法令等及び投資規制法令等上の手続が必要になり、かかる競争法令等及び投資規制法令等上の手続には一定の期間を要し、これらの手続に要する期間を正確に予想することは困難であるとのことです。かかる国内外の競争法令等及び投資規制法令等上の手続が2023年3月23日から6ヶ月を経過する日までに完了されない場合等一定の場合には、本公開買付けが開始されず、当社又は公開買付者によって本公開買付契約が解除される可能性があります。
◎当社グループの目指す姿
当社グループは、「人と、地球の、明日のために。」というグループ経営理念に基づき、長年に亘り培ってきた社会インフラから電子デバイスに至る幅広い事業領域の知見や実績と、情報処理やデジタル・AI技術の強みを融合し、今後も新たな製品、サービスやソリューションの創出と提供を通じて、社会課題を解決し、社会のさらなる発展に貢献していく方針です。
当社は、2022年6月、デジタルとデータの力を活用し、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーの実現に貢献する当社グループ経営方針を発表しました。
当社は、事業開始時の事業単位による運営が長年に亘り継続され、現在のデジタル化やサービス化が進む時代に適合せずに生じている内部硬直性という課題と、外部と協業をせずに、独自技術を自社のみで立ち上げようとする外部硬直性という2つの課題を当社は抱えていると認識しており、これを克服していきます。
また、デジタルエコノミーの発展に伴い、今後、様々な企業が産業の垣根を越えて繋がることで、新たな社会価値が創造されます。当社では、この変化に対応するために、サービス化・リカーリング化していくデジタルエボリューション(DE)、それをプラットフォーム化するデジタルトランスフォーメーション(DX)、そして、様々なプラットフォーム自体が業界を超えて繋がる量子の世界であるクアンタムトランスフォーメーション(QX)への発展を実現し、データサービスを収益の柱とする企業へと変革していきます。
◎内部管理体制の改善
2022年7月、当社の米国子会社において、当社経営幹部を装う第三者による虚偽の指示に基づき、約360万米ドル(約5億円)の資金を流出させる事案が発生いたしました。当該子会社では、被害額の約5億円を最大影響額として、2022年度第2四半期に損失を計上しました。この事案を受け、当社は、グループ内での一斉教育や規程類点検を含む再発防止策を実施しました。
また、2023年2月に当社の代表執行役兼取締役が、執行役及び代表執行役を辞任しました。監査委員会による調査において、当該代表執行役兼取締役は、執行役就任以前の2019年当時、継続的に、当社グループのルールに反して会食の相手方を正確に申請せずに交際費の処理をしていたことが明らかになったものです。この事案を受け、当社は、交際費の管理ルールの強化、交際費使用状況に係る網羅チェック等の施策を推進しています。
当社は、これらの事案を真摯に受け止め、内部管理体制の取組みを改善・強化していきます。
◎サステナビリティについて
当社グループは、「人と、地球の、明日のために」を経営理念とし、事業を通じて社会の発展に貢献していくという変わらぬ信念を示し、この理念のもと、エネルギー不足や資源の枯渇、気候変動などのさまざまな課題を抱える社会の一員として、短期的な利益のみを追求するのではなく、企業活動によって社会に与えるインパクトを長期的に考え、社会課題の解決に貢献する取り組みを進めてきました。この取り組みを更に前進させ社会のサステナビリティに寄与する活動を強化するために、東芝グループサステナビリティ基本方針を定め、サステナビリティ経営を推進し、企業価値の向上につなげていきます。
サステナビリティに関する具体的な考え方は、「第2 事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組」を参照ください。