有価証券報告書-第97期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/25 14:02
【資料】
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【項目】
74項目

対処すべき課題

(1)会社の経営の基本方針
当社は、「電気に生きる-電気と共に発展する社会と共生し、人々の暮らしに貢献する」という創業の経営理念を基に配電制御設備の製作一筋に歩み続け、業界トップクラスの専業メーカーとしてわが国産業界の発展に寄与して参りました。得意先各社様より寄せられております高い信頼は、当社が「品質と納期」を至上命題として、長い歴史の中で積み重ねてまいりました企業努力の結果であります。現在、創業の経営理念に付け加えて『顧客満足度120%達成』を経営目標とし、お客様のご要望にお答えすべく、設計部、営業所をエリア毎に統括する支社を全国に7箇所配置し、フレキシブルで迅速な対応を行うことを心がけております。特に営業、設計、板金、塗装、組立、メンテナンスサービスと一貫したサービスをきめ細やかにご提供することが出来る万全の体制で取組んでおり、「製品とサービスの融合」によって『盤業界のオンリーワン〈唯一の存在〉』を目指し積極的に取組んでいきたいと考えております。
(2)中長期的な会社の経営戦略
『顧客満足度120%達成』の追求によりお客様からの強い支持を獲得し、収益率を維持した上での市場シェアの拡大を図る方針です。加えて、採算面で良好であり、かつ景気に左右されにくい「リニューアル事業の強化」を図ってまいります。リニューアル事業は、老朽化・グレードアップのためのリフォーム・オフィスビル等のOA化に伴う消費電力の増加により需要が生まれるものであります。
リニューアル事業は既存の経営資源を活用することができるため、新たな設備投資が不要であり、効率的な市場拡大を目指すことが可能であると考えております。
そして、技術開発力の強化、品質の向上、サービス体制の拡充等によるさらなる経営基盤の充実強化を促進させ、お客様から120%満足いただける社風作りで社会貢献できる企業を目指しております。
(3)目標とする経営指標
当社は、株主の視点から見た収益性を重視する観点から株主資本利益率(ROE)を主要な経営指標として位置づけ、常にコスト削減意識を持ち収益改善に努めるとともに、資本効率の向上を目指し、企業経営に取組んでまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
当社の業績は国内の建設業界なかんずく民間非住宅建築投資の動向に強く影響を受けており、民間非住宅建築投資は、平成18年度をピークに減少傾向でありましたが、平成23年度より回復の兆しが見られ、現在も緩やかな回復基調で推移しております。
しかしながら、当社をとりまく環境では、受注・価格競争は依然厳しい状況が継続しております。このような経営環境の下において、当社の経営理念に基づき以下の項目を事業上及び財務上の課題として認識しております。当社が認識している対処すべき事業上及び財務上の課題は、次のとおりです。
①更なる品質の向上について
当社は永年積み重ねてきた生産方式に日々改善を加えてまいりました。改善活動は徹底した生産拠点の効率性を追求し、製品品質の向上とリードタイムの短縮、コスト削減を目指すものであります。また、当社は山形、九州の両工場でISO9001を取得し品質管理を徹底しております。今後当社がカスタム型配電制御設備大手専業メーカーとしての地位を維持するためには、何より製品品質の維持・向上が必要であり、ひいてはそれを支える生産技術の向上が不可欠であります。今後は従前の改善活動を更に強化したうえで、生産技術の向上に努める所存であります。
②リニューアル事業への取組みについて
当社が取り組む配電制御設備市場にはビルの新築時のものと、配電制御設備のみの入替え、改良によるものがあります。後者による市場(以下「リニューアル市場」という。)では、現存の設備を納入した業者に再発注される場合が多く、長期に亘ってカスタム型配電制御設備大手専業メーカーであった当社が受注を獲得し易い市場であると同時に、顧客と長期的な関係を築くことにより継続的な収益に繋がる可能性もあります。
当社は従来よりリニューアル市場に特に着目し、リニューアル向け売上を数値目標化し、当市場での当社のプレゼンス向上に努めてまいりました。
今後も同市場向けの売上高比率を40%超へ向上させ、収益の向上及び安定化を図る所存であります。
③生産コストの低減
当社は改善活動の積み重ねにより、継続的に生産コストの低減を行ってまいりました。今後も一層の固定費削減と設計段階から標準化・モジュール化に取組み製造コストの削減、生産性の向上を行い、更なるコストの低減に努めてまいります。
④リードタイムの短縮について
当社は前述の改善活動の積み重ねにより、日々リードタイム短縮に取組んでおります。配電制御設備は通常建設工事日程に深く組み込まれており、納期遅れは大きな問題となるため、リードタイムの短縮は生産コストの低減のみならず納期遅れによるクレームを未然に防ぐ他、競合他社との差別化に繋がります。当社はリードタイムの維持、更なる短縮を行うことにより、他社との違いを鮮明に打ち出し、更なる競争力の強化を行う所存であります。
⑤環境への対応
当社は従来より環境への配慮を重要課題ととらえ、山形工場で平成10年にISO14001を取得し、環境重視・省エネルギー製品の拡充を行っております。また、環境会計を平成12年より導入し、エネルギー等の数値管理を行い、省エネルギーとリサイクル等の事業活動をより強化してまいりました。昨今の企業にCSR(企業の社会的責任)に配慮した企業運営への要求が強まる傾向に対応して、当社は環境への配慮を意識した企業運営を一層推進していく所存であります。
⑥与信管理体制の強化
昨今の経済環境における企業の倒産件数は減少傾向で推移しておりますが、世界経済を巡る不確実性は大きく景気の先行きは依然として不透明な状況となっております。このような状況下において当社は、営業部門において得意先別与信限度管理と売掛金の回収の強化を図り、経理部門においては債権管理を徹底することにより、貸倒れの発生を防ぐ所存であります。
⑦自己株式の管理
当事業年度末の自己株式の残高は1,862百万円(988,751株)であり、発行済株式総数の23.58%を所有しております。当該自己株式は、資本政策の柔軟性・機動性を確保するため取得しておりますが、自己株式の処分につきましては今後の対処すべき課題の一つと認識しております。
⑧企業としての社会的責任とコンプライアンス意識の向上
当社は永年培ってきた「KAWADEN」ブランドに責任と誇りを持ち、法令・社会倫理を遵守していく企業としての社会的責任を負っていると考えております。そのため全社をあげてコンプライアンス意識を高め健全な企業活動を継続させていくことに努める所存であります。