有価証券報告書-第82期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
当社グループは、2011年にスタートした10年間の長期ビジョン「Value Generation 2020」(以下、VG2020) に基づき、「質量兼備の地球価値創造企業」を目指した経営を推進しており、その中で、VG2020の最終ステージである中期経営計画VG2.0を前期(2017年度)よりスタートさせた。
当社グループがVG2.0において捉えた労働力不足、少子高齢化、地球温暖化などの社会的課題から生じるソーシャルニーズはますます顕在化し、AI、IoTなどのデジタル革命の進展による新たな市場形成は確実に進行している。当社グループでは、VG2.0全社方針を「技術の進化を起点に、イノベーションを創造し、自走的成長を実現」とし、コア技術である「センシング&コントロール+Think」を進化させ続け、技術革新をベースに新たなソーシャルニーズを創造することで、持続的な成長を目指していく。
<当期(2018年度)の結果>VG2.0の2年目である当期は、「変化創造 “イノベーションによる成長加速と収益構造の革新”」を基本方針に掲げて取り組んだ。ヘルスケア事業、社会システム事業は堅調に業績を伸ばすことができたが、制御機器事業、電子部品事業、車載事業においては、年度後半から米中貿易摩擦の影響により事業環境が想定以上に停滞し、当期業績は減益となった。これまで取り組んできた「自走的な成長構造の確立」は道半ばであり、特に変化対応力に関して課題を残した一年となった。一方で、このような状況下においても期初に計画した成長投資を完遂し、今後の成長加速に向けた技術や製品、インフラなど様々な資産を構築することができた。当期の具体的な取り組みは次の通りである。
可能だと諦めていた製造現場における課題解決力を高めることができた。特に当期は、協業パートナーやお客様との共創を加速させることで、生産性と品質を革新的に向上させる数多くの「革新アプリケーション」を創出した。そして、これら「革新アプリケーション」をお客様に体感いただき、お客様毎の製造現場に合わせたアプリケーション開発を行う「オートメーションセンタ」を、世界で35拠点(2016年度比:+27拠点)まで拡大した。加えて、お客様の製造現場においてアプリケーションの実装をサポートする「セールスエンジニア」を、2016年度比で20%増員させた。また、国内および中国において工場を増築・改築し、将来の成長を支える生産能力の強化を進めた。さらに、お客様と共に価値を築く共創型ビジネス「i-BELT」を本格的に開始した。「i-BELT」とは、IoT技術の活用により収集した生産設備などのデータから、製造現場の見える化と生産性向上への課題を特定し、その特定した課題をもとにAIコントローラが生産ラインを最適制御することで、「止まらない」「不良品をつくらない」製造現場を実現するものである。これら施策を着実に実行することで、将来の成長に向けた様々な資産を構築した。
ヘルスケア事業では、腕時計型のデザインで常時身につけることができる「ウェアラブル血圧計」を米国で発売した。本商品は、血圧と同時に歩数、睡眠、気温といった生活習慣や生活環境を測定することができる。個々人の血圧変動と生活習慣や生活環境の関係を見えるようにすることで、行動変容を促す。さらに、本商品は米国のFDA(Food and Drug Administration/アメリカ食料医薬局)から医療機器認証を取得しており、測定情報は高血圧治療に有効である。患者がこれらの情報を医師と共有することにより、一人ひとりにあった治療が可能になっていく。また、呼吸器疾患の治療機器であるネブライザの開発・生産を行うイタリアの3A Health Care社を買収した。同社はイタリアで約30年の実績を持ち、ネブライザの開発力に強みを持っている。今後、同社の高い開発力を活かした高品質で競争力のあるネブライザを開発し、それを世界中に提供することで、喘息発作ゼロの実現に貢献していく。
当社グループでは、全事業でGP率(売上総利益率)向上に向けて、製造工程のさらなる自動化やコストダウン、付加価値の高い製品の市場投入などに取り組んだ。また、電子部品事業では、拠点の統廃合や生産ラインの集約を行うことにより、製造固定費の効率化を図った。さらに本社機能部門では、法人・拠点の集約を進めると同時に、各社が保有していた経理、人事、総務などの業務を集約し標準化を図ることで固定費の効率化を図った。
<次期(2019年度)の計画>次期の方針は、「逆風下で、したたかに“自走的な成長構造の確立”を進める。副題:『収益力』『成長力』『変化対応力』の強化」とした。次期計画は、売上高8,300億円、売上総利益率42.0%、営業利益650億円、当社株主に帰属する当期純利益425億円、ROIC 8%超、ROE 8%超 (注2) である。
ヘルスケア事業、社会システム事業、環境事業は堅調な事業環境を見込む。一方で、制御機器事業、電子部品事業、車載事業においては、厳しい事業環境が継続すると想定している。
グローバル経済は当期以上に不安定で不確実性の高い状況だが、当社グループでは、この逆風をチャンスと捉え、自走的な成長構造の確立に向けた運営を行っていく。次期の具体的な取り組みは次の通りである。
収益力を高めるために、当社グループ全体で「GP率の改善」と「販管費の効率化」に継続して取り組む。その取り組みにより生み出した原資を厳選したテーマに充てることで、将来の持続的成長を確かなものとしていく。電子部品事業は、グローバルに複数存在していた生産ラインを集約するなど生産体制の再構築を進めてきた。次期はこの効果を最大化していく。
VG2.0前半(2017~2018年度)の2年間で構築した技術や製品、インフラなど様々な資産を最大限に活用し、成果に結びつけていく。制御機器事業では、グローバルに拡大してきた「オートメーションセンタ」を活用し、製造現場の課題を解決する「革新アプリケーション」をお客様に提供していく。そのために、「革新アプリケーション」の提案に欠かせない営業やセールスエンジニアの育成に注力し、お客様の課題解決に向けた提案力を強化していく。ヘルスケア事業では、これまでの2年間で、米国、欧州主要国、中国、日本を中心に成長するオンラインストア市場における販売網の構築をグローバルで進めてきた。次期は、この構築した販売網における販促施策を強化することで、世界中のより多くのお客様に商品を提供していく。
当社グループでは、全ての事業部が業界の動向や顧客の変化をモニタリングする仕組みを保有し、常時変化を注視しアクションにつなげている。また、各事業部の変化を本社に集約し分析することで、新たな予兆を捉えている。次期は、モニタリング指標を増やし変化を捉える感度を上げるとともに、アクションのスピードを上げていく。
以上のとおり当社グループは、逆風の中においても柔軟に変化に対応し、中期経営計画VG2.0で描いた社会的課題から生じる市場変化を捉え続けながら、将来の成長のために必要な投資を厳選し確実に実行することで、自走的な成長構造の構築を進める。
化によって製造現場の生産性を飛躍的に高め、付加価値の高いモノづくりの実現を目指している。「integrated(制御進化)」は、これまで熟練工に頼っていた匠の技を、誰もが簡単に実現できるよう、オートメーション技術を進化させる。「intelligent(知能化)」は、幅広い制御機器とAIを活用し、機械が自ら学習して状態を保全するなど、進化し続ける装置や生産ラインを実現する。「interactive(人と機械の新しい協調)」は、同じワークスペースで人と機械が共に働き、機械が人の動きや考えを理解しアシストするなど、人と機械の新しい協調関係を提供する。
(注2)当計画には、2019年4月16日に株式譲渡等を発表したAEC(車載事業)の年間業績予想額を含む。
(注3)「売上総利益率」は、「売上高」から「売上原価」を控除し、これを「売上高」で除したものである。
(注4)「営業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「試験研究開発費」を控除したものである。
当社グループは、2011年にスタートした10年間の長期ビジョン「Value Generation 2020」(以下、VG2020) に基づき、「質量兼備の地球価値創造企業」を目指した経営を推進しており、その中で、VG2020の最終ステージである中期経営計画VG2.0を前期(2017年度)よりスタートさせた。
当社グループがVG2.0において捉えた労働力不足、少子高齢化、地球温暖化などの社会的課題から生じるソーシャルニーズはますます顕在化し、AI、IoTなどのデジタル革命の進展による新たな市場形成は確実に進行している。当社グループでは、VG2.0全社方針を「技術の進化を起点に、イノベーションを創造し、自走的成長を実現」とし、コア技術である「センシング&コントロール+Think」を進化させ続け、技術革新をベースに新たなソーシャルニーズを創造することで、持続的な成長を目指していく。
<当期(2018年度)の結果>VG2.0の2年目である当期は、「変化創造 “イノベーションによる成長加速と収益構造の革新”」を基本方針に掲げて取り組んだ。ヘルスケア事業、社会システム事業は堅調に業績を伸ばすことができたが、制御機器事業、電子部品事業、車載事業においては、年度後半から米中貿易摩擦の影響により事業環境が想定以上に停滞し、当期業績は減益となった。これまで取り組んできた「自走的な成長構造の確立」は道半ばであり、特に変化対応力に関して課題を残した一年となった。一方で、このような状況下においても期初に計画した成長投資を完遂し、今後の成長加速に向けた技術や製品、インフラなど様々な資産を構築することができた。当期の具体的な取り組みは次の通りである。
| 制御機器事業では、提供価値のコンセプトである | ![]() | (注1) をさらに進化させ、お客様が今まで実現不 |
可能だと諦めていた製造現場における課題解決力を高めることができた。特に当期は、協業パートナーやお客様との共創を加速させることで、生産性と品質を革新的に向上させる数多くの「革新アプリケーション」を創出した。そして、これら「革新アプリケーション」をお客様に体感いただき、お客様毎の製造現場に合わせたアプリケーション開発を行う「オートメーションセンタ」を、世界で35拠点(2016年度比:+27拠点)まで拡大した。加えて、お客様の製造現場においてアプリケーションの実装をサポートする「セールスエンジニア」を、2016年度比で20%増員させた。また、国内および中国において工場を増築・改築し、将来の成長を支える生産能力の強化を進めた。さらに、お客様と共に価値を築く共創型ビジネス「i-BELT」を本格的に開始した。「i-BELT」とは、IoT技術の活用により収集した生産設備などのデータから、製造現場の見える化と生産性向上への課題を特定し、その特定した課題をもとにAIコントローラが生産ラインを最適制御することで、「止まらない」「不良品をつくらない」製造現場を実現するものである。これら施策を着実に実行することで、将来の成長に向けた様々な資産を構築した。
ヘルスケア事業では、腕時計型のデザインで常時身につけることができる「ウェアラブル血圧計」を米国で発売した。本商品は、血圧と同時に歩数、睡眠、気温といった生活習慣や生活環境を測定することができる。個々人の血圧変動と生活習慣や生活環境の関係を見えるようにすることで、行動変容を促す。さらに、本商品は米国のFDA(Food and Drug Administration/アメリカ食料医薬局)から医療機器認証を取得しており、測定情報は高血圧治療に有効である。患者がこれらの情報を医師と共有することにより、一人ひとりにあった治療が可能になっていく。また、呼吸器疾患の治療機器であるネブライザの開発・生産を行うイタリアの3A Health Care社を買収した。同社はイタリアで約30年の実績を持ち、ネブライザの開発力に強みを持っている。今後、同社の高い開発力を活かした高品質で競争力のあるネブライザを開発し、それを世界中に提供することで、喘息発作ゼロの実現に貢献していく。
当社グループでは、全事業でGP率(売上総利益率)向上に向けて、製造工程のさらなる自動化やコストダウン、付加価値の高い製品の市場投入などに取り組んだ。また、電子部品事業では、拠点の統廃合や生産ラインの集約を行うことにより、製造固定費の効率化を図った。さらに本社機能部門では、法人・拠点の集約を進めると同時に、各社が保有していた経理、人事、総務などの業務を集約し標準化を図ることで固定費の効率化を図った。
<次期(2019年度)の計画>次期の方針は、「逆風下で、したたかに“自走的な成長構造の確立”を進める。副題:『収益力』『成長力』『変化対応力』の強化」とした。次期計画は、売上高8,300億円、売上総利益率42.0%、営業利益650億円、当社株主に帰属する当期純利益425億円、ROIC 8%超、ROE 8%超 (注2) である。
ヘルスケア事業、社会システム事業、環境事業は堅調な事業環境を見込む。一方で、制御機器事業、電子部品事業、車載事業においては、厳しい事業環境が継続すると想定している。
グローバル経済は当期以上に不安定で不確実性の高い状況だが、当社グループでは、この逆風をチャンスと捉え、自走的な成長構造の確立に向けた運営を行っていく。次期の具体的な取り組みは次の通りである。
収益力を高めるために、当社グループ全体で「GP率の改善」と「販管費の効率化」に継続して取り組む。その取り組みにより生み出した原資を厳選したテーマに充てることで、将来の持続的成長を確かなものとしていく。電子部品事業は、グローバルに複数存在していた生産ラインを集約するなど生産体制の再構築を進めてきた。次期はこの効果を最大化していく。
VG2.0前半(2017~2018年度)の2年間で構築した技術や製品、インフラなど様々な資産を最大限に活用し、成果に結びつけていく。制御機器事業では、グローバルに拡大してきた「オートメーションセンタ」を活用し、製造現場の課題を解決する「革新アプリケーション」をお客様に提供していく。そのために、「革新アプリケーション」の提案に欠かせない営業やセールスエンジニアの育成に注力し、お客様の課題解決に向けた提案力を強化していく。ヘルスケア事業では、これまでの2年間で、米国、欧州主要国、中国、日本を中心に成長するオンラインストア市場における販売網の構築をグローバルで進めてきた。次期は、この構築した販売網における販促施策を強化することで、世界中のより多くのお客様に商品を提供していく。
当社グループでは、全ての事業部が業界の動向や顧客の変化をモニタリングする仕組みを保有し、常時変化を注視しアクションにつなげている。また、各事業部の変化を本社に集約し分析することで、新たな予兆を捉えている。次期は、モニタリング指標を増やし変化を捉える感度を上げるとともに、アクションのスピードを上げていく。
以上のとおり当社グループは、逆風の中においても柔軟に変化に対応し、中期経営計画VG2.0で描いた社会的課題から生じる市場変化を捉え続けながら、将来の成長のために必要な投資を厳選し確実に実行することで、自走的な成長構造の構築を進める。
| (注1)当社は、製造業のモノづくり現場を革新するコンセプトを | ![]() | と呼び、次の3つの“i”からなるオートメーションの進 |
化によって製造現場の生産性を飛躍的に高め、付加価値の高いモノづくりの実現を目指している。「integrated(制御進化)」は、これまで熟練工に頼っていた匠の技を、誰もが簡単に実現できるよう、オートメーション技術を進化させる。「intelligent(知能化)」は、幅広い制御機器とAIを活用し、機械が自ら学習して状態を保全するなど、進化し続ける装置や生産ラインを実現する。「interactive(人と機械の新しい協調)」は、同じワークスペースで人と機械が共に働き、機械が人の動きや考えを理解しアシストするなど、人と機械の新しい協調関係を提供する。
(注2)当計画には、2019年4月16日に株式譲渡等を発表したAEC(車載事業)の年間業績予想額を含む。
(注3)「売上総利益率」は、「売上高」から「売上原価」を控除し、これを「売上高」で除したものである。
(注4)「営業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「試験研究開発費」を控除したものである。

