有価証券報告書-第89期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/22 10:36
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有報資料

経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下で構成しています。
(1)経営方針
(2)長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度)
(3)中期経営計画「SF 1st Stage」と構造改革プログラム(2022~2025年度)
(4)中期ロードマップ「SF 2nd Stage」(2026~2030年度)
(5)SF 2nd Stageの経営目標
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。また、文中における「営業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「試験研究開発費」 を控除したものを表示しています。
(1) 経営方針

①当社グループの企業理念
当社グループは、「企業は社会の公器」であるという考えに基づき、事業を通じてよりよい社会づくりに貢献することを使命とし、その実現に向け、企業理念を軸にした経営を実践しています。企業理念は、創業者・立石一真が、1959年に制定した社憲「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」を礎としています。1990年には、企業理念体系を導入し、その後、時代の変化に合わせて改良してきました。現在の企業理念は2015年に改訂したものです。2022年には、今後も企業理念を実践し、社会の発展と企業価値の向上に努めていく当社の経営の根幹は普遍であることを明確にするために、定款に「企業理念の実践」を記載しました。
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②企業理念に基づく経営のスタンス
当社グループでは、すべてのステークホルダーに対して、事業を通じて企業理念を実践していくための経営の姿勢や考え方を示すものとして、「経営のスタンス」を2015年に設定しました。「長期ビジョンを掲げ、事業を通じて社会的課題を解決すること」、「真のグローバル企業を目指し、公正かつ透明性の高い経営を実現すること」、「すべてのステークホルダーと責任ある対話を行い、強固な信頼関係を構築すること」を掲げ、企業理念の実践を通じた持続的な企業価値の向上を目指しています。
< 経営のスタンス >0102010_002.png
この「経営のスタンス」は、企業の永続的な成長を目指すものであるため、当社グループの「サステナビリティ方針」としても同内容を掲げています。
③当社グループの存在意義
当社グループでは、甚大化・頻発化する自然災害、超高齢社会への突入、経済格差の拡大、地政学リスクの高まりなど、不確実で、これまでに経験したことのない多くの社会変化に直面する状況の中でも、当社が当社らしくあり続けるために、2021年に自社の存在意義を「事業を通じて社会価値を創出し、社会の発展に貢献し続けること」と再定義しました。存在意義は、企業理念の実践そのものです。社会がどのように変化しようとも、これは、変わることはありません。
< 存在意義 >0102010_003.png
(2) 長期ビジョン「Shaping The Future 2030」(2022~2030年度)

当社グループでは、2022年度から2030年度までの長期ビジョン「Shaping The Future 2030」、(略称:「SF2030」)を掲げています。社会が変革期を迎える中、存在意義を発揮し、より多くの社会的課題の解決を通じて社会の発展に貢献し続けるため、自らの変革と新たな価値創造のストーリーを定めたものです。
①「SF2030」ビジョンステートメント
人が活きるオートメーションで、ソーシャルニーズを創造し続ける
近未来を描き、ソーシャルニーズを感知・発掘し、オートメーションで新たな価値を創造する。
私たちはこれを、“ソーシャルニーズの創造”とよび、創業以来この実践を通じて、よりよい社会づくりに貢献してきました。
持続的発展が可能な社会・経済システムづくりへの貢献は、オムロンの存在意義そのものです。
私たちは、これからも変わることなく企業理念経営の実践に取り組みます。
工業社会で必要とされたオートメーションは、機械による人の作業の代替でした。
“自律社会”で求められるのは、代替、協働、融和を最適に組み合わせて
人の能力を最大限に発揮させるオートメーションです。
これからのオートメーションを、“人が活きるオートメーション”と定め
その実現に向けて、センシング&コントロール+Think技術を進化させていきます。
多くの社会的課題が生じる次の10年、私たちは存在意義を発揮し、“人が活きるオートメーション”によって、カーボンニュートラルの実現、デジタル化社会の実現、健康寿命の延伸に貢献し、社会全体の豊かさと、自分らしさの追求が両立する自律社会の実現を目指します。

「SF2030」には、「オムロングループ全社員が企業理念を実践し、センシング&コントロール+Think技術で、持続可能な社会をステークホルダーとともにつくっていく」という思いを込めています。
②オムロンが創出する社会価値
当社グループでは、長期ビジョン策定にあたり多くの社会的課題が噴出する10年を、新たな市場と事業を創造する大きなチャンスと捉えました。SF2030では、このチャンスを確実に捉えるために優先する社会の変化因子を、「高齢化」「気候変動」「個人の経済格差の拡大」の3つに絞りました。この3つの変化因子から、オムロンが捉えるべき社会的課題を3つ設定しました。具体的には、「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」です。この3つの課題は、社会に与えるインパクトが大きいことに加え、オムロンの強みであるオートメーションや顧客資産、事業資産を活かす観点から設定しました。
カーボンニュートラルの実現においては、安心・安全・便利な暮らしと自然環境の両立を実現するエネルギーシステムづくりに貢献します。デジタル化社会の実現においては、年齢や貧富の差に関わらず、人々があらゆる制約から解放され、楽しく創造的で、かつ持続可能な社会を実現するモノづくりやインフラづくりに貢献します。そして、健康寿命の延伸においては、あらゆる人が健康で豊かな自立した人生を送るためのヘルスケアシステムを構築することで、高齢化社会における問題解決に真正面から取り組んでいます。
<オムロンが捉える社会的課題と創出する社会価値>0102010_004.jpg
これらの3つの社会的課題の解決による社会インパクトを最大化するために、「SF2030」より、グループのドメインを見直し、改めて3つのドメインを設定するとともに同領域での社会価値を定めました。インダストリアルオートメーションでは、「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」への貢献を目指します。ヘルスケアソリューションでは、「循環器疾患の“ゼロイベント”」への貢献を目指します。ソーシャルソリューションでは、「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。
< 3つのドメインが創出する社会価値 >0102010_005.png
(ⅰ)インダストリアルオートメーション
インダストリアルオートメーションでは「持続可能な社会を支えるモノづくりの高度化」へ貢献します。これまでオムロンは、幅広い商品ラインナップと現場密着で培ったノウハウを強みに、お客様との共創を通じてアプリケーションを創出し、様々な業界のモノづくりの技術革新や人手不足の解消、生産性の向上を実現させてきました。これからは、グローバルの顧客現場で使用されているデバイス群を引き続き強化します。そして、それらデバイスから得られる高品質データを価値ある形に変換しDXを実現することで、顧客の製造現場をサステナブルにすることに貢献していきます。
(ⅱ)ヘルスケアソリューション
ヘルスケアソリューションでは「循環器疾患の“ゼロイベント”」へ貢献します。これまでオムロンは、医療品質の家庭用デバイスをグローバルに普及させ、家庭で計測した血圧データを用いた診断・治療プロセスをつくり、脳・心血管イベント発症の予防に貢献してきました。これからは、イベント発症を未然に防ぐ、新しい予防医療の仕組みを構築することで、誰もが自然と健康に暮らすことのできる社会、質の高い医療を誰もがどこでも受けられる社会の実現を目指していきます。その社会に向けて、日常生活下でバイタルデータが測定できるデバイスの創出、医師の診断・治療の意思決定を支援するアルゴリズムを用いた遠隔診療サービスの導入や、新しい予防医療サービスの開発を実現します。
(ⅲ)ソーシャルソリューション
ソーシャルソリューションでは「再生可能エネルギーの普及・効率的利用とデジタル社会のインフラ持続性」への貢献を目指します。オムロンはこれまで、太陽光発電や蓄電池の普及に貢献してきました。これからは、進化したエネルギー制御技術で発電の不安定さを解消し、再生可能エネルギーのさらなる普及に貢献します。また、社会インフラ領域においては、様々な機器、施設の運用現場を熟知し、日本全国を網羅するサービス網を通じ、運用・保守を支えてきました。これからは、現場システムの効率的な運用を支援するマネジメント&サービスで、運用・保守プロセスを革新していきます。
③「SF2030」策定時におけるサステナビリティ重要課題
「SF2030」では、①企業理念と存在意義②2030年とさらにその先の社会からのバックキャスティング③環境や社会の持続可能性に貢献するための企業への要請の観点および外部有識者との対話から得た示唆を踏まえて、経営レベルで議論を重ねて5つのサステナビリティ重要課題を設定しました。これらの課題に取り組むことで、社会価値と経済価値の両方を創出し、企業価値の最大化を目指しました。
サステナビリティ重要課題は、企業への要請や事業環境の変化などに対応していくため、定期的に確認・見直しを行います。
< 「SF2030」策定時におけるサステナビリティ重要課題 >
SF2030策定時における
サステナビリティ重要課題
SF2030目標
1事業を通じた社会的課題の解決
事業を通じた社会的課題の解決により、社会価値を創出するとともにオムロンの
持続的な成長を牽引する
SF2030でフォーカスする社会の変化因子
「高齢化」、「気候変動」、「個人の経済格差」
から、全社で捉える3つの社会的課題
「カーボンニュートラルの実現」、
「デジタル化社会の実現」、「健康寿命の延伸」を解決し、持続可能な社会の発展に貢献している状態
2ソーシャルニーズ創造力の最大化
オムロンの持続的成長のために競争力となるビジネスモデルの進化と新たな事業創出の
取組みの拡大
必要なコア技術開発の推進やビジネスモデルへの
組み込みなどを通じて、既存事業および新規事業の領域でソーシャルニーズ創造力を発揮し、新たな
事業を生み出し続けている状態
3価値創造にチャレンジする多様な人財づくり
オムロンの持続的成長の源泉となるオムロンで働く多様な人財の能力やスキルを引き出す人財マネジメントの進化
オムロンで働く多様な人財が成長できる機会を提供するとともに、能力・スキルを最大限引き出す人財マネジメントへと進化し、国籍・性別・働き方と
関係なく、多様な人財が集まり、誰もが活躍している状態
4脱炭素・環境負荷低減の実現
気候変動を「機会」と「リスク」の二側面で捉えた企業としての社会的責任の実践と更なる競争優位性の構築
バリューチェーンにおける温室効果ガスの排出削減と資源循環モデルの構築を通じて、社会的課題を
解決すると共に、更なる競争優位性が構築されている状態
・Scope1・2(注1):2016年度比△65%
・Scope3 カテゴリー11(注2):2016年度比△18%
5バリューチェーンにおける人権の尊重
企業の社会的責任として、自社のみならず
バリューチェーンで働く人々の人権の尊重に
対する影響力の発揮
国連の「ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)」に沿って自社のみならずバリュー
チェーンで働く人々の人権の尊重に対して影響力を発揮し、人権侵害を許さない、発生させない風土と仕組みが形成されている状態

(注) 1 Scope1・2:自社領域から直接的・間接的に排出される温室効果ガス
2 Scope3 カテゴリー11:Scope3は自社のバリューチェーンからの温室効果ガスの排出。そのうち、カテゴリー11は
製造・販売した製品・サービス等の使用に伴う排出
※「SF2030」の詳細は、当社ウェブサイトでご覧いただけます。
https://www.omron.com/jp/ja/sf2030/
※サステナビリティ重要課題特定プロセスの詳細は、当社ウェブサイトでご覧いただけます。
https://www.omron.com/jp/ja/sustainability/omron_csr/sustainability_management/

(3) 中期経営計画「SF 1st Stage」と構造改革プログラム(2022~2025年度)

①「SF2030」における中期経営計画「SF 1st Stage」の変更
当社グループでは、2022年度から2024年度を中期経営計画「SF 1st Stage」とし、「SF2030」ビジョン達成に向け、社会的課題を捉えた価値創造と持続的成長への転換を加速する“トランスフォーメーション加速期”と位置付け、社会構造の変化に伴う成長機会を掴み、これまで培った競争力を発揮することにより力強い成長を実現することを目指しました。しかしながら、2023年度に、中国経済の成長鈍化やサプライチェーンの混乱など、事業環境が想定以上に悪化したことに加え、当社グループの成長を牽引する事業やエリアが一部に偏っていたことで、この急激な変化に対応できず、業績が大幅に悪化しました。
このような状況を受け、当社グループは、当初2024年度までとしていたSF 1st Stageを取り下げ、2024年4月1日から2025年9月末までを「構造改革期間」とし、構造改革プログラム「NEXT2025」を実行しました。
< 中期経営計画の変更 >0102010_006.png
②構造改革プログラム「NEXT2025」の総括
当社グループでは、「NEXT2025」において、収益を伴った持続的な売上成長を確かなものとし、持続的な企業価値向上を実現すべく、「制御機器事業の早急な立て直し」と「収益・成長基盤の再構築」を軸とした5つの経営施策を実行しました。5つの経営施策の具体的な取組みは以下のとおりです。
<「NEXT2025」経営施策の取組み >(ⅰ)制御機器事業(IAB)の早急な立て直し
制御機器事業の再成長に向けた取組み
当初計画・事業の再成長に向け、顧客起点かつ実効性の観点から戦略・計画を刷新。
・構造改革期間での、制御機器事業の営業利益率の最大化と、SF2030で期待する成長
を実現する基盤を確立するために、リソースアロケーションを見直し、施策の実行
を加速。
取組み
と成果
・事業基盤(顧客基盤/業務オペレーション)の強化に向けた変革のための10の
タスクフォースを立ち上げ、12の取組みを実行。
・顧客のニーズを確実にとらえ顧客基盤を拡大させるとともに、商品・サービスへの
フィードバックに迅速に対応することで、顧客満足度を高める好循環を生み出し、安定的な成長の実現を目指し、グローバル11万顧客の可視化(Customer Base Map)
を開始。
・注力領域へのリソースアロケーションを実施し、顧客・業界ニーズを捉えた新商品
を33機種リリース完了。(2024年度:11機種、2025年度:22機種)
・制御機器事業の2025年度の売上高および営業利益、営業利益率の改善。
(売上高:前期比12.3%増加、営業利益:前期比18.0%増加、営業利益率:前期比+0.5P)

(ⅱ)収益・成長基盤の再構築
1.ポートフォリオの最適化
当初計画・事業・製品・エリアの各ポートフォリオの最適化を行い、事業を取り巻く環境変化
に対する耐性の強化と、収益を伴った持続的な成長を実現。
・データソリューション事業本部の主導で、JMDC社のケイパビリティも活用した
制御機器・ヘルスケア・社会システム事業領域でのデータソリューションビジネス
の創造加速にも取り組む。
取組み
と成果
・全事業の再評価を行い、成長事業・エリアへの優先投資に加え、低収益事業の
収益化の取組みや収束の検討を完了。13事業を注力事業として特定。
・全52事業の最適化を進め、注力事業13事業(注1)、キャッシュカウ事業22事業(注2)の
35事業(注2)に整理完了。
・電子部品事業(DMB)の分社化検討開始し、2026年3月に事業譲渡を発表。
・社会システム事業(SSB)の決済端末事業の収束。
・ヘルスケア事業(HCB)のブラジル工場の生産終了。
・グループ全体のデータソリューションの拡大および顧客のDX・AI活用を推進する
オムロン デジタル株式会社を新設。
・コーポレートヘルス事業の本格始動に向け、株式会社iCAREの全株式を取得。
2.人員数・能力の最適化
当初計画・顧客価値の拡大を実現し、収益を伴った持続的な成長を実現する人員・人件費構造を
構築するために、グローバルに人員数・能力の最適化を実施。
取組み
と成果
・人員数最適化を完了。マネジメント層の最適配置、能力強化策を実行。
(グローバル合計で2,526名(国内1,206名、海外1,320名)が退職)
3.固定費生産性の向上
当初計画・グループ全体で固定費生産性の最大化を追求。
・売上高に対する販管費の比率について中期的に30%未満(JMDC社連結影響除き28%
未満。2023年度の実績は32.0%)を実現する固定費規律の導入と運用の徹底。
取組み
と成果
・新たな固定費規律にもとづいた固定費管理の徹底や、間接材購買の集約化や拠点の
統廃合など、固定費生産性の向上に向けた取組みを実施。
・アジアパシフィックおよび米州のエリア統括本社の解消による間接コストの適正化。
・トランスコスモス社とのJV設立による国内バックオフィス業務の効率化・高質化。
・販管費の比率の低減:販管費の比率 2025年度 31.9%(2024年度 33.1%)(注3)。
4.顧客起点マネジメントシステムの導入・運用
当初計画・経営・事業・本社のマネジメントを顧客起点での思考・行動に変革する施策の導入と
運用。
取組み
と成果
・顧客起点を全社の指針とし、顧客起点での思考・行動を実践するためのKPIを全部門で
設定し実行。
・マネジメント層が顧客起点での思考・行動を実践するための新たな人事施策を設計、
運用を開始。
・パフォーマンスマネジメントとピープルマネジメントを両立できているマネージャー
の割合が前年度から増加。国内のマネージャーの半数近くが両立。

(注) 1 2026年3月末日時点
2 2026年3月末日時点、事業譲渡が決定した電子部品事業は除く
3 非継続事業(電子部品事業)を除外して算出
業績悪化の要因となった課題に早急に対応したことで制御機器事業を中心に各事業の再成長への道筋をつけると共に、2024年度および2025年度の2年間で、固定費を2023年度比で約350億円削減したことで、2年連続の増益を達成しました。一方、売上高、営業利益共に過去最高水準に到達できていないこと、ROICやROEなどの指標が資本コストを下回る水準であることから、収益・成長基盤の再構築は道半ばであると認識しております。
今後は、この改善基調を早期に定着させると共に、ビジネスモデルのトランスフォーメーションや成長を促進する事業ポートフォリオマネジメント、収益・成長基盤の再構築、顧客起点を実現する社内風土改革など、収益を伴った持続的成長の実現に向けた本質的な課題の解決に取り組んでいきます。
(4) 中期ロードマップ「SF 2nd Stage」(2026~2030年度)

「NEXT2025」の成果と課題を踏まえ、2026年度から2030年度までの新たな中期ロードマップ「SF 2nd Stage」(以下 SF 2nd Stage)に2026年4月より取り組みます。
① オムロンが目指す「GEMBA DX企業」
長期ビジョンで想定している社会の変化因子は、SF 2nd Stageの期間においても社会に与えるインパクトの拡大・深化が見込まれることから、「カーボンニュートラルの実現」「デジタル化社会の実現」「健康寿命の延伸」の3つを当社グループが捉えるべき社会的課題としました。一方で、ハードウェアの提供だけでは、今後、さらに複雑化・深化していく3つの社会的課題の本質的な解決に貢献するのは難しくなっています。
SF 2nd Stageでは、当社グループの強みである「グローバルの現場に敷き詰められた高シェアのデバイス群」から得られる「高品質なデータおよびその他の現場にあるデータ」および、長年、顧客と共に「現場で蓄積してきた課題解決のノウハウ・知見」を「現場のデータやノウハウを突合し価値ある情報へ変換する技術」で組み合わせ、顧客の本質的課題を解決するデータサービスを提供する「GEMBA DX企業」への転換を目指しています。
< 「GEMBA DX企業」の姿 >0102010_007.png
② SF 2nd Stageの位置付けと方針
SF 2nd Stageは、2030年以降にデータサービスによる新たな成長を実現する「GEMBA DX企業」への転換のための期間としています。2030年までの5年間は、デバイス事業を成長の原動力とするため、デバイス事業の競争力強化に軸足を置きます。デバイス事業の競争力を強化し、シェアを高めることで競争優位性を再度鍛え上げていきます。このような考えのもと、SF 2nd Stageの方針を「Trusted Growth ~GEMBA DX企業への転換に向けた顧客との信頼関係のさらなる深化~」としました。
< GEMBA DXの実現に向けたタイムライン >0102010_008.png
< SF 2nd Stage方針 >
Trusted Growth
~GEMBA DX企業への転換に向けた顧客との信頼関係のさらなる深化~

③ SF 2nd Stage コア戦略「事業ポートフォリオの再構築」
SF 2nd Stageでは、「事業ポートフォリオの再構築」をコア戦略とします。「収益性」「市場成長性」「データサービス事業(注)との親和性」の観点から、52事業のうち、グループの成長を牽引する13事業を新たな注力事業として特定しました。
注力事業は、8つのデバイス事業(コントローラ、汎用センサ、セーフティ、制御コンポ、基板検査装置、血圧計、家庭用心電、蓄電システム)と5つのデータサービス事業(IAデータソリューション、データヘルス、コーポレートヘルス、デジタルヘルス、M&S)で構成されます。残りの39事業は、キャッシュカウ事業として位置付け、市況変化に応じた投資を行い、高収益化を着実に進めていきます。なお、2026年3月に発表したデバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業)の分社化および譲渡後の継続事業におけるキャッシュカウ事業は22事業となります。
投資に関しては、まず8つの注力デバイス事業に集中し、事業の競争優位性を高め市場占有率を拡大することで、市場成長以上の事業成長を実現し、確かな成長の土台を築き上げます。そして、注力デバイス事業から得られたキャッシュを5つのデータサービス事業に投資し、データサービス事業の売上比率を向上していくことで、当社グループ全体の成長を最大化する尖りのある事業ポートフォリオに進化させていきます。
(注)データサービス事業とは、オムロン製品などから得られる高品質な現場データを活用し、長年にわたり蓄積してきた知見・ノウハウに基づいて価値ある情報へと変換することで、顧客の課題解決に貢献する事業です。

⦅ SF 2nd Stageの注力13事業 ⦆
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< SF 2nd Stageでの投資サイクル >0102010_010.png
デバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業)の分社化および譲渡
当社は、2025年9月19日付「デバイス&モジュールソリューションズビジネス(電子部品事業)の分社化の検討開始に関するお知らせ」にて公表いたしましたとおり、当社のデバイス&モジュールソリューションズカンパニーが営む事業(以下「DMB(電子部品事業)」)の分社化について検討してまいりました。当社は、2026年3月30日開催の取締役会において、当社の子会社であるオムロンデバイス株式会社(以下「本承継会社」)にDMB(電子部品事業)を吸収分割の方法により承継させること、当社グループ内において海外各国・地域における当社のグループ会社が保有するDMB(電子部品事業)に関連する株式及び資産等の譲渡を実施すること(以下「本株式譲渡」)、及び本承継会社の全株式をThe Carlyle Groupが設立するTCG2601 株式会社の完全子会社であるTCG2602 株式会社(以下「本SPC」)に譲渡することを決定し、2026年3月30日付で本承継会社との間で吸収分割契約書を、また、本SPCとの間で株式譲渡契約書をそれぞれ締結しました。
本株式譲渡実行日は2026年10月1日を予定しています。
本株式譲渡は当社が、2025年11月に公表した「中期ロードマップ SF 2nd Stage」で掲げる事業ポートフォリオの再構築の加速-すなわち、IA(インダストリアルオートメーション)を中心としたデバイス事業領域とデータサービス事業領域における13の注力事業の拡大に向けて、投資のさらなる集中を可能とするものです。

④ SF 2nd Stageにおける経営体制強化
当社グループは、SF 2nd Stageの成長戦略をリードする経営体制として、従来の最高財務責任者(CFO)、最高技術責任者(CTO)、最高人事責任者(CHRO)の3つの役職に加え、最高情報責任者(CIO)、最高DX責任者(CDXO)、最高リスク管理責任者(CRO)の3つの役職を最高経営責任者(CEO)の直下に新たに設置しました。そして、コーポレート機能を担う6つの役職(CxO)の責任権限を中期ロードマップの戦略にあわせて再定義すると共に、それぞれの機能をCxOに権限移譲しました。また、併せて事業ごとの意思決定についても各ビジネスカンパニー(BC)に権限を移譲しました。
この体制により、CxOが担当領域における全社方針の策定から実行まで一貫して責任を担い、現場の素早い判断と意思決定を支える「スピード経営」を加速します。また、全社施策を担うCxOと事業戦略を担うBCとが一体となり執行することで実行力を強化し、顧客起点での価値創出と成果の最大化を推進します。
各CxOの役割は以下のとおりです。
< 各CxOの役割 >
役職名役割
最高財務責任者
(CFO:Chief Financial Officer)
当社グループの財務価値を向上させることに責任を持つ。全社中計・短計および経営課題の設定、事業ポートフォリオの再編、キャピタルアロケーション、資本市場との対話に関する権限を持ち、利益を伴った成長の実現を推進する。
最高技術責任者
(CTO:Chief Technology Officer)
コア技術の強化と開発生産性を高めることに責任を持つ。全社重要
技術戦略の策定と実行、注力事業を支える重要商品・サービスの企画への参画と開発投資の決定、「GEMBA DX企業」に向けた先行投資の
策定・実行の権限を持ち、競合に打ち勝つ技術の創造を推進する。
最高人事責任者
(CHRO:Chief Human Resources Officer)
グループ横断での経営人財の継続的な輩出とエンゲージメントの向上に責任を持つ。経営人財の採用・配置と後継者育成、成果に応じた
評価・処遇の運用徹底の権限を持ち、チャレンジ精神旺盛な企業文化の醸成を推進する。
最高情報責任者
(CIO:Chief Information Officer)
業務品質・効率と、収益性・リスク耐性を高めるデータドリブン経営の推進に責任を持つ。グループ横断でのIT投資の優先順位付けや
リソース配分計画の策定・実行の権限を持ち、生産性と実行スピードを両立する業務プロセスのDXを推進する。
最高デジタルトランスフォーメーション責任者
(CDXO:Chief Digital Transformation Officer)
グループ横断でのデータサービス事業の成長実現とデジタルエンジニアリング力の強化に責任を持つ。成長実現に資する戦略および必要なリソース投資計画の策定・実行の権限を持ち、データサービス事業の立ち上げや成長を加速させ、事業のDXを推進する。
最高リスク管理責任者
(CRO:Chief Risk & compliance Officer)
当社グループの持続可能性を高めるための内部統制システムの強化と運用徹底に責任を持つ。重要リスクを定め現場組織に予防策の徹底を指示し、その結果をモニタリング・是正する権限を持ち、企業価値の毀損を防ぐ取り組みを推進する。


(5) SF 2nd Stageの経営目標

SF 2nd Stageにおいても、事業とサステナビリティを融合した社会価値創出を継続するため、経営目標として、財務目標と非財務目標を設定しました。
財務目標では、2030年度に、売上高の年平均成長率:7%、営業利益率:12%、自己資本利益率(ROE):10~12%、投下資本利益率(ROIC):8~10%、1株当たり純利益(EPS)成長率:20%、データサービス売上比率:15%を目指します。
非財務目標では、マテリアリティ(=サステナビリティ重要課題)として特定した、事業を通じた社会的課題の解決、ソーシャルニーズ創造力の最大化、人財の可能性を引き出し成長を加速、レジリエントなサプライチェーン構築、脱炭素・循環経済の実現による環境負荷の低減、バリューチェーンにおける人権の尊重の6つの領域で定めた指標の目標達成を目指します。
財務および非財務の目標は次の通りです。
①SF 2nd Stage財務目標
指標2025年度実績2030年度挑戦的目標
売上高の年平均成長率(CAGR)7.3%7%(注1)
営業利益率7.8%12%
自己資本利益率(ROE)4.7%(注2)10~12%
投下資本利益率(ROIC)3.9%(注2)8~10%
1株当たり純利益(EPS)成長率116.5%(注3)~20%
データサービス売上比率9%15%

(注)1 CAGR:2024年度から2030年度
2 継続事業からの当期純利益ベースで算出した数値
3 対前年度成長率
②SF 2nd Stage非財務目標
(ⅰ)マテリアリティの特定
SF 2nd Stageの非財務目標を定めるにあたり、SF2030で特定した5つのサステナビリティ重要課題(=マテリアリティ)が、SF 2nd Stageの期間においても有効なマテリアリティとなり得るかの確認・見直しを2025年度に行いました。執行会議等での議論、取締役会による承認を経て、SF 2nd Stageにおける6つのマテリアリティを特定しました。今回の確認・見直しでは、2023年度の業績の大幅な悪化、特に営業利益減少の要因となったサプライチェーンの混乱などに、先回りして適切に対応することで、企業の持続可能性を高めていくことを目的に、「レジリエントなサプライチェーン構築」を6つ目のマテリアリティとして追加しました。また、6つのマテリアリティを、事業成長を加速させていく「成長マテリアリティ」、事業継続の基盤として社会の持続可能性を高めていく「基盤マテリアリティ」、事業成長、持続可能性向上の双方に関わる「成長&基盤マテリアリティ」として位置づけを整理しました。
(ⅱ)SF 2nd Stage非財務目標
マテリアリティ
(サステナビリティ
重要課題)
非財務目標(経済価値創出のKPI)
指標2030年度目標
成長
マテリアリティ
事業を通じた
社会的課題の解決
<インダストリアルオートメーション>・「Customer Base Map」占有数拡大率・2024年度比:160%
<ヘルスケアソリューション>・血圧計販売台数
・「OMRON connect」と「Pep Up」の連携ID数
・3,172万台(2025年度比:124%)
・2024年度比:3,000%
<ソーシャルソリューション>・蓄電システム出荷台数・125,000台(2025年度比:252%)
ソーシャルニーズ
創造力の最大化
・インキュベーションフェーズの4事業を
含むデータサービス事業(注1)の全社に
占める売上構成比率
・15%(2025年度比:+5P超)
成長&基盤
マテリアリティ
人財の可能性を
引き出し成長を加速
・社員エンゲージメント
(VOICEエンゲージメント指標)(注2)
・グローバル 70(2025年度比:+3P)
レジリエントな
サプライチェーン
構築
主要製品の調達・生産の複線化推進・IAB: グローバル生産拠点の再編
・HCB: インドでの有意なコスト
構造実現
・SSB: 蓄電システム生産能力
125,000台の実現
基盤
マテリアリティ
脱炭素・循環経済の
実現による環境負荷
の低減
<脱炭素>・Scope1・2 削減量(1.5℃水準)
・Scope3(カテゴリー1・11)削減量
(Well Below2.0℃水準)
温室効果ガス(GHG)排出量削減(注3、4)
・Scope1・2 2016年度比:▲68%
・Scope3 2016年度比:▲35%
<循環経済>・資源循環モデルの拡大・拡充・資源循環モデルの拡大・拡充完了
・グローバル全生産拠点で
ゼロエミッション達成
バリューチェーンに
おける人権の尊重
・オムロンにおける顕著な人権課題ごとに、
UNGPsに沿った人権デューディリジェンス
を実施
・救済メカニズムの整備
・各人権課題に対する人権デュー
ディリジェンスの実施完了
・人権救済メカニズムの適正運用
の継続

(注)1 データサービス事業の売上は、DSBセグメントで行う事業の売上に加え、DSBセグメント事業以外が行う、現場データを
活用して顧客の課題を解決するサービス事業の売上の合計額
2 組織の目指すゴールに対する社員の自発的な貢献意欲を測定する調査。エンゲージメントスコア65以上が概ね良好とされる
3 事業ポートフォリオの変更に伴い、対象範囲の見直しを実施
4 国際非営利団体「Science Based Targets initiative(SBTi)」の認定後に確定予定

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