有価証券報告書-第83期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/24 13:02
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有報資料

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、2011年にスタートした10年間の長期ビジョン「Value Generation 2020」(以下、VG2020) に基づき、「質量兼備の地球価値創造企業」を目指した経営を推進しています。その中で、VG2020の最終ステージである中期経営計画VG2.0(以下、VG2.0)を2017年度よりスタートしました。
当社グループがVG2.0において捉えた労働力不足、少子高齢化、気候変動などの社会的課題は年々顕在化しています。当社グループでは、VG2.0全社方針を「技術の進化を起点に、イノベーションを創造し、自走的成長を実現」とし、コア技術である「センシング&コントロール+Think」を進化させ続け、技術革新をベースに新たなソーシャルニーズを創造することで、持続的な成長を目指していきます。
<当期(2019年度)の結果>VG2.0の3年目である当期は、「逆風下で、したたかに“自走的な成長構造の確立”を進める。『収益力』『成長力』『変化対応力』の強化」を基本方針に掲げて取り組みました。当期は、売上高8,300億円、営業利益650億円、売上総利益率(GP率)42%を期初の目標に掲げました。その後、2019年4月に車載事業の株式等譲渡を発表したことに伴い、通期見通しを車載事業を除く継続事業の売上高7,090億円、営業利益575億円、GP率45.5%に修正しました。車載事業を株式等譲渡した目的は、同事業が大変革期にある自動車産業の中で発展し生き残っていくためであると同時
に、当社の事業ポートフォリオをより強化し、絞り込まれた事業領域に対して経営リソースを集中させ、競争戦略と成長戦略を加速させることにあります。その後、2019年10月には、米中貿易摩擦による事業環境の悪化を受け、売上高6,700億円、営業利益450億円、GP率44.5%に改めて修正しました。2020年1月以降に新型コロナウイルス感染症の拡大によるマイナス影響を受けましたが、結果は、売上高6,779億80百万円、営業利益547億60百万円、GP率44.8%と、見通しを大きく上回って達成することができました。基本方針に掲げた「成長力」「収益力」「変化対応力」強化の取り組みも着実に進捗させました。具体的には次に述べる通りです。
VG2.0前半の2年間(2017~2018年度)で構築した商品力、技術力、事業インフラなどの資産を成果に結びつける取り組みを加速しました。具体的には制御機器事業では、0102010_001.png(注1) を推進、加速しています。そのために、製造現場の課題をお客様とともに解決する拠点である、オートメーションセンタをグローバルで37拠点まで拡大しました。2020年1月には、世界最大のオートメーションセンタをATC-TOKYOとして東京の品川に開設し、東京という立地を活かして、世界中のお客様の経営トップや工場長を招待し、お客様との共創を実現しています。また、共創によるソリューションを具現化するアプリケーションエンジニアの人員数を2割増強し、お客様の課題を解決する力を強化しています。
ヘルスケア事業では、重篤な循環器疾患イベントをなくすことを目指し、革新的なデバイスによるソリューション展開を進めています。血圧を常時計測できる世界初となる腕時計型の「ウェアラブル血圧計」を日米欧で発売し、また、血圧と心電の同時計測を実現する「心電計付き血圧計」を米国で発売しました。いずれの製品も米国のFDA(Food and Drug Administration/アメリカ食品医薬品局)をはじめとする医療機器認証を取得した世界初の商品です。今後、グローバルでの販売拡大を見込んでいます。
また、再生可能エネルギー領域においては、環境事業が持つソーラーパワーコンディショナや蓄電システムを中心とする商品力と、社会システム事業が持つエンジニアリング力、24時間365日対応できる保守サービスを掛け合わせることで、エネルギーマネジメントにおけるトータルソリューションを提案できる体制を構築しました。
こうした取り組みの結果、売上高が減少する中でもGP率は向上しており、稼ぐ力は確実に高まっています。これは、ソリューション提案による単価アップや競争力の高い新商品の上市、変動費や製造固定費削減など生販開企が一体となって取り組んだ結果です。例えば、電子部品事業では、拠点の統廃合や生産ライン集約によって、製造固定費の効率化を図りました。
また、本社機能部門では、法人・拠点の集約を進めると同時に、各社が保有していた経理、人事、総務などの業務集約による標準化、日本・中国を中心とした間接材の集中購買によるコストダウン、グローバルでの物流インフラの見直しなどを行い、固定費の効率化を実現しました。
当社グループは、今後の事業環境の変化を見据えて、事業ポートフォリオの最適化を進めてきました。具体的には、基幹商品やサービスの多くに参入障壁があり、高いシェアを持っている、ファクトリーオートメーション、ヘルスケア、ソーシャルソリューションの3事業と、これらを支えるデバイス/モジュール事業に経営リソースを集中させることを決心しました。これに伴い、長期的な競争優位構築を目指して車載事業の売却とバックライト事業の収束を実行しました。
期中に拡大した米中貿易摩擦やコロナショックなどに起因する事業環境悪化の影響を受けたとはいえ、売上高が前年を下回ったことは、自走的成長構造の確立が道半ばであることを表しています。例えば事業別では、電子部品事業は事業環境の影響を受け、大きく売上と利益が減少しており、構造改革の継続が必要です。また、全社ではデジタライゼーションを見据えたITインフラ投資を継続し、将来を見据えた強固な事業基盤の構築を進めています。
<次期(2020年度)の計画>2020年度は長期ビジョンVG2020の最終年度であり、ビジョン実現に向けた取り組みを完遂する年度です。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中で、その対策と収益確保を最優先した有事モードで運営します。具体的には、社員の安全確保と感染症の拡大防止を徹底したうえで顧客への製品の供給責任を果たしていきます。また、年間200億円規模の固定費削減を前提とした計画を4月からスタートし、収益確保を実現します。同時に、コロナショック後の新たな社会的課題を見据え、VG2020期間で積み上げてきた強い財務基盤を活用した投資を継続していきます。
今回のコロナショックによって、人の価値観や産業構造が変化し、様々な社会変革が加速します。新たな社会的課題が生まれ、ビジネスチャンスが拡大する可能性があります。オムロンは、3つの注力ドメインでコロナショック後のビジネスチャンスを見据えた取り組みを加速していきます。例えば、ファクトリーオートメーション領域では医療品・食料品の安心・安全を支えるトレーサビリティ、次世代の社会インフラである5Gに求められる高密度実装の品質の改善・確保、ヘルスケア領域では遠隔医療サービスを中心に社会的課題を解決し、成長につなげてまいります。また、ソーシャルソリューション領域では、社会システム事業と環境事業の統合によって、エネルギーマネジメントをはじめとするレジリエントな社会の実現に貢献していきます。なお、4月の決算発表時点では、新型コロナウイルス感染症が事業に及ぼす影響を見通すことが困難なため、2020年度の計画の公表を控えていましたが、7月末までには発表できる見通しです。
(注1)当社は、製造業のモノづくり現場を革新するコンセプトを0102010_002.pngと呼び、次の3つの“i”からなるオートメーションの進

化によって製造現場の生産性を飛躍的に高め、付加価値の高いモノづくりの実現を目指しています。「integrated(制御進化)」は、これまで熟練工に頼っていた匠の技を、誰もが簡単に実現できるよう、オートメーション技術を進化させます。「intelligent(知能化)」は、幅広い制御機器とAIを活用し、機械が自ら学習して状態を保全するなど、進化し続ける装置や生産ラインを実現します。「interactive(人と機械の新しい協調)」は、同じワークスペースで人と機械が共に働き、機械が人の動きや考えを理解しアシストするなど、人と機械の新しい協調関係を提供します。
(注2)「売上総利益率」は、「売上高」から「売上原価」を控除し、これを「売上高」で除したものです。
(注3)「営業利益」は、「売上高」から「売上原価」、「販売費及び一般管理費」および「試験研究開発費」を控除したものです。

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