有価証券報告書-第186期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/21 17:00
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【項目】
164項目
(2)戦略並びに指標及び目標のうち重要なもの
① 当社のマテリアリティ並びに指標及び実績
当社では、サステナビリティ経営におけるESG視点の経営優先テーマである「マテリアリティ」特定にあたり、グローバルなガイドラインを参考に、リスク低減と成長・機会創出の両面で、自社と社会の双方への影響を評価しています。その特定の過程においては、SAコミッティなどで社外有識者の意見を取り入れるほか、内容に応じて経営会議、事業戦略会議、リスク・コンプライアンス委員会で審議し、取締役会に報告しています。また、マテリアリティは、外部環境変化や財務・非財務指標間の相関・因果分析などを踏まえ、事業戦略の修正に応じて適宜見直しを行うことで、実効性のある取り組み目標としています。
「2025中期経営計画」においては、「人権尊重を最優先にしたAI提供と利活用(AIと人権)」、「多様な人材の育成とカルチャーの変革」、「ICTの可能性を最大限に広げるセキュリティ」など、リスク低減および成長率向上を目的とする7つのテーマを「基盤マテリアリティ」と位置付け、「2025中期経営計画」の成長事業が創出を目指す5つの社会・環境テーマを、成長・機会の創出と成長率向上を目的とした「成長マテリアリティ」として整理したうえで、マテリアリティの進捗を図るための指標である2025年度KPIを設定しました。2023年度の取組み実績は次のとおりです。
0102010_004.png*1 2023年度に目標を変更したもの
*2 2024年度に目標を引き上げたもの
*3 2025年度内に決定された2026年4月1日付異動を含む。
*4 2026年3月末日時点の当社の取締役、執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVP(執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVP については2025年度内に決定された2026年4月1日付異動を含む。)
*5 2024年3月末日時点。2024年4月1日の女性管理職比率は10.2%
*6 2024年3月末日時点の当社の取締役、執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVP。2024年4月1日の役員に占める女性または外国人の割合は15.8%
*7 他の2025年度KPIと同様に「2025中期経営計画」公表時点で設定していたが、内容の性質上、機関設計変更についての情報が公開されるまで公表を差し控えていたもの
*8 調達金額ベースでの比率
・「気候変動(脱炭素)を核とした環境課題への対応」の実績値は、本有価証券報告書提出日現在集計中のため、サステナビリティ情報を掲載した当社のウェブサイトや今後発行予定の「ESGデータブック2024」において報告予定です(「ESGデータブック2024」は、2024年度上期中に当社ウェブサイトで公表予定。)。
・「サプライチェーンサステナビリティ」については、2023年度末時点で86%となり、昨年度に引き続き2025年度KPIである75%を達成しました。本比率は調達金額ベースであるため変動しますが、2025年度末時点においても達成できるよう取り組みを継続します。
② NECグループの気候変動に関する戦略並びに指標及び目標
当社ではマテリアリティの一つとして「気候変動(脱炭素)を核とした環境課題への対応」を特定しており、事業におけるリスクの低減と事業を通じた社会貢献という両面から様々な活動に取り組んでいます。また、NECグループは、2017年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同を表明し、気候変動に関する戦略として、不確実な未来への対応力を高めるため、複数のシナリオで将来起こりうる社会を予想し、対応策を検討しています。気候変動に関する政府間パネルなどの公開情報やICTの動向および社会情勢をもとに、サプライチェーン全体における中長期的なシナリオ分析を行い、次のとおり事業のリスクと機会を認識しています。
<認識したリスク>
リスクシナリオ(+1.5℃
or 4.0℃)
(*1)
内容時間軸
(*2)
財務影響/年対策
移行
(*3)
+1.5℃カーボンプライシングによるコスト増中期44億円CO2排出量実質ゼロ(2040年)達成に向けた効率化の徹底と再生可能エネルギーの活用拡大
レピュテーションリスクによる売上減短期35億円SBTイニシアティブ(*5)認定および再生可能エネルギーの活用拡大とグリーン電力の購入
物理
(*4)
+4.0℃データセンターの気象災害(洪水、土砂崩れ、水不足など)の影響による事業停止に伴う売上減短期33億円非常用電源設備などの発電設備の強化(5日間稼働分の燃料の備蓄など)

*1 +1.5℃:脱炭素社会が実現し、2100年に気温が1.5℃上昇するシナリオ
+4.0℃:脱炭素社会が実現せず、2100年に気温が4℃上昇するシナリオ
*2 時間軸:短期=0~3年、中期=4~10年、長期=11~20年
*3 移行リスク:脱炭素社会への移行に伴って、政策・法務・技術革新・市場嗜好の変化などにより発生するリスク
*4 物理リスク:異常気象から引き起こされる事象による急性リスク(洪水や土砂災害など)と長期間での気候パターンの変化による慢性リスク(海面上昇や熱波、耕作適地の変化など)
*5 SBTイニシアティブ:企業に対し、科学的根拠に基づく二酸化炭素排出量削減目標を立てることを求めるため、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)、国際連合グローバル・コンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)および世界自然保護基金(WWF)の4団体により設立されたイニシアティブ
<認識した機会>
機会シナリオ
(+1.5℃
or 4.0℃)
内容時間軸財務影響/年機会創出と拡大
適応
(*6)
+4.0℃農業生産適地の変化への備えが進むことによる売上増中期-(*8)AIを用いて農作物栽培を支援するサービス「CropScope(クロップスコープ)」の提供
適応
/
緩和
(*7)
+4.0℃災害に強い、GHG効率の高いデータセンターへのニーズ拡大による売上増中期57億円データセンターのエネルギー効率の改善(データセンターのグリーン化)
緩和+1.5℃再生可能エネルギーの活用拡大に伴うエネルギーソリューションの売上増短期120億円仮想発電所(VPP)、電力需給管理、RA事業化(需給調整市場への参画)、xEMS(エネルギーマネジメントシステム)、再生可能エネルギーを活用したデータセンターサービス提供など

*6 適応:すでに生じている、あるいは将来予測される気候変動の影響による被害を回避・軽減させるために備えること
*7 緩和:気候変動の原因となる温室効果ガスの排出量を減らすこと
*8 「農業生産適地の変化への備えが進むことによる売上増」の財務影響については、本有価証券報告書提出日現在算定中です。
当社は、2017年に策定した「2050年を見据えた気候変動対策指針」に基づき、2050年までに自社の事業活動に伴うCO2排出量(Scope1およびScope2(*9))を「実質ゼロ」とすることを目指していましたが、2021年9月に、「Business Ambition for 1.5℃(BA1.5℃)」に署名し、2050年までにScope3(*9)を含むサプライチェーン全体からのCO2排出量実質ゼロを宣言しました。また、2022年9月には、サプライチェーン全体からのCO2排出量を2040年までにゼロとすることをめざすイニシアティブ「The Climate Pledge」(TCP)に参加し、従来計画比で10年前倒しとなる2040年カーボンニュートラルを宣言しました。これらの目標を強化するため、マテリアリティの2025年度KPIを「Scope1およびScope2におけるCO2排出量を25.0%削減(2020年度比)」に見直しました(「(2) 戦略並びに指標及び目標のうち重要なもの ①当社のマテリアリティ並びに指標及び実績」参照)。
また、当社は、2030年までに「Scope1およびScope2において55%削減(2017年度比)」、「Scope3のカテゴリ1(購入した製品・サービス)、カテゴリ3(Scope1およびScope2に含まれない燃料、エネルギー活動)およびカテゴリ11(販売した製品の使用)において33%削減(2017年度比)」という目標を掲げ、2021年5月にはSBTイニシアティブからSBT1.5℃の認定を受けていましたが、2040年カーボンニュートラルを宣言したことに伴い、2024年4月には、2030年度までに「Scope1、Scope2およびScope3のそれぞれ50%以上を削減((2020年度比)」という目標に強化したことなどに対して、SBTイニシアティブからNet-Zero目標の認定(*10)を受けました。
加えて、NECグループは、2021年に事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際イニシアティブである「RE100」(*11)に加盟し、再生可能エネルギーの利用拡大を進めており、既に当社本社ビルやNEC Cloud IaaSのデータセンターで使用する電力を100%再生可能エネルギー由来に置き換えています。2023年度には、RE100の目標達成年度を2050年から2040年に前倒ししています。
NECグループの気候変動の取り組みの詳細は、以下の当社ウェブサイトに掲載しています。
なお、当該ウェブサイトの更新予定日は未定ですが、内容に更新があれば遅滞なく更新します。
https://jpn.nec.com/sustainability/ja/eco/risk.html
*9 Scope1:事業者が所有または管理する排出源から発生する温室効果ガスの直接排出
Scope2:電気、蒸気、熱の使用に伴う温室効果ガスの間接排出
Scope3:Scope1およびScope2以外の事業者の関連する他社の温室効果ガス排出
*10 Net-Zero目標の認定 :2030年度までに2020年度比で、Scope1、Scope2およびScope3のそれぞれ50%以上を削減し、2040年度までに90%以上削減を目指す。まずはこの削減を最優先し、削減が非常に困難な残余排出量は、吸収クレジットで中和することでNet-Zeroの達成を目指す。
*11 RE100 :企業が自ら事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ
(3) 人的資本(人材の多様性を含む)に関する戦略
当社の人的資本に関する戦略(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針を含みます。)は、以下のとおりです。
① HR方針
NECグループは、最大の経営資源を「人」と位置づけ、組織と人材の力を最大限に活かすための制度改革や環境整備を「人への投資」として進めてきました。2019年には、HR(Human Resources)方針「挑戦する人の、NEC。」を策定し、社員一人ひとりへの多様な挑戦・限りない成長機会の提供、フェアな評価、挑戦する社員がベストを尽くせるような環境やカルチャーの変革を進めています。
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(イ)多様な挑戦機会
社内人材公募制度(NEC Growth Careers)の拡充に取り組んでいます。機械学習を用いたAIレコメンド機能を導入しており、ポジションマッチングを加速させることでNECグループ内の人材の流動性を促進し、個人と組織が互いに選び選ばれる対等な関係を目指しています。また、2020年度にNECライフキャリア㈱を設立して以来、社員のキャリア自律・スキル開発支援を強化しています。具体的には、年間約6,000名以上が参加するキャリアデザインワークショップや年間約3,500名が利用するキャリア面談など、社員が自律的にキャリアを形成するための支援のほか、社員のスキルアップデートおよび行動変容を加速させるリスキリングプログラムを提供しています。
(ロ)限りない成長機会
Code of Valuesを高次元で体現するとともに、新しい発想、柔軟な視点、豊富な経験・実績を活かした変革型リーダーシップを兼ね備えたNECグループを牽引するリーダーを育成することを目的に、将来の経営リーダーを育成するプログラム「NEC Talent Acceleration Program(NTAP)」を展開しています。また、タフアサインメントやトレーニングなどの豊富な成長機会を計画的・意図的に付与し、グローバルマーケットで勝ち続ける強い経営リーダー、強い経営チームを創出する取り組みを行っています。
(ハ)フェアな評価および次へ繋がるリワード
ジョブ型人材マネジメントの実現に向けて人事の仕組み全体を整備する中で、2024年4月からジョブグレード体系と報酬制度を改めています。市場価値を反映した競争力のある報酬体系へ移行し、年齢、性別などにかかわらずパフォーマンスに応じたフェアな評価とフィードバックの徹底をはかっています。これらの制度については、各種法令、労働協約および社内規程に基づいており、役割と成果に応じた適正な賃金、賞与を支給しています。
(ニ)社員がベストを尽くせる環境、文化の実現
社員一人ひとりが働きやすさだけでなく働きがいを持って高いパフォーマンスを発揮し、自律的に自己実現を描けるような環境づくりに取り組んでいます。
福利厚生においては、社員一人ひとりに向けた取り組みの一つとして、Growth & Well-beingをコンセプトに、社員の自律的な成長・自己実現を支援する制度の拡充を行っています。また、健康経営にも注力しており、健康診断結果データを活用し、AIが従業員の生活習慣改善を提案する「健診結果予測シミュレーション」の実施やヘルスケアサポートを展開しています。仕事と育児の両立支援にも力を入れて各種制度の拡充・活用促進に取り組んでおり、NECグループの複数の会社において、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業として、厚生労働大臣の認定(通称「くるみん認定」)を受け、当社を含む複数の会社は、その中でも高い水準の取組みを行っていると評価され、「プラチナくるみん認定」を受けています。
さらに、社員のWell-beingと成長の実現のためには組織の観点での取組みも重要であると位置づけており、チームの力を最大限に引き出すことで組織パフォーマンスを高めることにも注力しています。例えば、ワークプレイスについては、社内外のコラボレーション空間を拡充しているほか、チームの生産性を高めるために、Digital Technologyの活用や働き方ルールのアップデートをはかっています。
② 「2025中期経営計画」の実現
NECグループでは、「2025中期経営計画」において企業価値の最大化に向けたPurpose・戦略・文化の一体的な取り組みを経営方針としており、文化の観点でエンゲージメントスコアを中核指標と位置付けています。その取り組みを加速するために「2025人事中計経営戦略」として重点テーマを掲げており、多様なタレント人材の活躍、働き方マインドセット改革、「適時適所適材」の実現およびタレントマネジメントという4つの柱を定めています。これらの取り組みを通じて、市場やお客さまのみならず働く人からも選ばれ続ける企業(Employer of Choice)を目指しています。
(イ)多様なタレント人材の活躍
様々な視点、知見、専門性を持つ人材が活躍し、その違いを活かして変化にしなやかに対応できる・勝ち続けることができる「組織としての総合力」を高めることを目指しています。
多様な人材が活躍し、多角的な視点やアイデアが尊重されるカルチャーを醸成することは、イノベーションの創出のために必須かつ重要な経営戦略の一環であると考えています。そのための施策として、グローバルな人材活用、キャリア採用の拡充、女性の活躍推進、障がい者の雇用促進および性的マイノリティに対する理解と支援の促進などに取り組んでいます。このようなインクルージョン&ダイバーシティへの取り組みは、「NEC Way」におけるPrinciplesで掲げる「人権の尊重」の実践に位置付けられています。
(ロ)働き方マインドセット改革
従来推進してきた社員一人ひとりが自律的に働く場所、時間をデザインする働き方に加え、2024年度からは互いに直接のコミュニケーションを行う場を活用した働き方を推進していきます。具体的には、当社においてはFace to Faceの機会を原則として40%(週2日)以上設けることを基本的な考え方とし、NECグループ各社においても各社の業態に応じてチームとしてのパフォーマンスの最大化に取り組みます。これにより、より健康で、かつ生産性および創造性の高い働き方を実現していきます。
(ハ)「適時適所適材」の実現
社会価値を創造しグローバル競争に勝つために重要となるのが、「適時適所適材」の実現です。市場の変化にしなやかかつスピーディに対応するために、戦略起点で適時にその実行に必要な組織・ポジションを設計し、社内外から最適な人材を登用していきます。
当社は、ジョブ型人材マネジメントを目指して、2018年度の評価制度改革から開始し、段階的に制度・仕組みを導入してきました。2024年4月からは、全従業員向けにジョブ型人材マネジメントを適用しています。また、社内人材公募制度(NEC Growth Careers)の拡充やNECライフキャリア㈱によるキャリア形成支援も合わせることで、会社主導のキャリア形成から脱却し、社員自らがキャリアを選択し、行動するキャリアオーナーシップの強化をはかっています。NECグループは、社会価値を創造しグローバルで「勝ち続ける企業」となるために、会社としての「適時適所適材」および社員一人ひとりの「キャリア自律」を実現し、社員および会社が「選び・選ばれる」関係において双方が成長することで、強い個人・組織を作ることを目指しています。
(ニ)タレントマネジメント
「2025中期経営計画」に掲げる「国内IT事業のトランスフォーメーション」実現のため、社会価値を創造・実装し続けるDX人材(*1)を12,000名(*2)確保する計画を掲げ、DX人材育成の強化を進めています。また、次世代リーダー人材の育成として、有望人材にタフアサインメントやトレーニングなどの豊富な成長機会を提供し、成長のスピードを加速する取り組みを行っています。
*1 当社が各定義および要件を定めるコンサルタント、データサイエンティスト、サイバーセキュリティ人材などを指しており、当社および次の連結子会社等を対象としています。
NECプラットフォームズ㈱、NECソリューションイノベータ㈱、日本電気通信システム㈱、NECネクサソリューションズ㈱、NECビジネスインテリジェンス㈱、NECネットワーク・センサ㈱、NECスペーステクノロジー㈱、日本電気航空宇宙システム㈱、NECライフキャリア㈱、㈱日本電気特許技術情報センター、NEC企業年金基金
*2 2024年度に目標を10,000名から引き上げました。

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