有価証券報告書-第100期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

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2017/06/15 15:00
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ソニーのマネジメントが認識している経営課題とそれに対処するための取り組みは以下のとおりです。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
世界経済の回復は、全体として緩やかな回復が続いたものの世界的に保護主義・自国利益優先主義の流れがみられました。先進国では、米国経済が個人消費の好調と設備投資や輸出の持ち直しにより回復、欧州経済についても英国のEU離脱の影響はあったものの緩やかな回復基調にあります。また新興国では、国際商品市況の緩やかな回復を背景にロシア経済及びブラジル経済が景気後退を脱する一方で、中国経済は、過剰な生産設備の削減等による成長率の鈍化が続いています。さらに、地政学的紛争、政治的不和、テロなどに関連した経済以外の要因による不安が、一部の国や地域にのしかかっており、世界の経済活動に大きな影響を及ぼす可能性もあります。
ソニーをとりまく経済環境は、主にエレクトロニクス事業における、競合他社からの価格低下の圧力、一部の主要製品における市場の縮小及び商品サイクルの短期化といった要因によって不透明性が増しています。
これらの状況の下、ソニーは2015年2月18日に中期経営方針を発表し、株主資本利益率(以下「ROE」)(当社株主に帰属する当期純利益を株主資本で割って算出)を最も重視する経営指標に据え、中期経営計画の最終年度となる2017年度に、ソニーグループ連結で、ROE10%以上、営業利益5,000億円以上を達成することを目標とし、以下の基本方針のもと、高収益企業への変革を進めています。
事業運営の基本方針
・ 一律には規模を追わない収益性重視の経営
・ 各事業ユニットの自立と株主視点を重視した経営
・ 事業ポートフォリオの観点から各事業の位置づけを明確化
事業の特性、市場環境などを踏まえ、各事業を、事業ポートフォリオの観点から「成長牽引領域」、「安定収益領域」、「事業変動リスクコントロール領域」と位置付けた上で、ソニーグループ全体のROE目標に紐づいた、事業ごとの投下資本利益率(ROIC)の目標値を設定し、収益性を重視した事業運営を行います。
これを受けて、ソニーは2017年5月23日に2017年度経営方針説明会を開催し、2015年度~2017年度中期経営計画の進捗、及び2018年度以降のソニーの未来への布石として取り組んでいる施策について説明しました。その要旨は以下のとおりです。
1. 中期経営計画(2015年度~2017年度)の進捗
ソニーは、2012年度からの5年間、「ソニーの変革」と「利益創出と成長への投資」をテーマとする経営を行ってきました。2015年度~2017年度の中期経営計画においては、同計画の最終年度となる2017年度に、「ソニーグループ連結でROE10%以上、営業利益5,000億円以上」という数値目標を掲げ、高収益企業への転換に取り組んできました。ソニーは、現時点で、中期経営計画の最終年度となる2017年度の連結営業利益として、20年ぶりの利益水準となる5,000億円を見込んでいます。ソニーは、中期目標を着実に達成した後も持続的に高い収益を上げ、新しい価値を創出し続ける企業をめざします。
2016年度までの業績改善の主な要因の1つは、コンスーマーエレクトロニクスの再生と考えております。同領域において、当社創業以来のDNAにも通じる「規模を追わず、違いを追う」という方針の下での事業運営を徹底し、安定的な収益貢献が期待できるまでの再生を実現することができました。
2017年度の経営数値目標を達成し、さらに2018年度以降も持続的な高収益を実現するためには、コンスーマーエレクトロニクスの安定収益に加えて、G&NS分野の収益拡大、モバイル向けイメージセンサー事業の復活、音楽・金融分野の継続的な高い収益貢献及び映画分野の収益改善が鍵となると考えております。
<コンスーマーエレクトロニクスの再生>・ 苦戦が続いたコンスーマーエレクトロニクスの領域においては、「規模を追わず、違いを追う」という方針での事業運営を徹底した結果、安定的な収益貢献が期待できるまでの再生を遂げることに成功しました。
・ 2004年度から連続して多額の営業赤字を計上していたテレビ事業においては、事業規模の拡大による損益改善をめざす方針から脱却し、2011年11月以降は事業規模が従前の目標の半分以下でも損益を均衡させることのできる体制へと事業構造を変革し、同時に商品の付加価値を向上させることによって黒字化を図る戦略に転換しました。これらの改革が奏功し、2016年度の同事業における営業利益率は約5%までに改善しました。
・ デジタルイメージング事業では、急速な環境変化に素早く対応することで、事業の変革に成功しました。スマートフォンの登場などによりデジタルカメラ市場が大きく変化する中、継続的な固定費の削減に努めると同時にレンズ交換式カメラを中心に商品の付加価値を向上させ、高い収益性を保持してきました。
・ 一方、スマートフォン事業においては、徹底した構造改革と商品・販売地域の絞り込みにより、2016年度の黒字化を達成したものの、同事業の収益性には依然課題も残っています。スマートフォンは、お客様との接点が最も多い「ラストワンインチ」の商品であり、カメラ技術を中心にソニーの最新技術の粋を詰め込むことによって「違い」を実現できる事業である一方で、変化と競争が特に激しい領域でもあります。2017年度は、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)などモバイルコミュニケーション分野での新規領域の開拓と併せて、急速な環境の変化にも迅速に対応できるよう、慎重な事業運営を行っていきます。
<ゲーム&ネットワークサービス分野の収益拡大>・ 「プレイステーション」及び「プレイステーションネットワーク」のビジネスは引き続き好調に推移しており、2016年度は「プレイステーション 4」(以下、「PS4®」)のハイエンドモデルである「プレイステーション 4 Pro」(以下、「PS4®Pro」)及びPlayStation®VR(プレイステーション ヴィーアール、以下、「PS VR」)の導入にも成功しました。
・ 2017年度のPS4®の販売台数は1,800万台を予定し、2017年度末には累計販売台数が7,800万台に到達する見通しです。プラットフォームが収穫期を迎える中、PS4®Pro、PS VRといったPS4®の世界をさらに楽しくする商品群に加え、数多くの魅力的なソフトウェアタイトルラインナップや多彩なネットワークサービスを投入してまいります。
・ ネットワークビジネスは、お客様と「プレイステーションネットワーク」のつながりをさらに強めることと、ロイヤルカスタマーの拡大を通じ、PS4®のエコシステムをより一層拡充することで、収益貢献を図ります。
・ PS VRの高品質で全く新しいVR体験は、2016年10月の発売以降、世界中のお客様から高く評価いただいています。PS VR対応のゲームについては既に100を超えるタイトルが発売されていますが、ゲームコンテンツにとどまらず、ゲーム以外のVRコンテンツの開発も積極的に推進していきます。
<モバイル向けイメージセンサー事業の復活>・ デバイス領域においては、環境変化への対応スピードと強みのある事業へのフォーカスが必要であるとの認識のもと、大きな損失を生じていたカメラモジュールの事業については、熊本テックで行っていた外販向け高機能カメラモジュール事業の開発・製造の中止と、中国・広州の生産工場の売却を実施しました。
・ モバイル向けイメージセンサー事業においては、2015年度前半に外部顧客の需要に対する十分な供給ができず、逆に2015年度後半からはハイエンドモデルを中心としたスマートフォン市場の成長鈍化の影響から販売が低迷し、業績が急速に悪化しました。この状況を受けて開始した中国系スマートフォンメーカーを中心とした積極的な拡販活動は、2016年度後半からの業績の改善にも寄与しています。
・ 直近のモバイル向けイメージセンサー市場においては複眼化の加速、フロントカメラの高画質化、動画性能の重視、といったトレンドがありますが、これらは、ソニーが得意とする製品領域が拡大していることを示しており、2017年度は大幅な収益改善及び収益貢献を見込んでいます。
・ ソニーのイメージセンサーは、性能、歩留まり、品質においては高い評価を得ていますが、生産リードタイムや製造コストの面においては改善の余地があると認識しています。車載向けの領域を含めて、将来の成長に必要な投資は行っていく方針ですが、大規模な投資に見合ったリターンを創出すべく、さらなる高収益事業への変革をめざしていきます。
<音楽・金融分野の継続的な収益貢献>・ 音楽分野は、アデルやビヨンセなどのアーティストの楽曲が大ヒットし、大きな利益貢献をもたらしています。アーティストの発掘・育成・プロモーションなどの音楽分野の根幹となる事業の実績に加えて、音楽出版事業を営むSony/ATV Music Publishing LLC及びインディーズのデジタル配信を営むOrchard Media,Inc.の完全子会社化を行うなど、有料ストリーミング市場の拡大を見据え、リカーリング型ビジネスの強化に向けた戦略投資も実施しました。事業環境が大きく変化する音楽業界の中で、安定的な収益基盤を確立すると同時に、㈱ソニー・ミュージックエンタテインメントが取り組んでいるアニメやライブビジネスなど、新たな収益源となる事業の創出でも成果をあげている点がこの分野の強みです。
・ 金融分野は、お客様との「ラストワンインチ」の接点を有するソニーブランドを活かしたリカーリング型のサービス事業として安定した高い収益性を堅持すると同時に、既存の業界にソニーが参入することによって変革をもたらす、という事業モデルのイノベーションのDNAも有しています。ソニーが中長期戦略で重視しているポイントを複数備えた、大変重要な事業と捉えています。
<映画分野での取組み>・ 映画分野は、2016年度、映画製作事業における将来の収益計画を見直した結果、1,121億円の営業権の減損を計上し、2017年度の利益見通しも、中期経営計画の立案当初の水準から大きく下回る見通しです。
・ しかし、同分野はソニーにとって引き続き重要な事業と位置付けており、現在は映画製作事業の収益改善に向けた施策の遂行に優先度を上げて取り組んでいます。
・ ネットワーク化が進行し、映像コンテンツの楽しみ方が多様化することにより、魅力的なコンテンツの需要がますます高まっている環境の下、ソニーはコンテンツクリエイターとこれまで以上に強固な関係を構築し、質の高いコンテンツの創出に取り組んでまいります。
・ 映画製作事業は事業モデルの性質から結果が出るまでには一定の時間を要しますが、変革に取り組み、高い収益を創出する事業へ転換させていきます。
2. 2018年度以降に向けて
ソニーは、「ユーザーの皆様に感動をもたらし、人々の好奇心を刺激する会社であり続ける」というミッション、「テクノロジー・コンテンツ・サービスへの飽くなき挑戦で、ソニーだからできる、新たな『感動』の開拓者となる」というビジョンの下、エレクトロニクス、エンタテインメント及び金融の領域で多様な事業を展開しています。そして、これらの多様な事業ドメインを、「SONY」というブランドの下で共通の価値観を持って運営していけることが、ソニーの強みです。
中長期の持続的成長に向けては、①コンスーマーに向き合い、お客様に感動をもたらす「ラストワンインチ」の存在であり続けること、②一人一人のお客様との継続したお付き合いを通して安定的に収益を拡大していくリカーリング型ビジネスモデルの強化、そして、③ソニーが持つ多様性と新しい事業への挑戦、の3点が特に重要となると考えております。
① コンスーマー(KANDO@ラストワンインチ)
・ ソニーは、お客様に最も近い場所(=「ラストワンインチ」)で、映像や音楽など様々な体験のインターフェースになる商品を開発し、世界中のお客様にお届けすることのできるブランドです。2017年春に発表した4K有機ELテレビ「ブラビア」や、世界初のスーパースローモーション機能と4K HDRディスプレイ搭載のスマートフォン「Xperia XZ Premium」、フルサイズミラーレス一眼カメラ「α9」などに代表される、五感を刺激することでお客様の感性に訴え、感動をもたらす「KANDO@ラストワンインチ」を体現する商品を今後もつくり続けていきます。加えて、ソニーが新たな市場を創造すべくグループ一丸となって取り組んでいる領域の一つがVRです。VRはソニーグループが有するカメラや撮影技術、コンテンツ制作力、豊富なエンタテインメント資産などをフルに活用できる領域ととらえており、新たな事業ドメインとして育成する取り組みを行っています。
② リカーリング型ビジネスモデルの強化
・ 現行の中期経営計画の一環として、安定した高収益創出のために、お客様との継続したお付き合いを前提としたリカーリング型事業の強化を実行しています。
・ ソニーにおけるリカーリング型事業は、①金融、ネットワークサービス、テレビチャンネル運営事業などのサブスクリプションモデル、②デジタル一眼カメラのレンズやゲームソフトなどの追加購入モデル、③音楽制作、テレビ番組制作などのコンテンツ事業に代表されます。今後は、サブスクリプションモデルをはじめとする、お客様と直接つながるサービス領域の将来性が特に高いと考えています。
・ リカーリング型事業の強化により、各事業の収益モデルを安定化させ、持続的に高収益を生み出すことで、新しい価値を創出し、将来へとつないでいくことができると考えております。
③ ソニーが持つ多様性と新しい事業への挑戦
・ ソニーは創業以来、自らの強みと他社の強みを結び付けることで新たな事業に参入し、既存の業界に新たな価値を提供して成長を続けてきました。他社との合弁で事業を開始した音楽事業及び金融事業や、グループ内に抱える多様な事業の知見を持ち寄り新たな事業を創出したゲーム事業などが、その代表例です。また、最近では、オリンパス株式会社との合弁で事業を開始したメディカル事業、LifeSpace UXや新規事業創出プログラム(SAP)などの取り組みを通じて一定の成果が出始めており、今後も多様な事業領域を有する強みを生かし、有望な新規事業の創出を積極的に行っていきます。
・ 優れた外部の研究者やベンチャー企業などとの協業を推進すべく創設したコーポレートベンチャーキャピタル「ソニーイノベーションファンド」は、既に多数の投資実績を生み、将来に向けた布石を打っています。
・ 人工知能(AI)やロボティクスを活用した新たな事業創出の取り組みに関しては、AIにロボティクスという動くもの、そしてセンシングの技術を組み合わせることによって、ソニーの強みを発揮することが可能であると考え、複数のプロジェクトを進めています。
2017年度の数値目標を達成した後も、中長期的に高収益を継続していくためには、ソニーグループとしても、また各事業それぞれにおいても、現状維持ではなく、新しいことへの取り組みを強化していくことが不可欠となります。持続的に利益を創出し、社会に新たな価値を提供し続けるソニーであり続けるべく、「One Sony」で取り組んでまいります。
環境中期目標 「Green Management(グリーンマネジメント) 2020」
2015年6月にソニーは、2016年度~2020年度のグループ環境中期目標 「Green Management(グリーンマネジメント)2020」を策定しました。この中期目標では、以下の3点を注力すべき重点項目とし、環境負荷を低減するための様々な施策を推進しています。
・ エレクトロニクス事業においては、2020年度までに製品の年間消費電力量の平均30%削減(2013年度比)、エンタテインメント事業では、コンテンツの活用を通じて全世界で数億人以上に持続可能性の課題を伝えることをめざすなど、各事業領域で特色を活かした目標を策定し、施策を推進
・ 製造委託先や部品調達先に温室効果ガス排出量や水使用量などの削減を求めるなど、バリューチェーン全体における環境負荷低減の働きかけを強化
・ 再生可能エネルギーの導入を加速
ソニーグループは、2050年までに自社の事業活動及び製品のライフサイクルを通して「環境負荷ゼロ」を達成することを長期的ビジョンとして掲げています。「Green Management 2020」は、「環境負荷ゼロ」達成のために、2020年度までに成し遂げなければならないことを2050年から逆算して定めています。「Green Management 2020」の実行により、「環境負荷ゼロ」達成に向けて環境負荷低減活動をさらに加速していきます。
また、ソニーはWWF(世界自然保護基金)が実施する温室効果ガス排出削減プログラムであるクライメート・セイバーズ・プログラムに2016年度以降も引き続き参加します。気候変動にかかる目標については、その難易度及び進捗状況について、WWF及び第三者認証機関による検証を受けています。
グループ環境中期目標 「Green Management(グリーンマネジメント)2020」及び環境への取り組みの詳細は、ソニーのCSRレポート(http://www.sony.co.jp/SonyInfo/csr_report/)をご参照ください。

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