有価証券報告書-第104期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/22 15:15
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【項目】
96項目
(以下の記述は、連結会社の企業統治にかかるものです。)
当社のコーポレート・ガバナンスの状況に関する最新の情報は、東京証券取引所へ提出の「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」において開示しており、以下のWebサイトにてご覧頂けます。 https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/library/governance.html
① コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び企業統治の体制
当社は、企業としての社会的責任を果たし、中長期的な企業価値の向上をめざした経営を推進するための基盤としてコーポレート・ガバナンスが極めて重要なものであるとの考えのもと、コーポレート・ガバナンス体制の構築とそのさらなる強化に取り組んでいます。具体的には、次の二つを実施することで、効果的なグループ経営の実現に継続的に取り組んでいます。(i) 執行側から独立した社外取締役が相当数を占める取締役会が、指名、監査及び報酬の各委員会を活用しながら、経営に対する実効性の高い監督を行い、健全かつ透明性のある経営の仕組みを構築・維持する。(ii) 取締役会がグループ経営に関する基本方針その他重要事項について決定するとともに、執行役を含む上級役員(ソニーグループの経営において重要な役割を担う者)に対して、それぞれの責任範囲を明確にしたうえで業務執行に関する決定権限を大幅に委譲することにより迅速な意思決定を可能にする。
上記に照らして、当社は、会社法上の「指名委員会等設置会社」を経営の機関設計として採用するとともに、業務執行の監督機関である取締役会の執行側からの独立性の確保、取締役会での活発な議論を可能にするための適正な規模の維持、各委員会のより適切な機能の発揮等に関する独自の制度上の工夫を追加しています。
当社は、法定機関として、株主総会で選任された取締役からなる取締役会、取締役会に選定された取締役からなる指名、監査及び報酬の各委員会、ならびに取締役会で選任された執行役を設置しています。なお、当社では、ソニーグループの経営全体を統括するCEO(最高経営責任者)、及びソニーグループの経営において重要かつ広範な本社機能を所管する者を執行役としています。また、CEOを含む執行役及びソニーグループの経営において重要な役割を担う者を上級役員としています。なお、当社の経営陣につき、経営における役割や責任の大きさに応じて上席事業役員、専務、常務、執行役員等の職位を付与しています。
<各機関の名称・目的・権限・構成等>■取締役会
(i) 構成員: 11名(うち社外取締役8名)
氏名役職
吉田 憲一郎取締役
十時 裕樹取締役
隅 修三取締役会議長・社外取締役
Tim Schaaff非業務執行取締役
岡 俊子社外取締役
秋山 咲恵社外取締役
Wendy Becker社外取締役
畑中 好彦社外取締役
Adam Crozier社外取締役
岸上 恵子社外取締役
Joseph A. Kraft Jr.社外取締役

(ii) 目的・権限
・ ソニーグループの経営の基本方針等の決定
・ 当社の経営陣から独立した立場でのソニーグループの業務執行の監督
・ 各委員会メンバーの選定・解職
・ 執行役の選解任及び執行役以外の上級役員の選解任状況の監督
・ 代表執行役の選定・解職
なお、取締役会における決議事項や報告事項については、当社取締役会規定に定めているとおりです(取締役会規定の別表ご参照)。
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/csr_report/governance/J_20210428_BoardChater.pdf
(iii) 取締役会の構成に関する方針
当社は、取締役会による経営に対する実効性の高い監督を実現するために、取締役会の相当割合を、法令及び取締役会規定に定める資格要件を満たす社外取締役が構成するよう、指名委員会において取締役会の構成に関する検討を重ねています。そのうえで、指名委員会において、各人のこれまでの経験、実績、各領域での専門性といった個人の資質や取締役として確保できる時間の有無、当社からの独立性に加え、取締役会におけるジェンダーや国際性を含む多様性の確保、取締役会の適正規模、取締役会に必要な知識・経験・能力などを総合的に判断し、ソニーグループの企業価値向上をめざした経営を推進するという目的に照らして適任と考えられる候補者を選定しています。
取締役の員数は、当社取締役会規定において8名以上14名以下としており、2005年以降、取締役会の過半数は社外取締役により構成されています。
(iv) 取締役の資格要件及び再選回数制限
当社が取締役に関して、取締役会規定に定める資格要件は次のとおりです。2021年6月22日時点での在任取締役は、いずれも同日時点において以下の取締役共通の資格要件を満たしており、また、社外取締役については、社外取締役の追加資格要件を満たすとともに、東京証券取引所有価証券上場規程の定める独立役員としての届出を同取引所に対して行っています。
<取締役共通の資格要件>・ソニーグループの重要な事業領域においてソニーグループと競合関係にある会社(以下「競合会社」)の取締役、監査役、執行役、支配人その他の使用人でないこと、また競合会社の3%以上の株式を保有していないこと。
・取締役候補に指名される前の過去3年間、ソニーグループの会計監査人の代表社員、社員であったことがないこと。
・そのほか、取締役としての職務を遂行する上で、重大な利益相反を生じさせるような事項がないこと。
<社外取締役の追加資格要件>・取締役もしくは委員として受領する報酬・年金又は選任前に提供を完了したサービスに関して選任後に支払われる報酬以外に、過去3年間のいずれかの連続する12ヵ月間において12万米ドルに相当する金額を超える報酬をソニーグループより直接に受領していないこと。
・ソニーグループとの取引額が、過去3年間の各事業年度において、当該会社の当該事業年度における年間連結売上の2%又は100万米ドルに相当する金額のいずれか大きいほうの金額を超える会社の業務執行取締役、執行役、支配人その他の使用人でないこと。
なお、再選のための社外取締役の指名委員会による指名は5回を上限とし、それ以降の指名は指名委員会の決議に加えて取締役全員の同意が必要です。さらに、取締役全員の同意がある場合であっても、社外取締役の再選回数は8回までを限度としています。
(v) 社外取締役に関する事項
当社は、各社外取締役が、取締役会や各委員会において、多様かつ豊富な経験や幅広い見識、専門的知見にもとづく経営に関する活発な意見交換及び議論を通じて、経営判断に至る過程において重要な役割を果たすとともに、取締役会による経営に対する実効性の高い監督の実現に寄与することを期待しています。かかる期待を踏まえた独立社外取締役を含む取締役候補の選任方針・手続については、上記のとおりです。なお、2021年6月22日現在、取締役会は11名の取締役で構成されており、そのうち8名が社外取締役です。また、取締役会議長は社外取締役が務めており、指名委員会、監査委員会及び報酬委員会はいずれも、委員全員が社外取締役です。
また、当社は、当社定款規定にもとづき、社外取締役を含む非業務執行取締役全員との間で責任限定契約を締結しています。当該責任限定契約の概要は、次のとおりです。
・非業務執行取締役は、責任限定契約締結後、会社法第423条第1項により当社に対し損害賠償義務を負う場合において、その職務を行うにつき善意であり、かつ重大な過失がなかったときは、3,000万円又は会社法第425条第1項各号の金額の合計額のいずれか高い額を限度として損害賠償責任を負担するものとする。
・非業務執行取締役の任期満了時において、再度当社の非業務執行取締役に選任され就任したときは、責任限定契約は何らの意思表示を要せず当然に再任後も効力を有するものとする。
(vi) 上級役員の選解任方針・手続
当社では、CEOを含む執行役及びソニーグループの経営において重要な役割を担う者を上級役員としています。
経営陣から独立した社外取締役が過半数を占める取締役会は、CEOを含む上級役員の選解任及び担当領域の設定に関する権限又はそれらに関する報告を求める権限を有しており、それらの権限を必要に応じて随時行使するものとしています。
CEOを含む上級役員の選任にあたって、取締役会は、指名委員会が策定するCEOに求められる要件やCEO以外の執行役候補が当社の業務執行において期待される役割等に照らして望ましい資質や経験、実績を有しているかの議論、検討を行った上で、適任と考えられる者を選任しており、また、執行役以外の上級役員については、その選解任状況に関する報告を受けています。
また、CEOを含む上級役員の任期は1年としており、その再任にあたっても直近の実績も踏まえて同様の議論、検討及び監督を行います。なお、任期途中であっても、取締役会や指名委員会において必要と認める場合、執行役の職務継続の適否について検討を開始し、不適格と認めた場合には、随時、交代、解任を行います。
■指名委員会
(i) 構成員: 3名(うち社外取締役3名)
氏名役職
隅 修三指名委員会議長(社外取締役)
畑中 好彦指名委員(社外取締役)
Adam Crozier指名委員(社外取締役)

(ii) 目的・権限
・ 株主総会に提出する取締役の選解任議案の決定
・ CEOが策定する、CEO及び指名委員会が指定するその他の役員の後継者計画の評価
なお、取締役の選解任議案については、上記の取締役会の構成に関する方針や取締役の資格要件及び再選回数制限を踏まえて決定しています。
(iii) 指名委員会の構成に関する方針
指名委員会は取締役3名以上で構成され、その過半数は社外取締役とするとともに、委員会議長は社外取締役から選定されることとしています。なお、指名委員の選定及び解職は、指名委員会の継続性にも配慮して行っています。2021年6月22日現在、3名の委員全員が社外取締役です。
(iv) 後継者計画について
指名委員会は、取締役会からの委任を受けて、CEO及び指名委員会が指定するその他の役員の後継者計画の内容及び運用状況について評価し、適宜、取締役会にその評価結果を報告しています。
かかる評価の実施にあたっては、指名委員会は、CEOから定期的に後継者計画案について報告を受け、その内容を踏まえて評価を実施しています。当該評価を実施するうえで、指名委員会は、次世代経営人材の育成や登用の状況を適切に把握し、策定された計画案が、ソニーグループにとって持続的な社会価値の創造及び中長期的な企業価値の向上という目的に照らして妥当であるかどうかについて検討を実施しています。
■監査委員会
(i) 構成員: 3名(うち社外取締役3名)
氏名役職
岡 俊子監査委員会議長(社外取締役)
岸上 恵子監査委員(社外取締役)
Joseph A. Kraft Jr.監査委員(社外取締役)

(ii) 目的・権限
・ 取締役・執行役の職務執行の監査
・ 会計監査人の監督
(iii) 監査委員会の構成に関する方針・監査委員の資格要件
監査委員会は、以下の要件を全て満たす取締役3名以上で構成され、その過半数は社外取締役とするとともに、委員会議長は社外取締役から選定されることとしています。また、監査委員は、適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者より選定するものとしています。なお、監査委員の選定及び解職は、監査委員会の継続性にも配慮して行っています。
・当社又は当社子会社の業務執行取締役、執行役、会計参与、支配人又はその他の使用人でないこと。
・当社に適用される米国証券関連諸法令に定める"Independence"要件又はこれに相当する要件を充足すること。
また、監査委員のうち少なくとも1名は、当社に適用される米国証券関連諸法令に定める"Audit Committee Financial Expert"要件又はこれに相当する要件を充足しなければならないとし、当該要件を充足するか否かは取締役会が判断しています。2021年6月22日現在、3名の委員全員が社外取締役であり、うち岡俊子及び岸上恵子の2名は米国証券取引所法に定める"Audit Committee Financial Expert"に相当する者です。また、岡俊子は企業経営及び会計に関する幅広い見識を、岸上恵子は国内外の多様な企業での監査実務経験と内部統制に関する専門性を有しており、2名とも財務及び会計に関する相当程度の知見を有しています。
(iv) 会計監査人の選解任議案の決定、会計監査人の独立性等に関する考え方
監査委員会は、CEOその他の執行役から推薦される会計監査人候補について、推薦理由の妥当性を評価したうえで、候補の決定を行っています。また、監査委員会は、選任された会計監査人の独立性、資格要件及び適正性、ならびに業務内容について継続的に評価を行っています。監査委員会による会計監査人の評価の詳細については後述の「(3)監査の状況 ③会計監査の状況」をご参照ください。
■報酬委員会
(i) 構成員: 3名(うち社外取締役3名)
氏名役職
Wendy Becker報酬委員会議長(社外取締役)
秋山 咲恵報酬委員(社外取締役)
畑中 好彦報酬委員(社外取締役)

(ii) 目的・権限
・ 取締役、執行役及びその他の役員の個人別報酬の方針の決定
・ 報酬方針にもとづく取締役及び執行役の個人別報酬の額及び内容の決定ならびに執行役以外の上級役員の個人別
報酬の額及び内容の決定状況の監督
なお、取締役及び執行役の報酬に関する基本方針は、後述の「(4)役員の報酬等 ③役員の報酬等の額又はその算定方法の決定に関する方針」に記載のとおりです。なお、この基本方針については、株主へ送付した「第104回定時株主総会招集ご通知」に添付の事業報告においても開示しています。事業報告については、以下をご参照ください。
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/stock/shareholders_meeting/Meeting104/104_ogm_J_all.pdf
(iii) 報酬委員会の構成に関する方針
報酬委員会は取締役3名以上で構成され、その過半数は社外取締役とするとともに、委員会議長は社外取締役から選定されることとしています。また、CEO、COO(最高業務執行責任者)及びCFO(最高財務責任者)ならびにこれに準ずる地位を兼務する取締役は報酬委員となることができないものとしています。なお、報酬委員の選定及び解職は、報酬委員会の継続性にも配慮して行っています。2021年6月22日現在、3名の委員全員が社外取締役です。
■上級役員(執行役、上席事業役員、専務及び常務が相当)
(i) 員数: 19名(執行役6名を含む)
(ii) 目的・権限
・ 職務分掌に従ったソニーグループの業務執行の決定及び実行
(iii) 取締役会からの権限委譲
取締役会は、グループ経営に関する基本方針その他経営上特に重要な事項について決定するとともに、グループ経営に関する迅速な意思決定を可能にすべく、CEOを含む執行役の担当領域の決定及び上級役員の範囲の設定を行ったうえで、CEOに対して、業務執行に関する決定及び実行にかかる権限を大幅に委譲しています。CEOはさらに、当該権限の一部を他の上級役員に対して委譲しています。
■その他の役員(執行役員が相当)
(i) 員数: 7名
(ii) 目的・権限
・ 取締役会及び上級役員が決定する基本方針にもとづく、本社機能、研究開発等の特定領域における担当業務の実行
(模式図:コーポレート・ガバナンス機構)
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■会議体の開催状況及び社外取締役の出席状況
2020年度の1年間(2020年4月1日~2021年3月31日)において、取締役会は8回、指名委員会は5回、監査委員会は6回、報酬委員会は5回開催されました。
取締役会への出席状況については、2020年度に在籍した社外取締役13名(2020年6月に退任した宮田孝一氏、John V. Roos氏、桜井恵理子氏及び皆川邦仁氏を含む)は、在任期間中に開催された2020年度の取締役会の全てに出席しています。また、委員会に所属する2020年度に在籍した社外取締役は、在任期間中に開催された当年度の各委員会の全てに出席しています。
② 企業統治に関するその他の事項
<取締役、取締役会及び各委員会を支える活動・施策>当社は、取締役会による経営に対する実効性の高い監督の実現を担保するために、様々な活動を行い、施策を講じています。主な活動・施策等は以下のとおりです。
■社外取締役による活動
代表執行役を兼務しない取締役から選任された取締役会議長が、取締役会の運営を主導するとともに、上級役員とのコミュニケーションや社外取締役間の連携を図っています。その具体的な取り組みの一つとして、社外取締役間の情報交換、認識共有を目的とした社外取締役会を原則として取締役会の開催日と同日に開催しています。
また、社外取締役による事業内容や経営課題の理解の促進、戦略議論の充実等を目的として、経営陣との戦略ワークショップ、社外取締役による事業所訪問、取締役会議長とCEOとの打合せ等を複数回実施しています。
■事務局等の設置
取締役会における建設的な議論、活発な意見交換や各取締役の活動を支援するため、取締役会事務局及び各委員会事務局を設置しています。
各事務局は、取締役会や各委員会における議論に必要な資料を各取締役に対して事前に配布するとともに、経理情報、組織図、プレスリリース、外部のアナリストレポートや格付けレポート等の情報についても随時提供しています。取締役会・各委員会の前には、資料の事前配布及び議案の事前説明を行うとともに、案件によっては、臨時の説明会を開催し、取締役に詳細を説明しています。また、当日欠席した社外取締役に対して、後日、取締役会・各委員会において決議された内容等の説明を適宜行うこととしています。さらに、各事務局は、会議の開催頻度や各回における議題数が適切に設定されるよう、年間の開催スケジュールや想定される審議項目を事前に各取締役に共有しています。
■必要な情報の提供等
取締役から必要な情報の提供を求められた場合には、各事務局がその提供に努めるとともに、円滑な情報提供が実施できているかどうか適宜確認しています。なお、取締役の役割・責務(委員としての役割・責務を含む)を果たすために必要な費用(外部専門家の助言を受けることや、各種セミナーへの参加費用等)については社内規程にもとづき当社が負担することとしています。
■監査委員会補佐役の設置
監査委員会の職務執行を補佐するため、監査委員会の同意のもと、取締役会決議により監査委員会補佐役を置いています。監査委員会補佐役は、ソニーグループの業務の執行に関わる役職を兼務せず、各監査委員の指示・監督のもと、自ら、あるいは関連部門と連携して、監査の対象となる事項の調査・分析・報告を行うとともに、必要に応じて監査委員会を補佐して実査・往査を行っています。
■取締役に対するトレーニング
当社は、新任取締役に対して、就任後速やかに、担当の上級役員又は外部専門家により、取締役や委員として求められる役割と責務(法的責任を含む)を主軸に置いたオリエンテーションを実施し、さらに、ソニーグループの事業・財務・組織・体制等に関するオリエンテーションを実施しています。また、就任後においても、社内規程にもとづきコンプライアンスに関する研修を行うとともに、会社の事業等に関する状況を含め、その役割と責務を果たすために必要な知識について、提供し、更新する機会を設けています。
<取締役会及び各委員会の実効性評価の実施>(i) 実効性評価に関する当社の考え方
当社は、ソニーグループの企業価値向上をめざした経営を推進すべく、継続的に取締役会及び各委員会の機能及び実効性の向上に取り組むことが重要であると考えています。この取り組みの一環として、当社は、原則として年に1回以上、かかる実効性評価を実施しています。
(ii) 直近の実効性評価
取締役会は、前回の実効性評価の結果を踏まえた対応が適切になされていることを確認したうえで、主に2020年度の活動を対象とした実効性評価を2021年2月から4月にかけて実施しました。なお、今回の実効性評価は、取締役会議長による主導のもと、前回と同様に、評価自体の透明性や客観性を確保することと専門的な視点からのアドバイスを得ることを目的として、国内外のコーポレート・ガバナンスに高い知見を持つ外部専門家による第三者評価も取得したうえで、実施しました。
(iii) 評価プロセス
まず、取締役会において、前回の実効性評価を踏まえた対応状況及び今回の実効性評価の進め方について審議・確認しました。
そのうえで、外部専門家による第三者評価を実施しました。その評価手法は以下のとおりです。
・取締役会議事録等の資料の閲覧及び取締役会への陪席
・取締役会・各委員会の開催・運営実務等に関する各事務局との確認
・取締役会の構成、運営、取締役自身のコミットメント、各委員会の活動、実効性評価の手法そのもの等に関する全取締役に対するアンケートの実施
・取締役会議長、新任取締役、執行役を兼務する取締役その他一部の取締役に対するインタビューの実施
・日本及び欧米のグローバル企業との比較等
その後、取締役会が、当該外部専門家より第三者評価の結果についての報告を受け、その内容を分析・審議し、取締役会・各委員会の実効性確保の状況を確認しました。
(iv) 評価結果の概要
外部専門家による第三者評価の結果として、取締役会は、取締役の自己評価、日本・欧米のグローバル企業との比較等の諸点から、高く評価されるべき構成及び運営がなされている旨の報告を受けました。取締役会としては、その報告内容を踏まえて実効性確保の状況について分析・審議した結果、2021年4月時点において、取締役会及び各委員会の実効性は十分に確保されていることを改めて確認しました。
なお、当該外部専門家からは、取締役会・各委員会の実効性をさらに高めるために、他社事例も踏まえて検討対象となり得る選択肢として、昨今の経営環境に応じた任意委員会の設置もしくは既存委員会のタスク追加の可能性、監査委員会と内部監査部門の関係の進化、オンラインでの開催を考慮したより効果的な取締役会の開催方法の検討等に関する案が例示されました。
(v) 評価結果等を踏まえた取り組み
当社は、ソニーグループの企業価値向上をめざした経営をさらに推進すべく、今回の取締役会及び各委員会の実効性評価の結果、ならびにかかるプロセスの中で各取締役から提示された多様な意見や外部専門家から提示された視点等を踏まえて、継続的に取締役会及び各委員会の機能向上に取り組んでいきます。
なお、2020年2月から4月にかけて実施した前回の実効性評価以降、取締役会の実効性向上につながる取り組みとして主に以下を実施しています。
・ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取締役会に対する定期的な報告を継続して実施
・情報セキュリティ担当取締役の継続的な設置
・社外取締役会のさらなる活用
・社外取締役を含む非業務執行取締役の経験・専門性に関するスキルマトリックスの開示
・取締役及び上級役員の報酬に係る開示のさらなる拡充
・監査委員による事業所に対する往査を継続して実施
<内部統制システム、リスク管理体制の整備及びソニーグループの業務の適正を確保するための体制整備の状況等>2006年4月26日開催の取締役会において、会社法第416条第1項第1号ロ及びホに掲げる当社及びソニーグループの内部統制及びガバナンスの枠組みに関する事項(損失の危険の管理に関する規程その他の体制及びソニーグループの業務の適正を確保するための体制を含む)につき、現体制を確認のうえ、かかる体制を継続的に評価し、適宜改善することを決議しました。また、2009年5月13日及び2015年4月30日開催の取締役会において、かかる体制を改定・更新し、2021年5月10日付取締役会書面決議により、現体制がかかる体制に沿っていることを確認のうえ、引き続き継続的に評価し、適宜改善することを確認しました。2021年5月10日付の取締役会決議によって確認された内容及びその運用状況については、以下をご参照ください。
内部統制及びガバナンスの枠組みに関する取締役会決議及びその運用状況の概要:
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/library/governance.html
上記取締役会決議にもとづく主な体制の概要については以下のとおりです。
■情報開示体制
当社は、公開会社であり、その株式は、日本及び米国の証券取引市場に上場されています。そのため、ソニーグループは、これらの国の証券関連諸法・規則に従い、様々な情報を公開する義務を負っており、ソニーグループは情報開示に関する全ての法令・規則を遵守していきます。また、当社は、株主や投資家との信頼関係を醸成し、企業価値の最大化を図るために、適時かつ公正な情報開示を行うこと、正確な情報を分かりやすく表現すること、開示情報の充実を図ることをIR活動の基本方針としています。これらを実現するための具体的な取組みとして、「会社情報の適時開示に関する統制と手続き」を構築しています。東京証券取引所、米国証券取引委員会、その他の管轄機関への提出や届出、あるいはソニーグループとして行うその他の情報公開に携わるソニー役員・社員は、情報開示を、十分な内容で、公正、正確、適時かつ理解しやすく、また「会社情報の適時開示に関する統制と手続き」に準拠したものにする必要があります。かかる情報開示の過程において情報を提供するソニー役員・社員も自己の提供する情報について同様の責任があります。
上記「会社情報の適時開示に関する統制と手続き」の一部として、主要なビジネスユニット、子会社、関連会社及び社内部署から潜在的重要事項の報告を受け、ソニーグループにとっての重要性に照らして開示を検討する仕組みを構築しています。この仕組みの設計・運営と適正な財務報告の担保に関し、ソニーグループの本社機能の一部を所管する責任者により構成される「ディスクロージャーコミッティ」という諮問機関が設置されており、CEO及びCFOを補佐しています。情報開示体制の詳細については、以下をご参照ください。
コーポレート・ガバナンスに関する報告書
https://www.sony.com/ja/SonyInfo/IR/library/governance.html
■リスク管理体制
ソニーグループの各ビジネスユニット、子会社、関連会社、社内部署は、それぞれの担当領域において定期的にリスクを検討・評価し、損失のリスクの発見・情報伝達・評価・対応に取り組んでいます。当社の執行役を含む上級役員は、自己の担当領域において、ソニーグループに損失を与え得るリスクを管理するために必要な体制の整備・運用を推進しています。また、グループリスク管理を担当する執行役は、関連部門による活動を通じて、ソニーグループのリスク管理体制の整備・強化に取り組んでいます。
なお、当社は、米国証券取引委員会(SEC)に登録しており、米国企業改革法(Sarbanes-Oxley Act:SOX法)の適用を受けるため、上記の情報開示体制及び以下の財務報告に係る内部統制は、同法に準拠したものとしています。
■財務報告に係る内部統制
当社の財務報告に係る内部統制は、財務報告の信頼性及び米国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠した対外的な報告目的の財務諸表の作成に関する合理的な保証を提供するために整備及び運用されています。また、当社は、ソニーグループ本社機能の主要部分を所管する責任者により構成される組織横断的な運営委員会を設置しており、当該運営委員会は、内部統制に関する必要な文書化・内部テスト・評価等のグローバルな活動を監督・評価しております。そして、評価の結果、CEO及びCFOは、2021年3月31日時点におけるソニーグループにおける財務報告に係る内部統制は有効であるとの結論に至っています。

③ その他当社の定款規定について
<剰余金の配当等の決定機関>当社は、経営環境の変化に対応した機動的な資本政策の遂行を確保するため、会社法第459条第1項各号に掲げる事項について、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定めることができる旨を定款で定めています。
<株主総会の特別決議要件>当社は、株主総会の円滑な運営を行うため、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって決議を行う旨を定款で定めています。
<取締役の選任の決議要件>当社は、取締役の選任決議は、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行う旨、及び累積投票によらない旨を定款で定めています。
<取締役・執行役の責任免除>当社は、会社法第423条第1項の取締役・執行役の責任について、同法第424条(総株主の同意による免除)の規定にかかわらず、取締役及び執行役が職務を遂行するにあたり、それぞれに期待される役割を十分に発揮することができるよう、取締役会の決議によって法令の限度において免除することができる旨を定款で定めています。