有価証券報告書-第106期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/20 15:07
【資料】
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【項目】
136項目
17.従業員給付
(1) 確定給付制度及び退職金制度
当社及び国内子会社の従業員は、通常、退職時に以下のような退職一時金又は年金の受給資格を付与されます。当社及び一部の子会社では、1年間の従業員個別の貢献を反映したポイントが毎年加算されるポイント制度を採用しています。このポイント制度のもとでは自己都合退職、会社都合退職にかかわらず、過去の勤務にもとづく累積ポイントと累積ポイントをベースに加算される利息ポイントの合計にもとづいて退職金支給額が計算されます。
この年金制度のもとでは、一般的には現行の退職金規則による退職金の65%がこの制度により充当されます。残りの部分については、会社が支払う退職一時金により充当されます。年金給付は退職する従業員の選択により一時払いあるいは月払いの年金として支給されます。年金基金へ拠出された資金は、関係法令にしたがい数社の金融機関により運用されています。
2012年4月1日より、当社及びほぼ全ての国内子会社は、終身年金を有期年金に変更するなどの現行年金制度の改定を行いました。また、確定拠出年金制度を導入し、2012年4月1日以降の入社者は確定給付年金制度には加入しません。
2019年10月1日より、当社及びほぼ全ての国内子会社は、確定給付年金制度の改定を行い、制度改定前の退職者を除き、確定拠出年金制度に全て移行しました。
いくつかの海外子会社は、ほぼ全従業員を対象とする確定給付年金制度あるいは退職一時金制度を有し、拠出による積立てを行うか又は引当金を計上しています。これらの制度にもとづく給付額は、主に現在の給与と勤続年数によって計算されます。
連結財政状態計算書で認識された確定給付負債(資産)の純額
連結財政状態計算書の確定給付負債(資産)の純額は以下のとおりです。
項目国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2022年3月31日2023年3月31日2022年3月31日2023年3月31日
確定給付制度債務の現在価値614,763573,143277,903124,702
制度資産の公正価値△474,933△447,747△198,791△56,987
最低積立要件及び資産上限額の影響4,8706,8972,4913,455
確定給付負債(資産)の純額144,700132,29381,60371,170
連結財政状態計算書の金額
確定給付資産△21,057△28,334△6,544△1,775
確定給付負債165,757160,62788,14772,945
確定給付負債(資産)の純額144,700132,29381,60371,170

確定給付制度債務の現在価値
2021年度及び2022年度における確定給付制度債務の変動は以下のとおりです。
項目国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2021年度2022年度2021年度2022年度
期首残高640,061614,763371,239277,903
当期勤務費用12,86812,6602,4242,319
過去勤務費用45△34△365
利息費用3,7514,3675,1174,623
再測定:
人口統計上の仮定の変更△5362,974630△458
財務上の仮定の変更△8,594△27,314△16,789△60,179
その他△95△569△91△940
外貨換算調整額--19,37211,213
従業員による拠出額--333516
退職給付支払額△32,909△33,741△38,923△9,798
縮小・清算による影響額 *--△65,375△100,132
その他213△2--
期末残高614,763573,143277,903124,702

(注)* 2021年度の海外制度の縮小・清算による影響額は、主に一部の米国子会社における確定給付型年金制度終了に
ともなう減少です。2022年度の海外制度の縮小・清算による影響額は、主に一部の英国子会社における確定給付型年金制度終了にともなう減少です。
2021年度及び2022年度における確定給付制度債務の加重平均デュレーションは以下のとおりです。
項目国内制度海外制度
2022年3月31日2023年3月31日2022年3月31日2023年3月31日
確定給付制度債務の加重平均デュレーション11.5年11.2年15.7年12.2年

2022年3月31日及び2023年3月31日現在の確定給付制度債務の現在価値の算定に用いた重要な数理計算上の仮定は以下のとおりです。
項目国内制度海外制度
2022年3月31日2023年3月31日2022年3月31日2023年3月31日
割引率0.7%1.1%2.5%4.3%

重要な数理計算上の仮定の変化による確定給付制度債務の感応度分析は以下のとおりです。
仮定の変動国内制度海外制度
金額(百万円)金額(百万円)
2022年3月31日2023年3月31日2022年3月31日2023年3月31日
割引率
0.25% 減少18,06916,04211,0553,487
0.25% 増加△15,372△13,201△10,439△3,316

感応度分析の算定にあたっては、連結財政状態計算書に計上された確定給付負債の算定方法と同一の方法を適用しており、他の全ての変数は一定であると仮定しています。
制度資産の公正価値
ソニーの年金運用方針は、確定給付制度債務の性質が長期的であることにより見込まれる債務の増加や変動リスク、各資産クラスの収益とリスクの分散及びその相関を考慮して定められます。各資産の配分は、慎重かつ合理的に考慮した流動性及び投資リスクの水準に沿って、収益を最大化するように設定されます。年金運用方針は、直近のマーケットのパフォーマンス及び過去の収益を適切に考慮して定められているのに対し、ソニーが使用する運用前提条件は、対応する確定給付制度債務の性質が長期的であるのに合わせて長期的な収益を達成できるように設定されています。
ソニーの制度資産における運用方針は、将来の債務支払要求を満たすことができる運用収益を生み出すように策定されています。これらの債務の正確な決済金額は、制度加入者の退職日及び平均余命を含む将来の事象に左右されます。これらの債務は、現在の経済状況及びその他の関連する要因にもとづく数理計算上の仮定を使用して見積もられます。ソニーの投資戦略は、資本性証券のような潜在的に高利回りの資産と確定利付証券のようなボラティリティの低い資産をバランスよく組み込むことで、運用収益要求とポートフォリオにおけるリスク管理の必要性とのバランスをとっています。リスクには特にインフレーション、資本性証券資産価値のボラティリティ、年金積立水準に不利に影響し結果としてソニーの拠出額への依存性が増加するような金利の変動が含まれます。潜在的な制度資産のリスク集中を緩和するために、業種及び地域間のポートフォリオバランスを考慮しつつ、金利感応度、経済成長への依存性、為替、及び運用収益に影響するその他の要因にも配慮しています。2023年3月31日における当社及び大部分の国内子会社の年金制度の政策資産配分は、資産・負債総合管理の結果として、株式15%(2022年3月31日時点:16%)、確定利付証券53%(2022年3月31日時点:52%)、その他の投資32%(2022年3月31日時点:32%)となっています。また、海外子会社の加重平均政策資産配分は、株式1%(2022年3月31日時点:1%)、確定利付証券28%(2022年3月31日時点:22%)、その他の投資71%(2022年3月31日時点:77%)となっています。
2021年度及び2022年度における制度資産の変動は以下のとおりです。
項目国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2021年度2022年度2021年度2022年度
期首残高476,411474,933288,394198,791
利息収益3,0263,6493,9552,804
再測定:
利息収益を除く制度資産に係る収益17,617△13,378△10,121△43,173
外貨換算調整額--13,8805,760
会社による拠出額2,4765,6504,5733,444
従業員による拠出額--333516
退職給付支払にともなう払出額△24,597△23,107△37,545△8,240
制度からの返還--△5,005-
縮小・清算による影響額 *--△59,673△102,915
期末残高474,933447,747198,79156,987

(注)* 2021年度の海外制度の縮小・清算による影響額は、主に一部の米国子会社における確定給付型年金制度終了に
ともなう減少です。2022年度の海外制度の縮小・清算による影響額は、主に一部の英国子会社における確定給付型年金制度終了にともなう減少です。
ソニーは、制度資産の公正価値、制度資産の期待収益、及び確定給付制度債務の現在価値を勘案し、マネジメントにより適当と判断された場合に、確定給付年金制度への拠出を行っています。2023年度における拠出額の見込みは、国内制度で約20億円、海外制度で約50億円です。
国内及び海外制度における制度資産の公正価値は以下のとおりです。
資産クラス国内制度
金額(百万円)
2022年3月31日活発な市場における市場相場価格
現金及び現金同等物13,84313,843-
株式 *131,66028,1753,485
確定利付証券:
政府債 *210,0051,1228,883
社債 *34,222314,191
合同運用ファンド *4316,319-316,319
プライベートエクイティ49,777-49,777
ヘッジファンド49,107-49,107
合計474,93343,171431,762

資産クラス国内制度
金額(百万円)
2023年3月31日活発な市場における市場相場価格
現金及び現金同等物18,06018,060-
株式 *137,56233,3354,227
確定利付証券:
政府債 *210,3699759,394
社債 *34,587254,562
合同運用ファンド *4287,978-287,978
プライベートエクイティ40,612-40,612
ヘッジファンド48,579-48,579
合計447,74752,395395,352

(注)*1 主に国内株式です。
*2 2022年3月31日及び2023年3月31日現在、国内の国債及び地方債を約84%及び85%、海外の国債及び地方債を約16%及び15%含みます。
*3 国内及び海外の社債及び政府系機関債を含みます。
*4 合同運用ファンドは、主に投資信託を含む合同資金による機関投資です。
資産クラス海外制度
金額(百万円)
2022年3月31日活発な市場における市場相場価格
現金・現金同等物2,3502,350-
株式 *16161-
確定利付証券:
政府債 *219,141-19,141
社債 *323,546-23,546
資産担保証券63-63
保険契約 *4129,084432128,652
合同運用ファンド *522,316-22,316
不動産及びその他2,23082,222
合計198,7912,851195,940

資産クラス海外制度
金額(百万円)
2023年3月31日活発な市場における市場相場価格
現金・現金同等物2,4032,403-
株式 *16565-
確定利付証券:
政府債 *22,135-2,135
社債 *312,052-12,052
資産担保証券61-61
保険契約 *419,40134119,060
合同運用ファンド *518,113-18,113
不動産及びその他2,75782,749
合計56,9872,81754,170

(注)*1 主に海外株式を含みます。
*2 主に海外の国債及び地方債を含みます。
*3 主に海外の社債を含みます。
*4 主に年金保険契約あるいは利益分配型年金保険契約及び団体保険契約を含みます。
*5 合同運用ファンドは、主に投資信託を含む合同資金による機関投資です。
最低積立要件及び資産上限額の影響
2021年度及び2022年度における最低積立要件及び資産上限額の影響は以下のとおりです。
項目国内制度(百万円)海外制度(百万円)
2021年度2022年度2021年度2022年度
期首残高3,9904,87013,1562,491
利息収益253918765
再測定:
利息収益を除く資産上限額の変動8551,988△11,018811
外貨換算調整額--16688
期末残高4,8706,8972,4913,455

(2) 確定拠出制度
2021年度及び2022年度における確定拠出年金費用は以下のとおりです。
項目2021年度2022年度
金額(百万円)金額(百万円)
国内制度11,13711,461
海外制度11,15417,271

(3) 従業員給付費用
2021年度及び2022年度における、連結損益計算書の「売上原価」、「販売費及び一般管理費」及び「金融ビジネス費用」に含まれる従業員給付費用は以下のとおりです。
項目2021年度2022年度
金額(百万円)金額(百万円)
従業員給付費用合計1,253,1481,539,965

従業員給付費用には、給与、賞与、株式報酬費用、社会保険料、法定福利費及び退職給付に係る費用等を含めています。