訂正有価証券報告書-第76期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2019/05/29 16:55
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、消費者物価が前年比プラスに浮上したものの、自律的な物価上昇インフレ基調には至らず、当面は、日銀の金融緩和策を維持される中で、物価の安定的な上昇を待つ状態が続いております。一方、実質GDPは、個人消費が横ばいの中、外需と設備投資が堅調で、前期比プラス成長を示しており、大型の経済対策にも支えられ、緩やかな景気拡大が予想されております。また、有効求人倍率が25年ぶりの高水準を示すなど、雇用環境は好転しております。
世界経済に目を転ずると、相変わらず、北朝鮮、中近東、南シナ海などで地政学上のリスクが燻っておりますが、景気対策では、金融政策から財政政策へという動きが顕著になっております。また、資源価格の持ち直しも受け、資源国、新興国では、景気安定化の兆しが見られます。
米国では、雇用状況が改善し、個人消費も好調で、緩やかな経済拡大が続く見通しであります。FRBの量的金融緩和策は、当面維持されるものの、正常化に向かいつつあり、長期金利も緩やかな上昇が続くと予想されております。トランプ新政権のレーガノミクスを彷彿とさせる財政政策、規制緩和に景気浮揚効果が期待される一方で、保護主義的な通商政策や排他的移民・安全保障政策による景気への悪影響が懸念されます。
中国では景気減速による3つの過剰(債務、設備、雇用)と不動産バブルが懸念されておりますが、政府の刺激策が景気を支えております。しかし、構造調整の先送りや高齢化の進行、農村部から都市部への労働力移転の一巡もあり、中期的潜在成長力の低下や成長の急減速が危惧されております。
欧州では、個人消費、設備投資といった内需が底堅く、引き続き、緩やかな景気回復の軌道を辿っており、ECBの着目点もデフレからインフレに移りつつあります。しかし、英国のEU離脱を巡っては、その交渉に時間を要し、先行き不透明とも言われております。
世界経済は、保護主義、極右勢力の台頭といった動きもあり、世界貿易の停滞、難民の受入拒否なども懸念され、経済活動や平和維持等に対する不安要因となっておりますが、IMFは、新興国の持ち直しなど底堅い成長を見込んでおり、全体的に回復基調の動きになるのではと言われております。
弊社が関係するICT、情報通信機器業界でも、大きな変化が起こっております。ICTは、成長のエンジンであり、あらゆる領域に活用できる万能ツールとして、経済成長と社会課題解決の要として期待されておりますが、通信回線、CPU、ストレージ、表示技術などの急速な進歩を背景に、大きな質的な変化が起こっていることにも目を向けねばなりません。
昨年は、クラウド、ビッグデータ、IoTとともにAIが大きな話題になり、情報の収集・分析を通じたサイバー空間とリアル空間の相互連携が大きなテーマになっております。今、様々な産業分野において、デジタル経営、デジタルトランスフォーメーションと呼ばれるイノベーション、産業のテクノロジー化が進んでおります。その結果、各産業で非効率性が急速に解消されたり、多くのビジネスチャンスが誕生し、従来には無かった新たな事業の創出も進んでおります。さらには、産業構造や競争原理そのものが再定義されるというインパクトをもたらす動きにもなっております。
その中で、製造業を中心に、Industry4.0、Industrial InternetなどIoTを核とした第4次産業革命に向けた気運も高まっております。特に、製造業におけるIoTは、IT+OT(Operational Technology 制御技術)の意味も持っており、情報通信と産業機器の一体化が進んでおります。
このような状況下で、当社グループは平成27年4月からスタートした「第三次中期経営計画」において「事業規模の拡大」と「経営体質の強化」に取り組んでまいりました。
「事業規模の拡大」につきましては、更なる成長発展を目指し、通信機器関連以外にも事業領域を拡大するため、システムインテグレーション・環境関連機器製品・医療機器・EMS事業の拡大等、新規事業に積極的に取り組んでおります。主力製品であるIPテレフォニーシステム「NYC-iFシリーズ」の機能強化として、「スマートフォン内線化アプリケーション」を発売いたしました。介護施設向け機器ラインアップ強化としては、「集合廊下灯」、「ハンディコール」を発売いたしました。新たなサービスとして、MVNO(仮想移動体通信事業者)事業にも参入し「ナカヨモバイル」のサービスを開始するなど、今後ともオフィスの内外を問わないトータルソリューションサービスを提供してまいります。また、市場のニーズを取り入れたIPテレフォニーシステムの新機種を近く市場に投入する予定であります。今後も市場環境の変化への柔軟な対応をするとともに、新商品・新規事業の開拓を推進してまいります。
「経営体質の強化」につきましては、継続的な原価低減と間接コストの削減を進めるとともに、生産能力の強化と効率向上のため、製造業に取り組んでおります。今後の取り組みとしては、既存の製品群を始めとした新商品開拓とともにサービス事業の展開など新規事業の開拓を進めてまいります。また、製造革新活動の手法を用いて間接部門の業務分析を実施し、トータルコストダウンを図り、経営活動を推し進めてまいります。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は18,836百万円(前期比0.2%増)となりました。損益面では、売上が増加したものの、退職給付費用の増加ならびに開発費の増加により、営業利益は408百万円(前期比36.9%減)、経常利益は514百万円(前期比30.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は316百万円(前期比47.0%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前期と比べ、609百万円増加し、4,774百万円(前期比14.6%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、前期に比べ552百万円増加し、1,636百万円(前期比51.0%増)となりました。これは主に、売上債権の減少額683百万円、税金等調整前当期純利益514百万円、減価償却費525百万円等の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用されたキャッシュ・フローは、前期に比べ578百万円増加し、657百万円(前期比728.0%増)となりました。これは主に、投資有価証券の償還による収入100百万円等の増加要因があった一方、有形固定資産の取得による支出302百万円、投資有価証券の取得による支出257百万円、ソフトウエアの取得による支出184百万円等による減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用されたキャッシュ・フローは前期に比べ7百万円増加し、368百万円(前期比2.0%増)となりました。これは主に、配当金の支払額286百万円、リース債務の返済による支出60百万円等の減少要因があったことによるものであります。