訂正有価証券報告書-第74期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2019/05/29 16:37
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業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、政府、日銀の大胆な金融・財政政策を背景とした株価回復や円安が進行し、大企業を中心とした業績の改善や雇用・所得環境の改善もみられ、緩やかな回復基調で推移しました。一方、急激な円安に伴う輸入価格の上昇と、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動による需要減が長期化し、個人消費の回復には時間を要することから、景気への影響が懸念されます。海外の状況につきましては、米国では、個人消費を中心に堅調に推移し、経済は緩やかな回復基調が続きましたが、欧州ではギリシャ債務問題やロシアに対する経済制裁、欧州中央銀行による量的緩和が実施されるなど、不安定な状況にあります。一方、中国をはじめとする新興国では、経済発展が期待されるものの、輸出の伸び悩みや不動産をはじめとする各種投資が減速し、資金流出懸念などから足元の成長率に陰りが見られ、さらには原油価格の下落や紛争やテロなど地政学的なリスクも相俟って、景気の先行に不透明感が残っております。
当情報通信機器業界におきましては、技術革新が目覚ましく、サービスの多様化、高度化も進み、経済成長の牽引力として期待されています。従来の主力であった音声通信から、データ、映像へという通信の主軸の転換などが見られ、ICTを利用したビッグデータの活用やウェアラブル端末の開発、M2M(Machine to Machine)の市場拡大が進み、通信基盤としてのIoT(Internet of Things)の普及が加速しています。また、料金制度でも定額制の拡大が進み、高いレイヤでのサービス競争に主軸が移りつつあり、コンテンツ流通、ネット通販、電子決済、O2O(Online to Offline)など異業種とのコラボレーションにより、新たなサービス分野が展開されております。今年からNTT光回線のサービス卸事業も開始され、光回線の普及と利活用が促進されるものと期待されています。
このような状況下で、当社グループは「事業規模の拡大」と「経営体質の強化」に取り組んでまいりました。
「事業規模の拡大」につきましては、平成26年度に会社創立70周年を迎え、更なる成長発展を目指すことを目的として商号を「株式会社ナカヨ」に変更し、通信機器関連以外の事業領域を拡大するため、システムインテグレーション・環境関連機器製品・医療機器・EMS事業の拡大等、新規事業に積極的に取り組んでまいりました。新製品としては、生活支援サービスを簡単操作で提供できる高齢者住宅向けシステム「メイクスマートケア」の発売や、主力製品であるIPテレフォニーシステム「NYC-iFシリーズ」の機能強化として、ビジネスの効率を大きく向上させるユニファイド・コミュニケーション機能、BCP対策に有効な安否確認機能を新たに搭載し、さらに、ナンバーディスプレイ機能、IP網を利用した拠点間通信、ホテル機能、高齢者住宅/介護施設向け機能などの充実を図りました。今後も「NYC-iFシリーズ」の充実により、お客様の業務を支援してまいります。
「経営体質の強化」につきましては、継続的な原価低減と間接コストの削減を進めるとともに、生産能力の強化と効率向上のため、製造革新活動の推進をしております。今後の取り組みとしては、既存の製品群を始めとした新商品開拓とともにサービス事業の展開など新規事業の開拓を進めます。また、製造革新活動を始めとしたトータルコストダウンを図り、経営活動を推し進めてまいります。
当連結会計年度の業績につきましては、販売が伸び悩み、新製品の遅れ、当初計画していた案件の失注もあり、売上高は18,872百万円(前期比0.5%減)となりました。
損益面では、工場のリソースを活かしたEMS事業の受注は増加したものの、高付加価値製品のビジネスソリューション分野の受注が予定通りに伸びなかったこと等、収益構造の悪化と、売上減少に伴う固定費率の上昇や急激な円安の進行に伴う原材料のコストアップもあり、営業利益は598百万円(前期比50.7%減)、経常利益は650百万円(前期比49.8%減)となりました。また、特別損益として、投資有価証券売却益43百万円等を計上したものの、税金等調整前当期純利益は689百万円(前期比47.8%減)となりました。当期純利益は432百万円(前期比49.8%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前期と比べ、2,249百万円減少し、3,522百万円(前期比39.0%減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって使用されたキャッシュ・フローは、23百万円(前期の営業活動によって得られたキャッシュ・フローは783百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益689百万円、減価償却費604百万円等の増加要因があった一方、売上債権の増加額845百万円、退職給付に係る資産の増加額449百万円、退職給付に係る負債の減少額17百万円等による減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用されたキャッシュ・フローは、前期に比べ168百万円減少し、1,854百万円(前期比8.3%減)となりました。これは主に、投資有価証券の償還による収入100百万円等の増加要因があった一方、有形固定資産の取得による支出1,305百万円、ソフトウェアの取得による支出726百万円等による減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用されたキャッシュ・フローは前期に比べ132百万円増加し、371百万円(前期比55.5%増)となりました。これは主に、配当金の支払額263百万円、リース債務の返済による支出64百万円等の減少要因があったことによるものであります。