有価証券報告書-第75期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/28 15:25
【資料】
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【項目】
103項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における我が国経済は、政府、日銀の大胆な金融・財政政策を背景とした株価回復や円安基調に陰りが見られるものの、大企業を中心とした収益の拡大や設備投資の増加がみられ、円安を背景とした訪日外国人の増加によるインバウンド需要も追い風となり、緩やかな回復基調で推移しました。また、TPPが署名式を終え、貿易の活性化と更なる経済発展の期待感がある一方で、円安に伴う原材料や輸入価格の値上げによる景気への影響が懸念されます。海外の状況につきましては、米国では雇用環境の改善や設備投資・住宅投資が回復し、9年半振りの利上げを発表するなど、景気回復感が高まってきました。一方、原油を始めとした資源安を受け、世界同時株安の起点となった中国を中心に、新興国の経済は不透明感が見られたほか、欧州ではギリシャ債務問題は沈静化したものの難民流入等の社会問題を抱え、停滞感が見られます。
当社グループが係る情報通信技術は、経済成長の牽引力として市場拡大が期待されていますが、従来の主力であった音声通信から、データ、映像へという通信の主軸の転換などが見られ、ICTを利用したビッグデータやウェアラブル端末の市場拡大が進み、IoT(Internet of Things)への期待が高まっています。更に、高いレイヤでのサービスが拡大するとともに、コンテンツ流通、ネット通販、電子決済、O2O(Online to Offline)など異業種とのコラボレーションも進み、従来に無かった新たな事業の創出も進んでいます。さらに、FinTechに代表されるように、様々な産業分野においてICTとの融合によるさらなるイノベーションの可能性が高まっています。また、第3のプラットフォームを基盤としたデジタルトランスフォーメーションの具体例も生まれ、ICTを基軸とした経営改革、ビジネス変革を通じた価値の創出も期待されています。
このような状況下で、当社グループは平成27年4月からスタートした「第三次中期経営計画」において「事業規模の拡大」と「経営体質の強化」に取り組んでまいりました。
「事業規模の拡大」につきましては、更なる成長発展を目指し、通信機器関連以外にも事業領域を拡大するため、システムインテグレーション・環境関連機器製品・医療機器・EMS事業の拡大等、新規事業に積極的に取り組んでおります。主力製品であるIPテレフォニーシステム「NYC-iFシリーズ」の機能拡充を行い、その商品力強化を図ってきました。また、各種オフィス機器の停電対策用として、UPS(無停電装置)が発売以来ご好評をいただいております。新たなサービスとしては、MVNO(仮想移動体通信事業者)事業に参入し「ナカヨモバイル」のサービス開始いたしました。今後もお客様のニーズに合わせた新商品の開発やサービスを提供してまいります。
「経営体質の強化」につきましては、継続的な原価低減と間接コストの削減を進めるとともに、生産能力の強化と効率向上のため、製造革新活動を継続的に推進しております。今後の取り組みとしては、既存製品の販売力を強化するとともに、サービス事業の展開などの新規事業開拓を進めます。また、製造革新活動を始めとしたトータルコストダウンを図り、経営体質の強化に努めてまいります。
当連結会計年度の業績につきましては、販売が伸び悩み、売上高は18,790百万円(前期比0.4%減)となりました。
損益面では、売上が減少したものの、製造革新活動を始めとしたトータルコストダウンを図り、営業利益は647百万円(前期比8.2%増)、経常利益は745百万円(前期比14.6%増)となりました。また、特別損益として、投資有価証券償還益63百万円、固定資産売却益55百万円を計上したことにより、税金等調整前当期純利益は864百万円(前期比25.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は597百万円(前期比38.1%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前期と比べ、642百万円増加し、4,164百万円(前期比18.2%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、1,083百万円(前期の営業活動によって使用されたキャッシュ・フローは23百万円)となりました。これは主に、売上債権の増加額293百万円、退職給付に係る資産の増加額231百万円等による減少要因があった一方、税金等調整前当期純利益864百万円、ソフトウエア償却費567百万円等の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって使用されたキャッシュ・フローは、前期に比べ1,775百万円減少し、79百万円(前期比95.7%減)となりました。これは主に、投資有価証券の償還による収入400百万円等の増加要因があった一方、有形固定資産の取得による支出319百万円、ソフトウエアの取得による支出264百万円等の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって使用されたキャッシュ・フローは前期に比べ10百万円減少し、361百万円(前期比2.8%減)となりました。これは主に、配当金の支払額285百万円、リース債務の返済による支出64百万円等の減少要因があったことによるものであります。