有価証券報告書-第103期(2025/04/01-2026/03/31)
② 戦略
気候変動が事業に及ぼす影響の把握と気候関連の機会とリスクを具体化するために、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の外部シナリオをベンチマークとして参照しました。また、自動車産業のシナリオ分析を確認しつつ、自社の中長期戦略における事業環境認識と照合し、総合的にシナリオを想定の上、シナリオと自社中長期戦略との差異分析により気候関連の機会とリスクを抽出しました。
なお、上記シナリオの想定移行リスクはIEA「World Energy Outlook」の「SDS」「NZE」シナリオをそれぞれ推進的・野心的シナリオと定義し、範囲は2040年までのCO2排出量、炭素税、原油価格、再エネ率、新車電動車率を定量化し、自社戦略との差より機会とリスクを分析しました。また物理的リスクでは、IPCC第6次報告書の「SSP5-8.5」「SSP2-4.5」をそれぞれ鈍化、推進シナリオと定義し、気象災害、海面上昇、生態システム悪化、水食糧不足等を定性化し、自社戦略との差より機会とリスクを分析しました。
主な機会とリスク、重要項目への対応策は以下のとおりです。
主な機会
主なリスク
(注1)2026年6月11日時点における暫定値です。確定値は2026年9月末発行予定の「統合報告書2026」において記載予定です。
(注2)SOEC:Solid Oxide Electrolysis Cell(固体酸化物形水電解用セル)
(注3)SOFC:Solid Oxide Fuel Cell(固体酸化物形燃料電池)
<経営戦略への影響>前述のとおり、2030年を想定した気候変動に対する機会とリスクの分析結果より、特にカーボンニュートラルの動きは当社の製品開発と生産に大きな影響を与えることが分かりました。そのような状況を踏まえ、環境目標を野心的な「カーボンニュートラル」へと引き上げ、経営戦略に反映しました。
具体的には、モノづくり(生産)では、「2025年度には電力のカーボンニュートラル(ガスはクレジット活用)・2035年度には ガスも含めたモノづくりにおける完全なカーボンニュートラル」を設定しました。当社が得意とする省エネルギー活動の継続・強化に加え、質がよく経済的にも最適な再生可能エネルギー由来電力の導入やクレジット活用等の取り組みを進めています。また、省エネルギーや再生可能エネルギー等CO2排出量削減に寄与する投資の加速に向けて、投資判断にインターナル・カーボンプライシング(ICP)を導入しています。
モビリティ製品では、電動化技術の開発推進で可能な限りCO2排出量を削減するとともに、水素を使ってグリーンエネルギーをつくる技術等の技術開発でCO2をマイナスにすることで、社会全体のカーボンニュートラルを目指します。なお、環境への貢献と事業成長を両立させるために、収益性・成長性に加えCO2排出量/削減量も評価軸に据えて、事業ポートフォリオの入れ替えを定期的に議論・推進していきます。
以上の取り組みによりレジリエントな事業戦略を維持していると考えています。
インターナルカーボンプライシング(ICP)制度の導入
当社では、工場におけるカーボンニュートラルの達成に向け、2021年より、投資判断の指標となる事業性評価にインターナル・カーボンプライシング(以下ICPとする)の導入を開始しました。当制度の導入は、CO2排出増減を伴う設備投資検討の際に、CO2排出量を仮想的に損益換算して事業性評価に反映することで、省エネルギーや再生エネルギー発電等の設備投資を加速させることを狙いとしています。
ICPの価格設定は、排出権価格等の市場価格や、自社の将来削減目標等を総合的に加味して地域別に設定しており、毎年更新していきます。
(単位:円/t-CO2)
(注)地域別に設定しています。
<財務計画への影響>カーボンニュートラルを背景に、電動化技術開発の加速や水素燃料、バイオ燃料等の新燃料に対応した製品へのシフトが必要です。またモノづくりにおけるカーボンニュートラルに向けた、再生可能エネルギー由来電力の調達費用やCO2オフセットの証書、クレジットの購入も必要となります。したがって、財務計画には、電動化や新燃料対応等への研究開発費の増加や再生可能エネルギー等の導入関連費用を反映しています。
気候変動が事業に及ぼす影響の把握と気候関連の機会とリスクを具体化するために、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の外部シナリオをベンチマークとして参照しました。また、自動車産業のシナリオ分析を確認しつつ、自社の中長期戦略における事業環境認識と照合し、総合的にシナリオを想定の上、シナリオと自社中長期戦略との差異分析により気候関連の機会とリスクを抽出しました。
なお、上記シナリオの想定移行リスクはIEA「World Energy Outlook」の「SDS」「NZE」シナリオをそれぞれ推進的・野心的シナリオと定義し、範囲は2040年までのCO2排出量、炭素税、原油価格、再エネ率、新車電動車率を定量化し、自社戦略との差より機会とリスクを分析しました。また物理的リスクでは、IPCC第6次報告書の「SSP5-8.5」「SSP2-4.5」をそれぞれ鈍化、推進シナリオと定義し、気象災害、海面上昇、生態システム悪化、水食糧不足等を定性化し、自社戦略との差より機会とリスクを分析しました。
主な機会とリスク、重要項目への対応策は以下のとおりです。
主な機会
| 重要事項 | 時間軸/影響 | 主要な財務上の潜在的影響 | 財務影響 (注1) | 対応策 | 対応費用 (2025年度) (注1) |
| 研究開発及び技術革新を通じた新製品やサービスの開発 | 中期/ 高い | 電動車の需要増加に起因する売上収益増加 インバータやサーマルの電動関連製品のほか、ヒートポンプシステム等電動車の熱効率改善技術の需要拡大 | +2,000億円 | ・省動力技術、小型化高出力技術等の電動化関連技術や、熱マネジメント技術の開発を加速 ・新燃料(e-fuel、水素等)に対応するエンジン制御システム等の技術開発も推進 | 1,050億円 |
| 事業活動の多様化 | 長期/ 中程度 | 脱炭素に資する技術需要増加に伴う売上収益増加 車載領域で培った環境技術を応用し、農業・FAや水素ビジネス(SOEC(注2)SOFC(注3))等、非車載領域での事業機会を創出 | 農業・FA +4,000億円 (2030年) | ・センサ、制御、ロボット等の技術を活用した農業生産技術や、排ガス浄化技術・熱マネジメント技術を活かしたエネルギー利用技術等を創出 ・アライアンスの積極的な活用 | 220億円 |
| より効率的な生産及び物流プロセスの活用 | 中期/ やや高い | 全世界の工場の省エネルギー推進によるエネルギーコスト低減 生産プロセスの効率化を進め、エコビジョン2025の「エネルギー使用量を原単位で2012年度比半減」が達成した場合、年間約165万tのCO2とエネルギーコストを削減 | +920億円 | 徹底した省エネルギー活動の継続と、低カーボンな材料・設備・生産工程の採用、Factory-IoTの導入でさらなる生産プロセスの効率化や省エネルギー生産技術開発の促進 | 71億円 |
主なリスク
| 重要事項 | 時間軸/影響 | 主要な財務上の潜在的影響 | 財務影響 (注1) | 対応策 | 対応費用 (2025年度) (注1) | |
| 移行リスク | 既成既存の製品及びサービスに対する新たな命令・規制 | 長期/ やや高い | 燃費・排ガス規制厳格化加速を背景とした売上収益減少 燃費規制の厳格化や電動化(HEVを含む)の加速(2030年:47%)を想定。変化に対応できず、規制不適合により販売数減少 | △3,000億円 | ・航続距離延伸への電動化製品の省エネルギー技術開発を加速 ・新燃費規制に向け、HEV等の内燃機関の燃費向上に向けた開発を加速 | 720億円 |
| 物理的リスク | サイクロンや洪水等の異常気象の深刻化と頻度の上昇 | 長期/ やや高い | 工場操業停止・サプライチェーン分断による売上収益減少 異常気象発生の可能性が高い日本・アジア(全生産の65%)において、自社工場の被災やサプライチェーン分断による操業停止で売上収益減少 | △1,200億円 | ・建物等への災害対策実施、部材購入先の複数社化等のサプライチェーンのリスクマネジメント強化 ・世界の工場をIT・IoT技術でつなぎ、生産変更への即時対応可能なグローバル生産体制構築 | 66億円 |
| 移行リスク | カーボンプライシングメカニズム | 中期/ 高い | カーボンプライシング導入加速に伴うコスト競争力低下 世界の炭素税や排出量取引制度等の拡大・厳格化ですべての車載用製品に炭素コストが付加 | △120億円 | ・製造における再生可能エネルギーへの戦略的かつ段階的な切り替え ・省エネルギーや生産プロセスの効率化の活動継続 | 27億円 |
(注1)2026年6月11日時点における暫定値です。確定値は2026年9月末発行予定の「統合報告書2026」において記載予定です。
(注2)SOEC:Solid Oxide Electrolysis Cell(固体酸化物形水電解用セル)
(注3)SOFC:Solid Oxide Fuel Cell(固体酸化物形燃料電池)
<経営戦略への影響>前述のとおり、2030年を想定した気候変動に対する機会とリスクの分析結果より、特にカーボンニュートラルの動きは当社の製品開発と生産に大きな影響を与えることが分かりました。そのような状況を踏まえ、環境目標を野心的な「カーボンニュートラル」へと引き上げ、経営戦略に反映しました。
具体的には、モノづくり(生産)では、「2025年度には電力のカーボンニュートラル(ガスはクレジット活用)・2035年度には ガスも含めたモノづくりにおける完全なカーボンニュートラル」を設定しました。当社が得意とする省エネルギー活動の継続・強化に加え、質がよく経済的にも最適な再生可能エネルギー由来電力の導入やクレジット活用等の取り組みを進めています。また、省エネルギーや再生可能エネルギー等CO2排出量削減に寄与する投資の加速に向けて、投資判断にインターナル・カーボンプライシング(ICP)を導入しています。
モビリティ製品では、電動化技術の開発推進で可能な限りCO2排出量を削減するとともに、水素を使ってグリーンエネルギーをつくる技術等の技術開発でCO2をマイナスにすることで、社会全体のカーボンニュートラルを目指します。なお、環境への貢献と事業成長を両立させるために、収益性・成長性に加えCO2排出量/削減量も評価軸に据えて、事業ポートフォリオの入れ替えを定期的に議論・推進していきます。
以上の取り組みによりレジリエントな事業戦略を維持していると考えています。
インターナルカーボンプライシング(ICP)制度の導入
当社では、工場におけるカーボンニュートラルの達成に向け、2021年より、投資判断の指標となる事業性評価にインターナル・カーボンプライシング(以下ICPとする)の導入を開始しました。当制度の導入は、CO2排出増減を伴う設備投資検討の際に、CO2排出量を仮想的に損益換算して事業性評価に反映することで、省エネルギーや再生エネルギー発電等の設備投資を加速させることを狙いとしています。
ICPの価格設定は、排出権価格等の市場価格や、自社の将来削減目標等を総合的に加味して地域別に設定しており、毎年更新していきます。
(単位:円/t-CO2)
| 当連結会計年度 | |
| 温室効果ガス排出に係るコストの評価に用いている内部炭素価格 | 1,600~2,600 |
(注)地域別に設定しています。
<財務計画への影響>カーボンニュートラルを背景に、電動化技術開発の加速や水素燃料、バイオ燃料等の新燃料に対応した製品へのシフトが必要です。またモノづくりにおけるカーボンニュートラルに向けた、再生可能エネルギー由来電力の調達費用やCO2オフセットの証書、クレジットの購入も必要となります。したがって、財務計画には、電動化や新燃料対応等への研究開発費の増加や再生可能エネルギー等の導入関連費用を反映しています。