有価証券報告書-第96期(2023/04/01-2024/03/31)

【提出】
2024/06/27 15:30
【資料】
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【項目】
179項目

研究開発活動

当社グループは、世界的に活動が進められているSDGs“持続可能な開発目標”を達成するための社会課題の解決に貢献するため、新たな価値の創出活動を続けています。特に高性能・高信頼性が要求される自動車や産業機器の分野に引き続き注力し、人々が安心・安全で豊かな生活を持続できる新しい社会の実現のために、お客様の困りごとを解決する新製品やセンサ素子およびセンサモジュール製品の開発に取り組んでいます。
自動車分野では、2050年にカーボンニュートラルを実現するために、2030年代での自動車販売のZEV(Zero Emission Vehicle)化に向けて、自動車メーカはBEV(バッテリー電気自動車)をメインとした環境対応車の開発に注力しています。直近では、先進国の自動車メーカのBEV販売が低迷し、PHEV(プラグインハイブリッド自動車)やHEV(ハイブリッド自動車)の強化の動きや、CO2と再生可能エネルギーから得られた水素を用いた合成燃料(e‐Fuel)や、水素を燃料とした自動車の実用化の動きもでてきており、さまざまな環境対応車における技術革新が進んでいます。産業機器分野では、労働人口の低下、自国生産への回帰などが進むなか、生産性向上のために生産設備のIoT化、AIの導入、ロボットの活用など、人に頼らないモノづくりの実現、さらに、故障する前に不具合を見つけ修理する予知保全、消費電力を可能な限り最小に抑えた生産設備の省エネ化など、各種産業の現場において生産システムの技術革新が進んでいます。医療分野では、高齢化社会が加速する中、健康寿命の延伸のための予防医療や病気の早期発見が重要となり、短時間で高精度に検査ができる各種検査装置の開発が進んでいます。また、手術支援ロボットは、手術の種類や医療機関のニーズに対応するための技術革新が進んでおり、より幅広い医療現場での導入が期待されています。これら各分野における技術革新にはさまざまなセンサが必要不可欠であり、新たなセンサの開発が期待されています。 このような背景から、当社グループは抵抗器で培った基盤技術を活かし、センサ素子やセンサモジュール製品の開発に力を入れています。
環境対応車向けには、高圧用バッテリーの高電圧を精度良く長期間安定して測定できる高信頼性高圧デバイダー、大電流を高精度に検出するシャントモジュール、パワーモジュールの温度検出用にワイヤーボンディング対応温度センサなど、安全性や性能の向上に貢献できる新製品の開発を進めています。また、新事業創出では、風を可視化する当社独自の技術“Windgraphy”の多点風速計測モジュールを上市し、現在は新たなラインアップの開発を進めています。また、マーケティング活動を推進している酸素センサや荷重センサなどは、早く上市してお客様に“新たな価値”を提供できるよう製品化にむけ開発を進めています。
産・学・官の連携では、近年の計算化学の技術を取り入れ将来必要とされる新材料の開発を加速させること、製品開発のリードタイム短縮のために新たなシミュレーション技術を構築することなど、積極的な技術開発を進めています。また、材料や試作品などを分析・評価する最新の装置を積極的に導入し、分析・評価技術の向上や新技術の導入も積極的に進めています。そして、国内だけでなく海外の研究機関や大学と各種材料の共同研究も実施しています。
2024年8月には建設中の新たな研究開発拠点が完成し、人員強化や研究開発のための環境が整い、今まで以上に研究開発に力を入れていきます。
なお、当連結会計年度の研究開発費は3,195百万円となりました。
また、当社グループの研究開発活動は、セグメント区分における「日本」、「ヨーロッパ」にて行われております。